北岳バットレス 第四尾根 [アルパイン]


日付 2010/09/04(土)-05(日)
天候 09/04日 晴れ
09/05日 晴れ
パーティー構成 3B・やまざき / 俺・かわまさ

アプローチ 09/03 [22:00]藤沢駅==[01:30]芦安第一駐車場(車中泊)

ルートと所要時間 08/04
[4:30]起床[5:10]発(バス)==[6:05]広河原[6:25]--《1:45》--[8:10]大樺沢二俣--《0:45》--[8:55]バットレス沢出合--《0:55》--[10:00]Bガリー大滝取付[12:00]--《1:20》--[13:20]四尾根取付[13:55]--《4:05》--[18:00]終了点--[18:35]北岳山頂--[19:00]肩の小屋(幕営)

09/05
[6:00]起床撤収[7:00]発--《0:55》--[7:55]白根御池小屋[8:20]--《1:05》--[9:25]広河原==芦安

ルート情報 ・雪渓は大樺沢二俣上部とCガリー上部に多少残っている程度。
・大所帯の初心者講習会が先行にいたら、強引に追い抜くか、撤退か、ヘッデン覚悟しかない。(つーか、四尾根といえどもV級程度のBガリー大滝でフラットソール履いてもモタつくようなレベルの人は登っちゃダメでしょ!?)
・上記のようなパーティーが先行したら、なぜここで?と思う四尾根の各ピッチでもひたすら落石注意です。(傍にいる講師はどうして何も注意しないの?)

・Bガリー経由の経路にはビバーク適所はない。
・芦安の駐車場で仮眠する場合は、トイレが近く朝方の喧騒がないバス停下の第二駐車場が良い。
・肩の小屋のテン場がいっぱいでも、登山道を少し下った場所も静かで7張りほど可能。
・この時期でも3000mの稜線はシャラフカバーのみだとちょい寒い。

最新 2013/07/27 のレポートは こちら

報告&感想 [22:10]蒸暑い藤沢駅で全員が合流して、[1:30]芦安の第一駐車場に到着。かわまさ氏のフレンディーで車中泊。

[4:30]起床だが、人集めのタクシーや気負った早起き登山者の喧騒で眠りが浅い。一ノ倉に続き、今回も寝不足で朝飯が食えないが、5台のバスも満員になりそうなので急いでチケットを購入して乗車、広河原を目指す。北沢峠への分岐点に新しくなったアルペンプラザが建っていた。ここ北岳もカラフルなウェアをまとった若い登山者が多い中、最後に到着したバスのため登攀パーティーは1組目に留まるだけだった。2階で計画書を提出して、[6:25]広河原をあとにする。

大樺沢を詰めるトレイルでは快調に一般登山者をサクサク抜かしつつ、1時間ほど経って大樺沢を左岸に渡ると北岳が見えてくる。しかし休憩を入れた直後から急速に足が重くなってしまう。寝不足とバス酔いなのだろうか、メンバーについて行くのが容易ではない。[8:10]大樺沢二俣。休憩を入れてバットレス沢出合を目指す。[8:55]再びバットレス沢出合で休憩。ここからはバットレス沢とC沢の間の尾根についた明瞭な踏み跡に分け入る。水流がある左手がC沢だ。所々、岩に一般道ではない意味の赤ペンキで×マークが書かれている。尾根上の踏み跡ではなく沢筋を詰める事もできるが、小滝の乗り越しは今の俺には厳しく思い、ひとり比較的容易な踏み跡を辿る。この頃になるとバテたというより、気持ち悪く微熱があるような体調だ。行動食は摂っているいるが、焦る気持ちからか水をかなり飲んでいるせいなのだろうか。このままだとパーティーに迷惑を掛ける可能性が大きい。遅れ気味の俺を待つ3人に自分だけ白根御池小屋への撤退の意を告げるが許しを乞えず、様子見でBガリー大滝取り付きまで朦朧として登る。

[10:00]Bガリー大滝取付。足元しか見ることができず気力のみで大滝まで到着したが、ふと先を見れば先行Pでごったがえしている。すでに3Pが大滝に取り付いているが、基部には10名ほど、一段下がったところにも10名ほどいるだろうか。これでは1時間は確実に待つことになるだろう。メンバーは登攀具を身に付け始めているが俺はそんな気力も体力もなく、昼寝すると告げて滑り落ちそうな尾根上で横になった。快晴の太陽はじりじりと顔を焼くが今は動く事もままならない。

うとうとしながらも先行Pのコールが耳に入る。聞こえるのはビレイに関係するコールではなく、ひっきりなしの落石コールだ。大滝は浮石が多いとの記事があったが、本来ならV級程度のピッチなので浮石への注意も容易にできるはずだろう。コールから推測するに登攀スピードもかなり遅いようだ。ここで難儀するレベルなら1時間の待ちでは足りなそうな雰囲気が漂ってきている。回復を待つ俺には好都合だが(汗)。1時間を過ぎた頃、一旦起きてハーネスを装着する。まだ6パーティーほどいるのでおにぎりを無理やり口にして再び横になる。暫くすると不思議なコールが掛かった。二人の名前を呼んでビレイ解除。想像するにダブルロープを1本ずつ2人でビレイしているようだ。起き上がり目視するのも億劫なので、モヤモヤしながらも再びまどろみに沈み込む。

ようやく俺らの番が周ってきた。気持ち悪さもなくなり、腹が減っておにぎりを食う。こうなれば復調だ。先程のどんよりムードもなくなり、到着から1時間40分後の[11:45]3B隊テイクオフ。俺らは[12:00]発。大滝上部から歩きがあるので登山靴のまま大滝の2ピッチを登る。


Bガリー大滝〜四尾根取り付き:

1P目 V級 40m かわまさ:
アプローチシューズのまま、フェースに伸びた手足共に豊富なクラックを直上。
浮石が多数あるけど注意すれば落石する事はないでしょう。

2P目 V級 40m 俺:
フェースを緩く左上気味に直上。

3P目 コンテ:
2P目ビレイ点の左から踏み跡を50mほど登り、第二尾根を跨ぐ左への踏み跡に折れてCガリーに降りる。ガレガレのCガリーに降りてからは小滝を2つ登り詰めて、左のフェースに「4」の赤ペンキがあるスラブ下まで。

4P目 V級 40m 俺:
ヒドンスラブを左上して立ち木から稜に出て、小さなルンゼをトラバースする踏み跡を辿り四尾根取付きテラスへ。


第四尾根:

1P目 W級+ 40m 俺:
5m程のコーナークラックを越えて草付の緩斜面を直上して残置にてビレイ。

2P目 V級 35m かわまさ:
草付き階段状の緩斜面を右寄りに直上し這松の中の残置にてビレイ。

3P目 V級 35m 俺:
ビレイ点右から緩斜面に走る浅いクラックを直上し第1コルの残置にてビレイ。

4P目 V級 15m かわまさ:
階段状を乗り上げて第2コルの岩にてビレイ。

5P目 W級+ 40m 俺:
5m程の立ったフェースを右のカンテを取って越え、リッジを進み2箇所ある下の残置にてビレイ。

懸垂下降 10m:


6P目 W級+ 40m かわまさ:
細かいホールドのフェースからリッジ上を進み、2つ目の残置にてビレイ。

7P目 V級+ 35m 俺:
リッジから枯木テラス左の城塞リッジに乗り上げ、岩の裂け目手前の残置にてビレイ。

8P目 U級 35m かわまさ:
裂け目を越えて、緩斜面から這松沿いを辿って肩がらみでビレイ。


[18:00]終了点で登攀具を外し、ヘッデンを取り出す。完全には日が落ちてはいないが夕闇はすぐ訪れる。草付の中のトラバース路を辿り北岳山頂へ。一昨年来た時はこのトラバースの高度感で緊張した覚えがあったが、今の俺はどこが怖かったのかも判らずじまいだった(笑

紫紺に染まる中に積雲が立ち上がる山頂からの眺めも魅力的だが、早々幕営地の肩の小屋に下降し幕を張る。


[6:00]起床撤収[7:00]発。今日も気持ちのよい快晴だ。中央稜のわずかな希望もあったが、そのまま下山。白根御池小屋まで1時間。小屋に着けば、まさにそのタイミングで見慣れたオヤジがこっちを向いた。関さんか? が、いるはずがない場所なので暫し見つめ合った後、お互いを認識できて20分ほど歓談へ。関さん達は金曜入りアタック形式で昨日4尾根を登ったとの事。講習会Pより先行したお陰で快適だったそうだ。更に1時間で広河原へ。到着早々タクシーの勧誘で休むまもなく芦安へ向った。


** 今回も寝不足で。 ...、みんなに迷惑掛けてしまった。 **
** 朝飯はちゃんと食いましょう! **




■■■ 9/4日 ■■■



■■■ 9/4日 ■■■

新しくなったアルペンプラザ
ここも若いカラフルな登山者が目立ちます。

大樺沢二俣手前から北岳が見え始める。
今日も暑い!

大樺沢二俣

バットレス沢出合の大岩
Bガリーへは大岩左(右岸)の踏み跡を辿ります。
一般者が入らないように「×」マークあり。

左から、Dガリー奥壁 / ピラミッドフェース / 第4尾根/ Cガリー / 中央稜 / 第2尾根 / Bガリー大滝
知ってる人が見ればよく判るのだが...(笑

Cガリー上部
雪渓の先はDガリー大滝と第5尾根支稜

狭い尾根上でバテバテの身体を休めるために昼寝に突入。ウトウトした瞬間にグラっとして嫌な汗をかいた(汗

Bガリー大滝
影になった大滝基部に多数の先行者がいるのです。

昼寝の合間にAガリーを何気なく見たら、
あまりにも素敵だったので一枚。

ようやく3B隊の出撃(笑

Bガリー大滝 1P目
Cガリーへのトラバースもあるので登山靴のままで登ります。浮石が多数ありますが注意すれば落石しません。

Bガリー大滝 2P目
登山靴だと踏み替えがムズいので、
数歩先まで足場を考えないとダメですよ(汗

第二尾根を跨いだ地点から見る、Cガリーと第四尾根


第2尾根から僅かでCガリーに降り立つ。
このまま左に行けば4尾根下部のリッジに向える(たぶん

ヒドンスラブ(W級)といわれるスラブだが、
左上して稜に乗り上げれば難儀する事はない。

四尾根取付きテラスから見下ろす、
スラブを登った後のルンゼトラバース路。

鈴なりの1-2ピッチ。この各ピッチでも「ラクっ」コールが頻発!
どのトポ読んでも四尾根で岩が脆いなんて書いてないし、どうすればそんなに落石させられるのだろうと不思議に思う。

1P目
クラックだと勇んで出た3Bだが、
あっけなく終わってしまったらしい(笑

クラック上部から見る取付きテラス


2P目
問題なし。

3P目
ここも問題なし。

白い岩のクラックといわれる、
傾斜の緩やかな浅いクラック。

3P目終了点の第1コル
この先再び大渋滞。ガスが掛かりかなり寒い。

3P目をフォローするかわまさ氏

4P目
さらに問題なし。

ガスが掛かり風も出てきた。
渋滞がなかったらサイコーに快適な4尾根になった事だろう(涙

この先が第2コル

5P目
果敢にトライするやまちゃん。
直登するとX級じゃ足りない気がするが、
右のカンテを取ればW級+程度か。

直壁上部から見下ろす第2コル

3Bパーティー、
懸垂の準備中

かわまさ氏、5P目をフォロー中

懸垂途中から見た6P目

6P目

ガスがなければ絵になるポイントなのだけど(涙

7P目

枯木テラスからの一枚。
ここも同じくガスの中。

枯木テラスから城塞のリッジに乗り上げて、

岩の裂け目を越える。
8P目
緩傾斜帯から這松沿いを進めば終了点へ

四尾根終了点


北岳山頂


■■■ 9/5日 ■■■


■■■ 9/5日 ■■■


朝日が当たる時間にテントにいるなんて、
至福の一時だね。
御池小屋に到着すると見慣れたオヤジが。
GWの涸沢に続き、ここでもみずならパーティーと遭遇(笑

広河原