当たり針?

ふた昔前、当時のフライフィシングのオラ的カリスマは、誰がなんと言ったって浜野安宏さんでした。
「知らねえ〜」ってか、そりゃそーだ、古すぎるもん。
彼は元赤坂のムゲンをプロデュースし伝説を作った人。
そのセンスから生み出る先進さは、ルーファス&チャカカーンや
オハイオプレイヤーズなんかをもプロモートし、世界にその音楽性をも発信した人物。
またピーコック族(ますますワカンネ〜)の仕掛け人であり
三宅一生さんや横尾忠則さんをも包括した時代の寵児でもあった人である。
そんな彼はあらゆる分野での先進的な提言とその活動はまさに革新と呼べるモノで
その当時のフライフィッシングと、アウトドアーのオシャレなさを融合して提唱し又実践で示してくれました。
今でいうプランナーと呼べる人で、オラの正しいフライマンとしての良き座標となってました。
ま〜早い話、ただたんにオラが勝手にあこがれてマネッコをしたということですが。
そんなミーハー的フライフィッシャーマンの昔話。

その当時は7.5フィート前後のグラファイトロッドに
5番のラインというシステムが一般的でありましたが
彼はロングロッドの優位性を唱えて、当時では異常に長いと言われていた
9フィート以上のロッドを使う事を強く薦めていました。
当然の流れとしてオラもロングロッド派となり
オルビスのスプリングクリークを買うこととなりました
このロッドはどんな振り方をしても良く飛んでくれ、いっぱしロングキャスター気取りも出来た竿でもあった。
スプリングクリークは良き家来となって、オラの初期のフライフィッシングシーンを楽しく演出してくれたものだった。
3月からの解禁から禁漁になる9月の末までのシーズンをフルに大活躍してました。



禁漁となった10月からは釣りができずに悶々とした日々を送っていたところ
行き付けの釣具店のオヤジに「10月から解禁になるところがあるんだぜ」と
サモもったい付けた言い方で教えてもっらったのが、十和田湖のヒメマス釣りの事でした。
そうなると「5番指定のロッドでは十和田の風に対抗できないから使い物にならねーだろーな」で
まんまと店の親父の口車に乗せられて買ったのが、オルビスのパワーハウスでした。
リールもその当時は画期的なディスクブレーキ搭載のモデルを揃えて準備万端イザ出発
急げや十和田湖。
時は10月の25日と相成りました。

十和田湖までの2時間チョットのドライブは、82年に浜野さんが出版した
PLAYBOY誌の別冊「新野生学」の中で出てきたアラスカのウィルダネス物語と
これから始まるであろう、はじめてのフライフィシングによる十和田湖へのチャレンジを重ね合わせながら
思いを膨らませていると、あっとゆう間に(宇宙戦艦大和のタイムワープ?)薄荷峠についたのでありました。

キャストー 

この新野生学という本は、オラの初期から中期に掛けての
フライフィッシング狂走時代に、タイミングよく浜野安宏さんが書かれた
言わば私にとって経典のような物で、尊師が良かれと書いているものは
即座に買いに走ったものです。

もちろんロッドはオルビスで決まりだし、カメラは尊師がフライフィッシングだけのために
富士フイルムと共同開発したHD−1。
姿格好はエルボーパッチ付きのオイルドセーターにソレルのウォームブーツと
数えはじめたらすごい事になってしまうほどのコピーしまくり人間でした。

ナイスヒット  

ニュージーランドやアラスカに行ける経済的余裕の無いオラとしては十和田湖が
それに変われる浜野ワールドに近いものであった。

ついにやってきましたよん、十和田湖が見える薄荷峠。
そこを下ると和井内というワンドです。    
なんだかその名前、記憶の片隅に残っているなと感じた人又は
小学校の時、国語の教科書に出てきたナと記憶している人は
間違い無く純正のムカシオヤジです。

 お見事!

ナンノコッチャと思われている若人に、ここで簡単にレクチャーしときますね。
北海道の阿寒湖を原産とするヒメマスは、その昔々氷河期と呼ばれていた頃に
海から産卵に上ってきた紅鮭がランドロックされてしまい、しょうがなく一生を真水の中で
生活できる様になったエンガチョ鮭だ。
で、阿寒湖から道内の洞爺湖、支笏湖に移植され成功したヒメマスに
目を付けた和井内貞行とゆう頑固なおやっさんが
「移植に成功した魚だし北海道と同じような気候の十和田湖でもOKじゃないか」という事で
私財を投げ打って根気良く放流しつづけ、最後には定着させたという根性物語で
そのガッツを称えて小学校の国語の教科書にのったとゆう話。

55cmのサクラマス

で、その和井内ですが季節が秋だけに、紅葉がとても美しい事でも有名な湖なので
観光客がわんさかといて気後れしてしまったオラはとても竿を出す気になれず
取り合えず人気薄の滝の沢キャンプ場へと行くことにしました。

ここ滝ノ沢キャンプ場は、古くからルアー釣りをする人なら、とても馴染み深い所で
十和田湖ルアージャンボリー という釣り大会が
その昔毎年のように開かれていた頃のメイン会場だ。
十和田湖におけるルアーの聖地ともいえる所である。
その頃に唯一小型のさくらますをゲットした場所でもあるので少しは自信が有るので
そこに急ぐ事にしましました。

サッソク入場料を払い湖岸近くに車を止め、以前に実績のある滝ノ沢のインレットで
おもむろにキャストの開始です。
すぐに反応ありで、やはりきましたねグググーというサクラマス特有のあたりが
そしてローリングしている手応えの引き
これは紛れも無くサクラマス手応えですね〜へへへ。
でもこの引きの弱さは「チョット小さいかな〜」でも一匹は一匹だ
それも十和田湖でのフライフィッシングで仕留める第一号だしね。
ここは少しばかり慎重に行かないとねと慎重に引き寄せてキャッチした魚は
35cmのミニサクラマス。
「こんなにあっさりと釣れると気が抜けるな〜」と思いつつまたキャストはじめるオラでした。

11月の十和田湖  

しかし湖に腰まで立ちこんでのキャストは初めての体験でどうもオカシイ。
バックキャストで水面を叩いてしまいラインが上手く飛んでいかないし。
たまに上手く行ったなーと思うと、今度はリーダーがターンオーバーしてくれないし。
ダンダン下手クソなオラに腹がたって来る私でした。
そんなトラブルが度重なると、だんだんと集中力が失せて
釣りする事自体が嫌になってくるのでした。
ここでつくずく思いました。
釣具屋の親父の口車に乗せられて
「オルビス社の中で一番トーナメントに向いていると言われているモデル
パワーハウスなんか買うんじゃなっかった」と。(すぐ人のせいにするオラ。)

やっぱり尊師、浜野さんが書いているようにロングロッド
リーバーマスターにすれば良かったなーと後悔するオラでした。

オスのちびサクラマス 

ここで気分転換に場所でも変えようかと車を北に向けて
十和田湖一周と洒落込むことにしました。

「それにしても綺麗な湖ですね〜」山は紅葉真っ盛りだし、ここで思わず一句でました。 
「凛とした湖面に落ち葉さくらます」 ウマイ秀逸!日本一。

ず〜と回っていき十和田湖のアウトレット奥入瀬渓流の
ほうは相変わらず観光客がいっぱいだし
千畳敷はチョットオラの腕じゃフライラインを振れるスペースが足りないし
ここはパスと結う事でこの湖で一番のインレット
宇樽部川の河口に言ってみることにしました。
               
すると、いるじゃないのフライマンが、それとルアーマンも少々
「これは釣れるのかな〜」と期待に胸を膨らまして
近くにいたルアーマンに「どうーお」と尋ねたら、ノーヒットの事。
じゃフライマンはどうかなと近ずいていくと
どっかで見たようなヒトで、よ〜く見たらK君ではないの
田瀬湖のサクラマス釣りで一緒になった以来の再会で
「お互いバカですね〜」 なんて話しで盛り上がりました。
釣果のほどを聞くまでも無いんですが
一応聞いてみた所「さっぱり」との事でした。

12月の十和田湖

しばらくここでキャストをしてみるものの
やはり和井内から滝ノ沢のショアーラインが気になります。
時間も遅くなってきたので観光客も少なくなってるんじゃないかという期待を抱きつつ
宇樽部を後にすることにしました。
途中観光桟橋のとこにも寄ってみましたが、魚ッ気が感じられずに止めにすることにしました。
                
で、和井内につくと何やら餌釣りの人がいるので尋ねてみることにしました。
そしたら、「ホレ見てみろ」とフラシを揚げて見せてくれたのが
30cm前後のヒメマス数匹でした。
「ソッカ、この地区はヒメマスポイントなんだな〜」と思い、そんじゃ失礼してオラもという事で
サッソク身支度を整えてヒメマスを狙うことにしました。

ヒメマスのオス

またまたワンキャストめからヒット、しかしながらホッチャレたやつでした。
それも30cm無いくらいのヒメマスで、このタックルシステムはただの鉄の棒のようで全然面白くなく
これじゃ風が無ければ「4番クラスのロッドで事がタリンじゃねーの」と思えるくらいの情けない魚でした。

そうこうしている内に、何やら周りがにぎやかになって来ました。
そして、えさ釣りの親父さんも竿をしまいゴムの胴長を履き何やら
そのにぎやかな群れの中に入っていくのでした。
ナントその一団は底引き網のような物をズリズリと曳きだす始末。
産卵で和井内の流れ込みに集まってきたヒメマスを
一網打尽にしようとする魂胆で、あきれてしまいました。

観光客も集まってきて華々しくヒメマス漁のショウタイム。
近くの漁師のおっさんに尋ねたところ、人口採卵孵化のための採捕との事。
「ナ―んだそういう事か」と納得するオラでした。
それから3年後には、ここ和井内地区でのヒメマス釣りは親魚保護の為
釣り禁止なったのは、親鱒を釣りまくった々オラのせい?
               
トマ〜十和田湖のサクラマスを追いかけてしばらくは通う事になったのですが
11月中旬にも入ると吹雪く日もあったりして
寒さとの戦いとなりホント寒中修行のようでした。

今じゃやる気も起きない十和田湖のサクラマス釣りではあります。
にゃにゃぷす。

寒さついでに雪渓カワゲラも紹介しましょう。 

2000/12/23