人よりも多く釣りたい、人よりも大きい物を釣りたい(そして食らう。)
という人間の欲望の塊のようなコンセプトを掲げ、1986年に
立ち上げたのがKIKI−MINNOWです。





秘境?丹籐川

1980年春、古くからの知人であった花さんと、開店したばかりの
オラの店、KIKIーHOUSEで一緒に働く事になった。
その花さんから「フライフィッシング]という舶来の釣りがあって
少しばかり難しくて面倒な釣りではあるけれど、とっても
やりがいがあって面白いゾ、と語られ誘われたのが
オラが釣りをはじめるきっかけとなり、フライフィッシングに
どっぷりと浸かる第一歩となったのであった。

鷹生川の地ヤマメ

それからは熱しやすく冷めやすい、お馬鹿なオラの頭の中は
フライフィッシングの事でいっぱいになり、定休日が来ると花さんに連れられて
大ヤマメを求めて県内の各河川をうろつき回るのであった。

ヤブ沢の根市川 

そして3年ほどたったある日の午後、厨房の高い所にある窓から
6月の太陽の眩しいほどの光と、木々の生命力があふれんばかりの香りが
一陣の風とともに厨房の中にサササッと吹き込んできて
オラの耳元でこう囁いたのだ。
「こんなとこに何でいるんだ。お前は川の中に浸かってヤマメと遊んでれば良いのだよ」
と天使の一言?がオラの脳みそを狂わしたのだった。(オ〜、なんと都合の良い話だ)

それからは朝起きて気が付けば、眠気の取れないボーとした頭で
川の中に突っ立てロッドを握りしめているオラがいて花さんがいた。
そうFlyfishing迷走時代の始まりだった。

程なくして自由自在にフライをタイイングできるようになったし、それに飽き足らずに
ロッドをカスタマイズしたりバンブーロッドを組み立てたりして悦に入っていたオラでした。

ロッドをただ組み立てているだけでは満足できなくなったオラは
グラス素材のブランクとグラファイト素材のブランクを組合わせ
それぞれの素材の持つ独特の曲がりと復元力の時間差を利用し
手首だけの小さな振り角度でキャストできるショートロッドを作ってみたりして
誰も狙わない小さな藪沢のデカヤマメを狙って悦に入っていました。

早春の重茂川 

そうなってくると俄然、川でロッドを振っていることより
フライロッドビルディングのほうが楽しくてしょうがなくなってしまい
数多くのロッドを作り変えたり、ブランクを削ったりしては壊したり
ブランクを奇抜なカラーや迷彩色に塗り替えひとり悦に入って
自己満足の世界にドップリと浸り楽しんでました。
しまいには知人からカスタムロッドの注文を受けるまでになるのであった。
※浦島堂さんには、その節は大変お世話になりました。

そうして分かった事は、フライフィッシングでもルアーフィッシングでも基本的には
ロッドが曲がりを利用し、そして元に戻ろうとするパワーを利用して投げるわけだが。
人により手首や腕力の強さで、ベリー中心に力を入れる人や(これはフライフィッシングのエキスパートが
ルアーフィッシングをすると特に表れる投げ方。)ティップだけを使いキャストする人
(ルーアーフィッシングを始めたばかりの人に多い)がいて、一筋縄には行かず
その人の癖に見合ったロッドを組み立ていかなければ、せっかく綺麗にロッドを仕上げても
満足してもらえない事が多々あり、ロッドとは何かとヨ〜クわかったのである。



で、最終的に持ち重りのしない今世紀最大のブランク素材グラファイトロッドの
改造(改悪)にはまりこみ、いろいろなアクションを追求したいが為に
ブランクを削って見もしたが、そう簡単にアクションは変わるはずもなく
かえって「強度的にはマイナスでしかない」と竿を何本も折って見て解かったのである。

その昔、羽田さんというとてもユニークな方が、アーキストリアルという名のロッドを作っていました。
この方はグラファイトブランクの内側の空洞部分を特殊旋盤で削り出し(ホントカナ〜)
「どのようなアクションのロッドでも作り出す事ができる」と豪語していました。
確かにアクションは少しは変えられるようでしたが、やはりライトライン指定のスローなロッドには無理があり
お客さんのカスタムロッドがよく折れていたのを憶えてます。。。。

その結果ブランクを削るよりも、ラスピークのグラファイトロッドのように
表面塗装の厚さ加減で調節した方が、グラファイトロッドをスローな
アクションに 変える事ができ、強度的にも問題が無い事が分かった。

 

 それよりも簡単にロッドの持つ個性を変えるには、ガイドの取りつける位置で
工夫したほうが良く、ロッドの一番曲がり易い進行方向につけるのが
スピニングロッドやフライロッドには一番良いみたい。
ということでガイドは、ロッドのスパインから45度ずらした位置に
つけるのが一番良いのだが、そのスパインがブランクによって
左や右に螺旋のように曲がっているモノが普通に有るから困るんだなコレガ。

だからこそロッドを使う人の癖や力を見てロッドの、どの部分のパワーをよ〜く使うか見極め
ロッドの先端部に近い部分のスパインを取るか、バッド部分のスパイン取るか決めて
ガイドを乗せていくのがロッドビルディングのキモ。

そのガイドだが、つける個数と取りつける位置を決めるのが大事なキモであるが
使用するガイドの種類を決めるのも重要で、これには果てしない組み合わせがあり
ロッドビルダーとして頭の痛い悩む所ではある。

さらにブランクにガイドを仮止めし振ったときと、接着固定した時のアクションフィーリングは
かなり感覚として違う物になるので、それをを見越した取り付けをしていかなければならない。
もうこうなると数をこなして経験を積み、感をやしなうしかないと思うのである。

羊蹄山とイトウの住む尻別川  

というわけでオラの持っているルアーロッドの大部分はカスタムのしすぎか
メーカーが出荷した、そのままの状態の物はほとんど無いのである。

バス釣り大会の会場で知り合いが、オラのボートの中に積んであったコンバットスティックを見て
アーモッタイネ〜な」と目を点にし言っていたが、オラ的には「釣りが快適に出来るロッドをとるか
メーカーオリジナルを大事にし、しっくりとこないロッドを我慢して振るかと、どちらかを取るとしたら
やはりオラとしてはストレス無しに釣りに集中したいから、誰がなんと言おうと改造してしまうのだよ」
と言うような事をバス釣りの仲間に答えたのであった。
まあ器用な人はロッドに合わせた使い方が出来るのでしょうけど。
オラには無理な事で、やっぱり自分の腕に見合う様にロッドをイジクリまわすのが好きなのだ。


キティーちゃん16cm,17g  

今までにカスタマイズした一番の傑作ロッドは、今はカタログ落ちした(BASS・PRO・SHOPにはまだ有りますけど)
ダイワの名竿TD−S581MLRBという、今風のロッドで言えばメガバス社のジャーキングロッドに近い
イヤそれ以上の感度とキャスタビリティーを持ったグラス素材のベイトロッドがあるが
<あまりの素晴らしさにほれ込みもう一本買ってしまった>
これのグリップを削りバッドガイドを付け替えてジグヘッド&ジャーキング用にと
スピニングロッドに改造したのが有ります。

これがオラが言うのもなんですが、とても素晴らしいアクションとキャスタビリティーのロッドとなり
このロッドのおかげでチャプターの年間優勝を勝ち取ったと言っても過言でないほど
オラの右腕そのもになっているロッドなのです。
苦労して(ソウデモナイケド)出来あがったロッドを使う喜びってのは
ロッドビルディングをした者にしかわからない喜びが有るものだヨ。

そういった考え方がKIKI−MINNOW作りへの応用として
ハンドメイドミノークラフトの基礎を蓄える事となったのだ。

バスか?それ、セイゴだよ

オラのフライフィッシングは3月から6月までと後はラスト9月の5ヶ月間がハイシーズンです。

7、8月はナニ釣ってんのといえば、それは今から15年前盛岡に唯一有った
幻のプロショップフリークランド、そこの店長に誘われるままに米代川へと
鮎を釣りに連れってもらったのはいいが、川岸に置き去りにされていやでも覚えてしっまった
狂気の鮎釣り
に没頭するのだ。
          
で10月からはとゆうと、三陸沿岸南部出身の花さんに、又しても誘われ
アイナメのブッコミ釣りやソイのルアー釣りにとオラはハマっていくのだった。
そして花さんはといえば、ソイのフライフィッシングにのめり込み始め
独自の道を進み、そのメッソドを確立しつつある頃、私は三陸の大物師

鬼の八チャン    

スズキとサクラマスの釣りにかけては右に出るものがいないと
噂されていた八ちゃんとの出会いがあり
スズキ釣りへとハマリはじめるのだった。

新潟の海でも炸裂メーターオーバー。

その頃の釣具店に置いてあるスズキ用の代表的なプラグは
ボマーロングA、レッドフィン、CDラパラと言ったところで
今思えばベイエリア使用の、軽いウェイトのルアー達だけだった。

そういうとてもじゃないが外洋では使えないプラグを使い、我々は三陸の外洋の荒波に
立ち向かっていたのだ。(ある意味かっこいいけどね。)
そうなると沖めで小魚が追われたときや、潮の払い出しや
境目がある時、どうキャストしても届かず悔しい思いをしたものだ。

ちょうどその頃いつも読んでいる雑誌に、今やジギングの帝王と
名を馳せているパイレーツ原田佐敏氏率いる湘南のライズ軍団の
ショアーのスズキ釣りの記事が目にとまった。
そのフィッシングスタイルはロッドが11ftから13ftで使うルアーの重量が1oz前後であった。

マッチ棒の兄ちゃんの一撃

これぞオラの思っていたタックルセッティングだと確信し早速くライズに電話をし
タブロイド版のカタログというか、クラブ新聞のようなモノを送ってもらったのです。
その中には、今やブッラックバス界でその名を馳せている川辺プロをはじめとする
高名な方々のハンドメイドルアーのオンパレードで、今のこのご時勢であれば
高値で取引されるであろうと思われる物ばかり載っていたのであった。
さっそくこの中から10個ほどチョイスし送ってもらう事にした。
そして届いた小包みを開けて驚いた事は、そろいも揃って
皆、巨大なプラグ達で、一瞬目が点になったのはイウまでもない。

その中でも当時華々しくアングリング誌のグラビアを飾っていた
田中氏リリースのスプラシャーが、一番先に目に止まったのだった。
その名のとうりサーフェスをトゥイッチングすると派手に水を撒き散らし
表層をただ巻きしてくるとウネウネとスイムしてくる
今でいうリップレスミノーの先駆者なのであった。
それにも増してオラのハートを惹き付けたのは、このコーラルカラーといわれた魅惑のカラーで
スズキが釣れる前にオラのほうが見事に釣られてしまったのであった。
それが今まで続いてるKIKI−MINNOWの原点的カラーなのである。

州ヶ と一発。

釣れないルアーはない。と断言してしまう、しかし同じ条件で同じように使うと
多く釣れるルアーと少ししか釣れないルアーは歴然としてある。
大きいサカナが釣れるルアーと小さな魚しか釣れないルアーというのも現実に存在し
その差は明確としてある。とブラックバス界西の御大、下野プロの言葉にある
けだし名言であるとオラ的にもそう思う。



ミノーを作り 釣りに使っていると、全く同じように作っても
釣れるミノーと釣れないミノーはたしかに存在する。
それはどのような要因かと言えば、ルアーの持つ微妙なカラースタイル
大きさから来るアクションの差と考えられているが、、、、。
釣れるから使うし、使うから釣れるとゆう、思いこみの部分が
かなりのウエイトを占めているのも事実ではある。
そこで私情を含まない部分で分析してみると、その地域の
特殊性を捉えたミノー作りが一番大事だとおもえるのだ。

オールマイティーなルアーと一般的に言われているものは
確かに有るが、それはなんにでもヨイは、なんにでも良くないに
通じるものがあり、得てして爆発力は無いものだ。

それはフライフィッシングやっていると、とても良くわかる。
フライフィッシングでは、リアクションの釣り方はほとんどの場合考えられず
その季節や天候時間の組み合わせにより流下してくる水棲昆虫などの餌に似せた
毛鉤をチョイスし、その時の食性に訴えた釣りが大事だと言われているがそのとうりである。
そこでスズキ釣りにも当てはまる事では無いかとオラは考えたのだ。

ヒラスズキ?なわけねナ〜

ルアーフィッシングという釣り方で一番の特徴的な事は、そのアトラクター的要因にもとずく
リアクションバイト
を誘発させバイトに持ちこむという点だナ。
リアクションの釣りは、サラの場所では圧倒的な力を発揮するものだが
困った事に同じ場所で長く使ってくると魚がスレてきて釣れなくなってしまうんだナ、これが。
その場合どう対処していくか一番の問題となる。
しかし自然とは計り知れないモノでその逆という事もある。
(もっと激しいアクションとデーハーなカラー)

そこで考えられる事は、三陸海岸ですずきを狙う場合は、大きな範囲で回遊してくるスズキに
ルアーという存在をいかに気ずかせてやれば良いのではないかと考えた。
それには広範囲に打っていけるロングキャスタビリーとリアクションバイトを重視した
ミノー開発が必要だなと切に思った。
じゃあ距離を稼ぐには単に重心移動装置を付ければ良いのではと皆様そうお思いでしょうが
そんな簡単なもんじゃないんだな〜コレガ。
ミノーの飛行時における空力特性と抵抗を考えたボディーのフォルムが一番大切なのだナ。
コレにはいやとゆうほど削り直しをしても、なかなか満足できる物が出来ないものなのである。 

東の名人、西で釣る

クリアーレイクでのロングキャストトップウォータブラックバスフィッシング
一番悩まされる事がこの問題です。
このトップウォーターフィッシングの世界には色々なペンシルベイトがゴマンとあるが
その中でもメガバス社のジャイアントドッグXは良く釣れるルアーとして又
なかなか手に入らない人気ルアーとちまたで言われている。
※盛岡ではたやすく手に入るけどな
が、しかしジャイアントドッグXは、このルアーの持つリアルベイトシェイプが災いとなって
飛行軌跡がキャストのたびにマチマチで、アキュラシー性能は
マッタク期待できないモノとなってしまっている。
よってオラ的には「ロングキャストでは使えないわね」という事になる。

ここでも登場、クリアレイクでの大物狙いのトップウォーターゲームでは
待ってましたのオリジナルザラスプークの独壇場となるのだナ。
その単純なボデー形状ならではの飛行曲線と、予測できる着弾点
それとウェイトの重心位置からくるロングキャスタビリーと
アキュラシー性能の高さは絶対的なもので、全幅の信頼をオラは寄せている。
そして竿先ひとつで、トップウォーターゲームにおける全てのアクションが演出でき
これ以上のもはないと断言してしまうオラ偏愛のペンシルベイトだ。

このオリザラのコンセプトを基本として、気の遠くなるほど重ね塗りをし
荒荒しい海のパワーにも負けないように仕上げたのが外洋のスズキハンター
ハマー&マギーである。
このルアーのウエイト設定重量38gですが、このウエイトはオラ溺愛の
ブロウショット13ftの負荷重量にピッタリと合うように設定した重さである。
でコレより軽くても重くても私のキャスティング能力では飛距離が出せないオンリーワンです。

夜明けの広田湾

ロッドの持つルアー重量の負荷能力とは、キャスターの
使いこなせる能力によってかなりの差が出るもので
メーカー表示のウエイトはかなり当てにならないものではある。
そしてロッドの持つ一番ベストな負荷重量の幅はとても狭い範囲なもので
ロッドにマッチしたルアーを探すのも結構楽しい作業ではあるな。
それが又、どんどんロッドが増えていく原因であり
家族のヒンシュクを買うハメとなってしまうんだな。

柔らかいと感じるパラボリックアクションのロッドは
リリースタイミングの時間に余裕があり
ロッドのしょえるウエイト幅が広いといえる。
一番良い例としてはグラスファイバー素材のロッドであり
それよりも良いと思われるのがバンブーロッドである。

今でも現役バリバリで、人気の竹製へら竿の世界では
一回竹を使ったら、もうカーボンロッドを使う気にならない
と言われているが全くそのとうりで、おかめの段差から
両だんご等のタクティクス重量差を気にせず、ストレス
無しにポイントまで的確にクワセやバラケを運んでくれ
まるで竿が仕事をしてくれるようで素晴らしい竿能力ではある。

真木沢の夕暮れ、スズキ狙い。  
 
反対にスティッフなロッドはリリースタイミングの幅が少なく
ウエイト幅狭いと言えるが、このロッドの持つタイトな弾道は
風に強くスッマシュキャストできるのは有り難い。
それに伴う感度は、小さなアタリや前当たりを
取るような釣り方にはなくてはならないものだ。
そして良く設計されたボロンをコンポジットされたロッドは両者の良いとこ取りの 
ロッドになり完璧に使いこなせるのであれば
これほど良い素材の物はないとオラ的には思う。。

5年前になるが
フライフィッシングに狂っていた頃、田瀬湖の桜鱒釣りで
知り合いになった知人と宇樽部川の河口で偶然に再会しました。
その時彼が振っていたロッドが、パラボリックロッドの
代名詞でもあるオービスのリバーマスターでした。
彼は商売柄か大変腕力が強く、フォルスキャストの
段階でも、そのロッドの曲がりは尋常じゃなく、もはや
ロッドの限界を超えているような状態でした。
しかし、その見た目のパワーの割には飛距離が伸びないようで
思わずオラは「セージのトーナメントロッドのような硬いロッドの
ほうが、キミには合うのではナイカイ」と
余計な助言と言うかおせっかいをした私でした。


       モーガン
&ホンキートンクウーマン 

かなり話がそれてしまいましたが、要はブロウショット13ftで
快適にキャストできるルアーを欲しかったと言うわけですが
当時はどこにも無かったので
しょうがねえから自分で作ったって事ですハイ。ナガイ!

そしてより遠くへ飛ばす安定性と、アクションのアピール度を
増しリアクションバイト誘発性能を高めたのがハマー&マギーの
発展版モーガン&ホンキートンクウーマン(20cm38g)だ。
これでオラの三陸海岸スズキ迎撃ミノーは完成したのであった。
メデタシ メデタシ。



フィネス秋田港ウグイ 

そしてこれと対極の考え方を推し進めて作り上げたのが
フィネス秋田港ウグイ16cm,18gである。
で、この秋田港ですが、このエリアは三陸海岸と違い
北東北一番、常に攻められている人気のスズキ釣りの場所なのだ。
そしてここのスズキは湾内回遊性が強く、ルアーにヨ〜ク
すれまくっている。
※ここのスズキを食べてみるとわかりますが、石油臭さが
身に残りあら汁にしたらとても食える代物ではなく
三陸海岸のスズキとは到底比べ物になりません。
ひどい物になるとエラが重油で真っ黒なんていうスズキも
釣れたりしてガッカリしてしまいます。
それくらい居付いているのだ。

 秋田港の名所オレンジ

そういう学習しまくりの居付きのスズキを相手にするので
アピール度の高いルアーでのリアクション重視の釣りをしても
おいそれとはヒットしてくれません。
そういう釣り方は、魚の活性が異常に上がる台風の最中とか
直後、又突風や土砂降りの日が良い結果が出ます。
そんなラッキーな日にいつもうまく当たるとは限らないので
普通の日でもヒットするルアーが欲しいと結う事で創り始めました。
そのコンセプトは、ローアピール、ノーリアクションの2文字です。

そのエリアで一番捕食されているえさに似た大きさの
毛鉤りで釣るフライフィシング流の考え方で行くと
自然にその場所で泳いでいるベイトに似せた大きさと
アクションのミノーが必要となる。

「究極のヤマメ釣り」の本を出している伊藤稔さんが
その本に書いていますが
ドラックフリーで、うまく食い波に餌を流したときヤマメは
口にエサをくわえたまま、しばらくは吐き出さない」と書いています。
つまりルアーでいえば、ラパラのプラグのように泳ぐベイトは
自然界にはいないって事です。

まさにブラックバスフィシングでいう所のスイミングワーム
テクニックの世界に通ずる物があります。



「その時ストレートワームはミノーとなる」と東の御大
小山プロもそう言っています。

ノーリアクション、ノーアピールそれが
フィネス秋田港ウグイ
の製作コンセプトなのだ。

又こんな事も有りました、台風一過のおさまった南三陸の
人気スポットで、北里大学のクレイジーアングラー連中に
混じって、ただ一人答えを出したのもこのミノーで、
フコンデションにメッポウ強いと言えるものになったのだ。

このハマー&マギーフィネス秋田港ウグイの二つの考え方が
KIKI−MINNOWのアクションの根幹となっているのです。


いきなりヒラメ   

そしてスズキ用のミノーを開発しつつ、田瀬湖のさくら鱒を
釣るためのミノーも作り始めました。
まずはあの日本のハンドメイドミノーの創始者,泉和磨先生
のHMKLのフルコピーを作り、それをオラなりに消化して
できあがったのがフィネスわかさぎである。
デビューしたのが海で、いきなりヒラメとクロソイを釣り
上げ、幸先良いスタートを切ったのだった。

御所湖のアメマス50cmオーバー

それから快進撃はとどまる事を知らず、
52cmのアメマスをはじめ尺やまめは数知れず。
海でのクロソイの束釣りなど身体中にアドレナリンが
駆け回りで、爆釣で楽しんでいます。
とくに力を入れていくつものモデルを作り、今だに
これだと言いきれる物が出来ないでいるのがサクラマス
攻略のミノーです。(1999年末時点での話)


今から12年前くらいの事ですが、朝の6時から夕方の5時まで
二匹のサクラマスをサイトフィッシングでシツコク狙っていました。
もちろんサイトフィシングで狙えるところなので、抜群に透明度が
高い川なことは言うまでもありません。
そこは大体1m位の深さかなと思ってました。
そして何度もルアーをキャストしているうちに、根掛りをしてしまいました。
どうやっても底に沈んでいる、倒木からフックが外れませんでした。
仕方が無いので、車に戻りウエストハイウェーダ―に履き替えルアーを
回収しようと川の中に入って行きました。
そして4,5歩進んだとこで、いきなりヘソ上まで沈してしまい
オラの股間を冷たい早春の川の水が直撃し
思わずタマタマ袋が縮みあがりました。
 そんな、まだ雪代が出る前だったので不純物が一切流れてこない
ミネラルウォーターといっていいほどのクリアーな流れだったのです。
だから目測を誤りチンポコがちじみあがったのです。
そうだな〜、深さは2mを少し超えたくらいかな、そんな深い所でした。



「こりゃ今日は2匹ともゲットだね」とタカをくくって攻めまくるも
2匹の桜鱒はルアーにピクリとも反応を示さず、淵の一番
深いと思われる所にジーと定位したままだったのです。
川の中にいる魚にしては、桜鱒は尋常じゃない大きさの
魚なので、ついつい熱くなって、ひたすらキャストし続けるオラなのであった。

そして4時間が経った10時頃、ついに私のルアーに一匹の
桜鱒が反応を示し、桜鱒の鼻先にルアーのフックがくっつく位の
距離を保ちながら、続けざまに4回もチェイスしてきたのです。
しかしヒットは無いまま、何事も無かったかのように淵はマタ静まり返りました。
その桜鱒は、またもとの場所に戻り定位したのです。
それからオラは昼飯を食べるのもモドカシク、ただひたすら
ルアーを打ち込むのでありました。



太陽がかげりはじめ、冷たい風が吹き始めた午後4時
それまで淵の一番深い所でジーとしていた2匹の桜鱒が
突然ギランギランとまるでアルゼンチンタンゴを踊るかのように
ルバーホワイトの側面をひるがえしながら、舞い始めたのでありました。
あまりの突然の出来事だったので、それまでだらけていた僕は
その場で固まってしまい、しばらくキャストせずに見入ってました。
これじゃいかん」と気を取り直したオラは、2匹の桜鱒に向かって
スッマシュキャスト、その放たれたルアーが着水しフォールし始めたそのとき
猫がボールにじゃれ付くように鱒達がルアーにまとわりつき始めました。
そしてルアーをリトリーブしようと、リールのハンドルを3,4回転させたその瞬間
一匹の桜鱒がガッと大きな口を開きルアーに襲い掛かりました。
そして間髪を入れず手元にググッと結う確かな手応え、おもわず
「ヤッタ」と心臓が高鳴ったその瞬間、リールのハンドルに抵抗が
無くなりルアーは力無くユラユラとまた泳ぎ始めるのであった。
とその時、もう片方の桜鱒が猛然とダッシュし、ルアーにアタック。
またもやガツンという衝撃だけで、針には乗らず。
悔しいオラではありました。
それからの桜鱒達はルアーに目もくれず、まるでダンスを楽しんで
いるかのように身を翻しながら泳いでいるのでした。
そのダンスに飽きたのでしょうか
そしてユラリと上流へ身を翻し泳ぎ去っていくのでした。
そんな脱力感だけが残り
へんに頭のスミだけが興奮しているオラを川原に残して。。。。
                       
この時の経験は、これからの桜鱒釣りにおいて大変有効な沢山の
ヒントと考え方を与えてくれたのでした。

名人、ソレなにカニ?  



その壱 桜鱒  お天気娘 秋の空

気まぐれで突然ルアーを追い始める。
それはどんなキッカケ、もしくは要因かはいまだに分からないと
桜鱒名人の八チャンも言っている。(ほんと〜?知ってるくせに。)
鱒釣りに行く興奮で、寝付きが悪くて寝坊したオラは
有名な桜鱒ポイントにノコノコト9時過ぎに出かけていった事が有りました。

そこには先客の2組6名ばかりの桜鱒ゲッターが一仕事を
終え朝食をトッテいるところでした。
釣果のほどを聞けば、微妙なコンタクトは有ったもののノーヒットの事でした。
「コリャオラに釣れる桜鱒は、もうイネーナ」と思いつつも身支度を
済ませ真新しい足跡が川原に残る目の前のポイントに立ちました。
先客の方々は、「俺らが散々掻き回した後なのに、性懲りも無く
よくやるよナ」と呆れた感じでオラを見ていましたが、「あまりの
馬鹿さ加減に付き合えねーや」とさっさと朝食タックルを撤収しいなくなりました。



オラはバカの一念で気にせずつりを続行。
そしてキャストを始めてまもなく、流木にでも引っかかったような
アタリ、「ん!間違いない桜鱒のアタリだ」次に来るのは
ゴクンゴクンと特有のヘッドシェイク。
そしてまもなく始まる桜鱒独特のローリング&ボデーウェイブ
緊張の瞬間である。これをシノギ切れば95%の確立で取れたも同然だ。が
しかしこのローリング&シェイクに耐え切れずにフックオフ。

このヒットを合図に始まった待った無しの連続7回のヒット
そしてバラシ。八回目のヒットでようやくフックセット、そして無事にゲット。
これが確変終了のランプか、猛ラッシュが掛かった白昼夢は終わった。
マァなんとも情けない話ではあるが、桜鱒釣りってこんなもんでしょ。
と自分に言い聞かせる私であった。



こういう話はよく聞くもので、「他の人が攻めたポイントでも時間を
置かずに、すぐにキャストをしたら釣れてしまった。」とか
「一匹目を釣って散々ポイントを荒らしたのに、すぐに釣れてしまった」とか。
「他の人が釣って一息ついている間にキャストをしたら釣れてしまった」とか。
ほとんどアユの友釣りと同じような、入れ掛り的な話はあるのだ。
ソッ、つまりは単純に時合いだね、時合い。

だからこそ時合いを、みずから創り出す、桜鱒のやる気の出るアクション
開発を主眼に置いたミノーが必要と考えました。
それがRシカーに施したベリーサイドデルタカット(なんのこっちゃ)です。
底の方に潜んでいる桜鱒に強烈にミノーをアピールするための
ミラクルカラーとミノーの光線反射率の拡大を持たせるボディーシェイプです。

その弐 桜鱒は気持ち良いのがお好き。

オラの大好きな釣り名人の一人に伊藤稔さんという
アユ釣りとヤマメ釣りにおいて、その実践から割り出した
理論と方法で、釣りキチ大国岩手県の釣り界に、大きな
技術的変革と意識改革をもたらした釣り人がいます。

いまさらという気もしないでも有りますが。
もう皆さんご存知のその著書、「究極のヤマメ釣り」 なる本があります。
この本は、今まで手付かず状態であった本流のヤマメは
どういう風に攻略すればよいのかと
事細かく説明された画期的な教則本であります。
その実践から得た理論は、えさ釣り師のために書かれた
本ではありますが、フライマンはもちろんのこと
ルアーマンにも支持されている本であります。
そうです、川で遊ぶ者達みんなに愛されている
いわば川釣りバイブルといっていい本であります。



この本にいち早く気づき桜鱒釣りに応用しようとした釣り人がいました。
ちまたで桜鱒の数釣り名人として羨望と嫉妬とから
桜鱒漁師と言われていた通称丸チャンその人であります。

僕がヤマメのえさ釣りに狂い始めた頃、名人伊藤稔さんの
迷惑をかえりみず、「本で読むよりは実際にそれを見た方が
早く覚えられる近道」と思い又その天才的な職人技を盗もうと
しつこく付きまとっていた時期がありました。
そして大体の概要を把握しました。(自分ではそう思った)
その結果として大漁のヤマメを水揚げして
ブイブイ言わしていたオラでありました。
その頃、丸ちゃんが「どんな波のどんなポイントでヤマメが
バイトしてくるんだ」と、しつこく聞いてくるもんだから、それじゃと
言う事で渓流解禁からそう日も経ってない松川の支流へと
一緒に出かけ、オラが直々に一子相伝の秘儀を
レクチャーすることとなりました。〈えっへん。〉

しかしレクチャーとゆうにはおこがましく、彼は自分独自の
桜鱒釣り理論の確認をしているに過ぎなく、反対にオラの
ほうが桜鱒のつき場を教えられる始末で、オラの立場は
先ほどの勢いも無くなり、とても寂しいものとなりました。
又、丸チャンの一番弟子筋にあたる一チャンというワンシーズンに
桜鱒を58本も釣ってしまう、世捨て人的名人がいます。


一ちゃん

この名人がはじめて50本とゆうとてつもない大台を突破し
金字塔を打ち立てたとき、いみじくも言っていたコトバがあす。
それは「桜鱒は食い波に乗っている」と。
〈オラは桜鱒サーファー説と呼んでいるが〉

フィネス秋田港ウグイで、

彼もまた、その食い波理論を実践し、また証明しようと
桜鱒釣りのド素人ばかりを選ぶようにして、川に連れて
行き、その場で実際に釣って見せながら素人さんにレクチャーし
その後で、実際にトウシロ自身に桜鱒を釣らせてみて、一ちゃんは
その方法論と理論を確固たるものとしました。

まとめると、桜鱒と言えども元は単なるヤマメ。
(しかし僕的に考察するには、少しばかり山女とは違う
魚のような気がしてならないのだが)そのお母さん。
ヤマメと一緒だよ、食い波の気持ち良い流れのなかに桜鱒はいる。
*活性が高まったときはと注釈が入りますが。  

ということで本流の太い流れの圧力にアッというまに押し流される
こと無く、ピンポイントである食い波の中に、いかに長く止まらせて
いられ又、その地点で激しく桜鱒を挑発するアクションを
出せるかというミノー開発の条件があった。    
それがRシカーに施したバックボーンエアーチャンバーカットと
ペンタゴンリップカット(ホンマすっきやね〜。)です。



その参  桜鱒はおカタイのがお好き
                    
バス釣りの世界では、春のスポーニング時期の釣りから始まり
秋のターンオバーが始まるまでの釣りで、ストロングパターンが分からないときには
とりあえず「硬い物があるポイントを撃て」という鉄則があります。
これは何もバス釣りにだけに限ったことではなく、なんの魚にも言えることですね。

これを桜鱒釣りに変換して考察してみると実によく当てはまります。
それはナニかといえば(言いたくないんだけどな〜。)
テトラポットだよ〜ん。
これは誰が見たって川における最大のストラクチャーでありますな。

フライフィッシングでのことですが、オラが夕まずめのイブニングライズ狙いに行く場所を
選定する基準の一つとして、テトラポットがある場所を上げます。
それは大きな魚、小さな魚に限らず自分の身を白昼下にさらすことなく
身を潜めていられる場所として又、流れがテトラポットにぶつかり複雑な流れを形成し
それがひいては伊藤稔名人が解説するところのヤマメの適水勢がいくつも各層で出来る所なのである。
つまりテトラポットは魚にとって安全に居られるお家、そうライオンズマンションって感じかな。
えさも苦労せずに捕れそうなところだしね。



この釣りの考え方が一番発揮する、数々の尺オーバーのヤマメの記録が
残る川、某S水系の支流K川があげられる。
この川は砂利取り盛んにおこなわれ又、度々鉄砲水が出る川として
有名であるからにして、頻繁に川相が変わります。
故に護岸としてテトラポットが、各所に入れられておりこれがとても良いストラクチャーとなり
結果としてこの川にしては十分な大物ヤマメをスットックすることとなっています。

で、桜鱒の件ですが、もちろんこのコトが当てはまります。
あのデカイ図体をさらすことなく隠れる場所として又、長旅の疲れを
癒す保養の場所としてこれほどの格好な場所はないとオラは断言します。
ここでの釣りにトテツモナク威力を発揮するようにと考えたのが
この写真にあるRシカー2000であります。




テトラポットのきわを逆引きしたときに、水面から飛び出さず、尚且つ
安定したバイブレーションをともなった大きなウォブリングアクションを
出すという相反した条件をクリアーしました。(ちょっと自慢が入ってますな〜)
以上テトラポットのポイントでの釣りを解説してみましたが
ナニもこれだけに限定せずに大きな沈み石やその他障害物まわりに
応用して見てください。自信を持ってお勧めします。つれるど〜。

その四桜鱒は飲み屋のオネ〜ちゃんだ。

なんやねんソレって感じでありますが、あくまでもオラの経験したお話ではなく 
遊び人のヒーロム先輩から聞いた話から連想して書いたものです。
お間違えの無きよう。



さてここで桜鱒がヒットしたとしましょう。
たいていの場合桜鱒の当りというものは、大きめの雑巾でも
ひっかけたような、押さえ込まれたような感触がロッドを持つ手に伝わります。
その次に手に伝わるのが、「私にこんな事してイヤヨ、イヤヨ」と
いう感じで首をゴックンゴックンと振りはじめる感覚です。
そうだな〜、大体三、四回くらいかな、そん時はずれなければタブンこんな感じカナー。
飲み屋のおねえちゃんに「お店が終わったら、飯でも食いに行っこか〜」なんて粉かけて
「イイーワヨ、美味しいものご馳走してネ。」てなもんで、上手く事が運び
お持ち帰りにやや成功といった段取りができたってトコですかね。

ここでお持ち帰りに失敗するするメカニズムを解き明かしてみると
どうも桜鱒のバイトには二通りあるようです。
まずは口でくわえる、がっちりバイト型(お金持ちor色男に多い)
このくわえ方は障害物周りに桜鱒が身を潜めてミノーに突然
襲いかかるプレデター型特有の獲物を狩るパターンです。
この時のフックの掛かり方は上あごと下あごの接点のところに
掛かる、バレようのない掛かり方が多く、引き寄せてきた桜鱒の
フックセットを確認する時、この掛かりの場合は余裕を持って楽しくランディングする事ができます。
それとスプーンでの底釣りで桜鱒を狙ってヒットすると何故か
ほとんどの場合この形式の掛かり方が多いのも事実です。



もう一つの掛かり方は口の外回りに掛かる、スレ掛かりパターンです。
このくわえ?方は、どうも食い波に乗っている桜鱒サーファーが多いのです。
分かりやすく言うと、鮎の友釣りそのものですナ。
野鮎が自分の食料元であるコケのついた石を守っている
縄張りと言われるえさ場があります
そこに友鮎をあたかも盗み忍び寄る、ならず者鮎に仕立て
(この操作がこれまたムズイ)この侵入してきた友鮎を
追い払おうと野鮎は闘争本能むき出しで激しく体当たりしてくるのです。
この怒り狂った野鮎を、友鮎に仕掛けられている掛け針に
針がかりさせてしまう釣りが鮎の友釣りなのです。

桜鱒の場合も一番気持ちよく泳いでいられる適水勢で尚且つ
食い波という縄張りに、見なれぬ物が近づいてくると
その邪魔者を追い払おうとするように口を開かない頭突きを
(鼻突き威嚇)してくるのです。
あまり桜鱒の闘争本能が高くないとき(低活性時)は、
ミノーのすぐ近くで身を翻し、ただの威嚇行動に出るのです。
これはボロンロッドにPEラインを使った、高感度な釣りを
していると、とてもよく分かる事で、ミノーの抵抗を感じ取り
一定速度を保ちながらリトリーブをしてくると一瞬フッと抵抗が
抜けたような感覚が手に伝わる事が多々あります。
これがミノーにチェイスしてきた桜鱒が威嚇攻撃にでて
身を翻した時にできる追い波による感覚です。つまり
ミノーが押し返される逆抵抗の波であり桜鱒の反転流と言えるものです。



ここでもっとやる気のない遊び桜鱒だと、ミノーのリアフックに
鼻先をスレスレに付けるようにして、すぐ足元のそこまで付いて来ます。
ここで少しばかりやる気のある桜鱒が迎撃に出たときには、ミノーのフックが桜鱒の
口まわりにスレ掛りとしてヒットするのです。
ここですぐに外れてしまうか、このままの状態でこらえることが
出きるかは、ラインの特性とロッドアクションそしてリールの持つ
ドラッグ性能のトータルバランスを考えたセッティングがものを言います。

この次が桜鱒特有のボディーローリングが始まるのです。
ここからがキモでこのテクが出きるのと出来ないのでは
勝率にすると三倍くらいの差がついてしまいます。
いつもここからの失敗で泣かされていたオラは、どうやって
桜鱒がフックを外すのか調べてみることにしました。

そこで透明度の高い川を選び、そしてキャストする足場の高いポイントを選び
桜鱒を狙う事にしました。
その日はとても運が良い日でした。
1投目ですぐに桜鱒の反転流の感覚と、ギランという桜鱒の反転
リフレクションが同時に見て取れ、幸先良いスタートが切れたなと思いました。
そしてしばらく粘ってキャストをしていると、ゴオンという当りとともに
水面ギリギリのところで桜鱒のヘッドシェイクが始まりました。
今日だけはフックが外れてもいい覚悟を決め、一切ロッドの操作をせずに
ミノーの掛かり具合と桜鱒の行動をじっくりと観察することにしました。



ミノーは案の定スレ掛りです。
下あごの、ちょうど人間で言えば喉仏付近に掛かっていました。
頭を二、三回振ると、すぐにボディーローリングに入りました。
この時恐るべき光景を目のあたりにしました。

この時ミノーのアイから伸びているラインが体にきつく巻き付きますよね
するとラインが切れんばかりにピンと桜鱒の体に沿うように張ることとなります。
その刹那、桜鱒は激しい首ふりを又始めるのです。
そのラインが張っている側と、反対方向に首を振ったときにです
ミノーのフックに引きちぎるような、一瞬にして巨大な力が加わり
あえなく身切れとなりはずれちまうんです。

がっちりバイト型でも
バレル時にはフックが開いて外れてしまう事が多々あります。
それはこれが原因なのです。
オラはまだ経験をした事がありませんけど、スゥイーベルが
伸びてしまったとか、タルの部分が
はずれてしまうというのも、ほとんどコレが原因ですね。
オラが好きで使っているPEラインの結び目からの切断もたぶんコレでしょうな。
で、そのまま見ていると、はずれたミノーが運良くと言えば
そうなのですが、オラにはソレに対しての対策と言うか秘策がありました。
ソレはバス釣りの世界で春先のサスペンドミノーを
使った釣りにヒントがあるのです。 
たしか下野プロが提案したことだったと思いますが
アクションしてきて一瞬ポーズを入れたサスペンドミノーに
バス特有の吸い込むようなバイトを確実なものとするために
ベリーフックのスプリットリングを二つにし、口の奥までフックを送り届けつつ
確実にフックオンしてしまうという裏技。
確かにやってみたらバスのバレがまったくと言って良いほど無くなりました。
この事に味を占めたオラは、バス釣りのタックルボックスにあるハードルアー全部に
このダブルリングチューニングを施しました。

桜鱒のバイトはと言えば、バスの口の形と違い、ルアーを吸い込むというよりは
くわえるという動作のほうが大きいのです。
だから口の奥までフックを届けると言う効果は期待できないのですが
ここでオラは違う意味で有効ではないかと考えました。

桜鱒のミノーイングによるフックアップの基本形はベリーフックにまず掛かります。
そして桜鱒は苦し紛れに首を振りをはじめますが、この時フリーになっているリアのフックが
頭まわりにまとわり付くように刺されば良いなという期待を込めて
フックの自由長と自由角を取る意味でのダブルリング効果に期待したのでした。



その外れたミノーなんですが、なんと首のところに掛かっているじゃーございませんか。
それもオラが意図したリアフックです。してもやったりにんまりです。

アユの友釣りで、背がかりになったアユは、流れの抵抗をもろに体に
受け止めるので、長い竿とあいまって手に感じるパワーは
スズキの80cmオーバーの感覚ですが、背掛りの桜鱒も
なかなか引き寄せることができなく、「スワ!潜水艦級か?」とカン違いするほど
とてつもなく時間が掛かる事があります。

この時のもう一つのキモは、あまり行く機会の無いM釣具店に
暇つぶしに行った時のことでした。
偶然、陳列棚におもしろい形のトリプルフックを見つけました。
それはメガバス社のジャーキングミノーに取り付けられている
カツアゲフックにクリソツな針でした。
で、そのメガバスのカツアゲフックのコンセプトはこうです。
威嚇攻撃に寄ってきたバスが、ほんの少しでもフックの先に触れたら
すぐさま皮を拾ってしまうフックポイントを、アウトに開いた形の針です。

ソー言えばその昔、がまかつのアユ掛け針にトロ掛かりという
コレと同じコンセプトを持った鮎掛け針が有りました。
それはトロにたむろしている遊びアユを触れただけで掛けてしまうという針がありましたネ〜。

コレは使えると直感的にひらめいたオラはRシカー2000に搭載することにしました。
が、しかしそうは簡単に問屋はおろしてはくれません。
どうも浅掛りの時に起こるようなバレが多発したのである。
多分、桜鱒の口まわりの皮に針先が浸透する時、モーメントの関係で
フックが逃げるような角度になる為浅く皮を拾ってしまうのだと考えられるからである。
やはりブラックバスのようには上手く行かないのであるナ、この桜鱒の釣りという
事に関しては。(むずかしいね、ホントーニ。)

という事で桜鱒のミノーイングでは、桜鱒はベリー部を狙ってバイトしてくる
確率がとても高いので、ベリーフックには従来型のフックを取りつける事にし
このベリーフックに桜鱒がヒットした後のフォローを入れる為の
スレ掛かり効果を期待し、リアフックにのみこのカツアゲフックを採用することにしました。
もちろん、この時から僕の桜鱒ゲット率が上がったというのは言うまでもありません。
 



その五 おまじない。

盛岡市のど真ん中を流れている川に、朝昼晩と桜鱒狙いで
一日三回、三ヶ月間休まず通いつめていた熱く狂っている時期がありました。
そこで出会った桜鱒釣り狂いに、上田先生なるフィシャーマンがいました。
ほとんど病気に近い彼は、1ボックスタイプの車に家財道具一式積み込み
(か〜ちゃんも)西にスズキが釣れると聞けば、すぐさまふっとび
北に桜鱒が釣れると聞けば労を惜しまず通いつづける由緒正しき釣り人であります。

その彼がこっそりとオラに教えてくれた話がありました。
その当時の桜鱒釣りはスプーンでの底釣りが主流で
ミノーを使っている人は、ほとんど見かけませんでした。
そのスプーンでうまくヒットし釣り上げた桜鱒の血を、そのスプーンに
塗りたくると、続けけざまに桜鱒がヒットするという話なのです。
「ホントカナ〜」と思いつつも、一匹でも多く釣りたい一心のオラは
「そうかそんな秘技もあるんだな、ヨーシ」と思いマジでその話を信じました。
しかし、ここで一番の問題点が浮かびました。
それには、まず一匹目の桜鱒をゲットしなければならないことです。

そんな話を聞いたオラは焦りながら、ますます桜鱒釣り熱くなって行くのでした。
まわりの知り合いは次々と桜鱒を釣り上げ、取り残され状態のオラは
五月も過ぎたというのに、まだ一匹も釣り上げてはいなかったからです。
そして、焦りモードにハマリますます悪循環から抜け出せなくなってしまうのでした。

結局そのシーズンは当りさえなく、その血に塗られたスプーンの話は
実行できないままに、オラの薄い脳みその記憶から消えてしまい
ドツボにはまって泣いて暮らした一年でした。

1999年春に、今までにない明確なコンセプトをもとに開発を進め
ようやくボディーデザインなどが固まり、あとは実戦で煮詰めて
いくだけとなった対桜鱒、最終型ミノーがあります。
記念すべき2000年の春、最初の釣行は最終モデル
(コードネーム、Rシカー)のテストスイミングを兼ねて
あらゆる流れの中でのテストを繰り返しました。

ボディーを削り出す段階で、このスタイルからは想像してもいなかった飛距離が出て
こりゃモウケモンとしか言えないほどで、作った自分がビックリこきました。
この日のテストでは、流れの中での安定性と強烈なアクションは
計算どうりの出来で、思わず「コレは行ける!」と、今までの対桜鱒ミノーに
ないモノを確信し、明日からは自信を持って桜鱒との勝負ができると
内心ニヤリとしたオラでした。

明くる次の日は、勝手知ったるマイポイント、徹底的にタタキまくり
先ほどのその参桜鱒はおカタイのがお好きで書いた
パターンメソッドでついにメデタク、ファーストゲットとなりました。



釣り上げた桜鱒の血抜きをしているとき、フトこの記念すべき2000年の最初一発目
しかもニューモデルのデビュー戦を飾ったこの一匹。
このミノーにどうにかして飾り付けてメモリアル出来ないかと考えました。
そのときフト浮かんだのが、あの血に塗られた上田先生の言葉でした。
でもナ、桜鱒の血をミノーのボディーの中に埋め込むってのは、ちょっと
スプラッター、ホラーもんでヤダヨナ、とも思いました。

「そうだ、この桜鱒のウロコを一枚、縁起かつぎに張り付けるってのが
良いな」と思いました。(縄文人とかアイヌのカムイ感覚ではあるな。)
というわけで、大漁祈願のおまじないとしてボディーの点々に一枚張り付ける事にしました。

そしてこのミノーの名前が決まりました。
開発コードネーム、R・シカー2000そのままです。
で、テンションが上がったオラはとても気分が良くなり
お調子に乗りやすいオラは又、つぎの日も出かけることにしました。 



この日は朝一番から確かな桜鱒のコンタクトがあり、ますますもって
お調子づいたオラは桜鱒のポイントを求めて、川原を縦横無尽に精力的に歩き回るのであった。
そしてファーストコンタクトからすぐに、桜鱒独特の大きな押さえ込まれる
ような当りがあり、桜鱒お得意のヘッドシェイクが始まったかと思ったら
すぐさま激流の流心に乗られ、spirexのドラグが鳴り続けるのであった。
桜鱒の頭をこちらに向けさせれないまま走られまくりました。
コレじゃいかんとメインドラグを締めたとたん身切れのフックオフ。
予想していた事だがなんだか割り切れない気持ちの一戦だった。

腹も減ってきた事だし、気もそぞろに小昼をとる事にした。
腹が落ち着いたところで、再度朝一番で当たりの有ったポイントを
くまなくジュウタン爆撃開始。
このエリア一番の適水勢と食い波のダブルストライクピンポイントで
R・シカー2000の特性を充分に生かした(その参 桜鱒は気持ち良いのが
お好き。参照 )止め泳がせ釣り(ナンカ鮎釣りのようだナ。)の術。
するとやる気のないような弱々しい、ティシュペーパーでもフックに引掛かったようなアタリ。
こりゃまずいとオラは直感。(桜鱒は飲み屋のオネ〜ちゃんだ。を参照)
spirexのファイティンドラグ(こりゃ便利だね)を緩めすぐさま対処。
鮎釣りに例えると、掛かり鮎が水中糸にからまりダンゴ状態に
なってしまい、ノーテンションで金魚すくいの術で対処している感じかな。
(マスマスワカンネ〜ナこりゃ。)
そしてオソルオソルの慎重なやり取りの末無事ネットイン。 
R・シカー2000の設計コンセプトが生かした攻め方が出来た一戦であった。




そしてすっかりとお調子づいたおラは、またまた桜鱒のコンタクトを求めて
3日連荘で川原に立っているのであった

この日は、例のその参桜鱒はおカタイのがお好き パターンポイントで
R・シカー2000の逆引きメソッドで、してやったりのフックオン。
ここのエリアは足場が悪いので、桜鱒について下らずその場でやり取りを強いられた。
ロッドの操作位置が自由に取れず、無理に勝負に出たとこでフックオフ!グヤジイ〜
気を取り直し、下流の瀬に移ったところで、魅惑の食い波を発見。
R・シカー2000得意の止め泳がせの術。
「ほーらね、やっぱり来たヨの桜鱒」ってか。



その瞬間、水の飛沫が派手に上がり桜鱒の水中花火の始まり。
でも喜んでばかりはいられないのであった。
それはR・シカーが口の外側に掛かっているスレなのであるからだ。
すぐさまボディーローリングが始まり、それをいなしていると
口の外に掛かっていたはずのR・シカーが、なんとエラの後方に移動しているのではないか。
思わず「ギョエ」と唸ったオラであったが、ここで焦ってもしょうがないので
慎重にそしてテンションをかけずに引き寄せ、無事にネットインと言いたい所であったが
何を血迷ったか頭のほうからネットに入れようとしたオラでありました。
これはトリプルフックを使った釣りでは決してやってはいけないことで
コレで幾多のルアーマンが足元で泣いたことか。
オラはちゃーんと知っているぞM君。
フライフィシングの癖が、こうして大事な時に出てくるオールドなオラであった。

この時フト浮かんだのが、カミさんの叔父さんから聞いた話でした。
この叔父さんは、「尻別川に、この人有り」と謳われた
全道に鳴り響いたイトウ釣りの名人です。
その叔父さんに、イトウ釣りのお話を聞きに行った時一つの疑問があったので聞きました
「メーターオーバーのそれも20kgもあろうかというイトウをどうやってキャッチするですか?」
とオラはイトウ釣りの名人に質問しました。
そうしたら、その叔父さんは平然とオラに答えました。
「まず自分が川の中に入り、大物の場合は胸まで川に浸かり
胴つき長靴を履いた体を川の水温と同じにし、(ここで体温を
下げないままに抱くと大暴れし逃げてしまうそうだ)引き寄せた
イトウをやさしく女の子を抱くようにしてゆっくりと陸まで揚げるのだ。」と言いました。
オラはその話をしっかりと心の奥に仕舞いこみました。

そして、当然のごとく桜鱒のえらの後方に掛かったR・シカー2000
ベリーフックがネットの縁に掛かり、どうしようもなくなり
ニッチモサッチモ行かなくなりました。
そして当たり前のように、リアフックは外れました。
その瞬間、心の奥に仕舞いこんだあの話を思い出しました

そこでオラは慌てることなく、やさしく桜鱒のはらを包み込むようにして抱き上げました。
(昨夜の八ちゃんの桜鱒話も大変役に立ちました。)
無事陸に上げてホッと一息ついて顔を上げると、そこにはサンダル履きのアンちゃんが立っていて
笑いながら「醜態見たり」と、オラに視線を送って来たのであった。
〔オー、恥ずかしい所を見られチャッタカ〕



とうことで、ここではR・シカー2000に搭載したWスプリットリング効果と
カツアゲフックの威力が試された一戦でした。
コレに満足して休むことなく、今しがた桜鱒を掛けたポイントを
ふたたびR・シカー2000を止め泳がせしたところ、鋭い当たりが来ました。
掛かった瞬間、流れに乗って瞬く間にはるか下流に行ったきりになりました。
ラインのテンションをとってフリー状態にしたら、今度は上流に思いっきり走ったのだ。
そのときのラインの状態は、下の流れに突き刺ささったまま硬直しているかのようでした。
そうなんです、桜鱒ちゃんは反転しはるか上流に行ってしまってるスピードファイター型でした。
(こんな、とてつもなく走り回るヤツは、間違い無くタマッテイル雄だ。)

それを二回ほど繰り替えしたところで
今度はアシの根っこをこするように右岸ギリギリを遁走し始めました。
岸際に生えているアシの根っこにギシギシと擦られたら直線強度の高い
PEラインといえども、たまったもんじゃございません。
ムシムシという嫌な音と共にあえなくラインブレイクでゲームセット。
しかしオラ的には納得できる戦いだったので、悔しさは残りませんでした。
なぜなら、今しがた釣り荒れたポイントから、再度桜鱒を
引きずり出したR・シカー2000の誘いの威力に満足したからです。
そして私の2000年桜鱒釣行4日間の第一章は終わり
今までにない確かな感触のミノーっていうかプラグと言った方が
しっくりと来るモノに仕上がり満足しました。(自慢してる、ユルシテ)

そして第2ラウンドは、6月からの日本海産の桜鱒にターゲットが移ります。

P、S 今年の結果は二本追加して計五本となりました。
それにまつわるオモロイ話があるのですが、ソレは釣りの
シーズンが終わってからのお楽しみ話という事で「そんじゃ釣りいってきま〜す」



マグロ女はサイテー。

桜鱒釣りに熱心なネットサファー系フィッシャーマン及びムリクリ「おらのホームページを読め」って
勧めた方々からヨク言われている事があったので、継ぎ足しのオマケを公開します。
それは「止め泳がせってドーユーフーにするの?」っていうやつです。

本来この言葉はアユ釣り用語なのであります。
そんな鮎釣りの世界では、誰でも彼でもよく言われている事なんです。
でも本当に、これを駆使している釣り人は、オラの見てきた限りではホンの少ししかいません。

イマドキの鮎は天然鮎自体が少なく(お隣の秋田県は別)琵琶湖産といえども
ほとんどブロイラー的畜養アユが大半です。
ヒドイのになると十数年同じ升の中だけで蓄養し世代交代して来たカタワの鮎です。
よって小さい升に何百何千匹と詰め込まれ、合成飼料で育てられた鮎は
太古の昔から連綿と受け継がれてきた、やくざの血というDNAが衰退し
本来持っている「戦う」っていう本能に欠けておるのであります。
それにもまして、集団生活に慣れきった鮎は餌場を独占するって事も
どっかに消えてしまい、やる気の無いダレタ仲良し鮎ばかりです。

オラが鮎釣りを始めた頃は一人一瀬っていう不文律が有った。
その当時はとても少ない鮎釣り人口だったので、鮎を釣り上げても
次の鮎が縄張りをもつ時間がたっぷりとありました。
しかし今の時代、一瀬に一人なんて悠長なことは言ってはおられません。
竿一本分開ければどこにでも構わずズケズケと割り込んでくるのが当たり前の鮎釣りではあります。
だから2番鮎3番鮎が餌場の地合いを作れないままに、次から次へと攻められて
野鮎は居るのだけれども、どーも掛かりが悪いなーという事になります。
しかし北海道だけは鮎釣り人口がとても少なく、まだ昔の習慣が残っております。
そんな事をすっかりと忘れてしまっていたオラは
ジモティーのおじさんに「ハインナ!」と怒られてしまいます。
そんな時は「内地から北海道に鮎釣りに来たんで勘弁してください」って
イタチの最後っ屁の様な逃げ口上を垂れ流し、とっととこの場から逃げます。

そんな鮎釣り人増加の原因の一つに「鮎釣り大会」ってのがあって
猫も杓子も「目指せトーナメンター」が合言葉で、100人から250人位いの大会出場者が
「ヨーイドン」で一斉に目ぼしいポイントに走るのでございます。
そうなると良いポイントは渋谷のセンター街並みの混雑具合で、そのヒトゴミに驚き
慌てふためいた鮎は縄張りを捨てていまって
鮎仲間ミンナ仲良し状態で川の真ん中でコワイネコワイネとばかりにスクーリングしてしまい
追いかけっこはしなくなります。
そんな鮎をドーニカして釣り上げなくちゃ決勝戦に勝ち残る事が出来ません。
だから、なるベく「良いなー」と思われる川の中の黒石が鮎に磨かれてピカピカのヨダレポイントでは
釣り師が操る友鮎さんには長い時間そこに止まっていてもらわなくちゃなりません。
しかもこの時、友鮎さんには尾っぽを振ってもらって「オニ−さんコッチヨ」って
誘惑ダンスをして貰わなくちゃなりません、コレが止め泳がせ釣り。
だが、ここで殆んどの釣り人は、この美味しいポイントなのに、糸の先に付けた友鮎さんに
石裏でサボられグースカと寝られてしまっているワケです。
これを勘違いしてフツーのヒトは「止め泳がせ」と称します。
もちろん、鮎は掛かりません。

鮎の友釣りって、あくまでも泳がせ釣りが基本のつり方です。
ミリ単位の糸の張りを計算し、糸にグラム単位のテンションを
掛け続けなくちゃ、ここぞというポイントで止め泳がせ続けられないのです。
そーする事によって友鮎を追っ払う気がサラサラない野鮎さんでもイライラして
「コリャーッ」と言いながら友鮎に突っかかってきて見事に針掛かりって事になるか
はたまた「一緒に遊びましょ」って言い寄ってきた助平なナンパな野鮎が
セクハラした瞬間に引っ掛かってしまうと言う算段であります。
つまり、やる気の無い野鮎をムリクリ針掛りさせるためには、自分が操っている友鮎は
冷凍マグロ状態にしていては駄目よって事です。
いつの時でもお尻を振り振り稼いでもらわなくちゃなんねの〜だね。

さて本題の桜鱒釣りの「止め泳がせ」てのは、ズバリ本命ポイントで
ミノーをあっという間に通過させるのじゃなく、長い時間いかにミノーを
このポイントで泳がせ続けるかって事です。
「だから、どーやるのとかって聞いてんじゃねーか」ですよね。
ズバリ!あそこで桜鱒が泳いでいるっていうポイントまでは、ミノーにアクションを掛けてはいけません。
そのポイントまで、ただ流し込むようにするだけです。
なんでかって?離れたところで定位している桜鱒ちゃんが遠くで泳いでいるミノーを見つけ
イイモノ見っけ!とばかりにポイントを離れ、あんまり良くない体勢でミノーをくわえられると困るからです。
なでかって?そんな不安定な状態でミノーを咥えられると、浅掛かりや口の外回りに掛かったりして
当たりだけ来たとか、とっても悔しい浅掛かりの底バレが多発するからです。
だからその時が来るまでミノーさんには川のごみ状態になってもらって流し込みます。
で、そのポイントに来た瞬間に、竿先からミノーまでの糸のフケを完璧に取ります。
この時にはまだミノーはアクションしてませんっていうかアクションさせるような
イトフケの取り方だと失敗です。
それだとミノーは流れに乗ってしまい一瞬して本命ポイントを横切ってしまいます。
だから釣れません。
ソーいった時は残念ながら、ここは男らしくあきらめて下さい。
だからオラ的には余計なアソビが無いPEラインを使い続けているのだな〜、ワカッタぁ。

ここで完璧にイトフケを取ったならば、竿の先だけだけでミノーにアクションを掛けます。
その泳がせているテンションを手に感じたまま竿先を少し送り込みます。
そして竿先を戻し、これを連続してミシンというか、千釣りのように穂先をシェイクさせて
ミノーにヒラを撃ち続けさせます。
すると追い気の無い桜鱒もたまらずガッツンとアタックしてくるという訳です。
その為にも毎日3回朝昼晩、右手で千釣りをこきましょう。
でも「オラはそんな年じゃねーシ、千釣り同好会会員じゃね〜よ」という、衰えた方ないしは
不自由しない方の為に開発したのがR・シカーなのであります。
つまりピンポイントでR・シカーを留めておくだけで勝手に激しいアクションをしてくれるっていうワケです。
そのアクションは、水中で泳いでいるR・シカーを見た10人中10人が
「すっげぇ」と驚きの声をあげてくれるるくらい激しいアクションではあります。
川の流れに負けないスイミングと強烈なアクションを共有するタイトループな仕上がり具合であります。

と言うぅ事でR・シカーを生かすも殺すも、キモは桜鱒が定住している「波の目」を喝破する
川読みの術が要るということがいえるんだな〜。
桜鱒オフシーズンにはヤマメのエサ釣りをマスターし
喰い波と川漁師に言われている川の波の目を見破る目を養いましょう。
絶対にイワナ釣りはいけません。
ポイントが違います。

それと、これの釣り方の良い点は、自信を持って「見切り」の付け方が出来るようになり
次から次へとポイント攻めれるGUNandRANが出来るっていう訳で、、それによって桜鱒に出会う確立も
ドーンとアップするというジャイアントグリコのようなオマケまで付いてきます。
し、なんといっても特筆できることは、今までの桜鱒専用ミノーにはマッタク無いアクションなので
先行者が居ようが居まいがマッタク問題にしないで釣りに没頭できるって事です。
そういう今年もサンザンパラ他の釣り人がやったであろうっていうか
その釣り人が2人居る15メートルくらい上流に忍者のように入り込んで
そんでもって、桜鱒特有のゴルンという当たりが2発来て、見事一本サクッと獲りました。
じゃなくチョットてこずってしまい、下流すぐに居た釣り人に桜鱒をすくってもらいましたとさ
情けない一幕であったなあ、ポリポリ。
という事で、釣れ釣れエリアに先行者が居て、美味しいポイントを散々叩かれた後でも
オラが入れるスペースがあれば「こりゃ一発カマスか」なんて感じでキャストをかまし
アワヨクバ桜鱒をゲットてな感じで、いやみな快感を求めている今日この頃であります。
だからオラ的に桜鱒釣りのベスト時間帯は、皆さんが言うところの朝一番じゃなくても
散々叩かれたお昼の時間でも別にヨイなと結論付けておりますです。

あっそうそう、この時の肝はサイドから45度くらい下流へのサイドダウンスキャスト&ストロークです。
と、言ってもこのRシカー2000の最大のスタイルフォームを生かしたキャストも考えに入れなければなりません。
ホラ例の奴、ベリーサイドデルタカットの事ですよ。
ミノーにおける最大限の反射を考えたボディーカットを考えたキャストアンドレトリバーですよ。
太陽の入射角度を考えたミノーの向き方でありまする。
つまり太陽の光をミノーの横っ腹に受けるように、いつの時でも、太陽を意識して
その光に直角なるような姿勢でレトリバーするって事です。

最後にとっておきな釣れるポイントの喝破術をば伝授いたそうかな。
オラのナリワイはオールパーパス食ったり飲んだり店つな、食堂みたいなもんをやってるのは
皆さん周知の事実ですよね。(知らない人は知らないってか)
その営業の中で一本だけ観葉植物モドキのホラ例のポリエチレンとかプラスティックで出来ている
なんちゃって椰子の木みたいな奴、あれをテーブルとテーブルの間に置いてみて
どこに一番お客さんが座るかコンラートローレンッツばりの動物行動学実験をして見たのであ〜る。
そーしたら、出口に向かって、このなんちゃって椰子の木の後ろ側のテーブルに座る
確率が一番高かったのである。
試しに一箇所だけじゃなく、あらゆる場所へ置いてみた結果
やっぱりとゆーか結果、木の後ろ側になるところが一番人気のテーブルになったのである。
ちなみに、四方に何にも無い明けた所にあるテーブルは一番人気が無いのであった。
これを桜鱒釣りに応用するのである。
前文に書いた「テトラポットは桜鱒のマンションだよ」ってのと同じ考えでいくと
川岸から張り出している柳の木や、立ち枯れたアシやヨシの一本二本も
どんなに小さくても馬鹿にしちゃいけないよ。
こないだまで泳いでいた海に比べたら、浅くて見通しの効きすぎる川の中では
どんなに小さくても一応、隠れた気がするストラクチャーって言えるんじゃないかな〜。
ってゆ〜か、実際そーゆうポイントは釣れる確率が高い。
その張り出した木が川面に突っ込んでいて波の目なんか出来てた日にゃヨダレもんでありまする。
だ〜から、どうしても一本という日はそんなポイントばかり攻めて行くのもひとつの手ではあるなぁ。
これなら一目瞭然誰でも分かる「こーすれば釣れるポイントの見つけ方」の一つではあります。

あとはネバリとシツコさとマメにというか、暇さえあれば(無くても)川に通うことです。
そのうち釣れる筈です。
その釣れた一本が呼び水となって、それからは爆釣間違いなしです。
そーなったら、そのリズムを崩さないようにするだけです。
すると川の波とお話できるようになり桜鱒の気配が感じ取れます。
ツート川中の桜鱒はこっちのもんです。

トドノツマリ、桜鱒釣り名人と呼ばれている方たちは、こういうマメさで川に通い
桜鱒の定位するピンポイントをイッパイ持っている人の事を言うのでのであります。

そーゆー名人達は口々に言います。
早い時期に一本釣り上げれば、このシーズンはニコニコでありまする。と
逆に反対の時はあせるけどね。っと。
















       

いくらかの在庫がありますので、ご希望の方に 3機種とも
5800円でお分けします。
お問い合わせはこちらのメールに 
※4月〜6月は桜鱒釣り、山菜採り 7月〜8月は鮎釣りに 9月〜10月の期間はキノコ採りに忙しく
11月から2月の間はハンティングにハマリ、3月は渓流解禁、へら釣りで忙しく
メールを開く機会が少ないので返信が遅れると思います。
ごめんなさい。 



 

全長19cm  全重量42g スタンディングタイプフローティング
カラー  ブルー、レッド ミラクルカラー
サーフェスランナー、ハイアピールアクション







全長14cm  全重量17g フローティングタイプ
カラー うぐいミラクルカラー
ノーアピールアクション






(5800円)
こちらまで

全長9cm  全重量16g スローフローティングタイプ
カラー レッド、ブルーミラクルカラー、ミレニアムゴールド
腹返しmaxウォブリングアクション
※ミラクルカラーとは写真では表現できないカラーです。
(おらの撮影が下手なせいもあるが)

  

桜鱒は飲み屋のオネ〜ちゃんだ。の欄で桜鱒のくわえている
Rシカー20002本のカラーはまったく同じなのに
角度により変化して違うカラーのミノーように見える。
例えればですが、殻付きの活けカキの腹の表面にある
粘膜層の緑色にも近く又、あわび貝の内側にある
緑色に光る部分に近いとも言えます。

角度により変化する色合いがたまりません。

     

KIKIミノーについて少しばかり補足説明しますと
オラはこれで飯を食ってるワケじゃないし,、資本がたんとあるわけじゃない。
プロのビルダー方みたいに、たくさんの数量をまとめて木工屋サンに頼んで作る
打ち抜いた木型からのミノーの張り合わせるのじゃなく
無垢の木から一本一本手で削りだしているんで
ボディーやリップの型や自重さなどは、もれなくバラバラです。

が、スイミングテストは、一本一本オラの納得するまで
徹底的にやりこみます。
時には我を忘れて、そのまま鱒を狙ったりもしますので
少しばかりのカスリ傷は、ご勘弁願います。

なお、右岸からのスイミングテストですので、微妙なスイミングに異常にこだわる
アブノーマルな方のみ左岸側から狙う場合
は微妙なアイ調節を願います。 
オラはノーマルだという方は、左岸だろうが右岸だろうが調整はマッタクいりません。

まれにですが、リップのとれた場合は往復の送料をご負担願えれば
1回目は無料です。
2回目からはプラス500円です。
 
あとボデーの塗り直しは、状態を見てお見積もりしまして
納得していただければ直しに取り掛かりますが
お手元に届くまで日数は、かなり掛かります。
 

KIKI‐MINNOWは、あなたのお手元にある間
オラがボケるか死ぬまで面倒見させていただきます。






R・シカー2000 Chill out mode



型としてはモチロン、R・シカー2000
ハテ、どこが違うのでしょう?
ビミョウ〜



針金とおもりをセットして張り合わせる。
今型は、お問い合わせの多いベイトリールに対応したモデルにもなるようにと
チンタラ創っているのだ。




ヤッパどことなく違うみたい?かな。





15回ほど漬けて乾かしてはサンドペパーで下地をならしていく。




ムムムッ!白いぞ。
デモなんかヘン?
出来上がるまで、3種類の塗料を使い分けて重ねていく。


そろそろ鮎が始まるので、一休みってとこかな。




川の状態が良くないので鮎釣りが面白くない、なもんで色塗りに入った
シカー2000・chill out model ibiza
矢印の所が、お約束の桜鱒の鱗を貼り付けた個所であります。


95mm、22g、スローシンキング 6800円
こちらまで
で、リップとフックをセットして出来上がり。
あれッ意外と簡単じゃんと、お思いの方もいらっしゃるでしょうが
実は簡単です。
慣れたもんです。
なんたって今までにトータルで1500個は作ってますもん。
って、ちゃんと数えたわけじゃないですけどね。
それではとスイミングテストへと本来なら進んでいくんですがね。
今秋からキクチくんも遅ればせながらオフショアーに進出が決定し
その気になったらテストしようかと思っていたんですが
あっという間に冬が来てしまったもんで、来春に持ち越しとなりました。

とゆうわけで、チラホラと桜たよりが聞こえ始めた頃
ホンジャ去年作ったままのibizaのスイミングテストに出かけるかと
ようやく思い立ち、重い腰を上げたのであった。
さっそく川原に立ってキャスト一発。
フック込みで22gの重さはオラのロッドにはチョイと酷かなと思ったが、さすがボロン 平気。
近年ケツアナに有りったけの力を込めてロッドを曲げるようなキャストはしてないので
ルアーの自重だけで、これまた良い具合にロッドのベンディングカーブが出来あがり
少ない力でミノーをキャストできたので、コリャマタ結構良いもんだと一人ホクソエンダ。
それと重い分、飛距離も若干伸びたようだ。

ibizaが着水してリールのハンドルをクイッと回し始めた時の抵抗感が
ちょうど室温に置いたバターにナイフを入れるが如く、流心の重い流れを
噛むようにスルスルと動き始めた感覚が心地良くて
すぐにオラの中でリールのハンドル三回転でOKが出てしまった。
当たり前と言えば当たり前なんだが、元はシカー2000だもんな悪いはずが無い。
が、シカー2000とは一味違うモノに出来上がり、一人ニンマリとした。
と言うわけで、発売開始にようやく漕ぎ付けたわけだが
マル一年掛かってしまったのである。
その言い訳は下の文に続くでス。





とりあえずプロトモデル、14cm63g

究極のミノーイング、マグロに照準を合わせろ。
がコンセプト。
今までのミノー作りの概念から、エラクかけ離れてしまう
11センチで50グラムの自重。
スローなパラレルフォールを徹底追求。
クイックなトゥイッチバランス。
もちろんロングキャスト。
そして50kgオーバーのマグロを捕る強度。
ん〜どれを取っても、むずかしいにゃ〜。
只今、肝心要のパウダー探しに奔走中!

それにしても、トータルバランスを出すまでがエラク面倒くさい。
何本没になった事か。
ナニをオラをそこまで駆り立てるのか、、、。
それは
死ぬまでに自分の作ったミノーで
魚界のピラミッドの頂点に立つまぐろを釣りたい。
だからである。





米代川とか九頭竜川とか大河川がにぎわっている中
意外と中小河川が、見過ごされ案外簡単に釣れたりする。
そんな所へ「桜鱒釣りをしてみたい」というお客さんを連れて
三陸海岸に流れ込む川に行く事になった。
そこはフルキャストすれば、簡単に対岸に届くくらいの川幅の中規模河川だ。
普段はヤマメのエサ釣りをしているお客さんだが
その方にも桜鱒の食い波が分かリ易いエリアを選んだ。
その中でも桜鱒が居付く確率の高いポイントをチョイスして助手席で案内した。
そのお客さんの話によると、米代川の桜鱒釣りにはヨク行っているようだし
能代のスズキ釣りにも行ってると言っていたので
ルアーの初心者ではないなと思った。

車が着いたポイントは、対岸に沿って流芯が流れており
キャストするこちら側から緩やかに沖に向かって傾斜が付いている。
対岸からは川に向かって急なカケアガリが続き
柳の木やらが良い具合に川にかぶさってポイントを形成したり
大きな岩がその急なカケアガリに載かってあったりするヨダレもんの所だ。
だから俺が説明するまでもないと思い、お客さんをそのポイントにおいて
俺は上流のポイントを目指して釣り上がっていった。
アタリが無いままに二つ目のカーブを過ぎた所で崖とブッシュ阻まれ
これ以上川通しが無理なのでUターンすることにした。

はるか下流に見えるお客さんは、対岸にルアーを引っ掛けているらしく
竿を一生懸命あおっているのが見えた。
そんなお客さんの所へ着いたら、バツ悪そうにルアーラインを引っ張って
ラインを切り、照れ笑いをしながら「シュガーミノーを2個引っ掛けちゃった」と
向こう岸を指差しながら言った。
その指差す方の岸から張り出した柳の木を見ると、青いシュガーミノーと
赤いシュガーミノーが仲良くラインを長く流しながらブランブランと引っ掛かっていた。
俺は「この場所を移動する時に、向こう岸に回ってシュガーミノーをを回収しよう」と
慰めるように言った。

多分この調子じゃ、お客さんはポイント攻め切れてはいないだろうナと思い
ibizaを流しながら、このエリアを下ってから対岸へと行く事にした。
その途中、川岸の柳の木が流芯に張り出しウマイ具合にシェードポイントになっている
このエリア一番の美味しそうなポイント煮勝負を掛けて慎重に叩く事にした。
俺はそのポイントの上流1.5メートル向こう岸ギリギリにキャストし
その柳の木の下に滑り込むようにラインを張らず緩めずで送り込んだ。
ibizaは軽くテンションを掛けただけで激しくウォブリングするので
こういうポイントはお得意いなのだ。
ibizaが覆い被さった柳の木から出てくる間際
銀白色の太い胴体が水面下でモンドリ打ちibizaをくわえ込んだ。
そしてゴンゴンという、にぶく重い当たりが手に伝わってきた。
ほうらねヤッパリねと天狗になった途端、フッと手応えが無くなりフックオフ。
ヨレヨレと泳ぎながらibizaが手元に戻って来た。

その一部始終を見ていたお客さんは、「すんげぇ〜」と大きな声をあげて
今までのやる気の無い死んだ目からギラギラとした目付きに打って変わった。
俺の後ろの方で、お客さんはバタバタと川原で忙しくなりはじめ
狂ったように力まかせに竿を曲げキャストを始めた。
そんなお客さんのキャストを見ながら、ふと思う所があった。
それは、どうにもこうにもキャストのアキュラシーの精度が悪すぎるのだ。
だから俺の思うコースをうまく流し切れてはいないのだった。
挙句の果てには、向こう岸の柳の木に、またしてもルアーを引っ掛けるありさまだ。

そのエリアを流し終わり、対岸へと車を回し川岸のブッシュをかき分け
柳の枝に引っ掛かってぶら下がっているシュガーミノーを探した。
対岸から見る地形とこちら側から見る地形はまったく異質で探すのに苦労した。
やっと見つけたシュガーミノー2個をとるために、枯れ枝を探した。
その枯れ枝を握った手を伸ばし、ようやっとの思いで1個は回収した。
もう一つは外した瞬間に柳の枝の反動でポロンと川面に落ちて流れていった。


日を置かないで、お客さんは俺の店に来て
「キャストの練習をしたので、また一緒に行きましょう」と誘ってきた。
モチロン俺は二つ返事でOK。
先日攻めたあのポイントに、お客さんのたっての希望で又出掛けたのだった。
そんなお客さんのキャストと言えば、キャスト距離はフライにならなくなった分
幾分距離は伸びてはいたが精度は、お世辞にも上手になったとは言えないキャストだった。
どこでキャスト練習したの?と聞いたら案の定、北上川との返事。
それじゃロングキャストだけの練習しかならないなと思った。

そこで先日のキャストで「ふと思う事があった」というのを実践してもらうために
シュガーミノーからibizaに付け替えてもらいキャストしてもらった。
最初はその重さからか、戸惑いのキャストで手前でポッチャン
大きなフライでボッチャンと、手元がおぼつかなかったが
「ルアーの重さを手の平に感じながら、どちらかというと遠心力でゆっくりと
投げるようにキャストしてごらん」とアドバイスしてみた。

それからは見る見るうちに、うまく行くようになってきて
向こう岸すれすれにもキャストできるようになって来た。
今まで使っていたシュガーミノーの場合、ロッドに対してのミノーの重さ負荷が
足りない分、腕力任せのフルスピードキャストになってしまっていた。
だからロッドのリリースポイントが正確に把握できないままにキャストするものだから
上手くリリースポイントを捉えた時は伸びるが、そうでない時はクルクル回って失速してしまっていた。
言ってみれば「行ってこい」だけのバイバイキャストになってしまっていた。

ibizaのように95mmしかないのに22gもあると、ルアーをキャストするための
ロッドの曲げる力は腕力に頼らずに、その自重だけで充分にロッドのタメが作れるのだ。
だから腕力まかせキャストの場合は一瞬しかないロッドのマキシムパワーリリースポイントも
この自重のあるibizaを使うことによって
ゆっくりとした分かり易いリリースポイントのタイミングを取れるのだ。
それとフルパワーでキャストしない分、ルアーの飛行速度も緩くなり
余裕を持って、サミングの掛けるタイミングも計れる。
モチロン自重がある分、飛距離も当然の如く伸びるし。
なによりも、初速を押さえられるので、プロペラのようにクルクルとルアーが回転しないのがイイ。
すっかりとibizaに慣れてきたお客さんは、正確なキャストを繰り返す事ができるようになったし
サミングも上手く使えるようになってきた。
後は桜鱒がポイントにいるかいないかだけの問題だなと思った。

と言うわけで、オラは長年親しんできたルアーだから
全然気にもせずにキャストをして来たわけだが
他人のルアーキャストを改めて見ると、その欠点とかが
明確に見えてきて、改めて勉強になるなと思った。



押入れの中の宝物


ボイス ヤマメカラー 12g・9cm・ジグミノー ito_model

ito craft代表 伊藤秀輝氏ペインティングによるコラボレーションモデル。
そのマウント技術は、日本でも1,2を争うハイレベルな事は衆目の一致である。
彼は油絵でも、久しく待望されていた人物であったそうだ。

盛岡の草分け的ミノーであるKIKI-MINNOWと群を抜いた彩色のマウント技術で名を馳せていた
ito‐craftのコラボレーションを考えて1999年、盛岡市にある「ビーバー釣具店」の
マーチャンダイザー藤村氏プロデュースにより、実現した夢のミノーだったはずだが
諸般の事情により、その販売数は20本足らずで終わったのが
プレミアムカラーKIKI-MINNOW ボイス with ito-craftである。


伊藤秀輝氏が1998年に描いたボイス頭部のカッティング図
これが蝦夷へと続くスタート地点でもあったのかもしれない。

一般的なサクラマスミノーは横の動きで喰わせるアクションだが
KIKI-MINNOWボイスは、深場の淵狙いのミノーで
いったんそこまで沈めてから一気に巻いてくると
あたかも、小魚が逃げ惑うアクションを起こしながら水面へと逃げ惑う
縦の動きで、サクラマスに口を使わせるアクションだ。
特に早春の淵に居るサクラマスには効果絶大である。

という訳で残念ながら、これについては在庫がございません、にゃにゃぷす。

2000.2.23




つづく