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- 心身調整法総論
- 心身調整法が他の身体調整技術や各種心理療法等と明確に異なる点は、改善技法として、ある一分野だけを特出して活用するのではなく、人間を心身統一体と捉え総合的にアプローチしている点です。整体やカイロを代表とする身体調整技術では身体調整をメインとしているため食事や意識等については考慮されていない場合が多く、また心理療法においては逆に意識・心のみにスポットを当て身体状況はないがしろにされがちです。
- 「身体」と「心」や「身体状況」と「栄養摂取状態」等は互いに密接に関与しあうものであり、分離分断して考えることは問題の本質的な解決には繋がりません。それどころかかえって問題を複雑化し改善を困難にしている節さえあります。心身調整法はこれらの病態改善に関する根本的問題点に疑問を投げかけ、新たな視点から改善を図る技法です。
- また心身調整法のもう一つの特徴として、対症療法と根本療法を併用して行っている点があります。対症療法とは痛みや苦痛そのものを和らげようとする方法で、根本療法とは痛みや苦痛をその根源から改善しようとする方法です。様々な技法や流派が疾患の根源を骨盤変異や仙骨のズレ、頚椎一番の異常、場合によっては霊的なもの等に見出そうとしていますが、私たちはすべて疾患の根源は意識の状態にあると考えています。意識の状態が変容することで疾患は必要性を失い自然と消えてなくなります。根本療法ではこの意識へのアプローチを行っていきますが、しかし意識を変容するといっても、時には時間がかかる場合もあり、また患者さんが不信感を抱いたり、変容するだけの自己努力をしてくれなかったりする場合があります。
そこで私たちは対症療法を活用しています。対症療法は問題の根本的な解決にはなりませんが、患者さんの切実な痛みや苦痛を改善することはでき、また即効性もあります。ですから対症療法と根本療法を併用することで即時に痛みや苦痛を取り除き、また再発等がないように根本的に改善していくことが心身調整法の大きな目的の一つです。
- 心身調整法の定義
- 心身調整法とは、身体の積極的な誘導操作により血液循環の活性化、筋肉系統の弛緩をもたらせ、姿勢の矯正、調整をとおして心身の不適応の改善回復をもたらす手技療法である。
基本的な考えは身心一如「しんじんいちにょ」という東洋医学の人間観による現実的な身体状況の改善にある。 心身を分離して人間を考えるのではなく心身の一体という観点より心身の不適応をとらえ、バランスを整えることにより、正すというアプローチ技法である。
- 従来の心身の不適応へのアプローチは医師、看護師、理学療法士等による直接的なアプローチとカウンセリング、心理療法といった言葉による間接的なアプローチがあるが、実際は心身の分離観による役割の分担にすぎず、現場における身体症状を呈する児童生徒についてはなすすべがなかったのが現状である。
- 心身調整法の基本的な形態は明治時代まで癒しの民間技法として定着していた武道整体・中国整体であり、不適応に有効な手技を教育現場等で安全で、誰もが習うことにより改善結果が得られ、かつまた施行しやすい技法として創始した。
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