場面緘黙関連団体連合会アンケート 

A 場面緘黙の当事者、家族、支援者のアンケートにみられる要望事項

場面緘黙関連団体連合会 アンケート調査班

 場面緘黙がある人の生活上の困難についての170名におよぶアンケートの結果から特に多かった記述をまとめます。

 場面緘黙関連団体連合会は、令和38月からSNSにて「『どのような状況で困っているか』 『どのように困っているか』について教えてください。(自由記述)」という調査(詳しくは、下記B)を行いました。上記の問いに対する170件の回答を整理しました。この種の調査としては多くの回答が得られたものです。なお、要望書では、本アンケートに加え、当事者の声を幅広く収集して要望をまとめました。

1.発達障害者支援法に残すこと

 周囲(学校の先生、同級生、職場の同僚)に理解されない、病院や学校で適切な支援を受けられない、就労場面での困難があるといった声があがっている。発達に大きな影響を与える障害であり、成人になっても症状や後遺症を残す障害である。発達障害者の支援は、全ての発達障害者が社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないことを旨としている。場面緘黙のある人は、周囲に障害特性を理解されないため、社会参加の機会が確保されないことや、地域社会において他の人々と共生することを妨げられる場合がある。そのため、発達障害者支援法の対象として現行の通り、継続的な支援を要望する。 

2.現状で以下のような困難があるので、理解促進と制度改善をして欲しい。支援法の対象と言っても、現状で通じないので、理解促進と支援法の運用を改善して欲しい。

 場面緘黙を知らない人が多いことや、理解がない方がまだまだ存在している。また、保護者の甘やかしが原因で喋らないなどと誤解が伝えられ、保護者自身も精神的に追い込まれている場合もある。現在、厚生労働省の提供している情報サイトには各種発達障害や精神疾患に関する情報が記載されているが、不安障害に場面緘黙についての情報はない。そのため、発達障害者支援法の対象から外れる場合は、場面緘黙の理解促進と現状の制度の見直しを要望する。

厚生労働省 こころの病気を知る        https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/index.html

厚生労働省 e-ヘルスネット  https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart

発達障害ナビポータル                      https://hattatsu.go.jp/

3.本人支援だけでなく、家族支援や教員研修なども充実させて欲しい。

 医療に繋がっても、「できることはありません」と言われて困った、精神科に行っても、場面緘黙の診断がつかない、「本人が意思表示できないと治療できない」と言われるなどと、家族が追い込まれる現状がある。また、「話せない」のではなく、「話さない」と思われている、認知度が低く、単に「大人しい人」と誤解されている、問題視されず、放置されてしまう、本人の意思の問題、努力で解決する問題としてみなされているなどと学校の教員の理解不足もみられる。そのため、家族支援の充実や、教員研修で場面緘黙の理解を深める機会を設けることを要望する。                                                                  (以上)
注) Aの文書を要望書と共に提出した。


B アンケートの実際

【アンケート】場面緘黙のある人が抱える困難や要望について教えてください
***場面緘黙関連団体連合会では、場面緘黙のある人の声を集めています***

 場面緘黙は、適切な対応方法や配慮などについての情報が医療機関や支援機関、学校等にまだ十分に知られていません。このために、本来受けられるべき支援やサービスが受けられなかったり、適切な時期に必要な対応がなされなかったりするケースも少なくありません。
 幼児期・児童期に発症した場面緘黙の症状が、青年期以降になっても改善していないという方もいます。特にこのような青年期以降の当事者については、学齢期以上に得られる支援が不十分であると言われています。
 幼児期から成人期までどの年齢であってもより適切な場面緘黙への対応が得られるようにするには、様々な専門職や関係者に場面緘黙について正しく知ってもらうとともに、関係機関への関連する情報の周知徹底が不可欠です。
 
 このため場面緘黙関連団体連合会では、場面緘黙のある人がよりよい支援やサービスを受けられるようになるために、厚生労働大臣に宛てた「要望書」を作成することにしました。
 要望書では、場面緘黙のある人たちが「どのような状況で困っているか」「どのように困っているか」をしっかり伝えていきたいと考えています。場面緘黙のある人(子どもや、現在は症状が改善している人も含む、以下同じ)や保護者からのメッセージが伝われば、本当に必要な施策や対応へとつながっていくことが期待できます。

 そこで、ご協力いただける方は、以下のようなことについての経験や要望などをお知らせください。

【教えてほしいこと】
・場面緘黙のある人たちが「どのような状況で困っているか」「どのように困っているか」

【書いてほしい内容の例】
・相談できる機関や窓口について困ること
・手帳の取得や年金の受給について困ること
・就職や就労支援、障害者雇用などについて困ること
・医療の受診や診断、治療などについて困ること
・日常生活を送る上で困ること
・場面緘黙についてよく理解されていないことから生じる困ること など

【書き方の例】
「○○の窓口で○○だったので困っている」
「○○についての支援が受けられない」
「○○ができるようにしてほしい」

【回答の対象になる方】
・場面緘黙の症状のある方
・場面緘黙の症状は改善したものの、何らかの生活上の困難などがある方
・家族や、身近に上記に当てはまる方がいる方

【アンケートについて】
・アンケートは匿名で記入していただきます。誰が書いたかは分かりません
・匿名のアンケートですので、書いていただいた内容について個別にお答えしたりお返事をしたりすることはできません
・アンケートは場面緘黙関連団体連合会が実施しています(担当は高木潤野(長野大学社会福祉学部)です)

【書いていただいた内容の取扱いについて】
・厚生労働大臣宛の要望書において紹介させていただくことがあります
・ただし、書いていただいたものが全て紹介されるわけではありません(集まった声の量や内容に応じて取捨選択させていただく可能性があります)
・誤字や表現上の問題(差別的な表現や攻撃的な表現、その他適切でないと判断される表現など)は、内容の趣旨を大幅に変えない範囲で修正させていただくことがあります
・要望書の提出は2021年8月~9月頃を予定しています
・書いていただいた内容がすぐに施策等に反映されるわけではありません
・場面緘黙のより一層の理解啓発を進める目的で、関連する学会での発表(シンポジウムなど)や講演等において、内容の一部を紹介させていただくことがあります


「どのような状況で困っているか」「どのように困っているか」について教えてください。(自由記述)

書いた方のお立場について教えてください。
○当事者(現在も場面緘黙の症状がある方)
○経験者(現在は場面緘黙の症状がない・または少ない方)
○家族や親族
○その他

書いた方の年齢を教えてください。 ※ただし当事者以外の方が書いた場合は、「対象として想定している当事者の方の年齢」をお書きください。
○10代未満 ○10代 ・・・・・・○60代以降

場面緘黙関連団体連合会へのメッセージなどがあったらお書きください。(自由記述)

注)2021年8月から10月の間に174件の回答が寄せられました。上記Aのまとめは170件分のまとめです。多くの方のご協力に感謝申し上げます。

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