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2006年 9月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
         
01
太陽とともに
02
ツーサークル・ローラーとオロイド
03
迷惑メール
04
のどの変調
05
形シューレに参加して
06
科学館
07
女系天皇
08
皆さんのおかげ
09
手づくりおもちゃの科学館の誕生
10
理科離れ
11
9.11同時多発テロ
12
理科教育コーディネーター
13
ヘキサ・スフェリコン
14
味噌汁
15
折り紙
16
囲碁の段級位
17
カックンブレーキ
18
キープレフト
19
鵜飼い
20
あそびをせんとや
21
バブルボトル
22
柿のはずれ年
23
牛乳パック
24
三日坊主
25
ストップウオッチ
26
お尻の拭き方
27
犬猫に習え
28
蜂は刺すか
29
むかご
30
毎日が日曜日
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2006年9月30日(土)
毎日が日曜日

「毎日が日曜日」なんとすばらしい響きだろう。在職中はこれを待ちわびていた。そして、4月から半年間、毎日が日曜日を実感してきた。朝寝坊はし放題、夕食の時間も在職中より2時間は早くなった。しかし、怠惰な日常生活ははたして快適な人生につながっているのであろうか。まず、平凡な一日を振り返ってみよう。

朝寝坊のあと、お茶を飲んで、コーヒーをすすりながらブログ日記を書き込み、サンルームでゆっくりと新聞の端から端までうつらうつらしながら読み終えたら、お昼である。テレビを見ながら昼飯をとり、メールチェックなどして本を読んだり、手づくりおもちゃの科学館の材料選びなどしているうちに夕飯である。

怠惰な生活をしていると、一日が長くて短い。長いというのは実感時間であり、短いというのは後で振り返ってみると、何も残っていない時間であるという意味である。これでは、何のために生きているのかわからない。
人生、なにも残らない時間はできるだけ少なくしよう。

2006年9月29日(金)
むかご

一日中家に閉じこもっていると体によくない。そういう時は散歩に出かける。この季節には、やまのいもの蔓にむかごがついているので、摘んで帰る。むかごは小さなまん丸いやまのいもである。小指の先の大きさから、中には親指大のものもある。昨日は1時間ほどの散歩途中にコップ2杯ほどの収穫があった。

むかごは酒のつまによい。盃に1杯ほどのむかごに醤油をふりかけ、電子レンジに入れるとできあがり。香ばしくておいしい。
10日間ほどは楽しめそうだ。

2006年9月28日(木)
蜂は刺すか

「蜂は刺す」は正しいか。蜂が一匹部屋に入ってきただけできゃあきゃあと大騒ぎする人がなんと多いことか。蜂の方こそ部屋から逃げ出したくてパニック状態になっているのに。人を刺すのは自分が捕らえられたり、危害が及ばされそうになった時だけである。とくに、まるはなばちというおとなしい蜂は、捕まえても暴れまわったりしないので、扱いやすい。

蜂の中でも、くまんばちなど、獰猛で恐ろしい種類のものもある。怒らせると、単騎でもしつこく襲ってくることがある。犬でいえば、ドーベルマンというところか。また、大型の蜂の巣の近くをうろつくのも危険である。しかし、その場合でも、いきなり刺したりすることはなく、威嚇して縄張りから出て行くよう要請するので、すばやく現場を離れることが肝要である。

2006年9月27日(水)
犬猫に習え

昨日のビロウなお話の続き。実は、究極の技があるのだ。トイレットペーパーをまったく使わなくてもよいというものだ。よい師匠は犬や猫である。トイレットペーパーを使っている犬や猫を見たことがない。排便した後でも犬や猫は平気な顔をして畳の上に座り、ベッドにもぐりこんでくる。尻尾でふたをしているからだろうか。尻尾を上げて座ることもある。しかし臭くはない。人間の場合、昔は落とし紙やへらを使っていた。その前はどうか。他国の探検談によると、紙をまったく使用しない人種もあるそうだ。我々でも可能か。

犬や猫が糞をする様子を観察してみよう。まず、用便を邪魔する者がいないのを確かめてから、力を込めて一気に排便する。2度出ししてもよい。一気に排便することによって、残りの便を排出するとともに肛門を閉じてしまうので、お尻のまわりに便は付着しない。もっと詳しく述べると、便の出口を内側にしまいこむ構造になっている。すなわち、トイレットペーパーをまったく必要としないのである。便の硬さには関係しない。
痔を患っていない人はおためしあれ。

2006年9月26日(火)
お尻の拭き方

人々は一度の用でトイレットペパーをどれだけ使うのであろうか。一部の若者の間では、手に幾巻き使うという話も聞いた。しかし、実際に必要なのはミシン線2つ分(4十数センチ)くらいかな。痔オロジーの大家に聞いたところと考え合わせると、だいたい次のようなお尻の拭き方がよさそうである。資源の節約のためにも、ぜひお試しあれ。

全体を2つに折り、端の方を2,3センチ幅くらいさらに2度ほど折り返して厚くする。その厚くなったところをそっとお尻に当てる。決してこすってはならない。こすることによって便がまわりに広がってしまい、拭くべき汚れを広げてしてしまう。そして、それを目で確認して、トイレットペーパーを半回転回して新しい面を出してから、またそっと当てる。これをくり返していくと、だんだんと便の付着量が減っていく。一度で拭ききれないときは、もう一度トイレットペパーを追加すれば十分である。目で確認することは、その日の体調を知る意味でもたいへん重要である。

2006年9月25日(月)
ストップウオッチ

ひょんなことから簡単な実験を行うことになった。ある飛行物体の飛行距離と飛行時間の測定だ。初期条件を設定するのが難しいので、これを右手で行い、左手でストップウオッチを扱うことにした。ストップウオッチは百円均一ショップで買ってきた。いざ実験を始めてみると、あせった。ストップウオッチがうまく作動しないのである。いや、手がうまく動かないのである。年のせいかな。右手の操作に気を取られて、ストップウオッチのボタンを押すのを忘れたり、ボタンを2度押しをしてしまうのだ。

ボタンの2度押しの問題は深刻だ。左手だけで試してみると、たいていの場合、スタートとストップ時に「ピッ」と一度で決まる。ところが、右手の操作に合わせて行うと「ピピッ」と2度押しになってしまうことが多い。2,3回に1度しかうまくいかないときもある。あせると、余計に決まらない。日常の作業では右手と左手は連動しているが、それぞれ別の作業をすることの難しさがわかる。
この原因を考えてみると、我々の世代では、右手と左手を別々に動かして扱う楽器に触れる機会がなかったせいではないかと思う。

2006年9月24日(日)
三日坊主

1週間に1度程度のペースで書けばいいや、という気軽な気持ちで日記を始めた。ところがいざ始めてみると、1日も休まずに見事1カ月を経過した。どこかの誰かが見てくれているのではないかという脅迫観念が日記を続けさせるのかも知れない。三日坊主を脱却したぞ。自信がついてきた。

息子が日記と同時にカウンターもセットしてくれた。カウンターの方は1日に 10 も進まないようだ。
1000 を数えるのはいつの日であろうか。

2006年9月23日(土)
牛乳パック

牛乳パックは丈夫で、形がきまっており、細工するには適当な大きさである。箱の形をそのまま活かしてもよし、展開して使うのもよし。折り目がじゃまになることもある。なによりも、ただなのがよい。牛乳パックと総称しているが、ジュースやコーヒー、酒、調味料などいろいろのものに用いられている。1リットル入りのものが集めやすい。一度、メールにて牛乳パックの収集をお願いしたところ、たくさんの方からご協力を得た。Mさんからは業務用アイスコーヒーが入っている、表が真っ黒で裏が銀色のパックを大量にご寄付いただいた。

さて、大量に集まった牛乳パックの使い道を考える番が来た。当初の目的であった渦輪発生器だけでは到底使いきれない。パックの特徴を活かしたもの、面白いもの、動きのあるものは?手づくりおもちゃの科学館で使えそうなものとしては、トムキューブ、空中キューブ、くねくねドラゴン、空中でパッチン、カライドサイクル、パッチン正四面体、2つのサイコロ、お話し箱、などである。
その他、アイデアをお持ちの方はご連絡ください。

2006年9月22日(金)
柿のはずれ年

我が家の富有柿は昨年 200 個くらい実をつけた。自分のところだけでは食べきれないので、いろいろのところにおすそ分けすることができた。ところが今年は、先日青い実の数を数えたところわずかに数個しか見つからなかった。家族も柿が好きなので期待していたのに。

昨年枝を少し剪定したのが響いたのだろうか。それにしてもこんなに当たりはずれがあるのはなぜだろう。昨年、エネルギーを使い果たしてしまったためなのだろうか。天候、害虫、肥料、剪定などの条件以外にも、柿の内部にある独特のメカニズムが働いているのであろう。柿の産地ではかなりのところまでコントロールされていると思う。
そのうちに調べてみよう。

2006年9月21日(木)
バブルボトル

コカコーラボトラーズからバブルボトルに入った飲料水(ファンタ)が売り出されている。バブルが3つ並んだ、ひょうたん型のペットボトルのことだ。このボトルを用いて面白いパズルができることをパズル愛好家のNさんより教えてもらったので、さっそく手づくりおもちゃの科学館の出し物に加えている。ラベルをはがして中に水を入れ、キャップ1杯分程度の泡を残す。さて、問題。このボトルを横にして泡を真ん中のバブルだけに集めることができますか。答えは少なくとも3通りは存在する。

水を入れたボトルは水晶球を3個並べたようで美しい。虫眼鏡の役目もはたし、新聞の文字も大きく見える。ちなみに、日のあたっているサンルームに出て色のついた紙に太陽の焦点を合わせてやると、すぐに煙が出て黒い穴があいた。
火事の原因になるので、取り扱いは注意を要する。

2006年9月20日(水)
あそびをせんとや

ブログサイトの「あそびをせんとや」には日ごろからお世話になっている。面白いおもちゃや手軽にこしらえることのできるおもちゃが豊富に取り扱われている。なにかに行き詰ったときにもヒントを与えてくれるものが多い。ホームページの構成もなかなかすばらしく、お手本とさせていただきたい。
昨日は紙パズル「1日目」を楽しませていただいた。

2006年9月19日(火)
鵜飼い

おもしろうて やがてかなしき 鵜船かな
形シューレのエクスカーションでは長良川の鵜飼い見物があった。船には飲食物の持込が可能なので、一杯やりながらの物見である。やがて、川上の方から6艘の鵜船がやって来て鵜を操っていく。1人の鵜匠は10羽程度の鵜を扱うそうだ。かがり火だけの照明なのでよくは見えなかったけれども、予想に反して鵜が元気に潜る様子に感動した。

むかし、とある高貴な身分の人がどのようにして複雑に絡まる鵜の綱を捌いていくのかを鵜匠に問うたそうだ。綱が絡まると鵜の行動領域が狭くなっていくので、常に絡まりをといてやる必要がある。鵜匠曰く「易しきよりといてゆけば、絡まりは自ずからとけまする」。
これはパズルを解くときも、科学の研究においても、日常生活においても常に成り立つ真実ではないか。

2006年9月18日(月)
キープレフト

自動車学校というとキープレフトを思い起こす。道路の左側を舐めるように走り、障害物がある度にウインカーを出して迂回する。学校ではこれが安全運転の基本であるかのように説くが、はたしてそうか。教習所の先生自身が守れないような規則。運転免許を取った初心者がまず最初に破ってしまう規則。生真面目に守って走ると、まわりの者が迷惑するような規則。と思う。

欧米では、大昔から、道(自分のレーン)のど真ん中を走れと教えていると聞く。学校では重要なことがらをたくさん教えられているにもかかわらず、免許取得者がまずキープレフトを破ることから、教えられたことすべてに関心がなくなってしまいはしないか。習っているときには誰も文句を言わない。終わってしまえば無関心。
教習所に思い切った改革を望む。

2006年9月17日(日)
カックンブレーキ

自動車教習所に通っていた頃、自分では急ブレーキをかけていないつもりでも、止まるときにカックンとなってしまうことがあった。とくにブレーキの効きがよすぎるわけでもなさそうだ。そういうとき、隣に座っている先生は大げさに「カックン」と体を前に折り曲げて、おもむろに一言「急ブレーキ」。

この現象を物理的に説明してみよう。ブレーキを踏んでいる間、車は後ろ向きの加速度運動をする。加速度とは速度が時間的に変わることである。そのとき、車の中ではすべての物体に前向きの力がかかるので、座席も前向きに引っ張られた状態になる。車は減速しているのであるから、やがて止まる。そのとき、車は加速度状態から静止状態に移り、急に前向きの力がなくなってしまう。ちょうど、引っ張ったバネを急に離した状態になり、座席は激しく後ろに戻り乗客に不快感を与える。

では、カックンブレーキを防ぐにはどのようにすればよいか。これは運転者が日常的に無意識に行っていることであるが、止まる直前にブレーキを緩めて、前向きにかかっている力を開放してやることである。カックンブレーキを体験しようと思えば、車でも自転車でもよいが、止まるまで同じ力でブレーキをかけ続けてみるとよい。
ぜひ、お試しあれ。

2006年9月16日(土)
囲碁の段級位

囲碁は頭の体操にはもってこいのゲームである。一つの対局が一つの国取り物語を構成している。しかし、見知らぬ人と対戦するときの段級位の設定があいまいである。ある集まりでは私は2段で打っている。ある集まりでは4段で打っているが、ほとんど勝てない。また、ある集まりでは、2段で打ち始めてその日のうちに3段に昇段した。ところが、インターネット碁であるWWW碁では1級と3級の間を行ったり来たりしている。たまに初段になってもすぐに降段してしまう。

得点制を導入している碁会所もあり、WWW碁などのように、降段を含めて段級位を移動するのもいいだろう。しかし、WWW碁の場合、アマチュアの最高位が6段と決められているので、矛盾が生じている。すなわち、本当に強い6段の人は相手がいなくなってしまうのだ。そして、アマチュアの6段を基準にして下の段位が決められてしまうので、プロのトップを10段に置いた序列が崩れていることになる。
県大会優勝クラスの本当に強いアマチュアなら、7段や8段になってもよいのではないか。

2006年9月15日(金)
折り紙

子供の頃、私は「折り紙の神様」と呼ばれて友達から恐れられていた。ほとんどの折り紙は、完成品を見ただけで折り方がわかってしまい、すぐに折り上げてしまう事ができた。だから友達は、珍しい折り紙はちらりとしか私に見せない。もっとしっかり見たい私はどこまでも追っかけていく。当時は折り紙の情報が少なく、伝統的な折り紙が主流であったと思う。折り紙の本が氾濫している現在では、すべての種類を折り上げるのは大変な作業であるし、一度折った折り紙の折り方を憶え続けることもまた不可能だ。年のせいもある。

折り紙の折り方を憶えていることは難しいが、完成品を分解してみるとほとんどのものは再現することができる。そこで、気に入った折り紙の完成品を集めようと思った時期があった。種類が増えてきたので、場所を節約するために小さな紙を使うことにした。昨日菓子箱にためたものを数えてみると、2,3百種類あった。このうち特に気に入ったものを手づくりおもちゃの科学館に展示したい。
上手な展示方法を考慮中である。

2006年9月14日(木)
味噌汁

ここ数日家内が不在なので、久しぶりにご飯を炊いて味噌汁を作ってみた。そこらへんにあったジャガイモ1個、たまねぎ1個、余っているねぎを全部、カットわかめ一掴み、インスタントだしの元、それと大好きな赤だし味噌をなべに放り込んだら、具沢山どころか具ばっかりとなった。仕方がないので、水気をたくさんよそって朝2杯、昼は水と味噌を加えて2杯、晩も2杯食べれば終了しそうだ。

昨日書いたヘキサ・スフェリコンのスケルトン(半円の板4枚を組み合わせたもの)をいただいたので、これを厚紙で作ってみようと思った。厚紙4枚だけでは組み合わせが悪いので、厚紙6枚用いて設計をしてみた。さっそく作ってみたいのだけれど、自宅には材料を置いていないので、明日あたりに手づくりおもちゃの科学館へ行ってみよう。

2006年9月13日(水)
ヘキサ・スフェリコン

木彫師のKさんは本職の腕を活かして、いろいろなおもちゃの製作をしている。竹とんぼ、木製パズルなどの教室も開いている。昨日は、木製のヘキサ・スフェリコンなどを拝見した。ヘキサ・スフェリコンはオロイドやスフェリコンと親戚で、水平面上を転がしたときに重心移動がなく、斜面上を面白い軌跡をとって転がるおもちゃだ。その動きがまたおもしろい。

オロイドについては以前に記した。スフェリコンとは、正方形の対角線を軸とした回転体を軸を通る平面でカットし、片方を90度回してもう片方に貼り付けてできる物体である。ヘキサ・スフェリコンは正方形のかわりに正六角形を基本にして、スフェリコンと同様の作り方によってできる物体である。

転がり系のオロイドやスフェリコン、ヘキサ・スフェリコンは画用紙に展開図を画いて組み立てることができる。しかし、このように複雑な物体を旋盤などの工作機械を使わないで手作業だけで作り上げるとは驚きだ。その他にも、竹製の歩くおもちゃや精巧な組み木パズルなど、すばらしい数々のおもちゃを拝見した。街にはいろいろの工夫を凝らして活躍している人たちがいるものだ。
手づくりおもちゃの科学館がこのような方たちの交流の場となればすばらしいことだと思っている。

2006年9月12日(火)
理科教育コーディネーター

日本物理学会誌2006年9月号に、「理科教育コーディネーター」を介した小学校教員支援の提案、という記事があった。小、中、高、大学校の教員4名による共著だ。理科教育に必要な点がいくつかあげられており、それを実施するには理科教育コーディネーターの小学校への導入が必要であるとのことである。なるほどと共感をおぼえるところも多々ある。

理科教育コーディネーターの役割は、一口で言うと縁の下の力持ちであって、学級担任教員がうまく生徒に理科の実験などをさせることができるように指導、支援することである。テーマを選んだり、実験の準備、理科室の充実など、仕事はたいへん忙しそうだ。この制度の特徴は、学級担任自身に理科を好きになってもらい、生徒にそれを伝えていくことであろう。

もしもこの制度がうまく機能するならば、理科大好き生徒が大幅に増えることだろう。そのためには、理科教育コーディネーターが学内で孤立化しないような体制を確立していかなくてはならない。

2006年9月11日(月)
9.11同時多発テロ

5年前の今日、事件が起こった。なぜアメリカが狙われたのか。なぜ自分を犠牲にしてまでのテロ行為がいつまでも続くのか。そのような疑問の解明はともかくも、私の脳裏には今でも燃え盛るツインタワー(世界貿易センター)のイメージが焼きついている。一人の物理学者としての悔恨とともに。

当日テレビを見ると、旅客機が突き刺さったままのビルディングが燃え盛っているではないか。そして、さらに一機が別のビルに突入した。恐ろしい光景を見ながら、私には次に起こるべき大惨事を予想することができなかった。それは、一瞬にして起こったビルの大崩落であった。悪夢である。3000名に上る犠牲者の多くは崩落によるものと思われる。

崩落のメカニズムはたやすく理解される。まず、燃え盛る火によって建物を支えている壁または支柱の強度が落ちて、それより上の階の重量を支えきれなくなる。一旦壁が潰れて上の階が落ちると、大きな衝撃が床にかかり、下の階の壁がそれを支えきれなくなって潰れ、・・・という連鎖反応が起こるのである。静力学から動力学への転換である。古い高層ビルを火薬を用いて壊すときの手法と似たところがある。

このように簡単な物理現象は、ことが起こった後に理屈をつけるのは簡単である。要は、いかに早くそれを予見し当局に注意を喚起するか、であろう。燃え盛るビルの下の階では、安全だから仕事を続けてもよいとのアナウンスもあったと聞く。世界中の人々がテレビを見ていたにもかかわらず、物理学者や建築家が見ていたにもかかわらず、現場の人たちがその危険性を理解していたとは思えない。
科学的な基礎的知識を底辺から育てていく必要性を感じる。

2006年9月10日(日)
理科離れ

私が手づくりおもちゃの科学館を運営している大きな理由の一つは子供の理科離れ対策だ。小学校の低学年生に理科嫌いはいない。それが、学年が上がるに従って理科が嫌いになっていく。中学生、高校生になると、「理科?物理?大嫌い!」となってしまうのだ。なぜだ。理科は特別の、優秀な人たちだけのためにあるのではない。本来、理科は楽しいものであって、だれにでも楽しめるものなのだ。

理科離れ現象の生じた理由はいくつか挙げることができるが、私は理科が嫌いになり始める年齢層を対象にして、科学のおもしろさ、自然現象のすばらしさを知ってもらいたいために科学館を開いた。もちろん、次世代教育を担う学校の先生方や、大人の方、お年寄りたちにもご来館願いたい。

ところが、いざふたを開けてみると、来館者の多くは小学校低学年である。公民館や学校への講演依頼もいくつか受けているが、やはり小学校低学年層の受講生が多い。こうなると、私の方針を変えていかないと来館者がなくなってしまうのだろうか。展示物を低学年向きにシフトしていかなくてはならないのだろうか。
私はジレンマに陥っている。

2006年9月9日(土)
手づくりおもちゃの科学館の誕生
去年の今頃はゼミ室の書棚が空いたので、手作りのおもちゃをならべ、「手づくりおもちゃとパズル博物館」の準備を始めていた。10月オープンをめざして。そして、10月にオープンしたのであるが、宣伝もしていないので来館者はほとんどゼロ。大学の広報課に一応お知らせしたのではあるが。

たまたま訪れた人に喜んでいただき、その後子供さんたちを連れてきていただいたりもした。しかし、あんまり博物館の方に時間を費やしたのでは研究や学生の指導に差しさわりが出てくるので、これくらいで丁度いいのだ。

偶然、博物館を見られたYさんの努力で現在の「手づくりおもちゃの科学館」が生まれた。今年の5月6日に科学館をオープンすることになったのだが、来館者がゼロでは仕方がないので、ゴールデンウィークに入る直前に地元の新聞社に連絡を入れた。その結果、新聞やラジオ、テレビの取材がどんどんと入り、大学時代には想像できないくらい忙しい日々を送ってきた。そろそろ暇になってきたので、マンネリの生活に陥ってしまうのではないかと心配だ。
やはり人間、緊張と探究心は必要だ。
2006年9月8日(金)
みなさんのおかげ

福井大学の公開講座(以前はオープンキャンパスと呼んでいた)には7年前から参加しているが、手づくりおもちゃやパズル教室を始めたのは一昨年からである。昨年は年齢層を上げて中学生以上としたところ、たくさんの大人の方に参加いただいた。中でも優秀な男性陣に恵まれ、いまでも手づくりおもちゃの科学館のお手伝いをしていただいている。

Oさんは糸鋸細工が得意で、科学館の看板を作っていただいたり、おもしろいおもちゃを作成していただいている。Mさんからはおもちゃの材料を調達していただいたり、科学実験装置の製作に協力いただいている。Nさんはパズルに博識で、珍しいパズルの提供や科学館の特別講師として活躍していただいている。

科学館を訪ねてこられる方でマジックの得意なYさんはときどき手品を披露していかれる。Tさんからはたくさんの手づくり竹とんぼを寄付いただいた。彫刻が本職のKさんは動くおもちゃ作りにも精を出しておられる。木製のオロイドや自作の印鑑の提供を受けている。Yさん、Oさんには、科学館開設そのものにお世話になった。そして、なにより家族の支えが大きい。
その他にも数々の方の力を受けて科学館はうごいている。

2006年9月7日(木)
女系天皇

昨日は、紀子さま男児ご出産のニュースで日本中が沸き立った。テレビでは一日中どのチャンネルも皇室に関する報道だ。これで、しばらくは女系天皇の議論は遠のいたようだ。

女系天皇とは女性天皇とまったく異なり、ウィキペディアによると「母のみが皇統に属する天皇のこと」とある。別な言い方をすると、男系以外の天皇のことを指す。
すなわち、いったん男系天皇制を外れると、女系天皇制に移ってしまうということらしい。

2006年9月6日(水)
科学館

昨日訪れた岐阜市科学館は広い駐車場を含めて私一人の貸し切り状態となった。夏休み期間には特別企画があり、連日の大入りだったそうだ。常設展で面白かったものは、自分で自分の乗っている台をを引き上げる装置だった。動滑車を1つ、2つ、3つ使ったときに、それぞれ力のかけ具合がかわるというものだ。他にも面白そうなものがいくつか目についた。

東京以外の科学館で特にすばらしい思いの残るものは、新潟県立自然科学館であった。そこには来館者が科学的に「遊べる」空間があった。
福井にもこのような科学館があればよいのに。

2006年9月5日(火)
形シューレに参加して

形の科学会の主催する形シューレ2006に出席した。いろいろな講演や楽しい企画がたくさんあり、満足して帰った。中でも、4次元空間や4次元情報を直感的に理解するためのシステムの開発については耳新しいところがあった。その道では周知のことであり、また異論もあるかもしれないが、ダリのキリストの絵の中に展開された4次元立方体が埋め込まれている、という話は面白かった。

今回は、長良川の鵜飼い見物と岐阜大仏殿、岐阜市科学館を見てきた。岐阜大仏殿は日本三大仏と称しており、高さ 13.7 メートルの像は竹と粘土の上にお経を張り、その上に漆と金箔をほどこしたという乾漆仏である。38年もの年月をかけて作成されたそうだ。

2006年9月4日(月)
のどの変調

昨日はのどの変調をきたし、小さな声しか出せなくて苦労した。福井大学の公開講座「手づくりパズル教室」の第1回目、約20名の来館者に小さな声で説明するのはたいへんだ。

のどを痛めた原因はたぶん、汗かきの私が例によってびしょびしょの状態のままで、クーラーの効いた図書館に立ち寄ったせいであろう。図書館を出るときには、シャツも上着もほとんど乾いていたので、少しやばいかなとは思っていたのだが。

今日は形の科学会主催の形シューレ2006が長良川スポーツプラザで開催されるので、出席するつもりだが、のどの具合が悪くならないようにしないと。

2006年9月3日(日)
迷惑メール

いつの頃からか、迷惑メールが1日に何十と入るようになり、数えるほどの必要なメールが埋まってしまうようになった。そこで、息子に頼んで、撃退ソフトを入れてもらった。とたんに、迷惑メールのほとんどはゴミ箱に入り、たいへん楽になった。しかし、ゴミ箱をのぞいて必要なメールが捨てられていないかどうかを調べる必要がある。また、郵便受けに入っているものの中にも迷惑なものが残っていることもある。たまには、unclassified というのもある。

それじゃあ全部見るのと変わらないではないか、という人がいるかもしれないが、間違いの割合は非常に低いので、作業は楽である。さらに、間違いを教えてやると、次からは同じような間違いをしないという学習をしてくれて、どんどんと賢くなっていく。

秘書を一人雇ったような気分である。

2006年9月2日(土)
ツーサークル・ローラーとオロイド

小学生の夏休みの宿題の手助けにと、「作って楽しい!!紙の工作教室」という記事を福井新聞に掲載いただいた。全部で5種類の工作が紹介されたが、ツーサークル・ローラーとオロイドは斜面を転がしても、フーフーと息を吹きかけてもころころとよく転がって、面白い。

ツーサークル・ローラーは厚紙でできた2つの同じサイズの円盤の一部に切れ込みを入れて、互いに直角になるように組み合わせたものである。このとき、2つの円盤の中心間の距離が半径のルート2倍になるようにするとよい。ツーサークル・ローラーは2点で接地しているが、その2点間を結ぶ線をつないでできた閉曲面がオロイドである。

中心間距離が半径のルート2倍のとき、平面上を転がしても重心が上下しないということが知られている。残念ながら簡単に証明することができない。
どなたか、証明方法をご存知の方は教えてください。

2006年9月1日(金)
太陽とともに

今日から9月だ。8月のほとんどの日は晴れ、連日真夏日といううれしい月であった。おまえ、おかしいのではないかと言われそうだが、暇があると我が家のサンルームで日光浴をする。もちろん、汗が猛烈に噴き出し、サウナに入っているようだ。ひと汗かいたあとは、カキ氷を食べるのがまたうまい。蜜はカルピスときまっている。カキ氷用に売っている蜜は人工香料、人工着色料などが強すぎて馴染めない。

炎天下を自転車で帽子もかぶらずに手づくりおもちゃの科学館に通うのを、妻はうるさく注意する。妻は、曇りの日にも帽子を離せない。最近は紫外線の害を説く風潮があるが、太陽の威力のすばらしさにも目を向けるべきだろう。日陰でじっとしているあおびょうたんよりも、太陽の下で体を動かしていることの方が、どれだけ健康的かわからない。太陽は体の芯から細胞を温めてくれる。
そういうわけで、私はいつも真っ黒けなのだ。

2006年8月31日(木)
コリオリの力

回転している物の上では、遠心力と、動いている物体にかかるコリオリの力という二種類のみかけの力が働く。力学を教えているときに、このコリオリの力を簡単な実験でわかりやすく説明できないかと考えたことがある。回転盤の上でビー玉を転がしてみるとか、物体を投げてみるとかすればよい。たとえば、弓を射ることのできるおもちゃに「弓引き童子」というのがあるが、これを回転盤の上に載せてみるのもいいかも知れない。手づくりおもちゃの科学館では、このような装置を開発中である。

ずっと昔、つくば博覧会があった頃だったかな、つくば山の頂上に回転展望台というものがあった。その屋上に上がれるようになっていたので、さっそく歩いてみることにした。歩く速さに応じたコリオリの力を感じ、大いに感激した。展望台の回転周期は2,30分くらい?、右回りだったので、歩く方向の左向きにみかけの力を感じた。2,30年前には、回転展望台はどこにでも見かけたものだが、今はどこに行けばコリオリの力を楽しめるのだろうか。つくば山の回転展望台はいまだに健全であろうか。

台風は、北半球ではコリオリの力によって左回りに回転する。これは誰でも知っていることだと思っていたら、知らない高校生が多いのにびっくりした。それでは、底に穴のあいた洗面器に水を張って、穴から水を流したらどうなるだろうか。水は渦を巻いて落下するが、その渦は左回りか右回りか。だいぶ前に読んだサトウサンペイの新聞記事「世界漫遊記」によると、赤道直下の国で同じような装置を使って水の渦を見せるアトラクションがあったという。その渦は、赤道をはさんで北側では左巻きに、南側では右巻きになっていたそうだ。
これは使える!この実験は当科学館のサイエンスマジックの部門で活躍している。どらえもんのどこでもドアをお借りして。

2006年8月30日(水)
牛乳パック渦輪発生器

空気砲グループが活発に活動を始めた頃に、ダンボールの空気砲よりも手軽でしかも美しい渦輪を簡単に作ることができないかと思った。ここで、「美しい」ということは、形があざやかであり、安定した動きをもつことを意味する。試みに、手元にあった牛乳パックに 10 円玉くらいの穴を開け、中に火のついた線香をセットした。牛乳パックを軽く握ると、おお!、直径が5センチくらいのかわいいドーナツ(渦輪)が飛び出して、ゆっくりと進んでいくではないか。美しい!この感動を若い人たちにもわけてあげたい。

線香のセットのやりかたは簡単である。直径1〜2ミリの針金の片方で直径4〜5ミリのコイルを巻き、もう片方は支持台とする。コイルの中に線香を4〜5本つめこみ、火をつけてから牛乳パックに入れて、上部をクリップで挟めばできあがり。穴の形をや大きさをいろいろ変えて、渦輪のバラエティーを楽しめる。この牛乳パック渦輪発生器は公開講座でも人気ものであった。いきなり、奇妙きてれつなな形の穴をこしらえたり、大きすぎる穴や、3つも4つもの穴をあけたりする子供は独創性がありすぎて失敗に終わることが多い。失敗を次に続けてほしいものだ。

それでは、穴の形を三角形にしたらどのような渦輪ができるのだろう。ビデオや動画の撮れるカメラを使い、スローモーションで見てみると、楽しい光景が見られる。まず最初に線香の煙は穴の形どおりに三角形になって出てくるが、それが逆三角形に変化し、さらに三角形に戻り・・・というような振動が観察されるだろう。この原理をここで記述するのは難しいので、詳しいことを知りたい方は空気砲グループが作成したビデオをご覧いただくのが一番いいだろう。これは手づくりおもちゃの科学館に用意してあるので、ぜひご来館ください。

牛乳パック渦輪発生器の利用方法はこの他にもたくさんある。並進渦輪の衝突実験もやりがいのある仕事だ。この課題で、空気砲グループは学会発表を行った。また、スリットを通した光を正面から当てると、渦輪の構造が見事に浮かび上がってきて、見事だ。これもビデオで撮ってスローモーションで見ると感動ものである。
牛乳パック渦輪発生器の作り方がよくわからない方は、手づくりおもちゃの科学館に材料を用意してあるので、ぜひご来館ください。

2006年8月29日(火)
巨大空気砲の作成

昨日触れた巨大空気砲について述べる。製作上の条件は、@口径が1 メートル以上あることA軽量であることB折りたたみ可能であることC安価であることDピストン式とする。の5点である。@は姫野教授の作成した口径 50 センチの2倍(実質8倍)を意識したものである。AとBは収納や移動、取り扱いやすさを考えたものである。以上の条件を満たす材料として、建築に用いる養生(ダンボールと同じ構造を持つポリビニール製)を選んだ。予備実験によると、口径 60 センチを越えると、ダンボールでは強度がもてないことがわかったからである。

90×180 センチの養生 14 枚、補強材として、210×2×2 センチの角材 20 本、固定金具などを用意した。あとは空気砲グループの独創性に任せよう。けっこうスムーズに完成したようだ。いよいよ180×180×180 センチの、一見小屋のような空気砲の威力を確かめることになった。畳2枚分のピストンを一人の学生が「えいやー」と力をこめて押し込むと、ものすごい空気の流れが空気砲の前面に生じ、ぼわーという気流を体で感じとることができる。目で見るために煙花火を2〜3個しかけてみると、大人がくぐれるくらいの、直径1.5〜2 メートルくらいのドーナツ(渦輪)が 40 メートルくらいも消えずに飛んでいった。大成功である。

巨大空気砲は移動が楽なので、公開講座や出前講座などに大繁盛であった。初めは無害な煙発生器の存在を知らなかったので、においと刺激の強い煙花火を使用していた。おかげで、室内の使用は禁止され、風のないときにのみ屋外で可視化されていた。屋内では換気に問題があり、とくに火災報知機が作動しないように、厳重に注意されていたためである。ところが、福井医科大学(現在は福井大学医学部)の物理教室から、無害な煙発生器を購入したので、巨大空気砲を借りたいという希望があった。煙発生器という便利なものがあるならば、こんなに苦労しなくてすんだのに。福井医科大学では、盲学校の生徒さんたちに体で空気の渦輪を感じてもらい、たいへん好評であったそうだ。

初代の巨大空気砲は幾度となく出張し、いろんなところでいろんな人たちにその威力を楽しんでもらった。現在は、東京の多摩六都科学館で、その余生を送っている。そして、巨大空気砲の二代目は福井大学医学部で作成され、活躍していると聞く。

2006年8月28日(月)
空気砲グループの活躍

昨日報告した空気砲グループは、わずか2年半ほどの間に驚くほどの進歩をとげた。まず最初の年には、流体力学の基礎的な勉強と渦輪の基礎データの取得。公開講座(当時はオープンキャンパスと呼んでいた)の実施などを行った。公開講座では、私の考案した牛乳パックを利用した「簡単渦輪発生器」と「空ダンボール箱を用いた空気砲」が好評であった。

2年目には、NHKテレビ放送のスーパーサイエンス・ワールドで見た巨大空気砲を上回る巨大空気砲を作ってみようということになった。同放送では、背の高さよりも高く、長さが数メートルもある空気砲を剣道部の部員が 10 名以上で発射するものである。この装置を開発した姫野教授によると、スーパーコンピュータによるシミュレーションの結果、口径が 50 センチより大きいものはつくることはできないという話であった。

ところが、我々の試算では口径が 1 メートルの巨大空気砲は縦、横、高さとも 1.8 メートルの立法体があれば充分であるという結果を得ていた。ちなみに、空気砲の口径が2倍になるということは、それによって発生する渦輪の規模は2の3乗の8倍にもなることを意味する。これを、姫野教授より小さな装置で実現させることができるのは、我々の考案したピストン式発射装置によるものである。設計どおりにできあがった巨大空気砲は、大の大人が悠々とくぐれるほどのでっかい渦輪を数十メートルも飛ばすことができた。大成功!

巨大空気砲の製作と平行して、ハイスピードカメラを持っている研究室の協力を得て、水槽内での渦輪の挙動の基礎データを収集した。3年目には、この基礎データのもとに可視化情報学会で発表をしたらどうかという話が起こった。さすがに、グループのメンバーに戸惑いが生じた。「我々に学会発表するだけの能力があるのか。」「進級するための勉強と両立するのか。」「アルバイトも忙しいし。」など。しかし、メンバーはあくまでも前向きの姿勢である。「やれるところまでやって、だめならだめでいいじゃないか。」という結論に達した。

さて、錚々たる専門家の集まる学会で、3年生の学生の発表はなるのか。専門家にけちょんけちょんにケナサレテすごすごと帰ってくるのか。発表題目は「並進渦輪の相互作用」である。このための水中実験装置を作り、連続の徹夜実験などを繰り返し、ようやく予稿が完成したのが7月である。2001年9月27日、いよいよ山口大学での発表である。結果はいかに。講演後の討論では、流体力学の大家である豊田教授をはじめ、学会の主たるメンバーが次々と、「すばらしい発表であった。」「学部生のレベルを超えている。」など、絶賛を頂戴した。空気砲グループの活動が学会においても認められたのである。
学会の発表をもってグループの解散をした。半年後にはそれぞれ異なった分野の卒業研究に入る。

2006年8月27日(日)
私が理科教育を志したきっかけ

今から7,8年前には私は理科教育にはまったく無関心な、ただの研究者であった。しかし、ひょんなきっかけから「空気砲グループ」を指導してからは、どんどんと理科教育に関心を持ち始めるようになった。空気砲グループというのは、空気砲を自ら研究したいという大学に入学したての若者たちの集まりからなっていた。

それは、大学の入学式の次の日のことであった。一人の新入生が私の部屋を訪ねてきて、高等学校の部活でやってきた空気砲の研究を続けていきたいとのことを告げた。私は即座に「それは面白いことだ、仲間を集めて私の部屋でやりなさい。」と答えた。かくして、彼女の呼びかけのもと、7,8名からなる空気砲グループは熱心な活動を開始した。

空気砲というのは、密閉したダンボールに丸い穴をあけて、側面をたたくと空気のわっぱが飛び出す装置のことを指す。わっぱは渦輪と呼ばれ、ドーナツの形をして、くるくると回転しながらかなり遠くまで到達する。渦輪が物体に当たると、かなり強い衝撃を物体に与え、相当の威力があることがわかる。

空気砲グループは自主的に予定を組み、着々と実験や理論を調べていった。私はあまり口出しをせずに、要所や基礎の勉強の手助けをするにとどまることにしていた。へたに口出しをして、彼らの自主性を壊したくなかったからである。

彼らの活動が始まった頃、大学では公開講座の募集を始めていた。彼らにグループとして公開講座に参加してみないかと聞いた所、「ぜひやりましょう。」という返事。そこで、「空気砲を撃ってみよう!」というタイトルで参加することにした。公開講座に備えて合宿をしたり、準備に嬉々として動きまわるグループを見て、教育の原点はまさにこの自主性にあるのだということを痛感した。
この「自主的に物事にあたる」、「面白がる精神をもつ」のが、理科教育なのであるということに目覚めたのである。。

2006年8月26日(土)
ぼくのてんぎ「しず」

私の子供の頃の遊びといえば、こま回し、凧揚げ、剣玉、めんこ、ビー玉、くじっく、戦争ゲーム(肉弾戦)など、子供同士が外で遊ぶものばかりが思い起こされる。

中でもこま回しが盛んであった。こまを手の上で回して、回っている間は走り回ることのできる鬼ごっこやまわしっこをよくやった。まわしっことは、「せいのっ」でいっせいに各自のこまを回し、どのこまが一番長い間回っているかを競うゲームである。私は愛用のこま「しず」を手に入れてから、何十回と行われた回しっこでただの一度も負けたことがない。

それは、しずがまったく無駄のない回り方をするからである。しずは手のひらの上で回しても、回っているという感覚がまったくしない。ただ手の上におとなしく乗っているという感覚しか伝わってこない。耳を近づけてみると、かすかにシューという音が聞こえるだけである。しかも、倒れるときには、倒れるほんの寸前になってから二三度ぐらぐらっと揺れたと思ったら、そのままパタンと倒れてしまい、普通のこまのように断末魔の悪あがきをまったくしない。このようなすばらしいこまは当然私のてんぎ(もっとも愛用の品物)であり、静かなこまという意味で「しず」と命名された。


しずはたった5円の小さなこまであった。当時(昭和二十年代)では5円と10円、そしてそれよりももっと高い鉄ごまというものがあった。私はいくつもある5円のこまを選びまくった。店の人に「どのこまもおんなじだよ。」といわれながら。そして、選んだこまを毎日毎日ペンチで調節し、モルタルの床で磨いては回してみるということを繰り返し行った。そして完成したのがしずである。

近所のガキ大将が私の顔を見ると必ずしずを持ってこさせ、手のひらの上で回してはその感触を楽しんでいた。私は帰るときには、しぶるガキ大将から必ずしずを返してもらっていた。しかしあるとき、友達たちの謀略に引っかかってしまい、しずを失ってしまった。
今の精密加工技術をもってすれば、しずを超える静かなこまを作ることはたやすいことだろうか。

2006年8月25日(金)
太陽系惑星について

昨日、第26回国際天文学連合(IAU)総会において、太陽系惑星から冥王星がはずされることが決定した。このことに、心情的に反対の人たちもたくさんいると思う。しかし、私はむしろ火星と木星の間にあるケレスを含めた小惑星群に注目したい。さらに、冥王星より外に広がるエッジワース=カイパー・ベルト天体と、さらにさらに広がる数十億個の小惑星(氷?)たちにも注目したい。

私が理科で天体を習った頃は「太陽系惑星はボーデの法則に従う」と教わった。これは、
太陽から惑星までの距離=4+3×2^n (2の n 乗の意味)
と表されるもので、水星の場合は n=-∞ で4、金星では n=0 で7、地球では n=1 で10、火星では n=2 で16、木星では n=4 で52・・・という調子である。すなわち、太陽から地球までの距離を10としたときの太陽から惑星までの距離の概数を、海王星まで、実測値にたいしてきわめてよい近似で与えている。また、小惑星群に対しては n=3 で28と与えられ、小惑星群は軌道的意味において立派な地位を持っていることに注目いただきたい。

ボーデの法則は非常に簡単な式で表されており、なんらかの真実が隠されていると思われるが、海王星より外側で成り立たないからという理由で、軽視されてしまっていいのだろうか。量子力学の世界では、ポテンシャルエネルギーの場に閉じ込められている粒子は、とびとびのエネルギー準位を持つ。太陽系惑星においても、太陽と惑星同士の相互作用でボーデの法則に従うような運動が起こると考えられる。しかしながら、多体系の現象はまさにカオスの世界であり、いまだにボーデの法則が証明されたとも、シミュレーションで得られたとも、耳にしていない。
どなたか、ボーデの法則を証明してみませんか。

2006年8月24日(木)
日記をせんとす

小学校のときから日記や作文が苦手であった。原稿用紙1枚を埋めるのに四苦八苦していた。たいていの日記は「きょう、どこそこに行ってきました。なになにをしました、なになにをしました。おもしろかったです。」てな調子のものしか書けなかったように思う。
大人になってからも、時たま日記を買い込んでみても、三日ともたない。
今回は、息子に日記の欄を設けてもらったので、週に一度くらい書き込んでみようと思う。

2006年8月15日(火)
テスト

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