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エキノコックス症と水の確保
 広大な土地を有する北海道には、手付かずの自然が広大に残っています。山岳地帯は自然そのものです。本州のように立派な山小屋は皆無ですから、山中泊での登山では、北海道ならではの問題を頭に入れておかなくてはいけません。


山小屋


 北海道では山小屋に泊まるつもりでテントを持たずに行くと、小屋が満員で寝る場所が無いという場合があります。また山小屋ので食事や飲料水の提供はありません。テントや寝袋、食事、ガスコンロ等、宿泊装備は自ら荷上げする必要があります。水についても同じです。小屋周辺に水場があっても、「飲料水には適しません」と書かれているのが現状です。一度煮沸してから飲みましょうということなのです。それでも水場が近くにあればまだましです。
 山小屋やキャンプ指定地から水場までの距離が、片道で約1Kmある所もあります。また水場が干上がっていることもあります。雪渓が早く融けた年は干上がるのも早いです。水の確保は山に入る前からしっかり計画を立てる必要があります。


エキノコックス症

 知っておかなければならないこととして、北海道にはエキノコックス(多包条虫)という寄生虫による汚染が蔓延しているということです。エキノコックスの成虫はキツネの小腸に住んでいます。成虫はキツネが死ぬまで卵を放出し続けます。キツネの糞に混ざったその卵が、ネズミの口から体内に入ると、肝臓で孵化し、幼虫になります。ネズミと同様、人間の肝臓でも卵は孵化します。
 幼虫は肝臓の血液から栄養をもらい、だんだん大きくなっていき、肝臓の血管、胆管をつまらせたり、浸潤をおこし肝機能を低下させます。ネズミの動きを鈍らせ、キツネに捕食されやすいようにしむけるのです。そしてキツネに食されれば幼虫はキツネの小腸でエキノコックスの成虫となります。このサイクルを繰り返しているのです。
 ネズミを人間におきかえると、幼虫は人間の肝臓機能を低下させてキツネに食されやすくしむけてくるでしょう。(キツネに食されるわけはありませんが)これがエキノコックス症です。
※なおエキノコックスは北海道のみならず、青森県や愛知県知多半島でも確認されており、今後全国規模の問題となりつつあります。
(感染)
 山で人間がエキノコックス症に感染するには、キツネの糞に混じる卵を何らかの形で口に取り込む必要があります。その経路として考えられるのは、沢の水に含まれていた卵をすくって飲むということですが、実際に沢の水からエッキーの虫卵が見つかったという例はありません。その可能性がある、ということです。目の前でキツネが沢を横切った場合は危険ですが、もともと土壌で濾過された水が集合している沢水です。流れている水には卵はほぼ含まれていないと考えて良いと思います。卵がついている土壌を触り、その手から口へ入ることの方がよほど確率が上がります。土壌表面にはキツネの糞が解けて卵だけが残されていることは想像に難くないでしょう。
 放し飼いにしていた犬がネズミを食べたりすると、犬もキツネ同様エキノコックスのホストになります。飼い主が何らかの形でその犬から排出された卵を口の中へ取り込んだ例や、礼文島にて汚染された井戸水から感染した例があります。

(エキノコックスの予防)
 私が獣医学部に在籍していた時に、山におけるエキノコックスの汚染状況を研究しようと思考を重ねたことがあります。しかし、沢水から卵を探し出すということは殆ど不可能ということで、実地調査をどうするか悩みました。流れている水に卵が含まれいる確率があまりにも低いからです。つまり私が言いたいことは必要以上に怖がることはないということです。本州のお医者さんの多くは、北海道では沢の水を絶対に生で飲んではいけないと言います。しかし、上記のように飼い犬がネズミを食べたり、人がキツネの糞に触れないかぎり、エキノコックス症に罹ることは極稀です。
 勿論、沢の水は絶対に飲まず、土に触れた手は毎回水で洗い流せばエキノコックス症に罹ることは殆ど無いでしょう。また、水を煮沸すると卵は死にますので、煮沸したり、浄水器を用いれば安全です。
 ただし、人馴れしたキツネには要注意です。彼らの体にエキノコックスの卵がくっついていることは容易に想像できます。触ることは論外ですが、テントの周りをうろつかれたり、水場の中を歩かれたりすると、当然危険です。

(ハローポーターでは)
 当社では、お客様の飲料水には浄水器を使用し飲料に適した水をご用意いたしております。

その他の危険

 水場は安全なところもあれば、急な沢の源頭の場合もありますので、一人で水汲みに行くと転落、道を迷うなどの危険もあります。また沢音などで人間の気配が消えるため、ヒグマと遭遇する可能性が高くなるということも考えていなければなりません。


以上のように、北海道では山中で安全な水を確保することは、
実は簡単なことではないのです。


当社では

山岳ガイドが安全な飲料水を
山中で提供します

 安全な飲料水の確保をします

・水汲み
 (テント場から1Km離れている所もある)
・水の煮沸または浄水器の使用

・飲料水の荷上げ



登山ガイドは、山岳ガイド会社「ハローポーター」のガイドが
安全、環境に配慮し、
心に残る旅となるようしっかりガイディングします。