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iMac改造計画

 14インチの液晶モニター

 iMacには、15インチのCRTが内蔵されている。

 CRTは周囲1インチが非表示領域で、実際の表示サイズは14インチ。
 つまり、適合する液晶パネルは14インチ。
 うっかり15インチを買ってしまうと、画面がiMacの外枠からはみ出してしまう。

 僕は考えた。
 まずは14インチ優先で探すとして、最悪は15インチで代用。

 できればACアダプター駆動、電圧が12V以下であれば完璧。
 電源電圧を考える手間が省ける。
 しかし今どき14インチのモニタなんて何処にも売ってないし、アダプターで
 駆動するものとなれば尚更、中古でもなかなか見つからない。

 やっぱり匡体を捨てるしか方法はないのか。
 どうせ画面の隅までは使わないから、若干の不便は我慢して
 15インチを突っ込むか。

 
 方々を捜し回った末、ついに見つけたものは14インチではあるが電源内蔵。
 内部がどうなっているか分からないが、とりあえず買う。
 後の事は後で考えよう。

 買って早速分解。それがこのブロック図だ。
 (矢印はケーブルの接続で、信号の流れを示している訳ではない)

 
 幸運である。
 電源スイッチの配置、基板の接続、供給電圧と、全てが要求に適合する。
 電源とUSBハブを取り払って、そこに直接12Vを繋げば起動するはずだ。

 このモニターは、電源スイッチが機械式の手動。
 近年主流になっている、電子制御で間接的にコントロールする方式ではない。
 部屋の明かりをつけるように、スイッチを手でパチンと入れると起動する。

 機械式で手動の場合、モニターの設定値は電荷のない状態で保持される。
 つまり、設定値の保持に電気がいらないし、自動的に電力を供給できれば
 自動的にモニターが点灯する。
 うまく行けばiMacから電力を供給し、起動シーケンスに連動できる可能性が見えてくる。
 どの程度電気を喰うのか分からないが、成功者がいるのだから何とかなるだろう。

 当然だが液晶は平面、ブラウン管は曲面。サイズも違う。
 ということは、曲面の埋め合わせに何か素材が必要だし、パネルを組み込むのに
 あちこち切削しなくてはいけない。
 どちらをどれだけ切削するかよく段取りを考える必要がある。

 ネットで拝見する先人たちの作業を見ていると、もっと手間暇を掛けて素材を選べば
 もっと美しい仕上がりが引き出せるということに気がついた。
 同じ作業ならば、我が家は美観を最大に尊重した作業をしたい。
 可能な限りオリジナルに近付けたデザインにしよう。

 僕は一晩考えて、液晶パネルを採寸して精密な型紙を作った。
 現物合わせで急いで作業すると必ず失敗するから、面倒でもこの方法を使う。
 ボール紙で外枠の型を起こし、最初にそれを切削することで工数を減らせる。
 究極的にはお互いの切削面でパネルを保持できるぐらいの精度が出せるはずだが、
 削り屑と削る手間を減らして、美しい外観とそこそこの精度が出れば成功だ。

 結局この方法も、幸運を呼んだと言えるだろう。
 当初はある程度の傾きを覚悟していたが、完成してみると傾きはごく僅かで
 よく見ても分からない程の仕上がりになっていた。
 やっぱり段取りは大事なのだ。

 
 曲面の隙間を埋めるのに、スリーエムの防水テープを使ってみた。
 厚さ9mm、幅15mmが扱いやすく入手しやすい。
 この製品は普通の隙間テープとは異なり、密度が高く潰れにくいため、
 筐体の曲面に合わせて少しずつ切削し、密着するよう仕上げるのがポイント。
 これもまた抜群にいい仕上がりとなった。
 何も知らない人が見ると違和感に気付かない。

 液晶パネルは四隅をネジで留める方法を採った。
 匡体にネジ穴を貫通させることになるが、クロムメッキやアルミのネジならば
 さほど目立つことはないし、何より一番簡単だ。
 裏からワッシャーを噛ませてネジが飛び出さないよう調節するのがポイントだ。
 まあ、場合によっては樹脂素材でリブを作って留める方法もあるから
 根気とやる気があればそちらを考えるのもいいだろう。

 4月16日。
 奮闘9時間の末、ついに液晶モニタの組み込みが完了する。
 いわゆる切削加工はこれで一段落となり、電気関係の加工が始まる。
 ここから先が更にめんどくさい。

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