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Macで簡単ビデオ編集

 作業プロセス

 最後に、大まかな作業工程を書いておこう。

 テストとしてアニメの映像をひとつ取り込んでみることにする。

 ADVC-55をFireWire経由でMac miniに接続。
 LDプレーヤーをスタビライザーに繋ぎ、更にADVC-55に接続。
 S端子のあるビデオデッキの場合は、S映像ケーブルを使う。
 LDにはコンポジットとS端子の二つがあるが、メーカーによって画像処理に
 違いがあり、コンポジットの方が綺麗に出力できる場合もある。
 事前にテストして、画質の良くなる方を選んで使おう。

 音声出力はスタビライザーを通さず、プレーヤーからADVC-55に直結する。
 スタビライザーの画質調整でシャープネスを少しだけ上げておく。

 画質調整のできるDVコンバーターを持っている場合は、スタビはなくてもいい。
 色調は初期設定のまま、シャープネスだけを調整する。

 iMovie HDを起動させて、新規プロジェクトを作成する。
 画像形式はDV、NTSCに設定、フレーム数を29.97fpsにする。
 取込みを開始したら、LDプレーヤーを再生状態にする。

 取り込んでる最中はすることがないのだが、モニターを見ながら
 メニューとかチャプターの作業なんかを考えておくといい。
 ビデオの場合は音声に変なノイズがないか確かめておくこと。

 予めDV形式で保存されたファイルを読み込む場合、読み込みに掛かる
 時間は再生時間のおよそ半分。30分の映像なら15分必要だ。
 録画用と編集用のHDDは別々に用意すると、ヘッドの移動が減って速くなる。
 CPUの性能やHDDの使い方によって所要時間は変化するので、事前にテストして
 データをとっておくといい。

 再生が終わったら取込みを停止し、編集作業に入る。

 編集作業ではまず、アタマとおケツの余分なところを切る。
 なんとかビデオとか、なんとかレコードとか、関係のない作品の宣伝とか
 そういう部分はどうせ観ないので全部切ってしまう。
 画面が暗転している間、1秒でも0.5秒でも、長いと感じたら切る。
 その後、カット毎の時間調整をする。
 テレビ番組全般にも言えることだが、「尺伸ばし」というイカサマ手法で
 時間を伸ばした作品が多く、アニメではそれが非常に多い。
 もしカットの前後が微妙に伸びてテンポが悪いと感じたら、躊躇なく切る。
 場合によってはカットの途中でばっさり切って繋ぐ。
 さすがに手間は掛かるしテクニックも必要だが、これをやると作品本来の
 リズムが戻り、一層面白くなる。

 その後、チャプターの打ち込みを行う。
 再びLDを再生させ、チャプターの開始位置を確認して、iMovieで
 同じところへチャプターを打つ。
 フレーム単位で位置決めをする面倒な作業なので、じっくりやる。
 凝り性の人はシーンごとに打ち直すのもいいし、不要なチャプターは入れなくていい。
 後でiDVDを使う時、メニューのデザインによってチャプターの数が
 変化するので、あらかじめ調べておく。
 うまくまとまらないようだったら、チャプターの打ち込みまで戻って
 納得行くまでやり直す。

 iDVDでメニューを作成する時、不要なチャプターを削ることができる。
 メニューのチャプターを削ってもiMovieから引き継いだチャプターマーカーは
 生きているので、再生中に次のシーンへ正しく移動できる。
 メニュー画面をシンプルにまとめたい時、参考にするといいだろう。

 チャプターの数を確認したら、メニュー画面に使う素材を作る。
 簡単なのは静止画をDV形式で切り出すことだが、画質が悪い。
 ここは再生画面のスクリーンショットを撮って使うのが良い。
 再生画質はあらかじめ「最高」に設定しておくこと。
 ブレていないフレームを選ぶことと、画面ギリギリ内側を
 切り抜くのがポイントだ。

 スクリーンショットはフォルダにまとめて画像データの近くに
 保管しておき、ドラッグ&ドロップで背景に貼り付ける。
 DVDを焼き終わるまで使う書類なので、編集中は捨てないこと。

 デザインにこだわる人はPhotoshopなんかでエフェクトを掛けたり
 修正を入れたりするのもいい。
 iMovieからのスクリーンショットはiDVDの編集画面より大きめなので
 iDVDに合わせて縮小を掛けてやると多少見栄えが良くなる。

 なお、画像をイジる時はセーフゾーンを意識して作業すると失敗がない。
 文字サイズ、書体の見え方、それと色調は、PCのディスプレイと
 家庭用のテレビモニタでかなり違う印象になる。
 DVD-RWを数枚用意して、何度かテストして違いを覚えよう。

 全体のデザインが終わったら設定を一度確認する。
 iDVDのエンコードには品質優先の120分モードと処理速度優先の
 60分モードがあるが、どっちも大して品質が変わらない上に、エラーが
 出る危険もあることから、我が家では品質優先の120分モードを使っている。
 特にプロジェクト情報にある記録メディアの種類は必ず確認すること。
 片面1層のつもりで片面2層に設定して、時間を無駄にすることがある。
 ディスクイメージで保存する時にこの設定でよく失敗するので注意しよう。

 なお、120分を少しオーバーする映像の場合、ディスクイメージで保存しておいて
 Toast 7のFit-to-DVD圧縮を使うと、片面1層に綺麗に収まる。
 Fit-to-DVDは元々DVDビデオのバックアップに使うものだが、ディスクイメージで
 保存されたDVD規格の映像なら何でも圧縮できる。
 画質がガックリ落ちるので勧められないが、最悪の場合の救済手段に使える。
 メニューが不要な場合はiMovieで編集後にDVストリームを書き出し、そのままToastへドロップすれば
 圧縮が一度で済むため、作業時間や画質の点でかなり有利だ。
 この方法では画質の低下が大幅に抑えられるので、覚えておくと便利である。

 カスタム設定ではやや難アリのToast 7だが、エンコーダのアルゴリズムは
 iDVDよりもはるかに優れていて、自動設定による画像圧縮やバックアップなど
 ひとつ持っておくと色々使える。
 変に設定をイジらず、「自動」とか「最適速度」とか、そういう設定を選ぶといい。

 なお、マシンをスリープさせる設定が有効になっていると書き込み中にエラーが出て
 高価なメディアを無駄にしてしまう。
 事前に省エネルギー設定を確認して、スリープしない設定になっているか確認しよう。

 処理に掛かる時間は再生時間のおよそ3倍。
 30分の映像なら、DVDが焼き上がるまで90分から100分。
 120分の映像なら6時間必要だ。
 編集は平日に、エンコードは寝る前に、出力はまとめて休日に、予定を分けると良い。
 ディスクイメージによる保存を活用すると、エンコードと出力のスケジュールを
 分けることができるので、是非活用して欲しい。


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