垂直発射の色々な飛び方と対策
実際に垂直発射をすると、まだまだ色々な飛び方が見られます。それらについて原因と
対策を説明します。
その1 垂直に上昇して最高点から一気に墜落してくる。
原因: 僅かにエレベーターが下がりすぎ。 重心が前過ぎ、の場合です。
実は私の場合、この状態を最初から探しています、この状態で、本当に僅かエレベータ
ーを上げると、ほぼ理想状態になります。
その2 垂直に上昇して最高点から半分ぐらい急速に降下し途中から水平飛行に入る。
原因は 1と同じで程度が緩やかな場合です。最高点で水平飛行に移ることを「返り」
と言いますが、これは返りが悪い状態です。正しいか否かは別として、私の対応は
左か右の主翼翼端後方を僅かに下げます、左右どちらかは旋回性によって決めます。
その3 垂直上昇の途中から旋回飛行に移り、高度が稼げない。
2つの原因が有ります、一つはまだ充分に翼のバランスが取れていない場合
もう一つはエレベーターの僅かな上がりすぎです。
水平飛行テストで再度翼のバランスを取るか、エレベーターを僅かに下げる。
その3 理想的な上昇、滑空をするのに、突然背面になったり、急に墜落する。
原因は、エレーベターを下げすぎた為、相対的に主翼の取付角が負(−)になっている
機首に錘を追加して、エレベーターを上げる。
その4 滑空の旋回が徐々に早く小さくなり、最後は横向きに墜落する。
原因: 上反角の不足、主翼バランス(重さも含めて)不良。
対策 この様な状態をスクロールダウンと言います、垂直上昇機ではその目的上から
一般的に上反角が小さい、これは横安定の復元力が小さい事になります、この復元力
で補う事の出来ないアンバランスは徐々に大きくなります。
上反角を僅かに増やすか、翼のバランスの再確認をして下さい。
特記: ここの説明で、「僅かに」と言う用語は、「変化が目で確認できないほどの量」です。
人によっては、「触ったか触らなかったくらい」などとも表現します。
又、エレベーターで調整する事が多いのですが、「原則としてエレベーターは水平」が
原則です、目で解るほどエレーベーターを調節して対応するのは邪道です。
その場合は、重心位置で対応して下さい。
さあ、これで貴方も紙飛行機の名パイロットになりました。 あれこれやりながら得た知識で
今度は貴方の機体を作って見てください。
そして、機会が有りましたら、是非、私どもの円形芝生飛行場に来て下さい。
垂直上昇法は殆どの場合ゴムカタパルトでの発射となる(手投げでは難しい)この場合は
その発射速度は、時速150−200Kmにも達する、一方、定常滑空速度は4Km−10Km
程度で、この高速/低速のどちらにも適する機体には、それなりの条件があり、理論的にも
かなり難しい(理論的に理解したい方はリンクページの枡岡さんのページを参照)
経験的には、
先ず不向きなタイプは 高アスペクト比(細長い主翼)の機体
ハイキャンパー(主翼のふくらみが大きい)機体
重たい機体 などが不向きです。
アスペクト比(翼幅/平均翼弦)が高いと、高速時に風圧で翼がよじれる現象を起こす
それを防ぐ為には丈夫な翼にしなければならないので、結果的に重い機体になります
得られる揚力に対して重量が大きければ、それだけ滑空性能を落とす結果になります。
キャンパーの大きい機体は、高速時と定常滑空時の主翼と尾翼の揚力の比率が大きく
変化する為に、高速時に宙返り状態に入りやすい、或いは主翼のよじれが原因で
急速に背面になる場合もある。
重量の重い機体は、カタパルトのゴムを強くすれば、ある程度解決できるが、競技会
などでは、ゴムの規定があります。 競技会にエントリーしなくても、やはり普段から
常識的な範囲で飛行した方が、仲間との会話もスムーズになる。
向いているタイプは、これが一番の問題で、色々な方が、色々なタイプで挑戦しています。
従って、これが良いと決定できるものでは有りません(無責任な話)。
仲間で成功している、共通のタイプは
軽い機体である。
翼型は、ほぼ後退翼である。
上反角は少ない。
ガミ型尾翼(研究室参照)を使っている。
などが共通しています。
しかし、一方では、このタイプとは全く異なるタイプで、垂直上昇をしている仲間もいます
N島さんは、重心位置が主翼後縁一杯の形で、良い上昇をしています。
またY田さんは、高アスペクトの機体を軽々と垂直上昇させています、彼の場合は主翼
の取り付け構造が特殊で、非常に細かに重心位置が調整できます。
この様に、説明すると色々なケース(機体の特徴ごとに)があって説明がややこしくなります。
そこで、説明のしやすいように、ホワイトウィングの530型(垂直上昇向き)を材料に説明
する事にします。 また経験からも、垂直上昇を試みるなら 530を使って見る事を薦めます。
その後、自分で考えた機体に挑戦されるのが良いと思います。
530の特徴
ホワイトウィングの 530は曲線の美しい機体です。 重心位置が非常に後方にあり
尾翼は双垂直尾翼の特別な形をして居ります。
実は、この尾翼が垂直上昇を可能にしているのです。
発射直後は非常に高速の為、主翼の揚力が大きくなり、どうしても宙返り状態になりま
す、それを押さえる為に、垂直尾翼に掛かる風圧で水平尾翼を下げる働きをさせます。
そのままでは定常滑空時に、機首下げになり滑空比が下がってしまいますが、紙の
特性を利用して定常滑空時には元に戻る事で滑空比を下げずに済むわけです。
手投げ試験
それでは、530機を教材に垂直上昇の為の調整をご説明します。
この部屋に来た方には不要な説明です、不安が有りましたら、基礎訓練室を再度
覗いて下さい。
通常の方法で手投げ試験をします。一般的な方法より、僅かに突っ込む感じで調整
します。 滑空が良い事と直線上昇は紙一重で裏腹の関係なのです。
水平発射試験
ゴムカタパルトで、中ぐらいの引きで水平に発射してみます。機体も水平に保持します
厳重な注意
これは、かなり危険な方法です。絶対に人気の無い場合に行って下さい。
厳重な注意終わり
手投げ試験で満足な飛行をした機体でも、変化がみられます。
この状態の飛行(高速)と、手投げ飛行(定常滑空)の状態の両方で満足させるのが
垂直上昇の秘訣です。
水平発射の飛行状態と対応する調整
水平発射で一番多い状態は、急速な上昇と宙返り飛行です。
水平発射して宙返り状態になる状態で、垂直発射すると、大きくループして地面に
激突、ほぼ一巻の終わりとなります。
飛行訓練室
基礎訓練室で、一通りの飛行を習得した貴方、もっと長い時間飛ばないか? とか
もっと高く飛ばせないか、等の欲が出てきた事でしょう。
ホワイトウィング(最も一般的)機は、どのぐらい飛ぶのでしょうか?と言う質問があります。
気象条件にも拠りますが、私たちは30秒以上は飛ばしています。 機種にも拠りますが、
視界没になる事も多いです。 要は飛ばし方なのです。
色々な所で、飛行を楽しんでおられる方に伺っても何故かあまり良く説明してくれません。
人それぞれの独自な方法も有りますから、秘伝公開にはためらいが有るのかも知れません
私達の仲間でも、どうしてあの調整で、あの様な大飛行をするのか理解不能な飛行をする
仲間もいます。
ここでは、更なる大飛行を目指す貴方が貴方なりの方法を発見するお手伝いを目的にして
「こうすれば、こうなる」を経験的にお話します。
旋回上昇法と垂直上昇法
その結果こうなる:
前のエレベーターを下げる方法を僅かずつ調整してゆくと、水平飛行をしながらローリングを
起こす場合がある。 その原因は 主翼、尾翼の左右のバランスが悪い事にある。
垂直上昇機の多くは、上反角が小さい、その事はローリングを戻す能力が小さい事を意味する
対策としては、ローリングを起こさないまで、徹底的にバランスを取る。まれに工作の原因で
左右の重量バランスが悪くなっている場合もある、この様な機体を翼の調整だけで直しても
決して良い結果は得られない。
グライダーは自己推進動力を持っていません。降下する力(引力)を利用して前に進み、
その速度で揚力を得て滑空するのです。言い換えれば「落ちるから飛ぶのです」
当然、高い所から降りてくる(落ちてくる)方が有利な事は明白です。
しかし、高く上がる事と良く滑空する事は、中々両立しないものです、一般的に高く上がるが
速い速度で降りてくる(降下率が高い)、高く上がらないがユックリ降りてくる。のどちらかです
基本的に、基礎訓練室で説明した、旋回上昇法は後者の方法です。
これに対して、最近では各種の競技会などでは、垂直上昇法と言う方法、真直ぐに高高度に
打ち上げる方法が一般的になっています。
ここでは、垂直上昇法で飛ばす方法を説明します。この方法には多くのベテランが居られます
リンクのページにその方々のURLを置きますから参考にして下さい。
ベテランの皆様は理論的にも素晴らしい提案をされておりますが、私たちは経験的に説明を
しますから、或いは理にかなっていない場合も有るかもしれません。
「飛べば良いのだ」が目標です。
次に発生する現象は、急速な突込み現象です。水平に発射した直後から、あるいは暫く飛行
した後、急速に突っ込みます。 この原因はやはりエレベーターの下げすぎです。
宙返り現象か、この突込み現象か、どちらかになって上手く調整できない場合は重心位置の
調整で対応します。(蛇足: 530はキットに指示してある重心位置よりも2−3mm前の方が
私の結果では、最良です) 機首に僅かな錘を付けエレベーターを上げて対応します。
垂直上昇に適する機体
ローリングする、機体の水平発射の飛び方
突っ込みを起こす飛び方の例
水平発射の理想的な飛び方