月刊カノープス通信
2006年8月号

 目次 

・近況報告『検討中』
・今月の勘違い
・近況報告『鍾乳洞ハシゴ旅・1』
・読書録
(『魔法物語』『イサナと不知火のきみ』『封印作品の謎2』)



 近況報告『検討中』

 おかげさまで、この『月刊カノープス通信』も、六順目に突入しました。
 こんなものを、よくこんなに続けてるなあ……。
 最初の二年ちょっとは、毎月『今月の詩』を付けてたんですよね。で、詩の背景に合わせて、雑記ページにも季節の壁紙を張ったり。
 そして、2004年の7月号までは、更新日が『毎月1日前後』でした。その次から『20日前後』に変わりました。
 途中、小説連載がラストスパートに入っていたため縮小紙面(笑)になった月もありましたが、一度も、休んだ月はありません。我ながら、良く続けたと思います。

 でも、五順目、六順目ともなると、季節の話題も毎年同じだから、書くこと無くなってきますね。季節の詩も無くなったし、読書録と勘違いネタと近況報告だけなら、別に月々の通信じゃなくても、日記で十分かも。
 そろそろ、毎月の通信である必要はなくなってきたかなと思います。
 ちょっと、この『月刊通信』の今後の進退を検討中です。もし、何か方針変更があるようなら、サイトトップや日記でお知らせします。
(あ、サイト自体はぜんぜん進退検討中じゃないですよ。今後もこのまま、現状のままの『楽隠居サイト』として、のんびりまったり細々と、相も変わらずこのへんに居座り続けるつもりです!)




 今月の勘違い

☆ラーメン屋さんの呼び出し「あんかけラーメン のお客様、お待たせしました!」
 私「えっ? なんちゃってラーメン ?」

☆テレビCM「ランドセル、ありがとう!」
 夫「えっ、『なんだそりゃありがとう』?」

☆私「冷房が効きすぎてて、だんだん寒くなってきて ……」
 夫「えっ、『旦那様が出てきて』 ?」

☆夫「子供たちが『マジック・オブ・ラブ』 (アニメの主題歌)を聴いて……」
 私「えっ、マジック・オラウータン ?」

☆私「ポテトチップのうすしお味ってさ……」
 夫「えっ、お寿司味のポテチ?」

☆テレビCM「今だけシェイク!」
 私「えっ、『茨城シェイク』?』(←納豆味とかでしょうか……)

☆駅のアナウンス「○番線を特急ロマンスカー が通過します」
 息子「えっ? 『トッピロバスター』 って何?」

☆電車内のアナウンス「ホームとの間が広く開いております 。足元にご注意ください」
夫「えっ、ひどく開いております? なんでそんなに開けるんだ?」

☆もはや誰がどのセリフを言ったかも不明なほど次々続いた夫と息子二人のトンチンカン会話。
「○○日に親子参観があるよ」
「えっ、オヤジ参観?」
「違うよ、『親子参観』!』
「『オヤジ参観』なら、お父さん、行けるね !」
「えっ、『お父さん生き埋め』?」
「えっ、『お父さん生けにえ』?」




 近況報告『鍾乳洞ハシゴ旅・その1』

 八月の初めに、一泊旅行に行ってきました。
 コースは、あぶくま洞→入水鍾乳洞→白河(一泊)→那須茶臼岳→出水山満願寺(『奥の院』&『大師霊窟』)。
 (本当は、満願寺の前にもう一ヵ所、宇津野洞窟というところに寄る予定だったのですが、道を間違えてたどり着けず、断念……(^_^;))

 というわけで、ダラダラと旅行記を連載してみようと思います。


<1・いざ出発!&念願のあぶくま洞>


 一日目。渋滞を避けるため、朝三時起床、四時出発、東関道からいったん首都高を経由して高速常磐道で東北方面へ。
 途中、茨城の友部サービスエリアで最初の休憩。朝早いので、まだお店は開いていません。外のベンチで、持参の食料で朝食。『友部限定 納豆ドッグ』というのぼりが立ってて気になりましたが、時間が早すぎてまだ売ってなくて残念。いえ、売ってても実際には買わなかったと思いますが……(笑)。

 ここで夫と運転を交代し、あぶくま洞に向かいます。途中、山を越えるとき、天気予報ではそう天気は悪くないはずだったのに雨がしわしわ降ってきて、ちょっと心配しましたが、山を降りたら止みました。
 あぶくま洞の駐車場についたのは、八時半前。開場は八時なので、すでにそれなりの数の車が駐車場に止っていました。
 あぶくま洞の駐車場は、すごいです。
 目の前にこ〜んな崖(↓)が聳え立っています。


 雨はやんでたけど、まだちょっと、上のほうは、もやってます。
 でも、どうせ鍾乳洞の中には関係なし!(笑)

 さて、念願のあぶくま洞です。(去年は、入水鍾乳洞と両方行くつもりだったけど、入水に先に行ったら途中で時間が無くなって断念したのです。)
 さすがに大きい鍾乳洞で、鍾乳石は圧巻壮大でしたが、入水と違って整備された普通の観光鍾乳洞なので、冒険っぽさはあまりありません。ちょっとした『探険コース』というのもあって、もちろんそっちも行きましたが、たいして通りにくい場所はなく、入水鍾乳洞のAコースがここの『探険コース』くらいかなと思いました(……と、その時はそう思ったのですが、後で入水に行ったら、『やっぱりこっちのAコースのほうがあっちの探険コースよりだんぜんハードだった』と思い直しました(^^ゞ 入水は、Bコースがあまりにハードだったので、それとの対比で、Aコースについての記憶が頭の中で実際より楽だったように改変されてしまっていたらしいです……)。
 朝早かったので、空いてて良かった。
 鍾乳洞の中にワインセラーがあって、ワインが貯蔵してあったのが面白かったです。出口の土産物屋でそのワインを売っていて、試飲もやっていましたが、車なので試飲が出来ず、残念!


<2・そして入水再び!〜装備編〜>


 そして、次は、メインイベント、二度目の 入水鍾乳洞へ。
こんなところ(別窓で他サイトに飛びます) です)
(去年の私の体験記はこちら(別窓)

 去年は、公式HPしか見ていかなかったので、まさかあれほどのところとは思わず、あまり装備を整えずに行ったのですが(一応、公式HPを参考に、濡れてもいい服装で、念のための着替えも持っていったけど)、今回は、前回の教訓や、↑でリンクしている『家族でお出かけ鍾乳洞』というサイトの皆さんの体験談を参考に、準備万端!(の、つもり)。

 まず、全員、頭にはタオルを巻きました。
 帽子だとツバがどこかに引っかかったりして脱げやすそう。ツバのないニット帽みたいなものならいいのかもしれないけど、ニット帽は昔のスキー用のしか持ってなくて、真夏に毛糸のスキー帽はいくらなんてもちょっと……(^_^;)
 ヘルメットだと、安全なことは間違いないけど、大きくて邪魔になりそうだし、鍾乳石を傷めそう。
 頭に巻くのも、バンダナだと薄くてクッション性が低そう。やっぱり、多少ダサくても、タオルが一番機能的なんじゃないかと……。

 服装は、私の場合、上は、Tシャツの上に袖が捲くれる長袖シャツ。下は短パンに膝サポーター。
 去年は長ズボンを膝まで捲くって入ったのですが、やっぱり下のほうが濡れ、それが上のほうまで沁みてきて結局全体的に濡れたので、思い切って短パンのほうが、かえって上のほうは濡れずに済むかなあ、と。でも、短パンだと、よつんばいの時に膝が痛そうだから、プラス膝サポーター。
 上に関しては、去年も、Tシャツの上に袖を捲くった長袖デニムシャツ一枚という選択自体は成功だったと思うのですが、ただ、そのシャツが男物のタボっとしたものだったので、捲くった袖が途中で落ちてきてしまって、両手がふさがってるからなかなか直すことも出来ず、結局、袖口から水が上のほうまで沁みてきてしまい……。
 その教訓を生かして、今度は、袖が比較的ぴったりしていて、しかもロールアップ用のボタンがついていて途中で落ちてこないようなシャツを選んできました。

 そして、どっちにしてもどうせ濡れることを覚悟して、もちろん着替え一式も。下着から何から、全部一通り、すぐ取り出せる状態にして車のトランクに用意。

 それから、一番大事な、履物。
 去年は、どうせ絶対濡れるから濡れてもいいようにと、ゴムゾーリ(ビーチサンダルなんていうシャレたものじゃなく、どう見ても昔ながらの『ゴムゾーリ』(笑))。長靴では脱げやすく歩き難いし、普通の運動靴とかだと、靴の中に水が溜まって、これも歩き難いんじゃないかと思ったから……。
 が、これは、ちょっと失敗でした。ゴムゾーリは、すべるのです。すべるし、脱げる。かなり苦労しました。
 その教訓を生かして、今年は、ゴムゾーリはやめ、本当は地下足袋にしようと思ったんだけど調達するヒマがなく、夫は、防水の防寒ブーツ。夏なのに、内ボアの防寒ブーツ(笑)。
 私と下の息子は、水が抜けるように、メッシュの運動靴(ヒラキの通販で680円くらいで買ったやつ)。足を痛めないように、ちゃんと、中には靴下も履きました。
 上の息子は、運悪くメッシュの運動靴が無かったので、普通の運動靴。
 もちろん、各自、替えの靴は持ってきました(というか、普段の靴の他に、洞窟用の靴を別に持って行ったのです)。

 人によっては、雨合羽に長靴など、絶対濡れないことを目指した重装備を選択している人もいましたが、私たちは、合羽を着ようがなんだろうがどっちみち濡れるに違いないと思って、開き直って、濡れることを前提にする方向を選びました。冬ならともかく、どうせ夏なんだし! 着替える場所もあるんだし!

 それから、懐中電灯。去年持ってきたヘッドランプは借り物で、もう返してしまったので、百均で小さい懐中電灯を人数分調達ました。
 ロウソクもムードがあって捨てがたかったけど、濡れると消えるし、使い捨てのロウソク一本200円より、その後も使える懐中電灯100円のほうが経済的だから……。

 というわけで、装備万端整えて、さて、いざ出陣!

 以下、次回に続く……。




 読書録


『魔法物語(上) 黒い風のトーフェ』・『魔法物語(下) 青い光のルクセ』 斉藤肇 講談社

 1990年発行の古い本ですが、何か評判がいいらしいので、興味を持って読んでみました。(図書館の閉架書庫にあったのをリクエストして貸してもらった)
 タイトルの印象どおり、正統派の王道ハイ・ファンタジーです。
 王道といっても、重厚緻密で現実感の強い架空歴史系ではなく、わりと、おとぎ話系のような気がします。口承文芸を思わせる独特の語り口がその印象を強めています。繰り返しや言い換えを多用した、ゆったりとしたリズムの、独特な文章です。この語り口の為に、物語や登場人物の感情と読み手の間に距離感があるような気がします。自分がその場に立ち会っているのではなく、古い絵巻物を見せられているような……。
 特に、昔話のヒーローの類型の一つである無邪気な怪力童子が主人公の、奇想天外でユーモラスな下巻は、上巻よりさらにおとぎ話色が強く、まるで民話のような雰囲気を持っています。

 上巻の出だしの感触は、『非常にストレートな王道ファンタジーなのかな?』でした。
 『狭い世界で何も知らずに普通の日常(あるいは、ハタから見たら変わっていても本人にとってみればそれが普通であるところの日常)を送っていた少年少女の前に、突然、特別な運命が立ち現れ、広い外界への道が開かれる』という、私の好きなパターンです。途中経過も、すべてにおいて非常に王道です。
 それが、途中から、なんとなく違うな……と感じ始めて、ラストで、意外な結末に……(@o@;)

以下、超ネタバレに付き、反転。(もう絶版の古い本だから別にいいとは思うけど、念のため……)

 予言された『光の子』が世界を救うために旅立って、数々の試練の果てに、ついに目的地にたどり着き……ときたら、当然、『世界を救う』プラス『主人公が成長を遂げる』ということになるんだと思ったら、なんと、主人公たちは、世界を救うという任務に失敗してしまう!
 しかも、主人公の少年は、なぜかいきなり小鳥になってどこかに飛んでいってしまう!
 しかも、敵に負けたから悪い魔法で姿を変えられてしまったというのではなく、この主人公はもともと人間ではなく、世界を救うという目的のためにだけに魔法で生み出された存在で、その本来の姿は小さな黒い鳥であったのだ……ということらしい。
 なんだそりゃ!? ぽか〜ん……(@o@;)

 まあ、確かに、本来の自己を取り戻す、己の本質を見出すというのは、ある意味、『成長』の王道ではありますが、その『本来の姿』が、人間ではなく意思を持たぬ小鳥で、何もかも置き去りにして飛び去ってしまった……というのは、まあ、非常に意外な結末でした。
 民話・神話の類ならそれもありかなとは思うのですが、この上巻は、普通に、もっと現実的なレベルの典型的な成長物語の体裁をとっているような気がしていたので、意表をつかれました。

 でも、これは上巻だから、きっと下巻のラストではすべてが綺麗にまとまり、大団円に……と、思ったら。
 以下、さらに反転。

 今度は、まあ、一応、世界は救われたらしいですが……。
 結局、上巻の主人公トーフェの件は、アレで終わりのままらしい。まあ、それはそれでいいとしても、気になるのは、四人いると予言された『光の子』のうちの、残りの二人は、結局、名前さえ出てこなくて、どんな人たちだったのかも、どうなったのかもわからないままということ。あと、行方不明の二人の王子のうちの一人が上巻で発見されたから、もう一人が下巻で発見されるのかと思ったら、別にそうでもなかったらしい……。
 じゃあ、なんで、何のために『光の子』は四人いたのさ! なんで王子様は二人なのさ!!(笑)

 というわけで、何か、全部完成したら左右対称の端正な幾何学図形になりそうに見えていた絵が、最終的に全部完成しなかったみたいで、非常に気になるんですけど……(笑)。
 実は全四巻のつもりだったんだけど打ち切りで二巻になっちゃったというのなら、まあ、分かるのですが、別にそういうわけじゃなくて、後書きによると、この段階では、この話、この二冊目までしか書いてなくて、後は、作者の頭の中にもまだ具体的な続きの予定はなかったらしいです。そして、たぶん、今でも続きは出ていないらしいです。(外伝らしい『新魔法物語』というのが出てたらしいので、もしかすると残り二人の『光の子』がらみの話だったのかもしれないけど、こちらも既に絶版)

 ……と、いろいろ書きましたが、、まあ別に、そこに大きな不満があるわけでもなく。
 むしろ、私は、独特の文体にいまひとつ馴染めなかったです。終始、物語と自分の距離が遠いように感じて、『主人公と一体化して主人公と共に成長を疑似体験する』というような、のめりこむような読み方は出来なかったです。そもそも、そういう読み方をすべき話ではなかったのでしょう。
 が、面白かったし、世界の雰囲気は好きでした。特に上巻の出だしの雰囲気は好き。


『イサナと不知火のきみ』 たつみや章 講談社

 『月神シリーズ』の、たつみや章の新作。同じ出版社、同じレーベル、同じ挿絵画家、同じ古代日本風キャラの表紙……ということで、『月神』シリーズの関連作かと思ったら、古代日本風ファンタジーではあるけれど、独立した別シリーズのようでした。
 あっちより、もっと児童文学色が強い感じ。いえ、あっちも児童文学なんだけど、もう少し、対象年齢が低い感じ?

 で、大変面白かったですが……、最後まで読んで、や、やられたΣ( ̄ロ ̄|||)!! (笑)。
 シリーズ名とか『一巻』とか『上』とか、そういうのが何も書いてないからてっきり読み切りかと思ったら、最後の最後で、どう見ても思いっきり『続く』じゃないですか!
 ライトノベルでは最近そういうの多いですが、児童文学にもそういう風潮が及んで来たのでしょうか……。
 まあ、それはそれで、続きが楽しみです。
 美青年になっても中身は変わらないヒコナが可愛いv


『封印作品の謎 2』  安藤健二 太田出版

 今回の取り扱い作品は、『キャンディ・キャンディ』、『ジャングル黒ベエ』『オバQ』『サンダーマスク』。
 キャンディの件は、つい最近の出来事で、裁判の結果などは新聞にも大きく載って話題になった事件なので、あまり衝撃はなかったです。
 他の作品についても、前回は、差別問題など、社会問題と絡んだ封印経過が多かったのですが、今回は、このキャンディの件をはじめ、合作等に関わる作り手の感情や利権といったクリエーター側の内部事情、著作権や放映権などビジネス上の問題が多くて、ちょっと前回とは性質が違った気がします。

 ところで、『キャンディ・キャンディ』の章で紹介されてた、キャンディそっくりキャラの新聞広告漫画、私、リアルタイムで見ましたよー。当時も、(うわ〜)というか(へぇ〜)というか、(なんじゃこりゃ?)というか、最近で言えばメーテルがじょじょっびじょ〜とやっているのを見た時のような驚きがあったので鮮明に覚えてます。そうか、あれは朝日新聞だけに載った広告だったのか……。そういえば当時は朝日新聞とってたっけなあ……。

 あと、『黒人差別をなくす会』が夫婦プラス子供一人の親子三人でやっている団体だったというのは驚きでした。私、『ちびくろさんぼ』問題当時、図書館員だったので、当然、その団体の存在は知っていましたが、そんな内情だったとは知らなかった……。その子供さんが、今も同じような運動に携わっておられるのか……、そうでなかった場合、当時の活動をどう思っているのか……、ちょっと気になります。


☆その他メモ:『折れた魔剣』読了。感想は次回。『アイの物語』読み途中。グインサーガ『ボルボロスの追跡』まで。


ご意見・ご感想はこちら
『月刊カノープス通信』バックナンバー目録
トップページ