カノープス通信
2002年10月号−2

目次
・季節の便り
・今月の面白探し
・近況報告
・読書録
(今月は『スピリット・リング』です)
(オンライン小説感想録はお休みです)



季節の便り

 中秋の名月はもう過ぎちゃったけど、お月見、しました?
 うちは、食い意地の張った子供たちがいるので、何日も前から『いつ団子食べるの?』と、うるさくてうるさくて……。もう、月なんて、どうでもいいんです。とにかく団子が食べたいのです。

 子供が小さくて専業主婦をしていた頃は、お月見には、がんばってお団子を手作りしていました。
 中の一個、二個は、ウサギの形に作ったりして。鋏で切込みを入れて耳を作り、食紅で目を入れて、ころころかわいい雪ウサギみたいなのを作るんです。
 が、働き始めてからは、もう、面倒で、今年も市販の団子ですませてしまいました。

 でも、やっぱり、お団子、作ればよかったな。
 子供が少し大きくなった今こそ、団子作りを手伝わせれば喜んだでしょうに。
 小さい頃はまだ手伝えなくて、もっと大きくなったら、もう、そんなことやりたがらなくなるだろうから、考えてみれば、今がお団子作り適齢期で、チャンスだったんですね。来年はぜひ、団子作りを手伝わせてやろうと思います。

 それに、市販のお団子は、中にあんこが入ってたり、あんが別添えになっているものでも団子にもとから甘みがついていますよね。
 私は、甘みのついていない団子に、お砂糖をつけて食べるのが好きなのです。
 そういうのは、近所のスーパーでは売ってないので、食べたければ自分で作るしかないのです。

 そういえば、このあいだ、テレビの『ちびまるこちゃん』で、お月見団子を焼いて、しょうゆをつけて食べていましたが、世間では(あるいは静岡では)、あれが普通なんでしょうか? 砂糖をつけて食べるのは、変わってるんでしょうか?
 父方の祖父母がたいへん甘党だったせいか、あるいは、その前からの伝統なのか、、我が家では、七草粥にも砂糖をかけるんですが……。
 みなさんはどういうお月見団子を食べますか?



今月の面白探し

★パソコンをやりながら夫と会話をしていました。用事が済んだので電源を落とそうとした時、もしかしたら夫が引き続き使うかもしれないと、一応、尋ねてみました。
 私:「消す?
 夫:「え? 『ウフ』?」
 ……夫の頭の中では、この、『ウフ』は、ただの『ウフ』じゃなく、あくまでも、語尾にハートマークがついた『ウフ(はぁと)』なんだそうです。
 私がそんな女の子みたいな笑い方をするはずはないのですが(したら不気味!)、この時の話題が、何でだか忘れたけどたまたま『セーラームーン』だったので、夫の頭の中がおとめちっく・モードになっていたらしいです。

★夫と、醤油だったかサラダオイルだったかの買い置きの数について話していました。
  夫:「たくさん買ってもいいんじゃない? 案外減っちまうもんだしね」
  私:「え? なんだかヘチマ問題?」
 ……何か、『鶴亀算』とか『ひっかけ問題』とかみたいな算数の問題の話かと思い、買い置きの適正数を算出するのに特別な数式を使うということかと思いました(^_^;)

★上の息子が、一生懸命、人文字で『R』という形を作って、
「これ、何の形だ?」と、弟にクイズを出し、分からずに困っている弟に、
アールの形だよ!」と教えてやりました。
 それを聞いた弟は、
「わかった! サルの形?」と叫びました。
 頭の上に両手で丸を作った息子のポーズは、たしかに、どう見てもお猿さんみたいでした……(^_^;)

★夏の暑い日、汗をかいたので顔を洗いました。
  私:「夏は何べんでも洗いたくなっちゃうよね」
  夫:「え? 夏は南米に行きたくなっちゃう?」

★スーパーで買い物をしてきて、夫に報告しました。
 私:「今日、スーパー○○で、98円のクレラップ買ってきた」
 夫:「えっ!? 98円のセーラー服!?」
 ……夫は、とっさに、『いくらなんでもそれは安すぎる』と驚いたのだそうですが、『セーラー服がたったの98円』ということより、『奥さんが、スーパーで、セーラー服を』買ってきたということのほうに、先に驚いて欲しかったです。



近況報告

1・犬よ〜(ToT)/~~~
 日記のほうでさんざん騒いでいたことですが、しばらく前に、パソコンが壊れて買い換えました。
 新しいパソコンはXP入り。
 で、みんなが言ってることですが、XPって、遅いんです!
 ただでさえ回線速度が遅い我が家では、パソコンの動作の遅さとの相乗効果で、一時期、ほとんどネットがまともに出来ない状態に……。
 その後、表示を『パフォーマンス優先』にするなど、いろいろ設定をいじったりして、今では、回線速度の遅さは相変わらずではあるものの、Me時代とほぼ同じ感覚でネットが出来るまでに回復しました。(回線速度が遅いのは、これはもう、きっと、電話局から遠いせいかなにかで、どうしようもないのでしょう……(T-T))

 で、XPを早くするためのにやってみたことのひとつは、ファイル検索の時に出てくる犬のアニメを消すこと。
 だって、ほんとに、何の意味もない、無駄なお遊びなんですよ。何の必要もないのに犬のキャラクターが出てきて、意味もなく尻尾を振るだけ。はっきりいって、邪魔です。
 だから、それを消せば少しでも早く動くなら、消そうと思ったんです。
 消すのは簡単。『アニメーションを表示しない』を選択するだけです。

 ところが……。
 『表示しない』を選択したとたん、画面の下のほうで尻尾を振っていた犬が、くるりと背を向けて、画面の奥へ去っていくではありませんか!
 それを見たとたん、私は胸が痛み、激しい後悔に襲われました……。
 去っていく犬の後姿が、心なしか、しょんぼりと、さびしそうに見えて……。
 だって、犬ですよ、犬……(T-T)
 思わず、
「犬よ〜、犬よ〜、私が悪かった、帰ってきてくれ〜(;O;)」と叫びたくなってしまいました……。

 これが猫とか人間なら、たぶん別に平気なんです。
 ワードを使うときは、犬のほかに、猫やイルカ、秘書(?)のお姉さんなどのキャラクターが出てきて画面の隅で何か動きますが、これを消すとしても、猫だったら、
「あ、そ。もういいの? じゃあ、こっちはこっちで好きにやらせてもらうから」ってな感じで、たぶん、さほど胸は痛みません。
 お姉さんだったら、
「では、定時になりましたので帰らせていただきます」ってなもんでしょう。
 イルカだったら、
「え? お仕事、終わり? じゃあ、あっち行って遊んで来よ〜っと!」って感じ?
 どちらもぜんぜん平気です。

 でも、犬は駄目です、犬は……。
「……そうですか。もう、ボクは、いらないんですね……(すごすご……)」と、後姿が泣いているような気がするじゃないですかー!
 私、犬も好きだけど猫も好きなんですが、でも、この場合、犬だけは駄目なんです……(T-T)
 
 本当は、この犬は、簡単に呼び戻せます。また『表示する』にすれば、いつでも出てきます。それは分かっています。
 でも、私、決して、二度と、犬のアニメを表示しません!
 だって、うっかりもう一度、犬を出してしまったら、きっと私、もう、二度と消せません……(^_^;)
 ふん! こんな犬のアニメなんていう無駄なところに凝ってるからXPは遅いんだ〜!<`ヘ´>


2.人生で一番派手な誕生日&歌うベルボーイさん

 このあいだ、実家の母と妹と私の女三人(+妹と私の子供たち合計三人)で一泊旅行にいってきたんです。
 泊まったホテルでは、夜、ロビーで、『シャンパン・パーティー』と銘打って、飲み物つきのミニ・コンサートのようなものを開いていました。
 で、その日は、たまたま、私の誕生日だったのですが、母が気を利かせて、ホテルの人に申し入れ、そのコンサートの中で、歌手の方が、私の名前を入れて『ハッピー・バースデー・トゥ・ユー』を歌ってくれたのです! ……かなり恥ずかしかったです(だから、いいって断ったのに……^_^;)
 でも、こんなに派手な誕生日の祝い方をしてもらったのは、多分、生まれて初めてです。良い記念になりました。母上、ありがとう。

 さて、この『シャンパンパーティー』、第一部が女性声楽家によるコンサートで、『ハッピーバースディ』はこの声楽家の方が歌ってくださったのですが、第二部というのもあって、そちらは演歌だということで、『そんなの聴かなくてもいいや』と、帰ろうと思ってたら、司会によると、なんと、それは、そのホテルの従業員による演歌コンサートだというではありませんか!

 なんでも、ホテルのベルボーイの一人が、何か有名な元歌手の先生について9年間演歌を修行したもののCDデビュー直前で歌手の道を断念しホテルマンに転向したという、変わった経歴の主なのだそうで、ためしにコンサートで歌わせてみたら大ウケして、レギュラー化し、今ではお客さんの間にファンクラブも出来て、彼のコンサートにあわせて予約を入れる常連さんもいるとか……。
 これは面白そうだと、野次馬根性で、演歌のほうも聞いてしまいました。

 で、登場したベルボーイ氏、なかなかの甘いマスクに、いかにも演歌歌手っぽい張り付いたようなスマイルを浮かべ、立ち姿からマイクを持つ手つきにいたるまで、ただ舞台に立っただけで、もう、いかにも演歌歌手という雰囲気で、実に堂に入ってるのです。もちろん、歌もうまかったです。
 常連客らしいおば様たちの温かい声援もあって、コンサートは大いに盛り上がりました。

 そんな彼がベルボーイの制服姿のままなのは、ウケ狙いなのか、それとも、コンサート終了後に直ちに通常業務に戻るため、時間を節約してのことだったのか……(^_^;)
 3曲ほど歌った後、司会の人が、『この後、彼は通常業務に戻ります。そこのカウンターに入ってるので声をかけてやってください』というようなことを言ってました。なかなか、こき使われてますね(^_^;)

 でも、あのお兄さん、下手に東京で売れない歌手になるより、『歌えるベルボーイ』になって良かったのでは?
 せっかくだから、ホテルで自主制作CDを出して、まず、ホテル内の売店で売ればいいのに。
 で、次は、『○○ホテルのベルボーイ』という話題性を前面に出して、市内各地の土産物屋にCDを置き、ポスターを貼ってもらう。そうすれば、ホテルの宣伝になるじゃないですか。
 そうこうするうちにうまくすれば人気が出て、ついには中央に進出……というほうが、普通に歌手デビューするより売れやすそうな気がする(^_^;)

 そうだ、ブロマイドも作って、売店に置けば? 話題性のある、いい土産物になると思うんですけど。もちろん、制服姿で。ベルボーイさんのブロマイド! これは笑える! 面白がりやのお友達がいれば、お土産に最適かも!
 他に何人か、見目の良い若いボーイさんを選んでアイドルユニットに仕立てて、これも売店でブロマイドを売るとか。きっと、おば様たちに大人気! 彼ら目当てで、お客も増えたりして!
 美男ベルボーイさんたちがホテルのエントランスや四季折々の庭園にたたずむカレンダーなんてどうですか? きっと売れるって!……どんどんお笑い妄想が広がっております……。

 以前、妹が泊まった別のリゾートホテルは、オーナーが元歌手で、オーナーのコンサートがあったそうです。あと、海外からの研修生を大勢受け入れているのですが、彼らのバンド演奏もあったそうで。
 そういうのって、手作りっぽくて、あったかい感じで良いですよね。ペンションのオーナーが食堂でギターを弾いてくれるとか、そういう感じ?



読書録

『スピリット・リング』 L・M・ビショルド作(創元推理文庫)
 ルネサンス時代のイタリアを舞台にした、魔法いっぱいの胸躍るファンタジー。面白かったです!
 魅力のひとつは、魔法使いの工房が、とてもリアルに描かれていること。これはわくわくします!
 ここで描かれる魔術師は、ごく普通に社会に溶け込んで、職人の一種として徒弟制の工房を営んでいて、その、工房の仕事振り、魔法を使った作業の手順などが、いちいちリアルで、もっともらしいので、この本を読んでいると、まるで、ルネサンス時代のイタリアには本当に魔法使いがたくさんいて、親方として当局の鑑札を受けてあちこちで工房を開いており、ちょっと潜在能力のある若者が実績ある工房に弟子入りして厳しい徒弟修行を積めば何割かは魔法使いになれてたんじゃないかという錯覚に陥るほどなのです。

 主人公のフィアメッタちゃんは、そんな魔法工房を営む魔術師の一人娘で、生まれながらに炎系の魔法の才に恵まれた女の子。鼻っ柱が強くてお転婆なりに恋に恋する十五歳(でも、ルネサンス時代だから、そろそろ結婚適齢期)。その負けん気の強さと不屈の行動力、容赦ない舌鋒は痛快で、素直に好感の持てる魅力的なヒロインです。

 そんな彼女に思いがけなく降ってわいた恋のお相手は、漠然とした乙女の夢とはかけ離れた、うすらでっかい図体の武骨な田舎ものの坑夫なのですが、これがまた、ガタイはでかいが控えめで、我慢強く穏和、素朴で実直、でも決して愚鈍ではなく、機転も利けば勇気もあり、どんな窮地にあっても地に足の着いた大らかさを忘れない――つまり、一言で言って、実に『いいヤツ』なのです。
 フィアメッタが気まぐれに熱く燃え上がる激しい炎なら、お相手の坑夫トゥール君は穏やかな大地という感じで、バランスの取れた良いコンビです。

 そして、この、ほほえましい若い二人が、黒魔術師相手に、手に汗握る大冒険なのです! 面白いんです!
 ヒロインの父親である頑固で誇り高い魔術師べネフォルテ親方(や、その幽霊^_^;)や、その良き友だった司祭様など、若い二人の脇を固めるおじ様陣も、それぞれに魅力的。

 ただ、すごく面白かった中で、ほんのちょっと物足りなかったこともいくつか。
 別に作品の欠点というのではなく、ただ、もっと知りたかったのにあまり触れられないまま終わったことなんですが、ひとつは、ヒロイン・フィアメッタの母親の件。
 フィアメッタの亡き母は黒い肌の『ムーア人』で、しかも魔法使いだったという設定なのです。で、フィアメッタも、浅黒い肌に黒髪のエキゾチックな容姿の持ち主ということになっています。
 ルネサンス時代のイタリアが舞台という中で、ヒロインをわざわざ混血児に設定したということは、何か重要な意味があるのかと思ったら、そのことについては何もないままに終わってしまいました。てっきり、もっと何かあるのかと思ったのに。訳者の方は、解説の中で、この件は続編への布石なんじゃないかと推理していますが。

 それと、ヒロインの初恋の人だった気の毒なウーリ隊長は、死んでからあれこれ人柄が回想されますが、あれだけ全編を通して大きな意味を持つ存在になるのなら、生きてるあいだに、もうちょっと出番を作って、『あばた』と肉体美だけでなく(^_^;)人柄のほうも深く印象付けておいて欲しかった気がします。
 それにしても、あの、ペルセウスの銅像が、後であんなふうに重要な役割を果たすことになるとは思いませんでした……。
 あの、クライマックスの戦闘シーンには、ちょっと意表をつかれました。まさか、あんなものを出してくるとは……。

 物足りなかったといえば、敵役ながらなかなか魅力的そうに描かれていたフェランテ公も、もっと掘り下げて欲しかった気がします。本心から黒魔術に傾倒しているわけじゃないらしい彼が、なぜ異端の魔術師ヴィテルリとつるむことになったのかとか、それなりに立派な一面もありそうな彼の内面とか……。
 それらは、まったく語られなかったわけじゃなく、一応、一通り解説されていたんですが、私の好みから言うと、ああいう魅力的な悪役には、もっとじっくり掘り下げた、コテコテの人間ドラマをたっぷり見せて欲しかったところ……と、思う私は、『グイン・サーガ』の読みすぎでしょうか(^_^;)

 というわけで、とっても面白かったこの本ですが、唯一、気に入らないところは、男性がぴったりしたタイツをはいている時代のお話だったこと!!

 私、あの、西洋の歴史モノに登場する男性のタイツ姿は、大嫌いなんです〜(T-T)
 それがたとえ、バレエ『白鳥の湖』の王子様であろうとも!
 だって、かっこ悪いじゃないですか〜(T-T)
 だから、小説ならまだしも、実写映画でタイツ姿の王子様が出てくるものは、たとえそれがどんなに面白い内容でも、王子様役の俳優さんがどんなに見目麗しく、足が長くてスタイルが良くても、私、絶対、見たくない!!
 特に白タイツは嫌だ! どんなにかっこいい人でも、白タイツをはいたら、百年の恋も冷める!
 まあ、バレエ以外なら、普通、上に着るチェニックなどにある程度丈があるでしょうから、バレエのタイツみたいに脚全体丸見えというわけじゃないんでしょうけど、タイツと聞いて頭に浮かぶのは、バレエの王子様なんです(T-T)

 でも、小説で、挿絵もついてなければ、実写映画と違って、たとえ本当はタイツをはいているはずであっても、わざわざ頭の中にタイツ姿を思い描かずにいればすむだけのことです。
 ところが、この小説の場合、フィアメッタちゃんが男性の脚線美にこだわるので、何度も、文中で男性の脚について言及され、そのたびに、『そういえば、忘れてたけど、こいつらって、タイツはいてるんだっけ……』と思い出されて、がっかりするのです!
 彼女にとって、男性の魅力を評価する上で脚の形が重要なチェックポイントであるらしく、たとえば、魅力のない男性を言い表す言葉は『やせた脚しか持たない』とか『脚なんかがりがり』だし、素敵な男性の魅力を一言で言い表す時の言葉は『完璧なふくらはぎ』なのです。

 考えてみれば、今は(幸いなことに!)男性は普通長ズボンをはくから、脚の形なんて、それほど問題にされてないと思いますが、脚にぴったりしたタイツが流行っていたルネサンス時代には、男性の魅力の要件として、脚線美が今より重視されていたのかもしれません……が! 頼む、フィアメッタちゃん、脚は見ないでくれ、脚は……(T-T)

 他に、『めぐりめぐる月』 シャロン・クリーチ作(講談社) を読みました。読後にしみじみ出来る、いい話でした。泣けます。樹にキスをする話が詩的で好きでした。おじいちゃんとおばあちゃんも素敵。


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