さあ、緊張が始まる



 午後4時には仲間の演技を見るため、会場に戻った。観客は朝に比べるとだいぶ増えている。知っている顔も多い。
 あいさつしていると、Shark島さんに会う。彼は、調子はどうですかと言って肩をもんでくれる。つくづく親切な人だ。

 ハマの仲間、30代女子の応援を終えたのが午後6時。このクラスは参加者が多いので長い。寒さで体がかなり冷えた。自分の組まで、まだ2時間。私はリンクを出て、外でひたすらストレッチングをしていた。
 
 だんだん暗くなってきて、出番が近づいてくる。

 午後7時。本番1時間前。中に戻り、衣装に着替えてスケート靴を履いた。少し早すぎるが、遅いよりよい。靴を足になじませるため、ロッカールームとリンクサイドを行ったり来たりしていた。 

 リンクサイドに、またまたShark島さんがいた。
「Mさん、今日はコーチはいらっしゃってるんですか」
「いいえ」
と答えると、
「では、私がコーチ代わりに、ついてあげましょう」
と、言ってくれた。
 コーチの代わりということは、具体的には上着を持ったり、飲み水を預かってくれるということだが、重要なのはリンクサイドにいて、心の支えをしてくれるということだ。

 午後8時、40代男子の試合が始まった。5分間の練習時間が終わり、1番の選手から演技が始まった。

 Shark島コーチ(代理)は、
「Mさんはコーチから、どのようなことを言われていますか」
と聞いた。私は少し考えて、
「最近注意されたのは、あせらないで落ちついてやりなさい、ということですね」
と答えた。Shark島さんは、
「わかりました」
と言った。 

自分の番が来た