ソカロでは仮装行列が催されていることもあった

本屋のそばで見つけたシュールなオブジェ

■昼酒

オアハカでの食事はたいていソカロのオープンカフェだった。はっきり言って今回の旅は、酒ばっかり飲んでいる旅だったような気がする。イヤだってしようがない、メキシコといえばコロナビールをはじめとする地ビールや、テキーラなどの蒸留酒が有名だ。酒好きの私にとって、こんな環境で飲まないわけがない。もし飲まなかったら、それ自体がメキシコへの背任行為と言っても過言ではない(←?)。

そんなわけでオアハカ滞在中は、午前中に観光を終えたら、午後からはソカロのカフェで昼間から酒を飲んでのんびりするという、なんとも日本では考えられない生活を送っていた(この事実を帰国後に会社の人達に言ったら、「最低だ」というお褒めの言葉を頂いた)。カフェでは、他の現地の人たちも昼間からビールを飲んでいたので、どうやらこの街では昼酒という行為に対しては寛容のようだった。

酒のつまみには、メキシコの一般的な料理だけでなく、オアハカの名物と思われる料理を食した。いや、本当にご当地料理かどうかは分からないが、とりあえずメニューでOaxaca(オアハカ)だとか、traditional(伝統的)だとかいう単語が並んでいる料理を注文したつもりなので、おそらく間違っていないはずだ。

チキンのモーレソース煮込み。モーレソースとはメキシコでよく使われるソースで、チョコレートと数種類の唐辛子をベースに、トマト、アーモンド、胡麻、玉ねぎ、干しブドウ、シナモンなどのさまざまな食材をすり潰して混ぜたソースである。チョコレートが入っているというから、味の予想ができなかった。実際食べてみても、最初は奇妙な味だと思えたが、だんだん嵌ってきて、最後は完食してしまった。ほんのり甘くて苦いこのソースは好き嫌いがはっきり分かれる味だと思うが、私にとっては結果的に、メキシコ滞在中に何度も注文した料理となった。
エンチラーダス。これはメキシコ全土で食べられる料理。トルティージャに鶏肉などを包み、タマネギやチーズをふりかけた料理。美味しいけど、ちょっと量が多かったかな。
料理名を忘れたが、薄く切った牛肉を塩で味付けして焼いたもの。トルティージャが付いてくるので、適当な大きさに切ってトルティージャに巻いて食べる。オアハカの伝統料理らしい。程よい塩加減でビールによく合う。
オアハカでは、チーズが名物だ。オアハカの伝統料理を注文すると、よくチーズがかけられた料理が出された。写真はトスターダス。揚げたトルティージャにフリホーレス(うずら豆を煮込んでペースト状にしたもの)を塗りその上にレタス、トマト、アボカドなどをのせた料理。これもメキシコ全土で食べられる料理だが、オアハカ風ということで、ストリングチーズがたくさん乗せられていた。ただこのストリングチーズ、美味しいのだけれど、かなり塩味が強すぎる。そのままガッツリ食べるのは困難かもしれない。テキーラなどの強い酒を飲みながら、ストリングチーズをちょっとずつ食べるのが正解か。
焼いたチーズにサルサをかけた料理。食べた感じは、チーズというよりも豆腐のような味。これはかなり美味い。
オアハカ風タマゴ料理。タマゴの上にはチーズがかけられており、同様にそれほど辛くない薄めのサルサソースがかけられている。完全にこれは酒のツマミ。そりゃあビールもすすむ。
メキシコは地ビールの種類も豊富だ。日本ではメキシコのビールというと、コロナビールを思い浮かべる人が多いだろうが、もちろんそれ以外の銘柄もレストランやバーに行けばたくさん取り揃えられている。

私もいくつかの銘柄を試してみたが、個人的に美味しかったのは、「モデロ・エスペシアル」と「ボヘミア」の2つのビールだろうか。モデロは飲みやすいビール。料理の邪魔をせず、すっきりとした味わいなのが特徴的。一方のボヘミアは、濃厚な味わい。口に含んだ瞬間がモルツに似ていると思う。

メキシコのビールは、日本人を満足させる味の銘柄が多く、十分おススメできる飲み物と言えよう。


左がモデロ・エスペシアル、右がボヘミア
■メスカル

ビール以外のメキシコの酒と言えば、テキーラが有名だ。しかし実はテキーラは、ハリスコ州以外の地域ではあまり飲まれていないらしい。オアハカも同様で、テキーラとは異なる蒸留酒が飲まれている。

オアハカではメスカルという蒸留酒に人気がある。メスカルとは、マゲイ(和名:竜舌蘭)というユリ科の植物から作られる蒸留酒の総称を指す。有名なテキーラは、いわばメスカルの一種という位置づけになる。マゲイには200もの種類があるため、どのマゲイから作られたかによってメスカルの種類も変わるわけだ。

せっかくだから、メスカルをお土産として購入した。私が買ったのは、オアハカ州で作られた「オロ・デ・オアハカ」という銘柄のメスカル。オアハカのメスカルの場合、より地酒としての雰囲気を出すために、なんと、メスカルの瓶の底に、マゲイにつくイモ虫が1匹入れられている。

…人によってはこの演出は嫌がられるかもしれないが、もちろん現地ではそれを考慮して、イモ虫が入れられていないバージョンの瓶も売っている。しかしやはりここは話題性のために、入っている瓶の方を買ってしまった。

でもメスカル自体はおいしい。この銘柄は私も現地で飲んでるし。帰国後、このお土産を馴染みのバーに持って行ったところ、さすがバーテンの人たちはイモ虫も含めてメスカルの存在を知っていたようだ。非常に喜ばれ、買った甲斐があった。


夜のカテドラル
■お熱いのがお好き?

ソカロ周辺は、夜になっても賑やかだ。現地の子供たちも結構遅い時間まで広場にいて、路上で売られているバルーンで親と遊んでいる。

特にこの時間帯からよく見られる光景が、ベンチに座ってイチャイチャするカップルである。やはりこれって中南米のお国柄なんだろうか、人目などを全く気にせずに堂々とお熱くしている連中がやたら多いのだ。

私が夜、ベンチに座って夜風を浴びながら酔いを醒ましていると、夫婦が子供2人を連れでやって来て、対面のベンチに座った。その後、子供たちは広場の方に遊びに行った。するとその後、夫婦は自分たちの時間が来たと言わんばかりに、キスをしたり、長い時間ハグをしたりを始めたのだ。夫婦で仲がいいのは分かるが…、えーと、そのお熱い光景を対面で見せられている私の立場は?

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