§6  市場で見る食文化 (カントー、ミトー)

ベトナム滞在4日目(ツアー3日目)。チャウドックから車を走らせて3時間、次の目的地であるカントーにやってきました。この街はメコンデルタ最大の街と言われており、商業の中心となってるそうです。なるほど、中心といわれてるだけあって、街の雰囲気がホーチミンに似てます。道路を走るバイクの量がとんでもない多さです。

時間が正午ごろになっていたので、カントーのホテルにチェックインした後は、ヘウさんと昼食を食べにホテル近くのレストランへ。ここで、ヘウさんから「カエルを食べてみませんか?」といきなりショッキング発言がとんできます。「えっ? ベトナムの人って、カエルをよく食べるんですか?」と聞くと「おいしいですよ〜」と彼はニンマリです。…それじゃあ、せっかくだから頂いてみますか。

カエルは牛豚鶏に並ぶ、常食の肉料理だそうです。どうやらベトナムの食生活ではいろんなものが食材になるようで、この他、ヘビ、カメ、ネズミなども頻繁に食べられているみたいです。地域によっては、犬やネコを食べる人もいるそうですよ。もうなんでもアリですね。

で、我々が注文したのはカエルの唐揚げです。カエルを骨ごとぶつ切りにして揚げているので、もはやカエルの原型はなかったです。恐る恐る食べて見ると……あっ、なんだ、鶏肉とあんまり変わんないじゃない。ちょっと歯応えがあるという違いだけですな。骨を取るのがうっとうしいですけど、いい感じの味でした。

さて、昼食後はヘウさんと別れて、いつも通りカントーの街中をぶらついてみます。しばらく歩いているとカントー市場というところに辿り着いたので、中を散策です。さすがメコンデルタ中心の街だけあって、巨大な市場でした(でも歩く所は非常に狭い)。河沿いに建てられているため、魚介類専門のスペースもありました。時間帯が午後だと活気がやや薄れると聞いていましたが、いえいえ、この時間帯でもすごい賑わいでしたよ。

  
カントー市場

ところでこのカントー市場、狭いという理由で、もうすぐ別の場所に移転するそうです。ためしに、その移転予定地まで足を運んでみました。まだ建設途中でしたが、あともう少しで完成するようですね。…しかしなんだか、この新しい市場の建物ったら、外観がホーチミンのベンタイン市場にそっくりで、ちょっとオリジナリティーに欠けてるように思えました(まぁ確かに場所は広かったですけど)。

…それにしても、昼間はあんまりぶらつかない方がいいですね。いつにもまして今日は日差しが強烈です。だらだらと汗が流れてきます。「あーだめだ! クソ暑い! もう帰る!」 …観光しないともったいないという気持ちは確かにあったんですけど、さすがにこの暑さで長時間いるのは体がもたないです。正直キツイです。そんなわけで今日の観光は市場をぶらつくだけで終了。ホテルに帰ってからは、ホテルスタッフの方々と会話などして楽しんでました。自分の英語力のなさに結構へこんでしまいましたけど…。

ベトナム滞在5日目(ツアー4日目)。今日のツアーは朝6時という早い時間からスタートです。カントーの水上マーケットを見物に行くのですが、早朝が活気のピークということで、このような時間に出発となったわけです。ボートに乗り込み、またメコン河を下ります。くどいようだけど、やっぱり朝のボートっていいなぁ。清々しくて気持ちがいいですよ。

数十分ほど下ると、船が多く停泊しているポイントに到着です。うわぁ、こりゃすごい! チャウドックとはくらべものにならないくらいの船の数です。あまりにも数が多いので、河の上で渋滞が起こっていました。

  
カントーの水上マーケット (賑やかです)

スイカを売る船
(サオにはスイカがぶら下がってる)


船の渋滞 (我々の船も立ち往生)
このマーケットの場合も、船上のサオにぶら下がってるものを見ることで、何を売っているかが分かるようになっています。売られているものはやはり野菜や果物が多いですが、チャウドックの時と異なるのは、なんと観光客や野菜を売っている人向けにジュースや朝食を売る船まで現れていたということです。船がフランスパンを積んで停泊しているっていうのはちょっと変な光景でした。

さて、カントーで水上マーケットの混沌を堪能したあとは、次のミトーの街へ向かいました。ミトーは、カントーから西へ100kmくらいの距離にあるメコンデルタの街の一つです。ここも観光客には有名な街であり、メコン河クルーズやジャングルクルーズ、中州の島を巡るアイランドホッピングができる所です。これまでの街と違うのは、ここを流れる河がハウザン(後江)ではなくてティエンザン(前江)であるということです。河の色もこちらの方がやや赤茶けているという感じですね。

昼食をとってホテルでチェックインを終えたあとは、また一人でミトー市内をぶらつくことにしました。市内はカントーと同様に喧騒の激しい雰囲気でした。ミトーは観光客に人気の街ではありますが、なぜかここでも外国人観光客は見かけられませんでした。この街は河がメインであるため、きっと見所の少ない街中などは眼中にないのでしょう。…しかし逆に客引きは多かったです。やはりメコン河クルーズの盛んな街だけあって、「ボートの予約をしないか?」というお誘いばかりです。でも中には変な客引きもいて、「一緒にホタルを見ないか?」と声をかけてくる人もいました。どういう戦略だそりゃ?

ミトー市場をぶらついてみました。カントー市場よりはこじんまりとしていましたが、こちらも負けず劣らずの活気でした。建物内の店よりもその周りに構えている店の方が歩いていて楽しかったですね。

  


ミトー市場

カントー市場であれ、水上マーケットであれ、ミトー市場であれ、ベトナムのマーケットをこうして見ていると、いろんなものが売られているのが分かります。日本人が普段口にしないであろう動物の肉や魚まで売られてます。地域によっては、先ほど取りあげた犬やネコの肉も売っている場合があるそうです。このようにバラエティー性に富んでいるからこそ、ベトナムの市場というのは見ていても飽きないのかもしれませんな。

さらに、こうした市場を通してベトナム人の食文化というものを見ていると、たとえ犬やネコであっても食べたいから食べるという純粋な理念があるように思えます。…どうも最近は、それらの動物を食べることに対して、動物虐待という理由で非難している方々がいますが、私から見れば、ベトナム人の理念は別にそれほど悪いことではないと思えますね。その動物に対してだけそういった行動を起こし、逆に牛や豚や鶏や羊などを食べることに対しては同じような異論を唱えないという……そのような矛盾した食意識から生まれた思想に、こちらが屈することはないのではないでしょうか(もちろん全ての人がそんな食意識だとは言わないですが、今の世相はそれに毒されているように窺えます)。おそらくベトナム国内でも、犬やネコを食べることへの異論がだんだん多くなってきているのでしょうけど、常食の方々には、これからもそういった理に適ってない世論に対しては堂々と抵抗していき、純粋な食意識を堅持していってほしいですね。

さて、そろそろ夕食時となったので、適当に食堂探しを始めます。すると、川沿いの通りにある店の看板に、ベトナム語で「バイン・セオ」と書かれているのを発見しました。「オーッ、いいもの見つけた!」 …ということで早速その店に入ってみることにします。

バイン・セオとは、観光客に最も人気のある定番料理(ただし家庭料理ではない)の一つであり、俗にベトナム風お好み焼きと言われています。卵をふんだんに使った米粉皮を焼き上げて生地を作り、その中に調理したモヤシ、豚肉、エビなどをてんこもりに入れてできあがりです。お好み焼きと言うよりは、具が生地で包まれているのでクレープのような感じと言った方がいいですね。これを適当な大きさにちぎって、さらに別添えの生野菜で包み、ヌックマムベースのタレにつけて食べます。サイズが大きいので、一つ頼んだだけでお腹いっぱいです。もちろん美味でしたよ。…どうやら、日本の食材でも簡単に作れるみたいなので、今度挑戦してみようかな。

ホテルに帰還後、「なんか手が臭いなー」と思ったら、先ほど食べたバインセオのヌックマムのニオイでした。これがまたすごいニオイで、手を洗っても洗ってもニオイが取れません。聞いたところによると、これが染み付いてしまったら、数時間ニオイが取れないとか…オイオイ。


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