§7 人気のクルーズ | (ミトー、ホーチミン) |
7時ごろ起床。今日の観光は10時かららしいので、その時間までまたミトー市内をぶらついてました。しかしまだ朝の早い時間なのに、もう日差しはかなり強烈です。暑さを凌ぐために、屋根付きの路上のカフェでボーっとしてました。やはり地方だからでしょうか、この街のカフェはどこも料金が安くていいですね。カフェ・ダーが2000ドンで飲めましたよ。 10時にホテルに戻り、ヘウさんと合流です。今日の観光はミトーのメインツアーであるメコン河クルーズです。前回、他の旅行代理店で参加したことのあるツアーですが、面白かったので今回も参加です。どうやら今日は、他のパックツアーに参加している人達と一緒に観光をするらしいので、しばらくその方達を待つことになります。やはりミトーのツアーだと人気があって参加者が多いようですな。しばらくすると、他の参加者のみなさんがホテルにやってきました。参加者の人数は私を含めて6人ですが、なんと私以外は全員日本人の若い女性ということで、なんだかこっちはウハウハです。女好きのヘウ氏はもっとウハウハです。 ホテル横のボート乗り場からボートに乗りこんでメコン河を渡ります。メコン河を渡るのはこれで三度目ですが支流が異なるので光景は全然違います。ここは川幅がかなり大きく、まるで湖みたいでした。
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ミトーを通るメコン河には4つの大きな中州があります。ボートはしばらく走って、その中州の1つであるクイ島に上陸です。これらの中州には集落が形成されており、そこに住む人々の多くは果樹園を経営しています。そこで収穫された果物を、ミトー市内の市場で現地の人向けに販売したり、島を訪れた観光客向けに販売したりすることで生計を立てているそうです。我々一行は島内にある果樹園の一つにおじゃまして、そこでバナナ、パパイヤ、柿、マンゴー、パイナップル、ドラゴンフルーツ(タンロン)、リュウガンなどの果物を、ジャスミンティーと一緒にご馳走になりました。ポイントは、別添えの塩やスパイスを付けて食べると、よりおいしさが増すというところですな。
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ジャックフルーツが成る木 |
さてフルーツを堪能した後は、先程のボートよりも小型のボートに乗り換えてクイ島を後にします。次はメコン河のミトーとは対岸にある小さな村に上陸です。ここではココナッツを使ったキャンディが名産となっているそうで、その工場を見学させていただくことになりました。工場といっても、家内工場のようで、普通の住宅の庭で作っていました。工場の人が、試食用のココナッツキャンディを配りながら我々を出迎えてくれます。試しに食べてみると……おっ、キャラメルみたいでおいしいぞ。 作り方は、まずヤシの汁と麦芽が混ざったものを煮詰めます。次にそれを冷やして固め、一口サイズに切り分けます。最後にその切り分けた一個一個を包装し、大きな袋に詰めて出来上がりです。結構単純な作業に見えますが、この一連の流れは全て手作業で行われるため、実際はかなり時間がかかっちゃうそうです。それに煮詰める作業にはコツがいるようで、私も試しにしゃもじを借りて鍋を混ぜさせてもらいましたが「違う違う」と怒られちゃいました。…ちなみに、工場の隣にはちゃっかりとココナッツキャンディのお土産屋さんがありました。おいしかったので一袋購入(15000ドン)。
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ココナッツキャンディは全て手作業で作られる (左が煮詰める工程、右が切り分けて包装する工程) | |
ココナッツキャンディ工場を見学した後は、しばらく民家の間の小さな路地を徒歩で通り抜けていきます。すると、見たことのある風景が目に飛び込んできました。ニッパヤシと呼ばれる植物でできた森の中に狭い水路が通っており、手漕ぎ用の小船が浮かべられています。そしてその脇で船頭さんと思われる方々が待機していました。…おおっ、これはジャングルクルーズだ。またこれを堪能できるとは嬉しい限りですな。 私とヘウさん以外の女性陣は、「こんな小さな船に何人も乗って大丈夫?」「沈んじゃいそう」と、ちょっとビビっていたようですが、そこは経験者の私がうまいこと優しくエスコートであります(←?)。全員が乗り込んだら、いざ日除け笠をかぶってジャングルクルーズに出発です。ニッパヤシの中は静寂に包まれており、船が漕ぐ音だけがキィキィと鳴り響いています。いいですねぇ、この雰囲気。ここの水路を吹き抜ける風はとても涼しく、非常に心地よかったです。
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ジャングルクルーズ | |
ミトーに戻った後は昼食。メコンデルタ名物の料理を食べられるというレストランに到着です。どうやらどのツーリスト会社も利用する有名なレストランだそうで、ミトー市内で外国人なんか全然見なかったのに、このレストランでは外国人だらけでした。しかも日本人ばっかり。おおっ、日本語の会話が普通に聞こえる! ヘウさんによって、6人は座る席に案内されたわけですが、ここで彼がちょっとおかしな行動をしやがりました。まず私以外の女性5人を大きなテーブルの所に座らせると、次に「いのうえサンはこっちのテーブルです」と私一人だけをそこから遠く離れた別のテーブルに座らせようとしたのです。…えっ、何で!? 私も女性陣も理解不能です。…おいおいちょっと、なんで私と彼女らとの席を離すの? こっちは一人で淋しくメシ食えってのかコラ。 私は女性陣から離れた所でヘウ氏を詰問しはじめます。「なんで彼女達と席を離しちゃうの? ツアーが違うから? これじゃ淋しいヨ」。するとヘウ氏は「いやぁ、女性ばかりに男一人だと、きっといのうえサン、ゴハン食べる時に遠慮しちゃうと思いまして…」。…アホウ、余計なお世話だ。そんな気ィ使わなくていいっての。食事は会話しながらの方が楽しいでしょうが。それに、男性は私一人だけに対して向こうは全員女性ですよ。こんなスバラシイ環境はめったにないですよ。それに向こうだって、一人だけ離させちゃったと思うと、逆に気がかりになっちゃうに決まってますよ。…そう私が説得すると、「わかりました」とヘウ氏は納得したようです。というわけで、すぐさま彼女らのテーブルに移動です。「このテーブルで皆さんと一緒にメシ食っていいスか〜?」と私が尋ねると、「どうぞどうぞ〜」と彼女達も快諾です。ほーら、言ったとおりでしょ。ヘウさんは気を使ってくれるのは嬉しいですけど、ちょっと深く考えすぎですよ。そんなわけで無事、6人で楽しく会話しながら食事することができました。
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ここで出された料理は、象耳魚のライスペーパー巻き、バスケットボール大に膨らんだ揚げ餅、野菜入りの雑炊など、他の街ではなかなか口にすることのできないものばかりでした。どれもおいし〜い。
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揚げた象耳魚 | ||||
ミトーでのツアーはこれで終了ということで、ホーチミン市内のそれぞれのホテルに戻ることになりました。でもついでなら、その途中に通るホーチミン市内のチャイナタウン「チョロン地区」も観光してみようという話になり、急遽そちらに立ち寄ることになりました。1時間ほど走って、ホーチミン1区手前のホーチミン5〜6区にあたるチョロン地区に到着です。まずチョロン最大の市場であるビンタイ市場へ向かいます。
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ビンタイ市場 | |||||
実はこの市場、私は以前にも来たことがあるのですが、やっぱり相変わらずの混沌ぶりでした。市場内は商品が所狭しと並んでいるため、通路を歩くのが大変です。またそこにはひどい輩がいて、ただでさえ狭い通路なのに、そこをバイクで駆け抜けようとしちゃってます。さらに市場の外には食べ物の屋台がたくさん軒を連ねていて、そこで飯を食っている人達が大勢です。市場の隣には小さな路地があるのですが、そこにも屋台群がズラリ並んでいて、どこからどこまでをビンタイ市場と呼んでいるのか分からなくなってます。いろいろ挙げましたが、とにかくもうこの市場、何もかもがもみくちゃの状態なのですよ。 …しかしながら、個人的にはベンタイン市場より、こちらのビンタイ市場の方が好きです。ベンタインが観光客向けの市場色が強いのに対して、こちらは地元客向け。地方の市場と同様、本当の活気を味わえるからいいですね。 次にチョロンの最大名所となっているティエンハウ廟に行ってみます。廟の中に入ると、いきなり天井にずらっと渦巻きの線香が吊るされて燃やされているという、そんな不思議な光景が目に飛び込んできました。聞くところによると、これは願い事をかなえるための線香だそうです。願い事を紙に書き、それを線香に貼り付け、天井に吊るして燃やします。1週間ほど経ってこの線香が完全に燃え尽きた時、その願い事が叶うという仕組みなんだそうです。何だかうさんくさい気もしましたが、私も試しに線香を買って天井に吊るしてもらいました。
ティエンハウ廟の内部 (天井には無数の渦巻き線香)
ちなみにこの廟、以前チャウドックにいた時に訪れたバーチュアース廟に非常によく似ています。派手ではないにしろ、神様の顔つきや体型がそっくりです。でもこれまでの史学研究だと、バーチュアースとティエンハウとでは神様が異なるという見解がなされてるようですが…うーむ、どうなんだろ?
チョロンを後にして、ホーチミンに戻ってきました。これで4泊5日にわたるツアーは終了です。他の女性のツアー客とも、そして長く付き合ってくれたヘウさんともとうとうここでお別れとなります。ヘウさんが「どうでしたか、メコンデルタは?」と感想を聞いてきましたが、いやもうなんて答えていいか。非常に濃密なツアーでよかったですよ。メコン河が生む食の豊かさ、田舎での人や街並みの穏やかさ、そして自然の偉大さなど、改めてひしひしと感じ取ることが多かったです。機会があれば、またメコンデルタの街には行ってみたいですね。今度はできることならホームステイとかしてみたいなぁ。
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