§5 もう一度古鎮へ | (朱家角) |
中国滞在3日目。ゆうべ寝たのが深夜2時だったので、今日は遅めの8時起床です。今回泊まったこのホテルは、1泊すると朝食がついてくるとのことなので、朝食とるために食堂まで足を運びます。中国の中〜高級ホテルの朝食というとある程度予想していたんですが、やっぱりそうでした。いわゆる点心を中心としたバイキングでした。うれしいですね、朝からこういったもの好きなだけ食べれるなんて。茶蛋と呼ばれる煮玉子やら、包子やら春巻やらお粥やら何やら…とにかくいろんなものをここぞとばかりに食べまくりました。ホテルのバイキングだからといってバカにはできませんね。おいしーぃ。 朝食後、しばらく上海の街(特にまた豫園周辺あたり)をぶらぶらしてました。都市化が進む上海でも、いわゆる居住区では今でも味のある古い建物が残っています。やっぱりこういう所を歩いてみるのがいいですよね。その国の本質が見える光景ってのが私は好きなんですよ。…とはいっても、上海の居住区もいろんな光景があって、何が本質なのかと問われれば言い返せないのも正直なところですが、少なくとも、庶民の生活が垣間見えるところに私は魅かれます。
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上海には庶民の生活の見れる光景がたくさん残っている | |
ゆうべちょっと金を使いすぎたので外貨の両替をすることにします。連休中ということで、開いている銀行が少なく、探すのにかなり苦労しました。許せなかったのが、いま泊まってるホテルが「両替可能」と看板に書いておきながら、できなかったってことです。また、バンドエリアに集中している地方銀行の本店までもが閉まってて、オイオイふざけんなよって感じです。で、ようやく見つけたのが豫園商場脇の銀行です。やっぱり行列ができており、最終的に両替できるのに1時間もかかりました。現地旅行者も来る時期なんですから、もっとたくさんの場所で開いていてほしいものですよね。ま、これは日本の銀行にも言えることなんですけど。 さて今日は特に予定を決めてなかったので、どうしようかなぁと考えてみます。それで、なんだかやっぱりもう一度古鎮を見たい気分になってきまして、西塘とは別の水郷古鎮に出向くことにしました。そこで私が選んだのは、上海中心部から一番近い朱家角という場所です。前回の西塘では移動に時間がかかったので、今回は比較的ラクに行けそうなところを選んでみました。 朱家角へは、上海体育場という場所に観光専用の路線バスターミナルがあるということなので、まずはその体育場に向かいます。この路線バスターミナル、全部で8本の路線があり、上海中心部の観光地や朱家角古鎮、その他郊外の観光地に直接行くことができます。個人旅行者にとっては便利ですね。また、ターミナルと同じ建物の中には旅行代理店も入っており、即日、水郷古鎮などの郊外観光地のツアーに参加できるそうです(でも日帰りのツアーしかないらしく、ですから私は自力で西塘に行ったんですけどね)。それでやっぱり連休中なのでこのターミナルも大混雑してました。朱家角行きのバスも満席状態でした。バスの車内はムシムシした状態でしたけど、料金が12元という安さだったので我慢です。 朱家角には1時間くらいで到着です。朱家角は西塘とは異なり、かなり観光地化された場所でした。観光バス専用の駐車場があり、ホテルや土産物屋もたくさんあります。また古鎮に入場するのに入場料が必要であり、シクロみたいな乗り物の客引きも多かったです。しかし観光地化されているとは言え、水郷の光景はやはりすばらしかったです。西塘と同様に庶民の生活も守られていました。今日は天気が悪くて、私が古鎮に到着したころには小雨が降りだしたのですが、いやいや、雨の古鎮ってのも結構いい感じかも、って思いました。
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まずは明や清の時代の面影が残るといわれる街中を歩いてみます(北大街というらしい)。ここも狭い幅の道が無数に広がっています。水路に差し掛かる場所では、同じく狭い幅で造られた橋が架けられています。道幅は狭いですけど、船が下を通れるようにある程度高さを考慮して造られています。狭いけどデカイ…何度見ても古鎮に架かる橋は変わってて面白いですね。
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北大街 |
幅が狭くてデカイ橋 |
もちろん船同士がすれ違うのに 精一杯という小さな橋も存在する |
小路の道沿いには伝統工芸品や、おいしそうな食べ物が売られています。ちなみにここでも粽が売られているのを見かけました。もちろん西塘のときと同じように、もち米を包んだものも売られていましたが、ここでは豚の角煮みたいなものも葉で包んで売られていました。「あ、これは絶対うまそうだ」と思ったので購入し、即その場で食べてみました。おお、肉がやわらかい。見た目は濃いですけど、それほど味はクドくなくてウマイです。こりゃ絶品ですな。葉で包まれているということは、粽と同様に携帯食として昔は食べられていたのでしょうか。そう考えると贅沢なお弁当ですね。
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豚の角煮と粽子 (作っているところも見せてもらいました。手際がいいですねぇ)
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朱家角古鎮では大きな運河も見れる |
西塘と違うところは、向こうは小さな水路だけで形成されている古鎮なのに対し、こちらの古鎮は、漕港河と朱柳河と呼ばれる大きな運河と、その2つの運河の間に網の目のように張り巡らされた小さな水路で形成されています。そのため西塘に比べてかなり広く、大きな運河に架かる石橋を見ることもできました。放生橋と呼ばれる橋がそれです。16世紀に造られたそうで、全長72mもあるそうです。この橋すごいですね、この5つのアーチ部分といい、ここまでくると芸術性感じますな。
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放生橋 (スケールでかいです) | |
この放生橋には逸話があります。この橋が造られる前、対岸へ渡るためにみんな船を使っていたわけですが、ある日、対岸の寺へ船で向かおうとした僧侶の母親が、誤って河に落ちてしまい、そのまま亡くなってしまいました。息子である僧侶はその事故を嘆き、二度とこんな悲劇が起こらないよう、この放生橋を建造したのです。そして僧侶は、この建造された放生橋の上から、月に2回、母親への供養の意味で魚を放流しました。この行為が、後に庶民の間にも浸透し、旧暦の毎月1日と15日に住民が魚を放流するという儀式が始まりました。月日は流れ、今では、放生橋の上から魚を放流すると願い事が叶うという伝説に変わったのだそうです。実際、この朱家角の街中を歩いていると、お店のあちこちで、「放生魚」と書かれた看板を見かけます。これは、食べるための魚ではなくて、放生橋の上から放流するための魚を売っているのです(魚の種類はいろいろで、1匹1元くらい)。私が放生橋を渡ってるときも、他の観光客が魚を投げ入れてる光景を見かけることができました。…え、私ですか? いや、迷ったんですけど、結局私はやりませんでしたね。どうせ私の願い事ってのは、「休みくれ」とか、そういう叶いそうにない願い事ばっかりですから。 さて、この後もいろいろと街中をぶらついて、朱家角には午後6時ごろまでいました。ちょっと雨脚が強くなってきて、辺りも暗くなり始めたので、そろそろ上海市内に戻ることにします。今回の朱家角来訪は、もともと計画にはなくて、思いつきだったわけですけど、結果的にはもう一度古鎮に来てみてよかったと思えました。確かに狭い路地があって、入り組んだ水路があって、橋が架かっているということに関してはどの古鎮も同じ光景ではありますけど、何度来てもこの古い町並みの穏やかな雰囲気が私の感性にはたまらなくイイわけですよ。また今度上海に旅行に来たときには、再び古鎮を訪れたいですね。
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またこの雰囲気を味わいに来たい
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どうやら上海行きのバスがもうないとのことなので、上海へはタクシーで戻ります。そして夜はまた上海市内をぶらぶらです。再びバンドエリア行ったり、屋台で夕食とったり、ガイドブックで見つけたバーで飲んだりしてました。飲んだ帰り、また小腹が空いたので、食堂で夜食をとることにしました。中国っていいですね、こんな真夜中でも営業している大衆食堂があるんですもん。それで、私が入ったのは麺類のお店だったのですが、この店はこれまでのスタイルとはちょっと違ってました。レジの隣には、野菜やら、魚やら、肉やら、きのこ類やら、その他具材がたくさん並んでいて、麺の中に入れる具を自分でここから選ぶのだそうです。最初、このシステムが分からなくて戸惑ってたのですが、店の人が私のことを日本人と気付いたのか、親切に教えてくれました。こちらが選んだ具材で麺料理を作ってもらいます。そして出来上がったものを見てみると、どうやら麺も中華麺とは違い、春雨みたいな麺のようです。試しに食べてみると……うまいですねぇ、中国の料理はハズレがないですね。ちょっとピリ辛なのもいい感じでした。
私が食べている間、店の人が気を利かせて、さっきまで店内に流れてた中国のポップスらしき音楽を止めて、なんと日本の音楽に変えてくれました。でも流れた日本の音楽が、童謡の「赤とんぼ」やアニメ「一休さん」のオープニングテーマというのには、少々こちらも苦笑いでしたけどね。しかもちょっと歌詞おかしいし…。一体どこから手に入れたんでしょうかこの音源? しかしながら、こういった現地の方々のちょっとした心配りが、外国人観光客にとってはとてもうれしいことなんですよね。
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