§3  大混雑の豫園 (西塘、上海)

朝も早起きして水郷古鎮に出向きます。以前別の国に行ったときも述べましたが、観光地というのは朝と昼とでは顔が異なる場合がありますからね。見れる機会があるのならば、その両方を見ておかなければなりません。さすがに朝早くだと観光客らしき人はあまりいないようです。その場所に住んでる人しか見かけなかったので、昼間より余計に静かです。朝の雰囲気もなかなかのものですね。

  
早朝の西塘

古鎮近くの食堂で朝食として牛肉麺をすすって、その後はまた古鎮をぶらぶらしてみます。狭い路地を歩いてると、「茶」と書かれた看板のお店が開いてました。どうやら喫茶店のようです。もちろん中国で喫茶店といえば、コーヒーではなくて緑茶です。朝の静かの街並みとは異なり、この喫茶店の中では、現地の人で満席状態になっており、ワイワイガヤガヤと賑やかな光景が見れました。そうか、街中が静かなのは、みんなここに集合しちゃってるからなんですね。できれば私もこの店でお茶をすすってみたかったですが、かなり店内が大混雑してたのであきらめました。

古鎮もいいですが、朝といえばやっぱり市場だろうということで、市場の散策もすることにします。西塘の街に市場なんてあるのかなぁ、街中歩いてたけど見かけなかったよなぁと思ってたんですが、水路が入り組んだ場所とは離れた、車の往来の激しい場所で市場の建物を見つけることができました。さっそく中に入ってみます。おー、いいですね、活気にあふれてますね。

  
西塘の市場

売られているものを見てみます。結構いろんなものが売られているようです。水郷地帯ですから、やはり魚類は多いですが、そのほかにもスッポン、カエル、ヘビ、ナマズなどが売られていました。以前行ったベトナムでもそうですが、中国でもどうやら食えるものは何でも食うという食文化があるようです。すばらしいです、まさに健全な食意識ですね。また魚だけでなく、野菜や肉類もありました。肉は鶏やアヒルが多いようです。その場で皮を剥いで、内臓を取り出して、体の部分別に売っていました。さばいているところをずっと拝見してましたが…うーむ、結構グロテスク。

古鎮や市場を十分散策できたので、そろそろ西塘から次の街へ移動しようと思います。ホテルをチェックアウトし、荷物背負って車の往来が激しい場所にでます。…さて、次はどこに行きましょうか。西塘に行くという目的を果たしてしまい、これから先の日程のことをぜんぜん考えていませんでした。で、いろいろ考えた結果、一旦上海市に戻ることにしました。他の水郷古鎮の街に行ってみてもよかったのですが、何だかアクセスが悪そうだったので、古鎮観光はいったんこれで終わって今度は上海市の街並みを散策することにします。

さて、上海からここ西塘まではタクシー直通で(厳密には2回乗り継いだけど)やってきましたが、ここから上海までは直通で行ってくれるんでしょうか? 試しにタクシー捕まえて、上海駅に行ってほしいと頼んでみますが、遠いという理由で見事に断られました。仕方ないので、最初西塘行くときに経由しようとした嘉善(西塘から南へ10数q)という街に向かうことにします。上海からつながっている鉄道路線の駅があるので、とりあえずここに行けばどうにかアクセス手段は得られるでしょう。再びタクシーを捕まえて、「嘉善站」と書いたメモを見せてみます(站は駅のことを指す)。すると、さすがにこの距離なら行ってくれるようです。おお、よかった。

しばらく走って嘉善駅に到着。駅の中に入ってみると、そこには鉄道ではなくて、大型バスがずらっと並んでました。あれっ、この嘉善駅って鉄道の駅じゃないの? バススタンドなの? どうやら勘違いしてたようですね。でも路線図を眺めてみると、どうやら上海市内行きのバスがちゃんとあるようなので、それに乗ることにします。庶民の交通機関だけあって、上海までは25元で行けるそうです。安い。

上海行きのバスはエアコン完備であり、しかもそれほど混雑してなかったので、快適に移動することができました。ただこのバス、なぜか備え付けのテレビに、カラオケのプロモーションビデオが延々と流れてました。誰か歌う人がいるわけでもなく、まったく持って意味不明です。午後2時ごろ、上海市内のバススタンドに到着です。

上海の観光地というと、真っ先に思い浮かんだのが豫園だったので、まずはそこに向かうことにします。バススタンド近くに地下鉄の駅があったので、そこから地下鉄で豫園から一番近い駅へ(駅名忘れた)。そこからはひたすら豫園まで歩きます。かなりの距離(おそらく4〜5kmくらい)ですが、上海の街並みなども見たかったので、がんばって歩いてみました。昼食を途中でとりながら、ずーっと南に歩いていくと、最初は高層ビルの光景が多かったですが、だんだんといかにも中国らしい建物が見えてきました。おお、どうやら豫園の周りに集まる土産物屋エリアの豫園商場と呼ばれる場所に到着したようです。活気に満ち溢れてますねぇ。

  
「いかにも」ってな感じの街並みになってきました

豫園商場に到着したときには足がヘロヘロになってたので、今日はこの近くで宿泊することにします。たまたま中級ホテルがあったので、そこでチェックイン。荷物を置いたらすぐにまた先ほどの場所へ向かいます。

豫園商場の中に入ってみると…ぬおっ、なんちゅう人の数だ! 休日なので、観光地であるこの場所はどえらい状況になってます。うわぁ、まるで先日の上海駅前みたいです。しかも上海駅前と違って、ここは道が狭いからまっすぐ前に歩くことさえできません。あきらめてホテルに戻りたくなるところですけど、それだと何のためにここに来たのか意味が分からなくなってしまうので、がんばって人を押しのけながら観光しましたよ。

  

  
豫園商場 (ふざけるなというくらいに人が多すぎ)

この豫園商場、ホントにいろんな店があります。食べ物の屋台や中華料理店はもちろん、骨董品屋、お茶っ葉の販売店、中国ゴマなどのおもちゃを売る店、何やらワケの分からない伝統工芸品を売る店など、多種多様です。これに便乗して、路上でもはや豫園の伝統とはまったく関係ないものまで売ってる人たちもいます。最もよく分からなかったのは、野菜のすりおろし器の実演販売をやっている店がありました。…便乗商売もここまでくるとひどいもんです。こんなところで一体誰が買うんだそんなもん。


幸福の木

しばらく商場内をぶらついてると、一つの大木が植えられた広場に出ました。その大木の枝には何やら赤い紐のついたおもりが無数に引っ掛けられていました。どうやらこの木、幸福の木と呼ばれる木だそうで、赤い紐に「家内安全」や「学業成就」などの願い事を書き、その紐を遠くから投げて、見事に枝に引っ掛けることができれば願い事が叶うというものなんだそうです。やってみたかったですけど、ここもまた人だらけでしたので断念です。

人がたくさん集まっている屋台がありました。何の鳥か分かりませんが、とにかく小さな鳥の姿揚げだそうです。日本人にとっては珍しい食べ物なので、試しに食べてみることにしました(1串5元)。鳥の体が折り曲げられていて、見た目はかなり異様ですけど、まあ普通のフライドチキンみたいでおいしかったですよ。ちょっと骨が多くて食べづらい部分はありましたけど。


鳥の姿揚げ

豫園商場の見学はこれくらいにして、本命の豫園に入場してみます。入口前は人だらけでしたが、いざ入場料払って中に入ってみると、人は少なめでした。なんだよ、結局みんなショッピング目当てか。

上海の観光名所となっている豫園、これはおよそ450年前に明代の役人が自分の父のためを想って造った庭園だそうです。現地の観光客も、上海といえばまずここだというくらいに人気のある場所です。ガイドブックをホテルに置いてきてしまったので、どの建物が何という名前なのか分かりませんでしたが、…まあ、そういう問題じゃないです。純粋に美しいと思えればそれでよいのですよ。

  
豫園

豫園周辺には結構長居してました。この豫園を中心としたエリア、昔は外国人の出入りが許されない中国人居住区として発展した場所であり、そのせいか、開発が進む上海の中でも最も中国らしい色を残した場所になってます。中国らしいといっても、水郷古鎮のようなかなり古い街並みとは違い、こちらはどちらかというと、ずっと後の時代である19世紀以降の街並みですけど、いろんな時代の中国の街並みを見てみるという意味では、このエリアを闊歩するのは結構有意義だと思いましたね。


CHINA TOP     JOURNEY TOP     HOME