2年ほど前、とあるシンポジウムで、とある心理学者から、「血液型と性格に関係がある」と思っている人の割合を聞かれました。
これは、だいたいどの調査でも7割程度で、少なくともここ20年ぐらいは変わっていません。
もっとも、細かいことを言うと、女性の方が男性よりも割合が高いようですが、性別に調査したデータが少ないので…。
【再掲】血液型と性格に関係があると思っている日本人の割合
なお、1.2のデータは、草野直樹さんの『「血液型性格判断」の虚実』から引用させていただきました。どうもありがとうございます。
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ところで、なぜ7割なのか不思議に思っていたのですが、やっとうまい説明を考えついたので書いておきます。
オホン。←咳払いの音です。
ところで、この7割の「血液型と性格に関係がある」と思っている人は、血液型別の性格が自分にあてはまると思っていることは間違いないでしょう(調査結果もあります)。
【参考】「血液型本」に関する調査 2008年12月25日発表
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逆に、「関係がない」と思っている人は、自分に当てはまらないからだ、ということになります。
では、なぜ自分に当てはまらないと思っているのか?
ここで、血液型のパイオニア、能見正比古さんに登場してもらいましょう。
人間は、自分のことが一番見えないことが多い。たとえば「あなたは神経質か?」とたずねる。すると、万人が見てブタをもしのぐ無神経な男が、平然として「ぼく、神経質」と答えたりするのである。(『新・血液型人間学』57ページ)
まぁ、これは極端な例ですが、皆さんも経験していることですよね。
つまり、もともと血液型別の性格が100パーセント当てはまる、なんてことは初めからあり得ないのです。
ちなみに、質問紙法による(心理学の)性格検査では、相関係数は0.8程度だそうです。
それと、血液型の影響は、それほど大きいというわけではありません(正確に言うと「効果量=effect size」では中程度)。
それなら、3割ぐらいの人は気がつかなくとも特に不思議ではないでしょう。
なにしろ、県民性があると思っている人はせいぜい半分ぐらいなのですから…。
【参考】県民性のデータ(太字は私)
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なるほどねぇ。
これで、また一つ血液型の謎が解けた…気がします。
念のため、男性と女性の差も調べてみたのですが、かなり差が出ているようです。
ただし、福島県民限定のため、全国のデータと直接比較はできません。
もっとも、最近は脳科学の研究が進み、「性差」を認める人が増えているようです。
まぁ、そういうことで、血液型よりは差は大きいと言ってよさそうですが…。
【参考】男性と女性の差
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ところで、仮に、血液型による性格の差は「思い込み」(確証バイアス)によるものだとすると、非常に無理な説明が必要です。
上で説明した、男女差、血液型、県民性のデータを、差が大きい順に並べてみると次のようになります。
順位 特性
効果量 差があると思う人
1位 男女差 大 全体の8割 2位 血液型 中 全体の7割 3位 県民性 小 全体の5割
男女差や県民性は、「思い込み」だと思っている人は、まずいないはずです。
同じことで、血液型も、「思い込み」による差だということにはならないでしょう。
もしそうだとすると、男女差と県民性は正確に差を感じている人が、血液型だけは「思い込み」による(本来はなかった?)差を感じていることになるからです。
いくらなんでも、これはおかしいでしょう!
つまり、「血液型と性格の関係」は「思い込み」ではない!ということになります。
これは、別のデータ、例えば、「自分の説明書」の大ヒットを受けたアイシェア社の2009年の調査
【参考】アイシェア社の2009年の調査 8割のB型がO型の特徴に当てはまる?血液型診断徹底調査!
[http://release.center.jp/2009/04/1402.html]<調査対象> 有効回答数:367名
調査日:2009年3月25日〜30日
男女比:男性:57.2% 女性:42.8%
年代比:20代:33.8% 30代:30.5% 40代:35.7%
パネル:無料メール転送サービスCLUB BBQの会員
※携帯電話個人認証を利用し個人を特定したパネル
でも裏付けられます。
この調査では、「占いは好きですか」という質問に対して、
回 答
回答率
好き 27.5% どちらでもない 60.2% 嫌い 12.3%
という回答があるからです。
血液型と性格に関係があるという人は、全体の7割です。
なので、どう考えても、「占いが好きな人」より「血液型と性格に関係があると思っている人」の方が多いのです。
もし、否定論者が主張するように、血液型と性格に差があるのは、占いが好きな人の「思い込み」によるということなら、占いにそれほど興味がない人は、血液型にだけ「思い込み」があり、男女差や県民性については「思い込み」は(絶対に?ほとんど?あまり?)ない、と考えるしかありません。
まぁ、そんなことも、絶対にない(苦笑)とは言えないでしょうが、あまりにも不自然で、これらの回答結果をうまく説明することは、まず不可能です。
また、この調査では、「血液型診断は当たっていると思いますか?」という質問に対して、
回 答
回答率
だいたい当たっている 36.2% 血液型と性格は関係ないと思う 63.8%
と回答しています。
実は、この選択肢は少々不自然で、仮に「血液型診断は(あまり)当たっていないが、血液型と性格は(ある程度)関係あると思う」という選択肢があれば、多くの人がマルを付けることでしょう。
しつこいようですが、血液型により性格に差があると思っている人は、全体の7割です。
たぶん、「血液型診断」は占いだから、やむを得ず血液型診断による性格は(あまり)当たっていないので、「血液型と性格は関係ないと思う」と回答したのだと思われます。
#私が回答者だったら、しょうがないのでそうします…。(^^;;
念のため、前出の同じアイシェア社の1年前(2008年)の調査では、血液型と性格に関係があると思っている人は、ほぼ7割です。
1年でそんなに数字が変わるわけがありませんしね…。
ということで、血液型だけが、占いの好きな人を中心に、ものすごい「思い込み」があるんだ、というのは明らかにおかしいと言わざるをえません。
どう見ても、「血液型と性格の関係」は本当の差であると考えるのが一番妥当な結論でしょうね。v(^^)
皆さんはどう思いますか?
さて、以上はマクロな分析ですが、個々人について分析するミクロの分析でも、ほぼ同じ結果が出ると思います。
他力本願の私としては、誰かがやってくれないかなぁ、と心から願っているところです。(笑) -- H24.8.28
【H25.11.4追記】
ブログ上のnさんと議論していて思いついたのですが、実はミクロの分析も可能なことがわかりました。
これで、少なくとも心理学的には、「本当の差」であることがほぼ確実になったことになります。
まさに、窮すれば通ずですね。
やった〜〜!!v(^^)