記事が入手できたので、ちょっと読んでみました。それはこれです!
Joseph Treen with Yuriko Hoshiai, 'Typecasting' -- By Blood, Newsweek, April 1, 1985.
この記事は、肯定・否定論者のどちらにも何回から取り上げられている、日本の血液型ブームを揶揄している記事です。いくつかの不正確な内容が含まれていることが問題なのですが…。
まず、血液型の特徴ですが、
この記述は、AB型については明らかに間違っています(笑)。他の血液型でも、当たらずと言えども遠からずという感じで、ちょっとねぇ…というのが正直な感想です。例えば、B型は個人主義的ということですが、拘束されるのが嫌いなだけで、他の面では必ずしも「個人主義的」ではないのです。そして、B型だけが創造的かというと、決してそんなことはありません。ただ、今までの考え方にはこだわらないということです。この場合は、「創造的」という言葉の定義にもよるのでしょうね。
明らかにおかしいと思われる記述もあります。
Some Japanese talkshow hosts select their guests by blood type and school girls put stickers on their book bags announcing theirs.
何人かの日本のトーク番組のホストはゲストを血液型で選ぶし、女子生徒は血液型を書いたステッカーを鞄に貼っている。
Departsment stores sell underware bearing A, O, AB or B -- in scarlet letters, of course.
デパートでは、A、O、AB、Bの文字が書かれた下着を売っている−−もちろん[血液の色である]赤い文字で。
今となっては本当かどうか確認しようがありませんが、仮にこういう事例があったとしても、非常にまれなことだと思われます。私はどれも初耳です。いずれにせよ、こういうことが代表例として書かれているのでは、記事の信頼性に疑問を抱かせることにもなりかねません。
他の内容についてはもう少し客観的なものもありますが、だいたいがこんな調子で、全体的に日本人を揶揄している内容と言ってもいいと思います。
"There is absolutely no scientific basis" (科学的な根拠は全くない)とも書いてあります。しかし、この「科学的な根拠」に統計が含まれているかどうかは、この記事を読んだだけではなんとも言えません。もっとも、当時の日本に関する記事としては普通のもので、血液型だから特別扱いということはないようです(つまり、「タブー」ではありません)。私はそういう印象を受けました。
しかし、最後の方に紹介されている、否定論者の反論の内容は相変わらずのようです。国会議員と犯罪者の両方にO型が多いのはおかしい、とか血液型は何十種類もあるから性格を決めつけることはできない、血液型は動物や植物にもある、とか…(私の反論はここでは省略します)。
実は、この記事のミソは一番最後にあります。
But so far such criticism has in vain -- for good reason. Everyone knows the critics are just a bunch of quarrelsome , childish, power-hungry O types anyway.
しかし、現在までのところ、そういう[血液型についての]批判は[全くの]無駄であった−−それにはちゃんとした理由がある。[血液型のことを]批判する人たちは、議論好きで、子供っぽく、権力に飢えたO型であることを、[日本人の]誰もが知っているからである。
要するに、日本人は血液型を信じている非科学的(?)な人種であるが、血液型を批判する学者達も、「議論好きで、子供っぽく、権力に飢えた」人達だから、正確な反論(?)ではなく、どっちもどっちだということです(笑)。アングロサクソン一流の皮肉が効いていて、私はここで思わずニヤっとしてしまいました。
#なお、否定論者の多くはO型ではなくA型のようです。
結局、外国人(欧米人)から見た日本の血液型ブームについての感想としては、かなりポピュラーな記述であることがわかります。私の知る限り、他のケースも似たようなものですから…。割と正確なのは、ダダモさんの本ぐらいでしょうか。(^^;;