イギリス料理の真髄
現在、老輩は73歳。このページは青年時代に読んだ、イギリスの肉料理の真髄を説明するものです。下記の文章の中には含蓄に富んだ料理の真髄が含まれています。

世界の料理 イギリス料理

著者 エイドリアン・ベイリー
編集 タイム ライフ ブックス編集部
日本語版監修 江川トミ
1972年発行

P60
18世紀のイギリスは、食べ物が美味しいことで有名であったが、イギリス人が、焼き串の代わりにオーブンで肉を焼くようになってから、味が落ちたといわれる。この意見は無視できない。
肉は炎で直火で焼くのが、最も自然で、最も美味しい。先史時代のあるじきに、生のままで食べるよりも焼いた方が身がしまって食べやすいし、香りも味も良くなることに気づいた。新石器時代に入って、肉を棒に刺して焼けば、焦げた木片や石炭がくっかなくて具合が良いことがわかり、焼き串を使う方法が生まれた。

以下はこの老輩の私感です

健康志向で「赤身のビーフステーキ」や「赤身のビーフミート」が世間でブームだと謂います。老輩には、「日本にも赤身肉の良さがわかる時代が到来!」と謂う思いがするのです。と申すのも、今を去る四十年前、仕事でアメリカに出向く折、美味しいステーキに魅了され、滞在中はあさなゆうなにステーキを堪能いたしました。ヨーロッパの出張の際も、やはり、ステーキを常食としました。つまりは、ステーキを常食として、北半球を動き回っていたわけです。その経験から総括すると、米国では、田舎の小さなレストランで食べても、大都会のステーキハウスで食べても、美味しい、ステーキに遭遇することが出来たのです。乏しい知識のなかでの結論ですが、放牧する牧草の関係(例えば牧草に混じる豊富なハーブのたぐい)で美味しい肉が出来るのではないかと思うようになりました。食べた時に、口中に広がるビーフの味と香り、酸味を含む独特の風味。この源がこの事によるようにおもえるのです。先日、久しぶりに孫が帰ってきて、今、東京で流行りの立ち食いステーキ店での感想を話してくれました。「ジージ」の焼いてくれるステーキとは全く異なる次元のモノで、立ち食いの店のステーキは味もそっけもないモノであったと謂う。その話を聞いて、感慨しきりなのであります。「風雪40年・・・・・、ようやくにして時代が追いついてきた!」と思う、今日この頃なのであります。

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