ものもうす

    敬老パス  2012/4/3

先日、大分市役所から《高齢者ワンコインバス事業のご案内》をいただいた。
市内に1ヶ月以上居住する70歳以上の高齢者がバスを利用する際に「ワンコ
インバス乗車証
」を使用することで、 市内1乗車一律100円の利用者負担額
で乗車できるとのお知らせでした。
来る4月25日は私の誕生日、薬要らずの身ながら遂に70歳を迎え高齢者と呼
ばれることになった。 高齢者であるがゆえに一律に社会福祉の恩恵を受けて
もいいものだろうかと思うと、素直に喜べない気持ちもある。ワンコインバ
ス乗車証を使い高齢者があちこちに出かけ遊び上手になり楽しくお金を使え
ば故郷の経済が潤うのでメデタシ、メデタシとなれば言うことはない。しか
し、そう簡単に思い通りにはいかず、大分市の財政を圧迫するのではないか
と気がかりである。

  「怒り買う案だが・・・」敬老バス見直し 
読売新聞4月2日(月)7時29分配信のインターネットニュースに目が止まっ
た。
大阪市の橋下徹市長は1日、70歳以上の市民が無料で市営地下鉄・バスを
利用できる「敬老優待乗車証」(敬老パス)制度を見直し、 半額の自己負担
を利用者に求める代わりにJRや在阪の私鉄でも利用可能にする方針を明ら
かにした。大阪市は約35万人が利用、その運賃相当額年約80億円を肩代わ
りしているが、数年後には年101億円に膨らむ見通し。他都市の制度は半額
負担や所得制限のあるケースが多く、所得にかかわらず無料を維持している
のは全国の政令市で大阪市だけだ。ニュースの概要は以上の通りである。

大阪市に比べれば大分市の敬老パスはさほどの優遇ではないかとも思うが、
それにしても一律に恩恵を受ける是非を考えてみる必要がある。
「お金持ちほどケチ」という言葉を聞くが、見渡すと高齢者とうかがえる大
企業の社長、国会議員、官僚など高額所得者でさえ年金や高齢者優遇をちゃ
っかり受けている。
当たり前の話ではないかと言われれば反論は難しいが、人間愛、人々との絆
を深める社会の実現を望むのであれば 「それでいいの?」 と問うてみたい。

日本の金融資産1500兆円、そのうち700兆円を高齢者層が保有している。
戦後の辛酸をなめながら日本を復興した功績の証しでもある700兆円だと言
える。享楽を求めるだけの社会を戒める700兆円でもある。苦労して貯めた
お金は使えないものであるが、生きたお金の使い方をすることがこれから本
番である。政治の混迷中、助け合う精神を忘れたままでいると、今に国債も
紙屑になり、高齢者が保有する700兆円の大半は消失してしまうかもしれな
い。
国民一人一人が何ができるか〜今こそ考えて行動をなす時ではないだろうか。

大分市の「ワンコインバス乗車証」の利用対象者の年齢が65歳以上に改正
 され、 2013年7月1日に実施されました。

「長寿応援バス」に呼称が変更され、料金が150円となり2019年10月1日
  に実施されました。



随 想 Essay