親愛なるペン・コルドウエル君へ

加藤 一子 

私たちの首都東京はあなたの目にはどのように映りましたでしょうか。ディズニーランドで一日遊べたらどんなに良かつたでしょうに。残念でしたね。今直江津駅であなたから戴いた品々を眺めながらこれを書いています。生徒たちはオーストラリアのコインと紙幣を見せたところ、この女性は誰かと聞きますので、かんたんなオーストラリアの歴史を話し、エリザベス女王だと話しました。私は、以前中学校で社会科を教えていたので、こういうことならかんたんです。 

ところで、戴いた帽子を見て驚きました。オーストラリア大陸の真ん中にCALDWELLとファミリーネームの入ったマークが付いているではありませんか。日本列島の真ん中に家名を書いたマークを使う日本人はいるだろうかと、生徒たちと大いに感心いたしました。 


歓迎会でのベン君と日本の中学生
 

さて上越では、何を一番楽しんでいただけました。春日神社のお祭りでしょうか。フイービーちゃんが法被を着せてもらって楽しそうに山車を担いで90段の階段を上がりましたね。神社の境内を神興が走り回るのも勇壮なものだったでしょう。ノーなどと言わずに、あなたも山車を担がせてもらったら良かったのに。 

とても短い滞在でしたから、あなたと十分親しめなかったのが心残りです。せめて一週間いられたら、冷蔵庫だって自分から開けられるようになるのにね。 

とても上手に布団を敷き、クローゼットに片付けていましたね。部屋をのぞいたら、寝室からテレビのある部屋の方へ布団を引っ張って来て、布団の中でテレビを見ていたのはちょっとおかしかったです。 

私にも生徒たちにも英語はとても難しいのですが、いっそう勉強して、今度またあなたの国の人達にお会いするチャンスがあったら、その時はもう少し話せるようになっていよう皆で話し合いました。あなたも大好きな数学を勉強して、将来の化学者を目指して頑張ってください。 

ひとつお願いがあります。上越のホストファミリーの名前を尋ねられたら、知らないなんて言う前に、私が渡したカードを見て、加藤と言ってくださいね。あなたに大坂のお家のお名前を尋ねた時、"I don't know."といわれたのは、いささかショックでしたから。さようなら