モルゲダール日記17

革靴はテレマーカーを育て、
プラ靴はテレマーカーを進化させる。

(H18.1.28 国見岳スキー場にて)

 この話のきっかけは長年履き慣れた革靴(テレマークスキー用)のゲーター(防水用のカバー)を外した時に始まります。その靴は自分の足の形にあわせて変形し、踵を上げる時に折れ曲がる部分には皺が深く刻み込まれていて、一見するとグロテスクではあるものの、「いつの間にか自分専用の靴になっていたんだな〜」と胸を熱くさせてくれたのです。
 最初の頃はいろんな所が窮屈で「こんなに痛い靴なんか捨ててしまおう(怒)」とまで思ったこともありましたが、繰り返し履き続ける内にいつの間にか足にフィットし、「可愛い奴」に変わっていました。

使い込みの歴史がある
 あまり履き込んでいない革靴と比べるとその差は一目瞭然で、自分のテレマーカーとしての歴史を感じることさえできるような気がします。至る所に傷が入り、コバの部分もすり切れ気味ですが、今ではプラブーツ(プラスティック製のテレマークシューズ)から履き替えても、あまり違和感を感じないくらいに滑走することができます。(つまりプラブーツでも大した滑りはできない^^;)

プラブーツ至上主義
 ゲレンデを格好良く滑ったり、パウダーを軽快に跳ね滑るにはプラブーツにファットスキーが便利です。もしプラブーツがなかったら、自分のテレマーク滑走技術も今ほど上達しなかったでしょうし、現在販売されているプラブーツであれば、「踵の上がりも自然で、軽く、濡れない」と3拍子そろっているので、これを使用しない手はないでしょう。さらに最近のサーモインナーであれば革靴で痛い思いをすることなく、足にフィットする靴が手に入ります。
 もしプラブーツが革靴より優れていない点があるとすれば、それは「耐久性」くらいだと思います。(革靴を一生物と考えれば・・・の話です。)
 プラブーツの良いところは前述の3拍子の他に、「ねじれが少ない」という革靴にはありえない長所があります。革靴では絶対にできないと思った滑り方が、プラブーツではできるのです。もはやプラブーツに死角はありません。

懐古主義?
 では、なぜ今、革靴で滑るのでしょうか? 懐古主義?確かにそれもあるかもしれませんが、これはなぜテレマーク・スキーをやりたくなったか?といことに尽きると思います。
 「雪山で格好よく滑るテレマーカーを見ました。自分もやってみたい!」
 
という人は迷わずプラブーツです。私の場合は、
 「ゲレンデでかっちょわるいテレマーカーを見ました。何が楽しいんだろう?」
 
が原点かもしれません。見た目はとてもかっこわるく、でも転んでも転んでも立ち上がってニヤニヤしてしまうスキー。相手は回りにいるスキーヤーではなく、大自然だからかっこわるくても問題ないのでしょう。要は大自然をやっつけられる技術なのです。そういう技術を手に入れたくてテレマーク・スキーを始めたのです。分かりました!プラブーツで上手に滑れてもなにかしっくりこないのは、なんだか大自然に対してインチキしているような気になってしまうからです。

では、なぜプラブーツ?
 では、なぜ今、プラブーツででも滑るのでしょうか?やはりゲレンデではアルペンスキーヤーやボーダーが相手だから、かっこよく、負けないような滑りがしたいから?確かにそれもある(いや、それがほとんど)かもしれませんが、やはり技術は革靴だけでは手に入れるのが難しいからだと思います。
 前述のとおり、プラブーツでは革靴の時には出来なかった滑りが出来ます。しかし、プラブーツでいったん手に入れた技術は革靴に応用できるのです。
 「基本的にはプラで出来ることは革でも出来ます。」
 
そう、プラブーツは滑りの技術を進化させてくれ、それを革靴に応用させてくれるのです。ただし、その技術を本当に自分のものにするには、自分の体と同化したような革靴が必要になります。

そして、国見岳スキー場
 自分の体に同化したと言える革靴はまだ一足だけ。現在持っている革靴は6足くらい・・・。まだ体が元気な内に、自分の体にあった靴を増やしていきたいと思い、国見岳スキー場に「ガルモントのコンビ+」を持ち込みました。この靴が完全に自分の物になると、春山では登りも非常に快適になると思ったからです。
 そして、スキー場の重たい新雪に突っ込んで行った瞬間に分かりました。

 「革靴はテレマーカーを育てるんだな〜」

 ゴマカシが利かないのです。自分の弱点が分かります。例えば「右ターンが上手くいかず、すぐに左ターンに移ってしまうこと」など、プラブーツだったら分からなかった欠点が明らかです。ここはこれくらいの加重が必要かな?とか、足の指の1本1本にまで神経を使います。凄いです。プラブーツでの練習で滑りに余裕ができたから、ここまで分かるんだと思います。
 そして、気を抜いた瞬間に転倒!面白いです。多分、周りで見ていた人は「かっちょわり〜」とか思って見ていたのでしょうが・・・。この楽しさを見ているだけの人に伝えるのは難しいのです。

自分のものにしたい!

終わりに
 結構、挑戦的な内容になってしまい、古くからテレマークをされている方には、「このひよっこが、なに生意気な事を言ってるんだ!」と思われたかと思いますが、テレマーク歴7年目の境地をとりあえず記録に残しておきたくて、作成しました。お許しください。
 あと数年後、どういう境地に至っているかとても楽しみです。果たして続けていられるのかも・・・(^^;

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