モルゲダール日記2

テレマークとの出会い

 このページはテレマークという不思議な世界に踏み入れることになった「きっかけ」から、何とか滑れるようになった頃までの、不思議な経験を少しずつ記録したものです。

その1 「ファースト・コンタクト」 (H14.3.10公開)
 初めて「テレマーク」という言葉を知ったのは六甲山人口スキー場でのことでした。
 確か平成9年のクリスマスの頃、当時はアルペンスキーだったジョニーと私は、六甲山の短いゲレンデをコマネズミのように滑っていました。そのとき、ジョニーが私の肩をたたき「あれ、テレマークだよ」と一人のスキーヤーを指さしたのです。その人が私が初めて見たテレマーカーでした。
 しかしテレマークの第1印象は「かっちょわりー、だっせー」の一言につきました(^^;その人は、周りが派手なスキーウェアを着ている中にあって、地味な山登りの服装にリュックを背負い、今にして思うとクラシカルな滑りで滑っていたのです。「なんで、歩くスキーでゲレンデを滑るの?しかも、変な滑り方・・・」って感じた以外には特に興味もわくこともなく、ファーストコンタクトはそれ以上の進展もないまま、しだいにテレマークという言葉は私の意識の底に沈んでいったのでした。

その2 「アウトドア・ライフ」 (H14.4.6公開)
 テレマークスキーを始めるきっかけとなった本があります。
 平成10年の春、屋久島の「宮之浦岳」に登る事を最終目標に山登りを再開した私は雑誌BE-PALで有名な「シェルパ斉藤」さんの本に感化されました。中でも「213万歩の旅 (東海自然歩道1343kmを全部歩いた!)」は、私の山登りのイメージ(本の内容は正確に言うと山登りではないのですが)を完全にうち砕いてくれた画期的な本でした。私の単独テント泊行はこの頃に確立されたと言っても過言ではありません。
山歩きのバイブル 話はそれましたが、シェルパ斉藤氏のこの本にスキーに関して次のような話が出てきます。

 「・・・猫も杓子もスキーといった現状と、その画一化されたゲレンデのシステムが、なんだかアホらしく感じてきたからだ。みんな同じフォーム、同じスタイル。ガチガチに締められた足をスキーから逃げられないようにがっちり固定され、機械に乗せられて、決められたコースを下りてくる・・・・。なんだか工場みたいな気がする。」

 まさに今まで思っていたことが文章になって現れたかのような衝撃でした。つづく文にクロカンスキーについて次のように氏は語っておられます。

 「固く締まった雪面に立ち、ビンディングに靴をセットした。とたんに、ふわふわとした浮遊感覚を味わった。かかとが浮くせいもあるけど、急に自分の体が軽くなって、雪の上に浮かんでいるような気がする。雪面を滑るというより、雲の上に浮かんで進んでいるみたいだ。スイスイとスキーが前へ出ていく。(中略)アルペン・スキーとは正反対の感覚だ。すべてに解放されたようで、どこまでも歩こうという気になってくる。」

 この一文を読んだときに、私のテレマークへの第一歩がはじまりました。
 「かかとが浮くスキーを『ヒール・フリー』とはよくぞ名付けたものだ。ぼくはこのスキーを『フィール・フリー』と呼ぶことにする。」

その3 「奇蹟のスキー」 (H14.4.15公開)
 本当に奇蹟なのですが、ジョニーもテレマークをはじめてました。
 テレマーク・スキーへの想いは、シェルパ斎藤氏の「行きあたりばっ旅 第2章 奥志賀林道スキー・ツーリング」を読んで決定的となりました。何とか雪山を滑りたい!こんな事を考えながらジョニーと話をしていたときに奇蹟が起きました。。。。
  「まだ転けてばっかりですけど、今年からテレマーク・スキーやってますよ」
 なんて事でしょう、奇しくもテレマークに初めて出会った時に一緒に滑っていたジョニーがテレマークをやっていたとわっ!
 こうして私のテレマークへの第2歩がはじまったのです(^^;

その4 「道具選び」(H14.4.26公開)
 なぜか最もテレマークターンの修得が難しい道具を買ってしまいました。
 これまで述べてきたように、私のテレマークの原点は山登りであり、テレマークは山登りをするための道具であるというイメージでした。この目的に沿って何の知識もないまま買いそろえたテレマークセットは、完全ライト・ツーリング仕様でほとんどクロカンスキーのようなものとなってしまったのです。

初めてのテレマーク・セット
 「歩きがメインです」と店員に相談したのが悪かったのです。「登りがメインです」って相談すれば滑降にも適したスキーを薦めてくれたに違いありません。じゃなきゃ、あんな板誰が初心者に買わせるものですか!!!
 テレマーク・ターンをはじめるには有り難くない3つの性格(細板・ダブルキャンバー・ステップソール)をもつスキー板に考えられる限り最も軽量でローカットな(^^;革靴。しかし、その時はこの道具でテレマークターンをするのが如何に困難であるかを知る由もなく、「むふむふ(^^)こんなに軽いくて細いスキーで滑れたらとっても気持ちいいだろう。」なんて板を担いだ帰りの電車の中で笑みを抑えることができなかったのでした。

その5 「アストロ・デビュー」(H14.7.25公開)
 初めてのテレマーク体験は夏の比叡山アストロ(人工芝)スキー場でのことでした。
 早くテレマークスキーがしたかった私に、夏の比叡山でスキーができますよって情報を持ち込んだのも、のちに教祖となったジョニーでした。それならば!と乗り込んだアストロスキー場で私はテレマークの難しさとおもしろさを骨の髄まで味わうことになったのです。
 今考えれば、初心者が人工芝スキー場でそれも革靴・細板でまともに滑れるはずもありません。しかし、不思議な事に「もうやるかい!」って気持ちは全くおきず、「いかにしてこの難しい滑り方をマスターしてやろうか?」という気持ちで、心は燃え始めたのです。この時、私はフリーヒーラーとして覚醒したのだと思います。
 テレマークの良さって、なによりも、足が軽い!ってことでしょうか。リフトに乗っているときにはアルペンスキーだと足がちぎれそうなくらい下に引っ張られますが、そんな感覚はゼロ。歩くのもこんなに楽でいいの?って感じで、アルペンスキーで不満だった足をガチガチに締め付けられる感じが全くありませんでした。その代わり滑るのは・・・・グラグラしてボーゲンすらまともに滑れませんでしたが(^^;。
 踵を固定する代わりに失ってしまったたくさんのものを、自由な心を、テレマークスキーは返してくれました。

その6 「八尾テレマーク研究会」(H14.9.4公開)
 「アストロ(人工芝)で滑れなくても、雪の上でなら滑ることができるだろう。」なんて、甘い期待はH11.12.11の箱館山スキー場にて木っ端微塵に吹き飛ばされました。ターンどころか、荒れた雪面では真っ直ぐさえ滑れなかったのです。
 スキー場のトップから転ばずに下まで降りることもできないまま、ますますテレマークにはまっていく自分。どうしてでしょうか?それは道具に滑らされているアルペンスキーとは違い、もし滑れるようになったら自分の技術だけで滑べってるという達成感があるからか、いやそれよりも「ただ単純に気持ちいい」ってことでしょう。転けることすら楽しいスキー。1日数十回の転倒により全身打撲になっても、次の滑走を楽しみに夢見てしまうこの感覚を言葉で表現するのは難しいものです。
 革靴でのテレマークターンは、ちょっと気を抜けば転倒してしまいます。これはFRの車で峠をドリフトしている感覚に近いものです(私はドリフトなんてできませんが・・・・^^;)靴から伝わってくる雪の感触を足裏で感じながら微妙に姿勢を入れ替えていく事により、繊細なテレマークターンは完成します。まさにテレマークスキーは私にとって奇蹟のスキーでした。
 踵を解放するだけで心まで解放してくれるスキー。この楽しさを何とかしてみんなに伝えたい・広めたい、そのころから八尾テレマーク・クラブのインスピレーションは私の体を駆け抜けていたのでしょうか?

最終回 「進化した道具〜テクニック」(H15.2.21公開)
 ふにゃふにゃした靴に細長い板。現在こんな道具で滑っている人をスキー場で見かけることは少なくなってしまいました。
 確かに、プラブーツ+幅広の板で自由自在に雪原をテレマーク滑走するのは快感です。もしかすると、現在の道具であればアルペンスキーよりもテレマークスキーの方が限界は高いかもしれません。テレマークターンは踵をあげられる機能により一端技術をマスターしてしまうと、アルペンよりも踏ん張りが利くために新雪・深雪では自由なラインを描くことが可能なのです。
 細板と革靴にこだわったテレマーク技術でしたが、ゲレンデでアピールするために過激な滑りをするのであれば、すぐに限界にぶち当たってしまいます。スキーの原点から始まったテレマークの研究も、技術の早期マスターのためには進化していかなくてはいけないのでしょうか?プラブーツ+ファットスキーで滑ることも、シーズンの短い関西における年間の滑走日数を考えると、やむを得ない事と割り切りプラブーツとアルペン板に手を出してみました・・・・しかし、うまく滑れても何か満たされないものが心の底に残るのです。いつの間にかアルペンスキーのようなガチガチのテレマーク靴と重たい板でゲレンデを滑走している自分に気づくとき、テレマークの楽しさの原点は細板&革靴だったのではと・・・・。
 何かに行き詰まったときは、細板+革靴+一本杖で雪の中を転げ回って、頭を真っ白にしてみましょう。「格好悪くてもいいじゃないですか!」
 これが私のテレマーク・スキー「モルゲダールスタイル」です。
 (ご愛読ありがとうございました。)

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