- Eigenfunction expansions for symmetric systems of first order in the half-space
R+n, Publ. RIMS, Kyoto Univ. 11 (1975),
67-147
修士論文の結果を拡張したもので、一様伝播系の定常問題である1階定数係数対称系を半空間において考えて、
境界の法線方向の特性根が実なら高々2重根でかつ重根はただ1つという仮定の下で、maximally conservative
な境界条件を課して、広義の固有函数による展開定理をあたえた。これは、Fourier 反転公式の一般化になっている。
証明には、スペクトル理論の手法のほかに Lopatinski 行列式の解析等が必要になる。
戻る
- Propagation of singularities of the fundamental solutions of hyperbolic mixed problems,
Publ. RIMS, Kyoto Univ. 15 (1979), 653-678
半空間における定係数双曲型混合問題に対して、それが C∞-適切である
という条件のみを仮定して、基本解の波面集合の内側からの評価と解析的波面集合の外側からの評価を与えた。
これらの評価は、双曲型函数(双曲型多項式及び Lopatinski 行列式)の localization から代数的に定義される集合であり、
Cauchy 問題における Atiyah-Bott-Gårding の結果(を超局所化した結果)を混合問題の場合に拡張したものに
なっている。
戻る
- The Cauchy problem for operators with constant coefficient hyperbolic principal part
and propagation of singularities, Japan. J. Math. 6 (1980), 179-228
主要部が Gårding の意味で双曲型である定係数作用素の基本解(一般に ultradistribution)の Gevrey 波面集合
及び超局所的にどの ultradistribution の空間に属するかを意味する一般化された波面集合の評価を与えた。また、
低階が変係数作用素であるとき、Cauchy 問題を C∞・distribution 及び Gevrey
class・ultradistribution の枠組みで考えて、適切になるための必要十分条件を与えた(Gevrey class では係数が解析
的であると仮定)。さらに波面集合についても定係数の場合と同様の結果を得た。
戻る
- A necessary condition for the mixed problem to be C∞
well-posed, Comm. in PDE 5 (1980), 1031-1064
Cauchy 問題における Lax-Mizohata の定理(C∞-適切なら主部は双曲型)
を初期−境界値混合問題に拡張した。一般の高階システムに対する混合問題に対して(自然な仮定の下で)、それが
C∞-適切であれば、フリーズして得られる定係数作用素の主要部に対する
混合問題が C∞-適切であること、すなわち、この問題に対する Lopatinski
行列式が坂本氏の定義した意味で双曲型であることが必要であることを示した。
戻る
- Singularities of solutions of the Cauchy problem for symmetric hyperbolic systems,
Comm. in PDE 9 (1984), 1147-1177
双曲型函数に関する基本的補題の証明が与えられていて、generalized Hamilton flow (generalized bicharacteristics)
の性質を調べている。Ivrii の結果を用いて対称双曲系の Cauchy 問題の解の特異性の伝播を考察し、特性根に関して何の
条件も課さないで、解の Sobolev 空間及び C∞ での波面集合を generalized Hamilton
flow を用いて評価した。
戻る
- Singularities of solutions of the Cauchy problem for hyperbolic systems in Gevrey
classes, Japan. J. Math. 11 (1985), 131-175
generalized Hamilton flow の基本的性質の証明が与えられている。一般の高階双曲系に対する Cauchy 問題を、
その特性根の重複度から定まる指数以下の Gevrey 族の枠組みで考えて、generalized Hamilton flow を用いて Cauchy
問題の適切性を示し、解の特異性の伝播定理を与えた。
戻る
- The hyperbolic mixed problem in Gevrey classes, Japan. J. Math. 15 (1989), 309-383
(with K. Kajitani)
Gevrey 族において双曲型作用素に対する混合問題を考え、ある指数以下の Gevrey 族で混合問題が適切であることを
示した。Bronshtein が双曲型作用素に対する Cauchy 問題が特性根の重複度から定まる指数以下の Gevrey 族で適切で
あることを示したが、この論文では混合問題に対しても同様のことがいえることを証明した。
戻る
- Propagation of singularities for several classes of pseudodifferential operators,
Bull. Sc. math., 2 serie 115 (1991), 397-449 (with K. Kajitani)
擬微分作用素の方程式の解の C∞ 及び Gevrey 族での超局所一意性定理及び特異性
の伝播に対する一般論を展開して、応用として今まで得られていた結果及びその拡張の簡単な証明を与えた。さらに、
2重特性的な場合に C∞ における特異性の伝播定理を今までの結果に比してかなり
弱い仮定の下で示した。
戻る
- Microlocal a priori estimates and the Cauchy problem I & II, Japan.
J. Math. 19 &20 (1993 & 1994), 353-418 & 1-71 (with K. Kajitani)
I では一般の高階双曲系に対する Cauchy 問題を C∞ の枠組みで考えて、
C∞-適切であるための十分条件に関する一般論を与えた。システムがある種の超局所
アプリオリ評価を満たせば C∞-適切であることを示した。
IIではIで得られた結果の応用として、(i) 超局所的に斉次正準変換によって主部が定係数である作用素に変換されるもの、
(ii) effectively hyperbolic を含む2重特性的作用素、及び(iii) effective hyperbolic を一般化したもの、これら3
つのタイプの双曲型作用素に対して超局所アプリオリ評価を導き、C∞-適切性を証明した。
戻る
- The Cauchy problem for hyperbolic operators of strong type, Duke Math. J. 75 (1994),
353-408 (with K. Kajitani and T. Nishitani)
上の Japan. J. Math. 20 に掲載された論文で effectively hyperbolic を一般化した双曲型作用素を考察したが、
そこでは時間函数が2個以上現れるときそれらが包合的であると仮定した。この論文では、
「包合的」という仮定を除いて結果を完全なものにした。
戻る
- Classical Microlocal Analysis in the Space of Hyperfunctions, Lecture Notes in
Mathematics, vol. 1737, Springer, 367pp, 2000
C∞・Schwartz 超函数の枠組で用いられていた方法を、佐藤超函数及び解析的係数をもつ
偏微分作用素の研究に適用するために、Schwartz 超函数の枠組における超局所解析にパラレルな形で佐藤超函数における
超局所解析を確立した。
戻る
- The Lax-Mizohata theorem for nonlinear Cauchy problems, Comm. in P. D. E. 26 (2001),
1367-1384
一般の非線形偏微分方程式系の初期値問題に対して、Lax-Mizohata の定理を一般化した。すなわち、非特性初期値問題が
C∞-適切(安定)ならば、主部が双曲型であることを示した。
戻る
- Remarks on analytic hypoellipticity and local solvability in the space of
hyperfunctions, J. Math. Sci. Univ. Tokyo 10 (2003), 89-117
解析的シンボルをもつ擬微分作用素が解析的準楕円型ならば、その転置作用素は局所可解であることを示した。
戻る
- Local solvability of operators with principal symbol
ξ12
+…+ξn-12
+xn2ξn2
in the spaces of distributions and ultradistributions, Funkcialaj Ekvacioj 48-3 (2005), 453-487
表題の作用素の ultradistribution 及び distribution の空間での局所可解性を考察し、その十分条件と必要条件を与えた。
戻る
- Remarks on solvability of pseudo-differential operators in the space of hyperfunctions,
J. Math. Sci. Univ. Tokyo 13 (2006), 595-616
解析的シンボルをもつ擬微分作用素が、解析的特異性の伝播に関するある条件を満たせば、その転置作用素が局所可解になること
を示した。これは微分作用素に対する Cordaro-Trepreau の結果を擬微分作用素に拡張したものである。
戻る
- On the Cauchy problem for hyperbolic operators with nearly constant coefficient principal part,
Funkcialaj Ekvacioj 51 (2008), 395-430
超局所的に斉次正準変換によって、ファイバー変数のみに依存するシンボルに変換される主シンボルをもつ双曲型作用素の Cauchy
問題が、C∞-適切になるための必要十分条件を与えた。主部が定数係数である双曲型作用素や重複度
一定である双曲型作用素等を例として含む。
戻る
- On the Cauchy problem for hyperbolic operators of second order whose coefficients depend only
on the time variable, J. Math. Soc. Japan 62-1 (2010), 95-133
係数が時間変数のみに依存する2階の双曲型作用素の Cauchy 問題がC∞-適切になるための
十分条件を与え、係数が半代数函数であれば、十分条件が必要条件になっていることを示した。
戻る
- On the Cauchy problem for second-order hyperbolic operators with the coefficients
of their principal parts depending only on the time variable,
Funkcialaj Ekvacioj 55 (2012), 99-136
主要部の係数が時間変数のみに依存する2階双曲型作用素に対する Cauchy 問題が C∞-適切になる
ための十分条件を与え、、空間次元が2以下のとき、係数が半代数函数であれば、十分条件が必要条件になっていることを示した。
戻る
- Singularities of solutions to the Cauchy problem for a class of second-order hyperbolic
operators, Funkcialaj Ekvacioj 57 (2014), 375-448
Cauchy 問題が C∞-適切である主要部の係数が時間変数のみに依存する2階双曲型作用素の Cauchy
問題に対して、generalized Hamilton flow を用いて解の特異性伝播定理を与えた。
戻る
- On the Cauchy problem for a class of hyperbolic operators whose
coefficients depend only on the time variable, Tsukuba J. Math. 39-1
(2015), 121-163
係数が時間変数にのみ依存する2重特性的な双曲型作用素に対する Cauchy 問題が C∞-適切
になるための十分条件を与えた。また係数が時間変数にのみ依存する3階の双曲型作用素に対して、sub-sub-principal symbol
を定義して、これと sub-principal symbol に条件を課す形で、Cauchy 問題が C∞-適切
になるための十分条件を与えた。
戻る
- On the Cauchy problem for hyperbolic operators with double characteristics whose principal parts
have time dependent coefficients, Funkcialaj Ekvacioj 63 (2020), 345-418
主要部の係数が時間変数のみに依存する2重特性的な双曲型作用素に対する Cauchy 問題が C∞-適切になる
ための十分条件を与え、空間次元が2以下のとき、または係数が半代数函数であれば、十分条件が必要条件になっていることを示した。
戻る