タイムマシンといえば、漫画やアニメ、映画などでは定番のアイテムですね。しかし、現実的にタイムマシンはつくれるのでしょうか?
イギリスの物理学者、スティーブン・ホーキングは、実にシンプルな理由でタイムマシンはつくることは出来ないと結論付けています。
「時間順序保護仮説」
随分と大げさな名称ですが、ホーキングが根拠としているのは「現在に未来人が押し寄せてこないのがタイムマシンがつくれない確たる証拠だ」としているのです。
まぁ、大げさな名称をつけているところからも半分ジョークで言ったのかもしれませんが、ホーキングは「過去へ戻ろうとしても、それを阻止する何らかの物理法則が働き、過去に行くことはできないだろう」というのがホーキングの主張です。
では、本当にタイムマシンはつくれないのでしょうか?
実は、アメリカのSF作家カール・セーガンに依頼されて、物理学者のキップ・ソーンはタイムマシンのつくりかたを研究しました。
当初は、遊びの感覚で研究していたようですが次第に本格的な研究になっていきます。
まず、タイムマシンをつくるために用意していただくものが光速に近い速度で飛ぶことができるロケット!
アインシュタインの相対性理論によれば、光の速度に近づけば近づくほど時間の流れはゆっくりになっていきます。実際、人工衛星を利用しているカーナビなんかですと地球上の時間と速い速度で移動している人工衛星とでは人工衛星の時間の方が遅いことが確認されています。
次に用意していただくのがワームホール!
まぁ、これはドラえもんのどこでもドアみたいなもんですね。そんなもん!作れんのかい!って話ですが、根拠がないわけではありません。
ミクロの世界では素粒子が(ちょっと難しい話になっちゃいますが)生成と消滅を繰り返す「時空の量子泡」という現象が起こっている可能性があるのではないかといわれています。
この中では、ワームホールのような存在があるのではないかと想像されているのですが、キップ・ソーンによれば、負のエネルギーをもつ物質でワームホールを満たすことができれば、人間が通行することも理論上は可能としています。
さて、このワームホールと光速に近い速度で飛ぶことができるロケットを用意したら、ワームホールを地球とロケット内に設置します。この状態で地球のワームホールに足を突っ込めばロケットのワームホールから足が出てくるような状態です。
そして、ロケットを光速に近い速度で飛ばします。
ロケットは、ロケット内の時間で1年間宇宙を旅して帰ってきます。すると、ロケット内の時間は地球の時間に比べて進み方が遅い為、ロケット内の時間と地球での時間に50年ほどの差がでていました。
ここからが、ややこしいのですが、この時、地球にいた人がワームホールをくぐると、2101年のロケットに到着します。ここまではいいですね。
では、ロケットから再び、ワームホールをくぐって地球のワームホールの出口から出るとどうなるでしょう。ロケットと地球とでは、時間に50年もの差がでていましたが、ワームホールでつながれている地球とロケットの時間は同じなんです。つまり、50年前の地球に戻るということ。
2151年に地球からワームホールをくぐってロケットに出て、そこから再び地球のワームホールに戻ると2151年から2101年にタイムスリップするというわけです!
これが、キップ・ソーンが考えたタイムマシンです。この理論ですと、タイムマシンができる以前の時代には戻ることはできません。ロケットを飛ばす前の時代に戻るのは不可能なんですね。ですから、未来人が現代に押し寄せてくることはできないわけです。つまり、ホーキングがタイムトラベルができない証拠としていた問題は解決するということです。
しかしながら、ワームホールを負のエネルギーで満たしておくことが出来たとしても正の質量をもつ粒子が通過すると、ワームホールは潰れてブラックホールになってしまうことが導き出されています。つまり、地球のワームホームからロケットに移動した時点でホームホールは無くなってしまい、地球に戻ることが不可能!タイムマシンはキップ・ソーンの考えたタイムマシンも現実的には難しそうですが空想上としては面白いですね。
|
|
|