2004年8月3日にアメリカのケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた水星探査機「メッセンジャー」。2011年3月い水星の周回軌道への投入に成功し、数多くの発見を成し遂げることになります。
しかし、水星っていったらかなり遠いですよね。途中、ガソリンスタンドがあるわけでもないので、ものすごい燃料を積んでいかないと水星までたどり着けないんじゃない?と考えてしまいますよね。しかし、遠い星まで探索に向かわせる場合、フライバイという方法が用いられます。
フライバイというのは、惑星の重力を利用して探査機の速度を上げたり下げたりする方法のこと。
メッセンジャーの場合は、1回の地球フライバイと2回の金星フライバイと3回の水星フライバイによって水星の周回軌道に投入されました。
さて、水星といえば、太陽からもっとも近い惑星。金星も同じですが、水星も太陽を中心に地球よりも内側を周っている星なので日没直後か日の出直前にしか見ることができない観測が厳しい星なんです。
一応、1974年の3月、9月と1975年3月に「マリナー10号」が水星に接近し観測に成功していますが、それでも水星表面の45%ほどしか観測できませんでした。
そこで「メッセンジャー」の出番となったわけです。マリナー10号から実に30年ぶりの水星探索です。
メッセンジャーには、地場や地形、水星を構成する物質、大気成分の観測、水星表面全域の探索が主要な任務とされました。
また、メッセンジャーによる近赤外線やレーダーによる観測によってクレーター内の太陽が当たらない部分に明るく反射するものを確認しており、これは氷である可能性が高いとされています。
さらに、マリナー10号ですでに観測されていた水星の磁場もより正確に観測されました。これにより水星では北極よりも南極の方が磁場を帯びた領域が広いことがわかりました。(下記、N・S極のピンクの○の大きさを参照)
このように多くの発見を成し遂げたメッセンジャーは延長探査期間を経て2015年5月に水星表面に落下しミッションを終了させるのでした。
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