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なぜホーキング博士はノーベル賞がとれないの?


 ホーキング博士といえば、世界中で多くの人に名を知られ著書もたくさんの人に読まれたいますよね。しかし、いまだにノーベル賞をもらっていません。なぜなんでしょう?



 ホーキング博士といえば、ブラックホールの理論が有名です。ブラックホールは大きな天体が一生を遂げ大爆発を起こすとこの爆発の圧力が中心部に向かっていきものすごい高密度の状態になっていきます。やがて、自分自身の重さに耐えかね芯が収縮を続け点のような状態になってしまうととても大きな重力を持つブラックホールとなるわけですね。

 光すらも飲み込んでしまうブラックホール。「事象の地平線」といわれる一線を越えてブラックホールに近づいたものはどのようなものでも抜け出すことは不可能・・・。

 と、いわれてきました。

 しかし、ホーキング博士は、これに異を唱えました。

 ブラックホールというのは、何でもかんでも吸い込んでしまいます。ですから、周りは真空状態となってしまうんですね。この真空状態を量子論的にとらえ、ホーキング博士は驚くべき結果を導き出しています。

 それがブラックホールの蒸発です。

 真空状態といっても何にもない状態というのとは、ちょっと違うんですね。量子論では、完全なる”無”というものは存在しません。粒子と反粒子が生まれ、それらはすぐに結合して消滅する運動を繰り返している状態が量子論での”無”です。

 この粒子と反粒子の発生はブラックホール付近でも起こります。粒子と反粒子はどちらかが正のエネルギー、もう一方が負のエネルギーを持っています。通常であれば、粒子と反粒子は結合し消滅してしまうわけなんですが、これがブラックホール付近で生まれ、どちらか一方だけがブラックホールに吸い込まれてしまった場合、残されたもう一方の粒子は結合する相手を失い宇宙空間に放り出されることになります。

 つまり、ブラックホールはすべてのものを飲み込むだけではなく微小の電磁波が漏れ出すというわけなんです。

 さらにブラックホールに飲み込まれた粒子が負のエネルギーであった場合、ブラックホールはそのエネルギーに相当する質量を失うことになります。

 まぁ、ものすごく長い時間がかかるわけなんですが、この状態が続くといつかブラックホールは蒸発する!というのがホーキング博士の唱えた「ホーキング放射」と呼ばれる40年以上前の理論です。これらはブラックホールを解明するにあたって大きな影響を与えることになりました。

 さて、ここまできてやっと本題。なぜホーキング博士はノーベル賞を受賞することができないのか?

 実は、ノーベル賞というのは理論だけでは受賞できないんです。実験とか観測によって理論の裏付けがされないと受賞は難しいんですね。まぁ、確かに「なんだかすごい理論だし、ホントっぽい」という理由でノーベル賞をあげちゃって、10年後20年後にやっぱり、あの説は間違ってました・・・。なんてことになれば、ノーベル賞の格が落ちますからね。

 とはいえ、実験や観測によってホーキング博士の理論を実証するのは、なかなか難しいわけです。

 偉大なる学者であるホーキング博士の手にノーベル賞が授与されるのはいつになることなんでしょう・・・。