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宇宙の謎アインシュタインの相対性理論>光の正体は波なのか粒子なのか?



 

光の正体は波なのか粒子なのか?


 1905年、26歳のアインシュタインは「光粒子仮説(こうりゅうしかせつ)」という理論を発表しました。この理論でアインシュタインは「光は粒子である」と説明しています。

 な〜んだ。アインシュタインがそういうんじゃ光は粒子なんじゃないか!って思ってしまいがちですが、光が粒子だとすると説明がつかないこともあります。では、いったい光は粒子なのでしょうか?それとも波なのでしょうか?

 光の正体についての研究は17世紀に本格的に始まりました。研究していたのは、みんなが知っているあのニュートンです。万有引力の法則の人ですね。

 ニュートンは光の正体を粒子であると考えます。アインシュタインと一緒ですね。ニュートンは太陽光をプリズム(分光器)に通すと無色透明に見えていた光が7つの色に分かれることを見つけ、光はさまざまな色を持った小さな粒子の集まりであると考えました。その証拠に物体には光を当てるとくっきりとした影ができますね。光が物体にぶつかってそれ以上進めないので後ろには影ができるわけです。しかし、光の正体が波だとすれば、光は物体の周りを回り込んでしまい影の輪郭がぼやけたり、影ができなかったりするはずであると考えました。

 ですが、当時から光の正体は波であると考えるライバルがいました。オランダのホイヘンスという人です。細い光線をぶつけても光はお互いを通り抜けるようにして進んでいく。光が粒子だとしたら衝突した後に粒子の進む向きは変わるはずである。光の正体が波であるからこのような現象が起こるのだ!と考えたのです。光の影に関する現象についても物体に対して光の波が小さければ光は物体を回り込むことなく物体に遮られるはずである。なので、物体に遮られた光はくっきりとした影になると説明したのです。

 なるほど、なんだか光の正体は波のような気もしてきますね。

 そして、19世紀の初めになると光は波であるとする説が有力になっていきます。イギリスの物理学者ヤングが発見した光の干渉という現象がその発端です。

 干渉とは、波に特有の現象です。2つの波の山と山が重なると山の高さは増します。逆に谷と谷がぶつかっても谷の深さが増します。しかし、山と谷が重なると波の増幅がお互いに打ち消し合って波が消えてしまう現象を波の干渉といいます。これが光にも起こるというのです。

 板に二つの細長い穴をあけて後ろのスクリーンめがけて光を発します。するとスクリーンには明るい部分と暗い部分が並んだ干渉縞という模様ができるんですね。



 なぜ、このような干渉縞ができるのか?それは、光の波の山と山、または谷と谷が重なり合った部分では波の振動が増し光は明るく映り、一方、光の波の山と谷とが重なり合った部分では、波が打ち消し合って暗くなると考えられたわけです。

 だいいち、光が粒だったら縦長の穴を通った光はスクリーンにそのまま届くのでスクリーンには二つの細長い光が移るだけですからね。縞模様なんてできないんです。光の干渉という現象が起こること自体が光の正体が波である決定的な証拠だと考えられていたんですね。

 
 
光の干渉:山と山がぶつかった部分がスクリーンに明るく映る



 しかし、、20世紀に入りアインシュタインが登場します。アインシュタインは光の正体を「光子(光量子)」というとても小さな物質、つまり粒子だと考えました。

 1887年にドイツの物理学者ハインリヒ・ヘルツが光電効果という亜鉛などの金属板に紫外線を当てると電子が飛び出すちう現象を発見しました。しかし、これ!光が波であるとすると説明ができないんです。

 なぜかというと、この現象では、紫外線、つまり波長の短い電磁波を金属板に当てると飛び出す電子のエネルギーが大きくなる。つまり、電子が勢いよく飛び出します。波長が長くなるにつれ、飛び出す電子のエネルギーは小さくなり、やがて電子は飛び出さなくなるのです。

 当時、光の波長は色を決めるものであって、波長によって電子のエネルギーが変わるなんてことは説明がつかなかったんです。波の波長とエネルギーの間には関係性が導き出せなかったんですね。

 波のエネルギーと関係があるのは、波の振幅であると考えられていました。ですが、光電効果では、当てる電磁波の振幅を変えても電子の飛び出す勢い、つまりエネルギーには影響がなかったのです。そのかわり振幅を大きくすると電子の飛び出す数が多くなりました。

 なんじゃこりゃ!と10年以上この現象は謎だったのです。

 そこでアインシュタインは「
振動数がνである光はhνのエネルギーをもった光の粒の集まりである」と考えました。

 うん。意味わかんないですね。

 波長の短い電磁波とは振動数の多い電磁波であると考えます。つまり、大きなエネルギーをもった光の粒ですね。これを金属板に当てると金属と電子の結合が断ち切られ電子が飛び出してきます。逆に波長の長い電磁波は振動数の少ない電磁波です。つまり、エネルギーが小さいので金属と電子の結合を断ち切れないため電子は飛び出さないってことです。

 これなら、光電効果の説明ができます。

 また、電磁波の振幅が大きくなると電子の飛び出す勢いは変わらないが、電子の飛び出す数が増えるという現象についても、アインシュタインは電磁波の振幅が増えるということは(つまり、光が明るく見えるということ)、これは光の粒子の数が増えることだと考えました。

 電磁波の振幅が大きくなっても光の粒子のエネルギーは変わりませんので電子の飛び出す勢いには影響がでませんが光の粒子の数が増え、金属板にその粒が当たる個数が増えるので電子の個数も増えると考えたのです。

 ちょっと難しくなってきましたね。一応、絵を描いておきますね。

 



 さぁ、長々と書いてしまいましたが、これで光は粒子であるということがわかりました!

 えっ、じゃ、光の干渉はどうせつめいするんだって?そうなんです。それが大問題なんです。

 アインシュタインは光は粒子であるとして光電効果を見事に説明してみせました。しかし、光の正体が粒子であるとした場合、光の干渉についてはどう説明できるのか?を解いてはくれなかったんですね。

 でも大丈夫。技術はどんどん進化していっています。1974年にイタリアのミラノ大学で1個ずつの電子を飛ばして光の干渉の実験と同じ2重スリット実験を行いました。2つの穴の開いた壁に向かって電子を1つ1つ飛ばしていくんですね。

 予想できる結果は下の絵のような感じになるはずです。仮に野球ボールを2つの穴、どちらか一方に1つずつ何百個と投げ続けたら後ろの壁には2つの線のようなボールの跡が残るでしょう。それと一緒のはずなんです。



 干渉縞なんてできずに普通に2本の線が見えるだけのはず・・・。しかし、結果はどうであったか?

 

 干渉縞ができたんです。

 光が波ならわかりますよ。しかし、光は粒子のはず?なのになんで干渉縞ができるの?ってみんな驚きました。

 電子を2つずつ左右に同時に飛ばせば電子同士がぶつかり合って干渉縞ができる可能性があります。しかし、実験では1つずつの電子しか飛ばしていません。

 もはや、考えられるとしたら発射された電子は、2つの穴の前で波となり同時に二つの穴を通り抜け、次に自分自身と干渉を起こし、壁にぶつかる前に元の電子に戻ったというほとんど無理やり?!の理論。

 

 もっと、頭のいい人たちが考えた理論は、どちらかの壁をすり抜けた場合、両方をすり抜けた場合、どちらも通らなかった場合、これらが同時にすべて起こっていると考える人もいます。

 あ〜だ、こ〜だ、頭で考えてないで観測してみたらいいじゃない!ってことで観測してみることにします。実際には、電子が左側の穴を通ると左側の感知装置が作動し、右側の穴を通れば右側の装置が作動します。

 実験の結果は想像を絶する結果となります。

 さっきまで干渉縞をつくっていたくせに感知装置を付けたとたん右か左かどっちかの穴しか通らなくなり、壁には2本の線がでるだけ・・・。干渉縞が現れなくなったのです。

 まるで、電子が見られているのを嫌うかのように、感知装置を付けたら実験結果が変わってしまったんです。

 このようにミクロの世界では観測という行為を行うと影響をその世界に与えてしまい違う実験結果を示してしまうということがあります。「重ね合わせ」などといわれていますが、はっきりとしたことはわかっていません。

 では、本題の「光の正体は波なのか?粒子なのか?」

 先生方に、この質問をすれば「光の正体は波でもあり、粒子でもあるのだよ」と答えることでしょう。

 波ってどういう波なの?と質問すれば「言葉や絵では表せない波なんだよ」とチンプンカンプンな答えが返ってくるはずです。だって、実験結果でなんとなく波っぽい性質の結果が出ているっていうだけで、見たことないですからね。

 つまり、光の正体は波なのか?粒子なのか?よくわかってないんです。

 な〜んだ。結局、意味不明でよくわからん。と思うか?何それ?観測すると実験結果が変わるってまるでミクロの世界には別の世界があるみたいじゃん。面白そう・・・。って思うか?

 光の正体を突き詰めるのは、面白そうだと感じたあなたかもしれませんよ〜。