現在の宇宙では、水素が76%、ヘリウムが23%、残りの元素が1%といわれています。もう、ほとんど水素とヘリウムなんですね。
水素やヘリウムというのは”軽い元素”です。
なぜ、このような軽い元素ばかりが宇宙に充満しているのでしょう。
ちょっとだけ難しい話になりますが、私たちの物質世界はすべて原子からできています。この原子は原子核と周囲をまわる電子で構成されています。原子核の中には陽子と中性子が元素の種類に応じて決められた個数だけ入っています。
この原子核の中の陽子と中性子の数が少ないほど”軽い元素”となるわけです。
水素は陽子1個です。ヘリウムは陽子2個と中性子2個です。
さて、宇宙の始まりは超高密度、超高温であったという話を聞いたことがあるでしょうか。
このような状態の宇宙では、ものすごい圧力によって電子と陽子が結合し、中性子になっています。つまり、このような状態であった宇宙の時は中性子だらけであったわけです。
その後、宇宙は膨張を始めます。圧力が弱まっていくわけですね。すると中性子がベータ崩壊という現象を起こします。すると電子と陽子とニュートリノという素粒子の1つが生まれるのです。
そして、陽子1つのものが水素で次に陽子2つと中性子2つが結びついたものがヘリウム。陽子3個と中性子4個が結びついてリチウムというものができていったと考えられています。
このように宇宙の初期に水素、ヘリウム、リチウムなどの軽元素ができ、その後、これより重い元素から鉄までは星が核融合反応をする際などにでき、さらに重い元素は重い星が最後に超新星爆発を起こした際などに作られたといわれています。
う〜ん。しかし、なぜ、初期の宇宙で軽い元素のものしかできなかったのか?もっと結合しあって重い元素のものが沢山できてもいいようなものですけどね。
これはアメリカの物理学者であるガモフという人が、その理由を解いています。
ガモフ以前にもすでに初期の宇宙は超高密度であったという説はありました。しかし、ガモフは宇宙の初期は超高密度なだけでなく、超高温であったのではないかと考えます。
初期の宇宙の温度が低いと仮定すると陽子と中性子がどんどん結合し合って重い元素になります。どんどん結合してしまうので重い元素が増え、軽い元素が減っていくんですね。そう考えると宇宙に軽い元素である水素やヘリウムだらけであるのはおかしいわけです。
では、宇宙の温度が高いとどうなるのか?
熱エネルギーにより、陽子や中性子は激しく運動することになります。すると1度結合した陽子と中性子が離れてしまうんですね。これなら説明がつくとガモフは考えたのです。
おおよそ、水素やヘリウムができ始めたのは宇宙誕生から3分後で温度は百億度から一千万度くらいといわれています。スケールデカすぎですね・・・。
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