ブラックホールの蒸発は現在でも確認されたわけではありませんが、量子論によってブラックホールもいずれは蒸発することが導き出されています。
では、ブラックホールの蒸発はどのようにして起きるのでしょうか?
ブラックホールといえば、なんでもかんでも吸い込んでしまうものですね。もう、み〜んな吸い込んじゃうから周りは真空状態になっちゃいます。
この真空状態を量子論的に考えイギリスのホーキング博士がおどろくべき結果を導き出しました。それが、ブラックホールの蒸発です。
量子論的に真空状態というのは、何もない状態というわけではないんですね。粒子と反粒子が生まれては消え、生まれては消えというのを繰り返している状態が量子論での真空状態です。
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量子論での真空状態とは
粒子と反粒子が生まれたかと思うとすぐに衝突して消えてしまう状態 |
この粒子と反粒子はどちらかが正のエネルギーをもう一方が負のエネルギーを持っています。この生まれては消えの真空状態がブラックホールのすぐ近くでも起きるわけです。
普通であれば、粒子と反粒子はぶつかり合って消えてしまうんですが、ブラックホールのすぐ近くでは、ぶつかり合う前にどちらか一方がブラックホールに吸い込まれてしまうことが考えられます。
そのどちらか一方が負のエネルギーであった場合、ブラックホールはそのエネルギーに相当する質量を失うことになるんです。そして、ぶつかり合う相手を失ったもう一方の粒子はブラックホールから外へとびだしていくことになります。
この現象が繰り返されるとブラックホールから粒子が次々に飛び出し、ブラックホールは徐々にエネルギーを失いやがて蒸発してしまうといわれています。
ですが、実際にはブラックホールの質量が仮に太陽程度の質量だったとしても、すべての質量を放出するのに10の66乗年という時間がかかる計算です。
宇宙の初期にできたミニブラックホールなら、もしかするとブラックホール蒸発の様子が観測できるかもしれませんがちょっと難しいですね。
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