ブラックホールは、光すら飲み込んでしまう星です。ですから、普通では見えないんですね。なので、X線観測することでブラックホールを発見したりします。
見えないので観測が非常に難しく、よくわかっていない謎の部分もたくさん存在します。
しかし、ブラックホールはどうやってできたのか?これは、答えが出ているのでブラックホールができるまでを理解することでブラックホールの中がどんなだかを想像することは出来ます。
まず、ブラックホールができるには太陽の30倍以上ある質量をもった星が必要となります。
それが、どんどんふくらんでいき大爆発を起こしたとします。超新星爆発というヤツです。
この爆発の圧力は星の中心に向かっていきます。この圧力により星の中心はどんどん押し付けられていき中性子星という星になります。中性子っていうのが難しいですね。
物のもととなっている原子は陽子と中性子からなる原子核とその周りを回る電子から成り立っています。
この陽子と電子が強い圧力によって合体すると中性子になるんです。ですから、強い圧力を受けた爆発後の星は中性子だらけの星ができるんですね。これを中性子星といいます。
この中性子星が十分な質量をもっていると、さらに縮んでいくことになりブラックホールになるのです。
さて、では、ブラックホールの中はどうなっているのか?
1965年から1970年にかけてロジャー・ペンローズとスティーブン・ホーキングが行った研究によれば、ブラックホールの中には無限大の重力と密度、無限大の時空湾曲率をもつ特異点が存在するといいます。
もはや、この特異点の周辺では、科学の法則、一般相対性理論も成り立ちません。ブラックホールの中だけは、外の世界とは例外中の例外。ここだけは、科学の法則が別次元なんですね。
ですが、これは、事象の地平線といわれているブラックホールの周辺だけの話。その例外中の例外である法則は外の世界に影響を与えることはありません。
科学の法則すら打ち消すよどの強い重力をもった天体であるブラックホール。仮にそこに人が吸い込まれたとすると外部から見ている人は吸い込まれていく人が徐々にブラックホールに近づくスピードが遅くなっていくように見え、最後にはブラックホールの手前で止まっているように見えます。
しかし、実際に吸い込まれていく人からするとものすごいスピードでブラックホールに吸い込まれていくのです。そして、吸い込まれていく人の頭の部分と足の部分では、その人に掛かる重力が違ってくる為、体が水あめのように伸びてしまいます。そして、自身と外の世界とでは、時間の進み方が思いっきりズレます。
外部からブラックホールに吸い込まれていく人を見るとブラックホールの手前で止まっているように見えるといいましたね。どれくらいの期間止まっているように見えるのか?・・・ほぼ永遠です。
対して、ブラックホールに吸い込まれていく人には外の世界がものすごいスピードで進んでいくように見えます。1000年、10000年が「あっ」という間に進んでいくくらいブラックホールに吸い込まれていく人とブラックホールの外にいる人では時間の進みが変わってくるのです。
どうでしょう。ブラックホールに吸い込まれていく段階ですでに、とってもおかしなことが起こり、さらにそのブラックホールの中には無限大の重力と密度、無限大の時空湾曲率をもつ特異点が存在し、科学の法則すら役に立たなくなるのです。
つまり、ブラックホールの中がどうなっているのかを我々が直接見ることはできません。ブラックホールの莫大な重力の影響により光の波長が無限大に引きのばされ、時間が無限大に違ってしまっているためです。
しかし、ブラックホールの中がどうなっているのか?それを想像することはできます。
ブラックホールに吸い込まれていく物体は、莫大な重力によってつくられる潮汐力によって細長く引きのばされ、やがて物体を構成していた原子はバラバラになり、原子核はクォークへと分解されていきます。
その後は、クォーク自身も押しつぶされ、特異点に到達する時にはエネルギーの塊になっている可能性があります。
なんとなく、宇宙に詳しい方なら”アレ”を連想するのではないでしょうか?そうです。ビックバン!
まるでブラックホールの中は、宇宙が始まったビックバンを逆回ししているような世界なのです。
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