2022/11/13
うさちゃんとおとーちゃんの
『楽しいながらも貧しい我が家』
『秋ケーキ』
「おとーちゃん♪ おとーちゃん♪」
どうした? 浮かれた声だして?
「おかーちゃんが買ってくださったんですもの♪」
そのあとに、おとーちゃんのお小遣いで・・・とかつくんじゃないだろうな?
「それは当然でしょ。」
当然だな・・・で、何を買ってもらったんだ? おとーちゃんに。
「おかーちゃんよっ!! これよ♪」
これは・・・箱か?
「おとーちゃんの取り分がどんどん減っていってるわ。」
いや、いや、いや。
「ぢゃあ、箱はあげるわね。」
中に入ってるものも欲しいな?
「しょーがないわね。 右手と左手、どっちがいい?」
? なんかあるのか? ・・・右だな。
「 このスプーンあげるわ。」
いや、右でも左でも同じじゃないか?
「箱の中に入ってるのが欲しいって言ったぢゃないのさ?」
いや、まあ、確かに箱の中には入っていたが・・・。
「保冷剤の方が良かったかしら?」
ちょっと中を確認しようか?
「まず、これね♪」
「やっぱり、苺ショートははずせないわね・・・あっ!!」
あっ!!
「苺が半分になってる!!」
ちょっと悲しいな。
「間違いかもしれないわ。おとーちゃん、ちょっと聞いてきてよ。」
すごいクレーマーだな。
「値段は変わってなかったけど・・・これがステルス値上げってやつね?」
いや、隠れてないし・・・いや、苺がどっかに隠れてるかも?
「まあ、色々と大変なのはわかるから、しょーがないわね。」
「チョコも外せないわね。」
たしかに。
「おとーちゃんにはこのミントの葉っぱあげるわ。」
うん、ありがとう・・・。
「そして今日の本命は。これ♪」
うさちゃん? お耳が興奮してるよ。
「モンブランタルト♪」
ほう。栗はわかるけど、普通のモンブランじゃなくて、タルトになったか。
「ショーケースの前で小一時間悩んだのよ。」
迷惑な客だな。
「なにっさー!!」
両方じゃなくてよかったのか?
「両方買ったら今回限りだけど、モンブラン残しておけば、
次回に繋ぐことができるわ。」
そうか・・・一個だけはなんだから、当然おまけも付いてくるよな?
「ぴんぽーん♪ でも、本当は・・・。」
本当は?
「おとーちゃんのお小遣いが底をついたのよ。」
・・・。