2019/3/3
うさちゃんとおとーちゃんの
『楽しいながらも貧しい我が家』
『御陵パン』
天王寺からまた電車に乗るよ。
「どこ? ねえ、どこ?」
まずは『三国ヶ丘』かな?
「『三国ヶ丘』?」
百舌鳥駅でもいいけど、快速も停まるから、まずは三国ヶ丘かな?
「まずは、もず、ぢゃないのね?」
ややこしいな。 三国ヶ丘の屋上から、これから行くところの下見だ。
「上から下見って・・・。」
日本語って遊べるな。
で、三国ヶ丘駅の屋上から。
「ここまで来ていったい何を見ようというの?」
あれだよ、あれ。
「あれって、小高い丘の森が見えるだけぢゃない。」
そう、それだ。
「ああ。あの森でバードウォッチングとかキャンプとかするのね。
でも、おとーちゃんがそんなアウトドア派だとは思わなかったわ。」
おとーちゃんがアウトドア派なわけないだろ。
それより、バードウオッチングはともかく、キャンプは
あそこでは できんだろうな。
「ぢゃ、なんなのさ?」
あれは・・・お墓だ。
「あっ!! わかった!! わかったわよ!!わかったわよ!!」
まあ、そんなにコーフンするな。
「なにっさー!!」
正面に廻るとこんな感じ。
「あの黄色いジャンパーの人たちは?」
あの人たちは『ハイエナボランティア観光ガイド』と言って、観光客を見つけると
どこからともなく、寄ってきて無理やり説明を始めるんだ。
「なんかずいぶん批判的ね。」
だってあの人たちが寄ってくると、うさちゃんと一緒に写真がとれないもん。
「確かに。」
中には勉強不足の人もいて、こっちがちゃんとネットで予習してる内容を
確認しようとしても、わからない、なんてことも・・・。
「単なるヒマつぶしなんでしょうね。」
「この人だれ?」
そりゃもう、『仁徳天皇』以外の誰でもないだろう。
「鹿と、あの鳥は?」
百舌鳥、モズだな。
「あの、木の枝にトカゲやカエルなんかを突き刺してるやつね。」
『モスのはやにえ』ってやつだな。
「ハンバーガー屋さんになってるわよ。」
前方後円墳。
「前円後方墳の方がしっくりくるわね。」
鍵穴だな。
「いまどき、こんな鍵穴ないわよ。」
そうだね。若い子は知らないだろうね。
「なに? それ?」
無理、ムリ。
「それより、周りをだいぶ歩いたからお腹へったわ。」
もう、か?
「ほら、ここに都合よくチラシを見つけたわ。」
ほんと、都合いいな。どっからもってきた?
「おかーちゃん♪」
予習は万全だな。
「ここよ♪ ここ♪」
なんだ。百舌鳥駅からすぐじゃないか。
クリームパンとあんぱん。
「お店のおばちゃんが愛想よかったわ。」
このアンパン、二人で分けて食べても喧嘩しないように、
前方と後円に簡単に分けられるように、だって。
「でも、これ、絶対前方が得でしょ。」
いや、けっこうあんこが少なかったりして。
「前が白あん、後ろが小豆あんだったりしたら面白いのに。」