月光


濁りなき心の水に澄む月は波も砕けて光とぞなる
 傘松道詠−道元禅師のお歌です。
 宗門では坐禅和讚とかいって御詠歌にしてますが、てんぷら御詠歌、いやこれいいお歌でしょ。
 波も月も水も光も向こうに見えるもんじゃない、自分というものふっ消えて、すべてが自分になっている、得あのくたらさんみゃくさんぼだい、そのものなんです。
 どっかのバカがなんで説教だと聞く、

春は花夏時鳥秋紅葉冬雪降りて涼しかりける
 ではこのお歌はどうなる、日本の心と題して、川端康成がノ−ベル賞受賞講演に引いた、神を説き道徳を説き、平和を説き人類の未来を説く、即ち、
(ちらともあれば百害あって一利なし)
 たといどのような哲学思想も、よってかくの如しは、歴史の証明するところ、

死んで死んで死にきって思いのままにするわざぞよき
 これは只道無難禅師のお歌です、思想観念を去る、いったん人間を卒業せよといっているんです。
(戦争はいけない平和だという観念が、戦争を引き起こす、差別用語はいけないという決めつけが差別を起こす)なぜか、自然(じねん)にあることと違うからです。どっかがいびつなんです、水ではない氷です、ぶつかりあって破壊するんです。
 あれやこれやではない、ものみな仏、ものみな仏である、これをほんとうに知ればよい、

月は月花は昔の花ながら見るもののものになりにけるかな
 色即是空です、思想観念にとらわれるところ−氷が水になるんです、生まれてはじめて、ものをほんとうに見る自覚。
 照見五蘊皆空、度一切苦厄。
 説教などいうもののなんにもない世界です。山水長口舌、ものみな説教だの、思想哲学の中途半端−有害無益を免れて個々別々です。宗教ではない、花の知らないというそれです。

水鳥の行くも帰るも跡絶えてされども法は忘れざりけれ
 なにをいってはいけない、これがタブ−ってことないんです。
 宗教といえばたった一つのこれが宗教です。
 教義とタブ−、あるいは荒唐無稽の神話、千差万別です、人類という独善、どこまで行ってもいさかいのもと。
 ちらともあればオウムと区別がつかない、だから特別立法の大騒ぎなんです。
 人みな自分のオウムを免れる、もしくは付和雷同を免れる。
 これ人類の急務。

三世の諸仏知らず、狸奴白虎却って是れを知る。
 せっかくの仏教を、ありがたや手を合わせだの、説教のネタにする、狐や狸の類。
 いったん仏教を止めるんです。
 仏教という一枚看板、ひっかついだ板を外して、
 人間の如来は人間に同ぜるが如し、水自ずから澄む。
 群生の永しなえにこの中にある、一個半個。


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