アポリジニ
 

 
 オ−ストラリア行ってアポリジニに会って来ましたよ、補助金貰って昼間っから酒飲んでる人いっぱいいた、自信なくして情けない顔してつったってる、立派な体っていうより太りすぎだったりしてさ。ブッシュ歩いてったらエミュ−のつがいがいたです、そいつが優雅に歩く、きっとむかしアポリジニもあんなふうにブッシュ歩いていたんだなあ、美しいチョウチョがいっぱい飛んで、とかげがいてワラビ−がいて毒蛇がいて、それからいろんな昆虫がいて、雨季にはいっせいに花が咲く。ちょうどもののけ姫見たあとで、丘のむこうにアポリジニの真っ黒な顔がにゅっと笑って、でいだらぼっちみたいにつったつ、そういう想像しました。
 ガイド(空手の羽賀)のいうには、つい最近見つかったアポリジニがいて、なんでもキリスト教的日常生活ってんで、お仕着せ着せて食事とかだってさ。いや−な感じしたって、そりゃまそういうの、結局変わらないんだろうがさ、一神教のひとりよがり、牧場という徹底的自然破壊は、ニュ−ジ−ランドのほうがひどい、うんことしょんべんで海岸死んじまって、回遊魚しかよらん、自然は征服すべきものっていう考えは、そりゃ自然保護だなんいったって、根本ずれちまって、親和力わかったってただの和ってのわからないよ。
 マリアン・アンダ−ソンよかったけどキリテ・カナワよくない。

 アポリジニはそりゃどうしたって滅びるさ、むかしに帰るのもむかしの心も無理ってわけだ。パ−スの博物館寄ったらあんなつまらないものないのさ、くじらの骨と風景写真てだけっての、鉱物の標本と化石だとかさ、文化のぶの字もないってやつな、別室にアポリジニの絵があるという、入ろうとしたら準備中だって、でもなんでも押し入ったら、レプリカみたい油絵があっちこっちぶら下がっていた。
 アポリジニは砂の上に描いたんだ、美術鑑賞とか心のハイマ−トとかじゃなくってさ、宇宙と人間の構造そのものみたいなのな、そこでわしらはなにをするかってのな、用事終わればもうおしまいさ、風が吹っ消しちまう、うまくはいえないけど、博物館になんかそりゃ収まりゃせんよ、アポリジニ画伯なんて、個性的とかっての、そんなもんわし信用しないよ。
 あれまおしゃべりしちゃった、早く仕事止めていっしょ旅行しようって、かあちゃんに怒られる、おんもしろいぞ、わたしバ−ジェス欠岩動物の化石拾いやってみた−い。


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