思い出の釣り道具

昔、海釣りをしていた。
当時は雨が降ろうと波が高かろうと、とにかく海へ行かないと気がすまなかった。
しかしいつの間にか熱はさめ、今では使われなくなった道具が部屋の片隅に置かれている。
「処分してしまおうか」と思ったこともあったが愛着もある。
またいつか釣りをしたくなるかもしれないので、それまで保管しておくことにした。
モデルチェンジなどで今はもうカタログには載っていないものばかりである。
しかしどれも完成度は高い。

◇その1 磯釣り
  @ NFベイシス黒鯛 1-540 + BBX3000
  A NFベイシス黒鯛 1-450 + TWINPOWER BBX800GT
  B FINE CARBONサイバーレンジ磯 1-450
  C NFベイシス玉ノ柄500
当時、大手メーカーとしてダイワ、シマノがあり(今もある)僕はシマノが好きだった。NFTはシマノの系列だ。なぜシマノ・NFTかというと、軽さとデザインだ。ベイシス黒鯛やBBXの軽さ。僕からみると他のメーカでこれだけデザインが洗練されてきれいなものはなかった。竿は540(5m40cm)と短い450(4メートル50cm)。短い450の方が好きだった。黒鯛をはじめて釣るまで一年近くかかった。僕のベストは43cm。あまり大きくないが、それを釣ったのは年は忘れたが12月15日だった。薄暗くなりつつある午後4時頃だった。タモですくい上げたときはうれしかった。黒鯛釣りの腕は大したレベルではなかった。ウキを使用するこの釣り自体難しいものであると思われる。実際に黒鯛を狙っていて何年たっても釣ることができない人を知っている。しかし上手な人はいとも簡単そうに釣る。才能がないとだめなのかも知れない。
竿や玉ノ柄はポリメイトで手入れを怠らなかったので今でもいい状態だ。
BBX800GT(リール)はくたびれているがまだ十分使える。うすいたまご色をメインにした芸術的なデザイン。外見だけでなく機能面もレバーブレーキなどすばらしかった。1990年頃の製品だが今でもその魅力はかすんでいない。 BBX3000(リール)は未使用。ベイシス玉ノ柄も軽くて渋いデザインだ。

                       

◇その2 投げ釣り
 @ サーフカスタムSF405CX + キススペシャル
 A サーフカスタムSF405DX + キススペシャル
 B 投げ名人U12(釣った魚を入れておくクーラーボックス)
キス釣りの魅力の一つは遠投の醍醐味だ。もっとも僕はあまり飛ばせなかったが。
5本針にキスが次々と食ってくる。ゆっくりと引きを感じながら巻き取るのは気持ちがいい。キスは大きさの割にアタリが重い。「小さな大物」と呼ばれている。
1996年7月11日。糸魚川は物凄い水害に見舞われた。海岸には姫川温泉のホテルのスリッパが流れ着いていた。姫川温泉は海から山へ数十キロ上流であり、この水害で壊滅的な打撃を受けた。水害の数日後、川の流水でトロトロに濁った海で産卵期のキスがぞくぞく釣れた。遠投必要なし。チョイ投げで20〜25cmのが次々と釣れた。朝40匹、午後40匹と釣れた。
この頃は昔ほど釣れなくなったようだ。型も小さいようだ。そして海岸は侵食止めの離岸堤が埋め込まれて遠投はできなくなった。
シマノの投げ竿はAXからBX、CX、DXと進むにつれ軟化する。サーフカスタムSFは中級品でCXとDXを持っている。硬い竿で遠投するより、そこそこ飛ばしてあたりを楽しむという方針だった。キススペシャルの軽さ、デザインも好きだった。投げ名人U12(クーラーボックス)は持って歩くには調度いい大きさで好きだった。PEラインという糸を使うと100m以上先のピンギス一匹でもでも引きが伝わってきた。糸の名前は「テクミー砂紋」という。そのままキススペシャルに巻かれていてまだ使える。

                        

◇その3 落し込み
 @ ファインセラミックス αズーム落し込みHF33−39−45(シマノ)+ メタロイヤルチヌ808(リョービ)
 A NFエアノス新堤(NFT) + メーカー不詳の木駒リール
 B 波堤チヌ玉網40(リョービ)
落し込みとは相撲の決まり手ではない。堤防やテトラポットから直下または前方のポイントを狙って、貝などの硬い餌を「落し込み」黒鯛を狙う釣りだ。付着してる貝を食べに来た黒鯛の目の前に餌をチラつかせて釣る。しかしこれは黒鯛の魚影が濃いところでないと成立しない釣りなのではないかと思われる。黒鯛がいないところへ落し込んでもしかたがない。
当地方では本格的にやる人はあまりいない。つまり魚影の濃い堤防やテトラ周りが少ないからだと思われる。
やり始めた経緯は磯釣りで黒鯛を狙っても小さいメジナやフグなどの餌取りが多いので、その対策としてだった。硬い餌をつけて餌取りのエリアから黒鯛のところまで一気に餌を落とし込むのだった。
餌はさなぎを使っていた。本格的な落し込みにこませは反則のようである。しかし黒鯛がそばまで餌を食べに来るような環境ではないので、チヌパワーにさなぎをまぜてまいていた。
9月の初旬から11月初旬くらいがシーズンだ。この頃の黒鯛は大変元気がよく、こませをまくと何匹も一気にぶわっと海面まで浮いてくるのを何度か見た。えさ取にはめっぽう強いやり方で、アタリがあれば7割が黒鯛であった。
@は三段階に長さが調節できる竿とリールは超合金。
Aは短かくて超軽量の竿と安い木のリール。
どちらのセットも使いやすく繊細だが丈夫。このタイプのリールは構造上糸よれができない。また魚とのやり取りのとき親指で糸の出具合を調整できる。スピニングリールと違った釣り味が楽しめる。
黒鯛は波の高い日の方が釣れる確率が高い。波の高い9月末の夕方、短時間のうちに40cm位のが連続して釣れることもあった。

                        

◇その4 ルアー(ソルト・ウォーター)
 @ FIGHTIN' SALTWATER FS−11033SS(シマノ)+ ツインパワーXT4000(シマノ)
 A エンターテナー XS 1103L(リョービ) + ツインパワー4000
ブリの幼魚で1キロくらいのをフクラギ(ゲ)と呼ぶ。刺身といえばフクラギ(ゲ)というほど当地域では有名。昔は船での釣りだったが、今はルアーで海岸から狙えるようになった。比較的簡単な装備で釣りに出ることができる。シーズンになると、フクラギ(ゲ)が沸くをの追っかけて釣り人が波打ち際を走り回っていることがある。
数年前の1月1日元旦。朝6時過ぎに、@を持ってまだ暗いにもかわらず近くの堤防へ向かった。明るんできた頃、海面へ向けてメタルジグを投げては巻き戻した。何度も繰り返していたらフクラギ(ゲ)が釣れた。いつの間にか曙光が差しはじめ初日の出。もう一匹追加した。正月から適量の収穫だった。そして刺身にしたらうまかった。
フクラギ(ゲ)は刺身が一番だ。それ以外だと焼いてもダメ煮てもダメだと思う。だから釣れすぎてもダメなのだ。連れすぎて捨てられて砂浜に砂だらけになり転がっているのを見たことがある。
ルアーは夏にはマゴチやヒラメが釣れる。50cmくらいのマゴチを釣ったことがある。6月の終わり頃、寝坊をしてしましい、慌ててとりあえず装備が一番簡単なAを持って出た。テトラポットから投げると2投目に掛かった。大物なのにわりと簡単に釣れた。釣れるときはそんなものなのかも知れない。
@は少し思いメタルジグでも投げられる強いセット。
Aは柔らかくソフトルアー用。

                         

◇その5 ボート釣り
 @ 真帆10号−180(メーカー不明)+ エアレックス2500(シマノ)× 2セット
 A リョービ ボートエース(手漕ぎ) カタログには3人乗りとあったが1人が安全
侵食から砂浜を守るためにテトラポットが埋められた。だから砂浜からキスの投げ釣りはできなくなってしまった。キスを釣りたいので1997年,、ボートを導入した。ボートエースという製品で、よく見かける黄色いやつだ。ボート釣りは昔やった経験がありボートの取扱いには自信があった。家内は遭難転覆を心配して反対した。僕も遭難転覆はしたくないので安全を最優先に考えた。波の静かな日でなければ出ず、そしてあまり沖には出なかった。海上でポイントを維持するためにアンカー(10kgのいかり)が必ず必要である。これがないと流されて帰ってこれなくなる危険性がある。竿は同じものを2セット持って出た。
浜辺やテトラポットの上は釣り人が場所取りをするほど多い。だがボートを漕ぎ出せば気兼ねなく釣りができる。釣れたキスにヒラメやマゴチが食いつくこともある。ほとんどはすっぽ抜けるが運がよければ手にすることもあった。竿はメーカー不明の中通しのB級品だがこれで十分であった。キスの釣り味を楽しむには細い竿を使い、軽い仕掛けがよい。はじめは船酔いをすることがあったので自動車の酔止め薬を飲んで出ていた。睡眠作用があるので海から戻ると眠くなる。「何もそこまで」と家内に言われていた。そのうち慣れたせいか酔わなくなり酔止め薬はいらなくなった。ただ、どうしても数時間は同じ姿勢にならざるを得ないので腰や尻が痛くなる。
海からみた陸の景色はいいものです。

                         

◇その他 「さかな大図鑑」
(釣り人のための生きている魚のカラー大全集)小西和人=編 つりサンデー
釣り人の観点から魚の特徴をまとめてあるので大変役にたった。釣りのロマンや楽しさを交えながら釣りで釣れる魚を中心に解説している。読み物としてもおもしろい。これは1991年版だが頻繁に改定されているようなである今は装丁も変わっているであろう。

                          

よく買い揃えたものですね。(06.02.01)

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