富澤研究室紹介
研究分野: 数理統計学 (特に,多変量解析・分割表解析)
主として,統計学における分割表解析の研究をしています.特に正方分割表の対称性に関する研究に取り組んでいます.たとえば,ある集団における裸眼での右視力と左視力は対称的といえるか,非対称ならば,どの程度左視力は右視力よりも良い(あるいは悪い)といえるか,また,人間の虫歯は上と下で対称的か,右と左で対称的かなどの推測に必要な統計モデルや尺度の数理的研究をしています.他にも対称性や連関性などに関心あるデータがあれば,その統計的推測を行うために必要な統計モデルや尺度を新たに提案する数理面の研究に取り組んでいます.研究成果は
論文として学術雑誌へ掲載されています.
「39度の高熱のある子供20人に薬Aを飲ませたら翌日全員が平熱になった」.薬Aは効果があるといえるでしょうか.統計的には効果があったとは断言できません.薬Aを飲まなくても全員治ったかもしれないからです.薬Aを飲まなかった同様な症状の子供との比較試験をして,統計的に効果があったことを証明する必要があります.
本研究室では,統計学を研究しています.3年後期の研究室ゼミや4年の卒業研究では,卒業論文作成に必要な統計学における推定・検定・多変量解析・種々の統計分析法などをゼミ形式で行う予定です.卒業論文は,統計学に関するテーマを,原則,各自決め,自由に取り組んでもらう予定です. さらに関心ある人は大学院へ進学し本格的な研究をすると良いでしょう.
統計学は,文系理系問わずいろいろな分野(経済,心理,教育,社会学,医学,薬学,生物学,理学,工学,スポーツ分野など)で用いられており大変重要です.
種々の分野・業界(食品分野,コンビニ業界,物流分野,医療分野,農業分野,健康科学分野,スポーツ,行政,教育などあらゆる分野)においても,昨今では,各分野で日々膨大なデータが蓄積されています.しかし,そのデータからその分野・業界に携わっている方だけでは,データの分析をして,その分野にとって有用な情報を引き出し,課題を解決することは困難な場合があります.その場合,そのような課題を解決するために橋渡し支援をする人,つまり種々のデータ分析ができて各分野・業界の課題を解決できる解を提案できる能力を持った人が必要です.そのような能力を持った人は
データサイエンティスト
と呼ばれています.
信頼される優秀なデータサイエンスの専門家になるためには,数理面を含む統計学の知識(数理統計学・多変量解析・応用統計学など)を専門的に深く身につける必要があります.
また,医療分野における新しい医薬品や治療法の開発に必要な臨床試験では,医師,薬剤師,看護師等(医学,薬学等の専門家)だけでなく,高度な統計学(医療統計学・生物統計学など)の知識を必要とする臨床統計家・生物統計家・試験統計家などと呼ばれる医療統計家も必要です.研究室で身につけた統計の高度な専門知識を活かして医療統計家として製薬系企業で活躍している人も多くいます.
さらに,高度な確率と統計の知識を必要とする金融分野(生命保険,損害保険,信託銀行等)の”数理業務のプロフェッショナル”と言われ社会的地位の高い「アクチュアリー(保険数理士,保険数理人)」 の資格取得(社団法人・日本アクチュアリー会による認定資格で,かなり難しい試験です)を目指す学生もいます.
中学や高校の教員(教科「数学」)になり教育界で活躍するためにも,今や統計学の専門知識が必要です.
統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験である統計検定(1級,準1級,2級など)(日本統計学会公式認定)の資格の取得を目指すと良いでしょう.
高校生や学部・学環生の皆さん,数理統計学の研究室,富澤研究室へ入って統計学の基礎数理と応用の研究をしませんか.統計学に関心があり深く勉強・研究してみたい方,または優秀な研究者,中学や高校の教員,実務統計家,特に,データサイエンティスト,医療統計家,アクチュアリーなどを目指し,統計学の数理面の知識を専門的に深く身につけて優秀な統計エキスパートとして活躍したい方は歓迎します.アットホームな雰囲気と自由を大切にする富澤研究室で一緒に研究しませんか.