今回、「動物映画」について何か?とのご用命いただき、僕は最初ハタと腕組みして考えてしまったんですね。
と言うのも、 僕はおよそ動物モノというジャンルの映画を見ていない。「ベンジー」も「ベイブ」も見ていない (でも、なぜかトンでもないとこで 「ベイブ都へ行く」はビデオで見てるんですが)。これはどうしたもんか? と考えこんでしまったんですわね。 そもそもねぇ?僕が天の邪鬼なせいか、可愛いばかりの動物映画なんざ何だ、と思っているフシがありましてね。 「ベイブ」にしても何にしても、ストーリー上で人間様に都合よく振る舞っているだけでなく、映画制作のプロセス上でも人間の勝手でしたくもない事をやらされている。これが人間ならオスカー欲しいとかスターになりたいとか、あの女をモノにしたいとかイロイロあるかもしれないけど、動物はそんな事思っちゃいない。放っておいて欲しいはず。 それがスクリーンを透かして見えちゃうんですよ。 前にムツゴロウのテレビ番組見た時も、奴はどこかの国立公園みたいなとこで、警備員が止めるのにライオンを抱きしめようとした。「俺は動物の友達だから大丈夫」とか言っちゃって。そんなの奴の勝手ですよ。案の定、ライオンは暴れてムツゴロウは前足でブン殴られたりした。それでも「動物のお友達」と言った手前、後には退けずに「可愛い可愛い」とか血を流しながらライオンに抱きついてた偽善者ムツゴロウ(笑)。 そもそも動物って人間に都合良くは振る舞わないもんだ?とすると、まず頭に浮かぶのが「ジョーズ」なんですよ(笑)。 「ジョーズ」って動物映画か?って言われると自信ないけど、あれって宇宙生物でも何でもないんだから動物でしょう。 とにかく悪食で、調子に乗って漁船までバリバリ噛んでしまう。あげくの果てにドカ?ンと爆発させられてしまうんだから凄い。爆発ったってアンタ怪獣じゃあないんだから(笑)。 だけど、人間の言う事なんて聞かねえぞ、人間の都合では動かねえぞ、人間なんか屁とも思ってねえぞ?とでも言いたげなその傍若無人ぶり。本来、動物ってこうじゃなくちゃいけないですよね。ワンパクでもいい、たくましく育ってほしい(笑)。 それに、あのツラ構えって何となく愛敬あるんですよ。後年の「ディープ・ブルー」あたりになると、鮫のロボットもかなり巧妙に出来ていて超リアル。動きもいろいろ出来たし。だけど「ジョーズ」のロボット鮫(現場じゃ何でも「ブルース」って呼ばれてたとか)はまだまだ原始的で、しょっちゅう故障繰り返していたらしい。だからちゃんと動かないロボット鮫を、何とかかんとかだましだまし使ってたみたいなんですよ。そのせいか、ここに出てくるサメっていつもバカみたいにポカ?ンと口を開けたままで同じ顔(当り前なんだけど)。海の中でも水面に顔出す時でも、人を食う時でもポカ?ンと口開けたバカ面ってとこが笑える。 もうほとんど大阪食い倒れのカニ道楽の巨大カニ・オブジェ状態(笑)。でも?いや、だからこそいとおしいバカ面ブルース。 何はともあれ、従順でおとなしい女より男を振り回すような女のほうが魅力的じゃあないですか。動物だって人間に従順より人間を食っちまうくらいがいい。女にもパクッと食われたい(笑)。 ?全然「動物ネタ」にならず失礼しました。お後がよろしいようで。 |
『ジョーズ』(1975年・米) 監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:ロバート・ショウ。リチャード・ドレイファス。ロイ・シャイダー。 |