『みなさん、さようなら』Les invasions barbares(2003年・カナダ/仏)
監督:ドゥニ・アルカン
ロンドンで証券ディーラーとして働くセバスチャンは、父レミが重病だとの母ルイーズのの知らせでしぶしぶ帰国する。大学で歴史学を教えていたレミだが、私生活は女好きで身勝手、そんな父を嫌うセバスチャンだが、母の頼みは断れず、レミの幸せな最期を演出することになる。世界中に散らばったレミの友人たちを集め、病院を買収し、使われていないフロアを豪華な病室に改装。アメリカの友人医師の薦めのヘロイン治療を施すために、非合法なヘロインまで用意する。父を嫌っていたセバスチャンだが、彼のために彼のために時間を割くことで父への愛を取り戻し、自分とは違う道、自分にはわからない道を進む息子を理解出来なかったレミは、親しい友人に囲まれ、楽しい時を過ごす中で息子の生き方を理解するようになる。 2004年5月10日(梅田ガーデンシネマ) |
『ミッシング』THE MISSING(2003年・米)
監督:ロン・ハワード。
1885年。アメリカのニューメキシコ州。二人の娘と暮らすマギーは農作業のかたわら治療師としての仕事もしていた。ある日、彼女の元にインディアンの格好をした一人の白人の男がやってくる。彼は20年前に家族を捨てアパッチ族と生きることを選らんだマギーの父ジョーンズだった。彼のせいで人生の歯車を狂わされたマギーは彼をあっさりと追い返す。翌朝、二人の娘とマギーの牧場で牧童として働くマギーの恋人でもあるブレイクは町の祭り見物に出かけるが、騎兵隊の斥候として雇われ造反して脱走したインディアンたちに襲われブレイクは殺害され、上の娘リリーは誘拐されてしまう。何とか助かった下の娘ドットと共に保安官事務所を訪れるが、騎兵隊に任せろと捜索に当たろうとしない。偶然留置場に入れられていたジョーンズに協力を頼み、マギー、ドット、ジョーンズはリリー救出のため彼らの後を追う。 2004年6月28日(ナビオTOHOプレックス) |
『マッハ!!!!!!!!』(2003年・タイ)
監督:ブラッチャヤー・ビンゲーオ
タイの田舎町ノンプラドゥ村。村の守り神である仏像”オンバク”の首が村の出身でバンコクでやくざな仕事をしているドンにより盗み出されてしまう。悲嘆にくれる村人たち。何としても”オンバク”を取り戻さなくてはならない。そこで寺で育てられ、住職からムエタイの極意を教えられている孤児ティンが名乗りをあげる。村の人々は貧しいながらもバンコクへ向かうティンのために資金を集め、必ず”オンバク”を取り戻してくれるようティンに思いを託す。 2004年8月17日(動物園前シネフェスタ) |
『モンスター』MONSTER(2003年・米)
監督:パティ・ジェンキンス。
幼い頃女優を夢みていたアイリーン。いつか誰かが声をかけてくれて夢の世界へ行けると信じていた若い頃。そして今はもう若くない娼婦・・・まともな家も家族も金もない彼女は手持ちの金でビールを飲んでから死のうと思っていた。そして彼女が入った酒場でセルビーという少女と出会う。同性愛者だということで父親から勘当され父親の友人の家に預けられているという彼女となぜか意気投合し、「あなたは美しいわ」とアイリーンがかつてかけられたことのない言葉をかけてくれたセルビーに心惹かれるアイリーン。二人で街を出ようと決めたアイリーンは旅費のために道路脇に立ち、もう一稼ぎと乗った車の客から激しい暴行を受け、その男を射殺してしまう。そしてその男の車を奪いセルビーを街から連れ出し二人の生活を始めるが、持ち金も底をつき、娼婦以外の仕事を探すアイリーンだが、娼婦しかしたことのない彼女にはそんな仕事はなく、セリビーを満足させるためにアイリーンが選んだ道は・・・。1991年に逮捕されるまで7人の男性を殺害し、死刑となった実在するアイリーン・ウォーノスの物語。 2004年10月25日(パラダイススクエア) |
『Mr.インクレディブル』(2004年・米)
監督:ブラッド・バード。
悪をやっつけ、人々を助け守ってきたスーパーヒーローたちは、その特殊能力故のパワーのせいで反対に人々からクレームを受けることになり、政府から活動を禁止されてしまう。スーパーヒーローとして活躍しなくなってから15年。かつてスーパーヒーローとして大活躍していたMr.インクレディブルも同じくスーパーヒロインとして活躍していたイラスティガールと結婚。ダッシュ、ヴァイオレット、ジャック・ジャック三人の子供たちと平凡な暮らしをしていたが、Mr.インクレディブルは昔の活躍が忘れられず、自分のパワーを持て余していた。そんなある日スーパーヒーローの力が借りたいと密かに連絡が入るが・・・。 2004年12月6日(動物園前シネフェスタ) |
『マイ・ボディガード』MAN on FIRE(2004年・米)
監督:トニー・スコット。
元CIAの特殊部隊員ジョン・クリーシー。対テロ対策で暗殺任務に明け暮れた彼は、心も体も傷つき酒びたりの日々を送っていた。そんな彼はある日唯一心を開ける元同僚レイバーンの元を訪れ、彼からボディーガードの仕事を紹介される。誘拐事件の多発するメキシコシティではボディガードが必須となっていたのだった。彼が護衛するのは実業家サム・ラモスの9歳の娘ピタ。彼女は一目でクリーシーの心の傷を見抜き、友達の様に接するが「私の仕事は護衛、友達じゃない」と突き放すクリーシー。しかしいつしか彼女の笑顔に彼の心は癒され、クリーシーにとってピタはかけがえのないものとなる。ところがピアノのレッスンの送迎中ピタは誘拐されてしまう・・・。 2004年12月30日(アポロシネマ) |
『ミリオンダラー・ベイビー』MILLION DOLLAR BABY(2004年・米)
監督:クリント・イーストウッド。
ロサンゼルスのダウンタウンにある小さなボクシング・ジム。名トレーナーでありながら、選手たちに再起不能のリスクを冒させることを恐れるばかりに大試合を避けてしまうジムの経営者でもあるフランキーの元に貧しさ故に苦しみそれから逃れる手段としてボクシングを選んだマギーがやってくる。最初は「女性ボクサーは育てる気はない」と断るフランキーだが、フランキーの相棒でこのジムの雑用係りをしている元ボクサーのスクラップが彼女にサンドバックの叩き方を教え、彼女の素質に気付く。やがて彼女の熱意に絆されたフランキーはマギーのトレーナーを引き受け、マギーの素質は開花し連戦連勝のボクサーとなるが・・・。 2005年5月29日(TOHOシネマズ泉北) |
『ミュンヘン』MUNICH(2005年・米)
監督:スティーヴン・スピルバーグ。
1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中に、“ブラック・セプテンバー”と名乗るパレスチナゲリラによりイスラエル選手団が襲われ選手11名の命が奪われる。このことに激怒したイスラエル機密情報機関“モサド”は、“ブラック・セプテンバー”の幹部の暗殺を計画。そしてこの計画のリーダーに選ばれたアヴナーは国に出産間近の妻を残し、4人の仲間と共にただ国を信じ、任務遂行の旅に出る。一人また一人と着実に任務を遂行していく彼らだが、幹部の一人を殺害してもまた新たな幹部が生まれる。終わることのない任務?やがてアヴナーたちの存在に気付いた何者かによって、今度はアヴナーたちも狙われることになる。 2006年2月6日(TOHOシネマズ泉北) |
『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』 The Three Burrials of MELQUIADES ESTRADA(2005年・米/仏)
監督:トミー・リー・ジョーンズ。
アメリカ・テキサス州の国境に近い荒地で何者かに埋められたメキシコ人カウボーイのメルキアデス・エストラーダの死体が見つかる。彼と心からの友として付き合っていたピートは、深い哀しみに沈む。なんとしても犯人を見つけ出したいピートだが、保安官はメルキアデスが不法入国者だということで全くやる気をみせない。そんなある日ピートはダイナーのウェイトレス レイチェルから国境警備隊員のマイクが犯人だと聞かされる。マイクを襲い連れ出したピートは共同墓地に埋葬されたメルキアデスの遺体を掘り起こし、マイクと共にメキシコへと出発する。「俺が死んだら故郷ヒメネスに埋めてくれ」メルキアデスと交わした約束のために。 2006年4月24日(梅田ガーデンシネマ) |
『ミリキタニの猫』the Cats of Mirikitani(2006年/米)
監督:リンダ・ハッテンドーフ。
2001年。この映画の監督であるリンダは、ニューヨークの路上でひたすら絵を描いている一人の日系の老人と出会う。彼の名はジミー・ミリキタニ。自らを絵画の巨匠だという彼に興味を持ったリンダはカメラを回す。そして2001年9月11日。世界貿易センターが瓦解し、ニューヨーク中が騒然とし、みんなが恐怖に怯える中、いつものように平然と絵筆を動かすジミーにリンダは声をかける「うちに来ない?」リンダとジミーの奇妙な共同生活の中で明らかになっていくジミーの人生。日系人強制収容所に送られ、アメリカの市民権を捨て、それでもアメリカでアメリカを憎みながら生きてきた彼の戦後60年史。 人との出会いって本当に不思議だ。 ジミー・ミリキタニの絵は彼が自らを巨匠だと言うほどに上手いものなのかは、私にはわからない。もし路上で彼の描いた絵を見たら、買ったかな?どうだろ?不思議な絵ですよね。 今彼が画家として生きているのかどうかはわからないけど、路上画家ジミー・ミリキタニとして彼の名は、アメリカでそして日本で知られるようになった。でももし、彼がリンダと出会わなければ、確かにあのニューヨークの路上で路上画家としての彼の人生はそのままにあったかもしれない。だけど、彼の怒りも思いもまたそのまま彼の中だけで、彼はただの浮浪者としてニューヨークの路上に息絶えていたんだろう。 私は運命論者だ。だからきっと彼の人生を知らしめるために、日系人だというだけで収容所に入れられて、大人になることもなく逝ってしまった猫好きの少年のことを、ピースサインが決して古びたダサいサインではなく、今でも堂々と掲げなければならないサインであることを見せつけるために、ジミーとリンダの出会いがあったのだろう。 しかしアメリカという国は不思議な国だ。『シッコ SiCKO』で描かれているように、金持ち崇拝のとんでもない医療制度がまかり通っているかと思えば、この映画では、社会保障番号をなくしたジミーの社会保障番号を探し出し、あっさりと見つけられる彼の新居。おまけに老人施設では、日本では絶対に通らない偏屈な老人の「わしは絵画の巨匠だ」という言葉に「じゃ、絵画教室の先生をやってもらいましょう」って・・・何よこの寛容さは。「アメリカなんてクソッタレだ」そんなジミーを支える彼ら。アメリカと比較して日本を褒めるジミーの言葉に恥じないような日本人でいなければ・・・。肝に銘じさせられました。何があっても「ピース!」 2007年10月29日(シネ・ヌーヴォー) |