『マーシャル・ロー』

監督:エドワード・ズウィック
出演:デンゼル・ワシントン。アネット・ベニング。ブルース・ウィリス。

ブルックリンで起きたテロリストによるバス爆破を発端にニューヨーク各地でアラブ系テロリストによる爆破事件が起こり、犯人逮捕に奔走するFBIテロリズム対策本部長ハバートと相棒のフランク。そして妙な関わりを持ってくるCIAの女性局員エリース。FBIとCIAが腹の探り合いをしながらもテロ組織の追及をしていく中、ついに大統領はニューヨークに戒厳令(マーシャル・ロー)を発令し、軍の最高司令官ダウロー将軍が乗り出すことに・・・
まぁ、おもしろくなくはなかったですが、どうも釈然としない。『マーシャル・ロー』という戒厳令そのもの(原題は違いますが・・・)をタイトルにしているのだけれど、その戒厳令があまり重い意味を持っていなかったような印象を受けました。凶悪なテロを憎むあまりにテロ組織のアラブ人を、そしてテロ組織ではないアラブ人をも憎んでしまう人種差別を織り込むためにアメリカ=軍=国粋主義というつもりで選んだのかもしれないですけど、変にメッセージを入れすぎて、純粋な映画としての面白味を欠けさせているような気がしました。それにブルース・ウィリス。この役ほど彼の魅力が全然出てない役もめずらしいんじゃないかなぁ。彼には2枚目は似合わないというσ(^-^)の偏見かもしれませんけど。(笑)

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『マイ・ドッグ・スキップ』(1999年・米)

監督:ジェイ・ラッセル
出演:フランキー・ミューニース。ケビン・ベーコン。ダイアン・レイン。

舞台は1942年ミシシッピーの田舎町ヤズー。8才のウィリーはこの時代の少年には珍しく読書好きでスポーツが苦手で、学校の友達からはいじめられ唯一の友達は隣に住むスポーツ万能の町の人気者のディンクだけ。ところがそのディンクも出征してしまい、ウィリーの9才の誕生パーティーには来てくれる友達もなく家族だけ。そんな誕生日にまだ早いウィリーには無理だという父親の反対を押し切って母親は1匹の子犬をプレゼントしてくれる。子犬の名前はスキップ。そのスキップのおかげでウィリーの生活は少しづつ変化していく。
作家ウィリー・モリスの幼い頃の本当にあった愛犬スキップとの思い出です。この映画の中にはウィリー少年とスキップの友情と愛情がびっしり詰まっています。そして戦争が幼い少年たちの心にまで影響を与えてしまうという恐ろしさまで描かれています。「戦争の犬たち」という戦争に駆り出された犬たちのニュースフィルムを見て、スキップを志願させようと必死になるウィリー少年の姿に心が痛くなった。いつもは言うことを聞くスキップが全く言うことを聞かなかったのは、もしかしたらスキップにはわかっていたのかもしれませんね戦争の哀しさが。それとももしスキップが口をきけたら「国のため?国を守る?とんでもない僕はウィリーの側で君を守っている方がいいんだよ。君を守るだけで精一杯さ」とでも言ったかも。そんなスキップの心に気付かずにウィリー少年はスキップを叩いてしまう。このシーンに思わず「なんてことするんだ!」とウィリーに腹をたてたんですが、ハタと考えた。ゴメンσ(^-^)もピーコやとめ吉叩いてるよ。ダメだなぁ。思わず反省。ペットなんて言葉で片づけないで、いつも一緒にいる犬たち猫たちは、友人、家族なんだから・・・。あらためてそう感じさせてくれる映画でした。

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『マイ・ハート、マイ・ラブ』

監督・脚本:ウィラード・キャロル
出演:ショーン・コネリー。アンジェリーナ・ジョリー。マデリーン・ストウ。ライアン・フィリップ

脳腫瘍であることがわかり、残された時間をゆっくりと過ごすはずだったポールは25年前の浮気相手の写真を未だに持っていることを妻ハンナに知られ、過去の恋の告白をすることに。いくつもの恋愛を繰り返し本当の愛を探している女優の卵のショーンの前に現れた無口なキーナン。彼に惹かれ彼にアタックをかけるが彼には心に大きな傷があった。夫婦関係が冷え切ってただ体の関係だけの情事を続けるグレイシーとそれに応えるロジャー。偶然に出会った女性に作り話をして自分を演じるヒュー。過去に結婚した相手が同性愛者でその後恋愛恐怖症になっている舞台演出家メレディスは建築家トレントと出会うが、愛に発展するのに躊躇する。エイズで死にゆく同性愛者の息子マークを見守る母ミルドレット。
11人の6つの話がそれぞれにすすんでいくのですが、うまくそれぞれのシーンに切り替わって、それぞれの愛がおもしろいです。そしてラストには思わず拍手したくなったくらいうまくつながってます。ただヒューの話だけはイマイチなんだったのかわかんないですけど・・・(^^;)。σ(^-^)が一番印象に残ったのは冷め切った夫婦関係はどうにもならないのかと問うロジャーに答えるグレイシーの「ただ、散歩に誘ってくれるだけでいいの」というセリフ。わかるなぁこれ。そうなんですよ、それだけでいいんですよ。以前結婚している友人が「恋愛がしたい」と言っていたのですが、その気持ちもこのセリフときっとだぶるんじゃないかなぁ。人間やはりどこかで常に愛にふれていたいですよね。非常にラストが気持ちいい映画でした。

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『マイネーム イズ ジョー』

監督:ケン・ローチ

オンボロサッカーチームの監督をしているジョーは、アルコール中毒で断酒会に入り断酒をしている。サッカーチームのメンバーも一癖もふた癖もありそうな連中で、自分も失業中でおまけに断酒中。それでもジョーはみんなに好かれていて、明るく楽しく生きていた。そんな時ひとりの女性と出会い愛しあい、幸せな日々が続くかと思われたが・・・
σ(^-^)は小さな田舎町。何か特別ものを持っているわけでもない普通の人々が織り成す日常を描いた作品が好きなので、この映画もそういう作品だと思って観たんです。ところがちょっと違いましたね。後半なんでそうなるかなぁ・・・と思う方向へ進んでいき、ラストは・・・つらい・・・σ(^-^)としては非常につらい作品でした。まぁ、ほのかに明かりの見えるラストではあったのですが、世の中そんなに甘くないぜ。ってことなのかなぁ。それともσ(^-^)が感じ取れなかっただけでもっと深い何かがあるのかなぁ。でも、σ(^-^)はキレイ事でもいいからがんばってる人が紆余曲折はありながらもハッピーになれるそんな映画が好きですね。多分この映画もきっとハッピーにはなるんだろうけど、そのための枷としてはきついなぁ。

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『マグノリア』

監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ジェレミー・ブラックマン。トム・クルーズ。ウィリアム・H・メイシー。ジュリアン・ムーア

過去に自分が捨てた息子を探して欲しいと看護士のフィルに頼む癌で瀕死のアール。財産目当てでアールと結婚したが、死に向かう彼と向き合ううちに自分が本当に彼を愛していることに気付き苦悩するリンダ。性の伝道師?としてカリスマ的人気を誇り有名人のフランク。クイズ番組のスターで天才少年ともてはやされてはいるものの父親の愛を確かめられずにいるスタンリー。1960年代にクイズ番組で天才少年と脚光を浴びていたが、すっかり凡人となり勤め先までクビになったドニー。30年も続くクイズ番組の人気司会者で私生活ではやりたい放題だったが癌を宣告されたジミー。父親から逃げ出しコカイン漬けの生活を送るジミーの娘クローディア。伝言ダイヤルにメッセージを入れ彼女が欲しいと思っている信仰心が厚く勤勉な警官ジム。そしてスタンリーの父親。ジミーの妻ローズ。なんと総勢12名のそれぞれの同じ日同じ時刻の24時間の物語。
なんなんだろうこれは?決して普通の人々の話ではない。かと言って特殊な人々の話でもない。それぞれが欲するカタチこそは違うけれど愛の物語なのだろうか?なんともたくさんの愛がありすぎて凡庸なアタマしかもたないσ(^-^)にはチトむずかしかったかな。(^^;)。しかし、この長さであきもせず最後まで観ることが出来たということは決しておもしろくない作品ではない。それぞれの人物が要所でみせる自らの心を吐露するようなセリフがいいんですよね。最初は愛していなかったけど今は愛しているから財産なんていらないと弁護士に訴えるリンダ。憎んでいた父親の最後におまえの前で泣いたりするものかといいながら「死んだりするな。ゲス野郎」と泣き叫ぶフランク。酒場で自分の心は愛でいっぱいなんだと愛するものを欲するドニー。などなど。この出演者みんなが上手い。この上手さのうえになりたっている映画かもしれませんね。そしてラスト。σ(^-^)は何が起こるか知ってましたよ、知ってはいたけどまさかあそこまでとは・・・。(^^;)。そしてあれは恵みの雨ならぬ、慈悲の「・・・」?。転機の「・・・」?。ま、なんでもいいけど。鬱気味に映画に入っていたσ(^-^)を見事にハイな気分にかえてくれたのは間違いないです。しっかし・・・あの発想は一体どこからきたんだろ?

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『マトリックス』

脚本・監督:ウォシャウスキー兄弟
出演:キアヌ・リーブス。ローレンス・フィッシュバーン。キャリー=アン・モス。

ハッカーとしてのネロと大手ソフト会社に勤めるトーマス・アンダーソンという二つの顔を持つ主人公は最近、起きていても夢を見ているような気分になることが多く悩まされていた。ある日モーフィアスという男から接触があり、この現実は仮想現実。マトリックスであると教えられ、自分がこの仮想現実を現実に戻すための救世主だと告げられる。
ストーリーも斬新だし、映像もすごい。全編まったく飽きずに観ることが出来ました。ただ、よく目にした批評でキアヌのカンフーは今ひとつ・・・っていうのは、うなずけましたね。(笑) 確かにがんばってはいるのだけれど・・・ネ・・・ド派手なアクション映画が好きなσ(^-^)としては、まずまず楽しめていたのですが、ラストはちょっとコケちゃいました。(^^;) なんかあっけなさすぎぃー。気分的にコケちゃったラストのせいでなんだか子供だましみたいな映画だったのかなぁ。なんて気にもなっちゃって・・・っと・・・けなしはじめてどうする。いかん。いかん。テンポもよくて中だるみもないですし、アクションシーンもおもしろいし、映像もすごい。σ(^-^)のように派手な映画が好きな人にはおすすめですが、ストーリーに何かを求める方には、ちょっとおすすめ出来ないかな?そういえばσ(^-^)この映画のモチーフにもなってる『攻殻機動隊』だっけ?あれダメだったなぁ・・・(^^;)

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『マルコヴィッチの穴』(2000年・米)

監督:スパイク・ジョーンズ
出演:ジョン・マルコヴィッチ。ジョン・キューザック。キャメロン・ディアス。キャスリーン・キーナー。

人形使いのクレイグは才能があるにも関わらず彼の人形劇は誰からも受け入れられず、就職すれば?という妻ロッテの言葉に渋々新聞の求人欄を探すクレイグの目にとまったのは「手先の器用な方求む」という広告。早速マーティン・フレマー・オフィスビルの7と1/2階にある小さレスター社を訪れ無事文書整理係の仕事に就くが、そこで出会ったマキシンという女性に一目ぼれ。なんとか彼女を誘うもあっさりかわされるクレイグ。高まる彼女への気持ちを抱えたまま毎日の仕事をこなしていた彼がある日キャビネットの後ろに落ちたファイルを拾おうとして偶然に見つけた小さな扉はなんと15分だけ俳優ジョン・マルコヴィッチの意識の中へ入れる穴の入り口だった。
なんて映画だ。15分だけマルコヴィッチになれる穴というのが出てくるということしか情報を持たずにこの映画を観たんだけど、まさかこんな展開とは・・・(^^;)。しかもσ(^-^)はマルコヴィッチ本人がマルコヴィッチの穴に入ってとんでもないことが起こって話が終わると思っていた。にも関わらずまだまだ映画は続く。斬新と言えば斬新・・・とんでもないと言えば本当にとんでもない映画である。きっと洞察力のするどい人ならばこの映画の本質、核心に触れることは出来るのであろうが、どうあがいてもσ(^-^)には無理だった。ま、今までに見たことのない小汚いジョン・キューザック、キャメロン・ディアスが見れて、そこまでするか?というジョン・マルコヴィッチのノリノリ演技を見れただけでもよしとしようか・・・。

以上感情吐露度50%の感想終了。

以下「とめの穴」へ続きます・・・ってのは嘘。感情吐露度100%。ネタばれにもなっていますのでご注意を。

この映画のファンならびに関係者の方はクリックしないで下さい。
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『ミュージック・オブ・ハート』(2000年・米)

監督:ウェス・クレイブン
出演:メリル・ストリープ。グロリア・エステファン。アンジェラ・バセット。

夫と別れ、二人の息子と3人の暮らしを始めたロベルタ・ガスパーリは、高校時代の同級生ブライアンの紹介で、アメリカの中でもきわめて物騒な地域イースト・ハーレムにある小学校でヴァイオリン・クラスの臨時教員として働きはじめる。当初は地域的な特異性にとまどいながらも子供たちにヴァイオリンを教えることに情熱を注ぎ始めるロベルタ。やがて10年の時が流れ、ロベルタのヴァイオリン・クラスは150人もの生徒を抱え、抽選をしなければならないほどの人気クラスとなっていた。ところが市の教育委員会が予算をカットし、ヴァイオリン・クラスは今学期で打ち切りという決定が下される。「私は闘う」というロベルタの元にヴァイオリン・クラス存続を願う教師や親たちが集まり、救済コンサートを開き、それで得られた資金をヴァイオリン・クラスの運営資金とすることとなる。数々の人の助けを得て、1993年10月25日。音楽の殿堂カーネギーホールの大観衆の前ににロベルタの教え子50人のヴァイオリンの音が響き渡る。現在もイースト・ハーレムでヴァイオリンを教えつづけているロバルタ・ガスパーリの実話です。
こういう実話ものはσ(^-^)は大好きなんで、非常に期待を持っていたのですが、ちょっと裏切られたかな?いや、決してつまらなかった訳じゃないんですよ。でも、もっと・・・う〜ん・・・どういうのかなぁ・・・魂を揺さぶられるくらいの感動を期待していたんですよね。それなりにはよかったんですが、基本的にロバルタの個人の側面を重要視したような作りだったので、ラストのコンサートの「やったぜ!」という達成感がイマイチ味わえなかったって感じかな。イースト・ハーレムという特殊な地域という現実感もちょっとなぞってるっていう程度にしか感じられませんでしたしね。σ(^-^)の偏見かもしれないけど、どうにもこの映画メリル・ストリープが「ほら!私をご覧!」って感じの映画のような気がしてしまった。(苦笑)

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『めぐり逢い』(1957年・米)

監督・脚本:レオ・マッケリー
出演:ケーリー・グラント。デボラ・カー。

ヨーロッパへ向かう豪華客船の中でプレイ・ボーイとして名を馳せているニコラ・フェランティとテリー・マッケイは、テリーがニコラのシガレット・ケースを拾ったことをきっかけに知り合いお互い恋に落ちる。しかしニコラには打算による婚約をした富豪の彼女が、そしてテリーにも実業家の彼氏がいた。船が港に到着する朝、ニコラはテリーに何とか自分で生活出来るようにするから半年待って欲しいと告げる。そして二人は半年後エンパイアステートビルの屋上での再会を約束するが、その約束の日思いがけない事故により二人は再会することが出来なかった・・・。
『めぐり逢えたら』の中で女性たちがおいおい泣きながらこの映画のことを語っているので、ものすごい悲恋ものなのかと思ってみていたのですが、なんともおしゃれでちょっとコメディっぽくって、ラストには泣かせてくれるすごく素敵な映画でした。豪華客船のデッキの階段でのキスシーンがすごくいい。先に階段を下りているニコラが一歩戻ってテリーにキスをする・・・らしい・・・。ここスクリーンの上で切れてるんですよね。それがまたおしゃれだな。そしてテリーの元彼氏のケン。なんていい人なんだろう?テリーに結局は振られてしまったのに、テリーのことを心から気に懸けていてしかも、ニコラの所に話に行ってあげようとまでするなんて・・・。この映画のラストシーンは一度観たら絶対に忘れられないと思います。いい映画は40年経っても50年経ってもそれこそ100年経っても名画なんでしょうね。

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『めぐり逢えたら』(1993年・米)

監督・脚本:ノーラ・エフロン
出演:トム・ハンクス。メグ・ライアン。ビル・プルマン。

妻を亡くしてから1年以上もたつのに未だに心の傷が癒えない建築家のサムを見かねた8歳の息子がクリスマスの夜ラジオの人生相談に電話をする。そしてそのラジオを聞いた多くの人が彼の悲しみに心惹かれる。その中の一人に新聞記者のアニーもいた。彼女は結婚を控え幸せなはずだったが、このラジオで「シアトルの眠れない男」の声を聞き話を聞いてから彼のことが気になって仕方がない。ところが友人の家で彼への手紙を書くが出し切れずにいた手紙を友人が彼女に内緒で出したことでサムではなく彼の息子がアニーを気に入り、二人はバレンタインデーに映画『めぐり逢い』と同じエンパイアステートビルの屋上で出会う約束になっていた。
以前ビデオで観て今回は2回目なんですが、やっぱりいいですねこの映画。『めぐり逢い』だけではなくコチョコチョと映画の話題が出ているのがこれまたおもしろい。こういうの映画好きにはうれしいんですよね。そしてこの映画に出てくる女性たちがみんな『めぐり逢い』に感動しているのに対して男性たちがつまらんという態度でいるシーンの極めつけのサムの友人夫婦の妻が泣きながら『めぐり逢い』のラストを語っているのに冷ややかな視線の二人が『特攻大作戦』を泣きながら?語るシーン。このシーンσ(^-^)は大好きです。ちょっと軽めのラブ・コメディといった感じのスタンスもいいですね。いやぁ、しかしこの頃トム・ハンクスってまだふさふさしてたのね。まず、最初にそれに感動してしまった。(笑)

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『息子の部屋』THE SON'S ROOM(2001年・伊)

監督:ナンニ・モレッティ。
出演:ナンニ・モレッティ。ラウラ・モランテ。ジャスミン・トリンカ。ジュゼッペ・サンフェリーチェ。

イタリアの小さな町。精神分析医のジョバンニは妻と二人の子供と裕福で平穏な日々を過ごしていた。そんなある日息子の学校から呼び出しがかかり、息子が授業で使う化石を盗んだと言われる。思春期を迎えた息子の微妙な変化に不安と不満を覚えるジョバンニ。なんとか息子の心を読み取ろうとする彼に突然訪れた息子の死。最愛の家族を亡くすという現実に残された家族の心は少しづつずれはじめ、不協和音を奏ではじめるが・・・。
なんて淡々と進むストーリーなんだ。特に息子の死にまつわるシーンには、いかにもという葬儀のシーンはなく、病院の待合室。棺おけのパンフレットを片手に父親に話し掛ける業者。そして事務的に閉じられる棺おけの蓋。人の死における日常の風景が描かれていることによって余計に彼の死の現実が重く感じられる。残された家族の心の痛みもこれみよがしのセリフがないことによって、余計に深い。なんとも現実的な映画だと思う。家族の喪失、そして家族のあり方・・・テーマとしては重いんだけど、その重みが全くなくって波打ち際の砂の上に書いた落書きをスーッと消していく小さな波のような映画でした。そっと心に感じる映画・・・とでもいうのかな・・・。

2002年2月2日(動物園前シネフェスタ)

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『モンスターズ・インク』MONSTERS,INC(2001年・米)

監督:ピート・ドクター。
声の出演:ジョン・グッドマン。ビリー・クリスタル。ジェームズ・コバーン。スティーブ・ブシェーミ。

モンスター・シティにあるモンスターズ株式会社は、モンスター・シティのエネルギー源である人間の子供の悲鳴を集め供給する会社。夜毎人間界の子供部屋のクローゼットのドアから侵入し、子供たちを怖がらせている彼らだが、実は彼らの方こそ人間の子供を恐れ、有毒だと信じていた。ある日その会社の悲鳴獲得数No.1のサリーは終業後の会社で片づけられていないひとつのドアを見つける。そしてなんとそこから人間の女の子がモンスター・シティに入ってきてしまったのだ。相棒のマイクと協力してなんとかこっそり人間界へ戻そうとするが・・・。
まず、本編上映前の短編『フォー・ザ・バーズ』に大うけしてしまった。好きだぁ〜!あの単純さがかえって面白い。それにあの鳥さんたちかわいい!あの鳥さんのマスコット人形あったら絶対に買うな。本編ももちろんよかった。「怖がらせ屋」?たちの入場シーン。あはは『アルマゲドン』だ。もしかしたらスティーブ・ブシェーミの立ち位置が一緒。なんて細かいこともしてたりして。どなたか確認してください(笑)。『トイ・ストーリー』と同じくむずかしいこと抜きで楽しめる映画でした。それに日本人にはうれしいシーンがふたつ。マイクが彼女とのデートで行く「すし屋」といくつも開けていくドアの一つの和室シーン。でもあの「すし屋」で出してるのってなんだか寿司というよりたこ焼きのような気がしたのは私だけだろうか? あ、物語とは全く関係ないけど日本語吹き替えのマイク役は爆笑問題の田中とか・・・。う〜ん・・・どうあがいてもビリー・クリスタルに太刀打ち出来ないだろう?一体どういう人選なんだ?

2002年3月13日(ヴァージンシネマズ泉北)

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『メメント』Memento(2000年・米)

監督:クリストファー・ノーラン。
出演:ガイ・ピアース。キャリー=アン・モス。ジョー・パントリアーノ。

何者かに妻を殺害された元保険調査員のレナードは、妻を殺された復讐のために一人犯人を探す。しかし彼は妻が殺された時に頭を殴られ昏倒したため、新しい記憶が10分しか保てない記憶障害になっていた。そんな彼の記憶の手段はポラロイド写真にメモ・・・そして自らの身体に刻む刺青。果たして彼は犯人にたどり着けるのか?
面白い!確かに面白い!でもこれって、反則技みたい(笑)。だってこういう作りにすれば斬新で面白いこと間違いないもの。ま、だからと言ってこのパターンはそうそう使えるものじゃないですけどね。ただ途中経過の面白さはすごくあるんだけど、観終って、なるほどぉ!と消化出来たかというと・・・(^^;)・・・実は私は消化しきれなかった。な〜んか消化不良みたいに感じちゃったんですよねぇ。こうきてこうなってこうで・・・終り。ってのはわかるんだけど、な〜んか気持ち悪い。「THE END」がちゃんと終りじゃないからかな。エンドレスであってもエンドレスの怖さ・・・ってのがもうちょっと付け足されててもいいような、でも付け足してしまうとくどいかも・・・でもなんかねぇ・・・という気持ち悪さがあるんですよねぇ。(^^;)。

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『MIBU』MEN IN BLACK U(2002年・米)

監督:バリー・ソネンフィルド。
出演:トミー・リー・ジョーンズ。ウィル・スミス。ララ・フリン・ボイル。

5年前、入局早々地球の危機を救ったJは今では”MIB”きってのエージェント。その時一緒に活躍したKはあの事件のあと引退し、今では普通のおじさん。K以上のパートナーが見つからずにいらいらしながら仕事を続けるJの前に「ザルタの光」という惑星を一気に消滅させてしまうほどのパワーを持つ物体を探してサリーナという兇悪な宇宙人が現れる。しかもそのありかを知っているは引退したK。ところが引退したKには”MIB”の記憶なんて全くない。強引にKを”MIB”本部へ連れて行きデニューラライザーで記憶を取り戻させようとするJだが、Kに目をつけたサリーナにより”MIB”本部は占拠されてしまう。
ノリノリ度は前作よりパワーアップしているが、ストーリー性は前作の方がしまってたかな・・・。映画の出来は前作の方がいいかもしれない。でも前作のファンを喜ばせてくれる工夫はいっぱい。十分に楽しませてもらいました。で・・・・いつものことですが・・・。キャー!トミー・リー・ジョーンズかっこいい!!(笑)。劇場に入る前に買ったパンフレットの中の銃をかまえるトミー・リー・ジョーンズの姿のあまりのかっこよさに思わず叫びそうになっちゃったよ。そうそう・・・エージェントKの本名がケヴィンだってのに、密かにほくそ笑んだ私。些細なことでも繋がるとうれしいものなのよ(笑)。十二分に彼の魅力を堪能出来たのでこの映画は○。私って単純?(笑)でも、この映画を観てひとつだけ疑問が・・・エージェントMってあれメイク?それともノーメイク?確かに彼年々宇宙人っぽくなってるのは確かなんだけど・・・(^^;)

2002年7月10日(ヴァージンシネマズ泉北)

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『メルシィ!人生』LE PLACARD(2000年・仏)

監督:フランシス・ヴェベール。
出演:ダニエル・オートゥイユ。ジェラール・ドパルデュー。ティエリー・レルミット。

妻子にも逃げられ、さえない中年男ピニョンはある日勤続20年の会社さえも人員整理のためにクビにされるという知らせを聞く。家に帰り悲観のあまりベランダから飛び降りようと決意するが、引っ越してきたばかりの隣人に止めらる。そしてその隣人が打ち出したリストラ対策はなんと「カミングアウト」。早速会社に送りつけられた半ケツのレザーパンツに身を包み男性と抱き合うピニョンの写真に会社の重役たちは大慌て。このまま彼をクビにすればゲイ差別で抗議されるし、おまけにこの会社の製品はコンドーム。ゲイたちも貴重な顧客だということでピニョンのクビはつながるが、今まで何の取り得もなく目立たなかったピニョンの生活がその日を境に序々に変わっていくことに・・・。
看板に偽りなし。チラシに書いてあった通りに上質のコメディでした。とにかく面白いし、なんとも言えずさわやかだ。さえない奴ってさえないから誰からも相手にされないし、誰も相手にしないからますますさえなくなっていく。その方程式がドンピシャと当てはまる主人公ピニョン。そしてそのピニョンがこの方程式を立証するように理由はともあれ、みんなから相手にされるようになってから段々さえてる男になっていく様がすごく面白い。とは言え本人はなんら変わってないんだけどね。ただひとつ変わったことは自分を主張するようになったこと。ことの発端も要は今までなすがまま、なされるがままだった彼が唯一クビにはなりたくない。って主張したことなんだよね。ま、ここは穏便に・・・自分さえ黙ってれば事は収まる。なんてことは自分が人間として枯れきっちゃった時にすればいいんですよ。波風の立たない人生なんてつまんないよ。立ち過ぎても困るけど(笑)。この映画は落ち込んだときにはおすすめですね。そして猫好きにもおすすめ。ソファーに陣取るあんた!かわいすぎだぁ〜!

2002年11月9日(テアトル梅田)

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『めぐりあう時間たち』THE HOURS(2002年・米)

監督:スティーヴン・ダルトリー。
出演:ニコール・キッドマン。ジュリアン・ムーア。メリル・ストリープ。

物語は1941年イギリスのサセックス。川の中に身を委ねるヴァージニア・ウルフの姿から始まる。
1923年イギリス。病気療養のため夫と共にロンドン郊外へ移り住んでいたヴァージニア・ウルフは『ダロウェイ夫人』の執筆をはじめていた。1951年ロサンジェルス。ベッドで1冊の本を手にするローラ・ブラウン。本のタイトルは『ダロウェイ夫人』。そして今日は夫の誕生日。夫のために息子をケーキ作りをはじめる。2001年ニューヨーク。今はエイズに侵されている作家である友人リチャードが栄えある賞を受賞したことを祝うパーティーの準備に追われるクラリッサ・ヴォーン。『ダロウェイ夫人』をキーワードに3つの時代の3人の女たちのそれぞれの思いの詰まった一日が始まる。
チラシのコピーに「人生は一度だけ、あなたは誰のために生きますか?」とある。自分らしく生きることに苦悩する3人の女性を描いた物語なんですが・・・。まずはっきりと言います。私は自分のためにしか生きていない。自分のために生きない人生なんて意味がない。という考え方で今を送っているので、この映画何がなんだかさっぱりわかりませんでした。自分らしく生きるって正味の部分では本当にむずかしいと思うんですよ。どっかでなんらかの折り合いをつけないと生きていけないから。でもこの映画のように精神的に葛藤している様をこれみよがしに見せつけられても「だから何やねん?」って言葉しか出てこない。ヴァージニア・ウルフの人生って実在の人物でもあるし、作家という職業からこの彼女の人生の苦悩や葛藤は痛く突き刺さるものがあったんだけど、あとの架空の二人については本当に「だから何やねん?」なんですよねぇ。だってローラなんて時代的に彼女の同性愛的な感情に苦悩するのはわかるのですが、なんでいきなり今日なんだ?って感じがする。確かに病気の友人を励ますときに思わずキスしてしまい、そのことにより自分の感情をはっきり悟ったのかもしれませんが・・・でもねぇ・・・(^^;)。アカデミー賞全9部門ノミネートってことで観にいったのですが・・・。この理由もわからいない。ま、確かにこの映画のニコール・キッドマンはすごくよかったですけどね。アメリカンな映画なのかな?(苦笑)

2003年5月17日(ヴァージンシネマズ泉北)

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『マトリックス・リローデット』MATRIX RELOADED(2003年・米)

監督:ラリー・ウォシャウスキー。アンディ・ウォシャウスキー。
出演:キアヌ・リーブス。ローレンス・フィッシュバーン。キャリー=アン・モス。モニカ・ベルッチ。

人類最後の都市ザイオンに迫るコンピューターの最終攻撃。ザイオンを死守すべく集結する船の中、モーフィアスはネオと預言者を信じ、ザイオンを離れマトリックスへと赴く。預言者を探し、預言者と出会ったネオの前に現れたのはネオへの復讐のため、自らのクローンを作り出すことが出来るようになったエージェントスミス。彼らの行く手を阻むスミスとの攻防、刻々と迫るザイオンへの攻撃を彼らは阻止できるのか?
前作の感想でド派手なアクションが好みならOKというようなことを書いたのだが、こちらの作品ではド派手なアクションが好みでも限度があるだろう。というのが私の感想です。物語は前作よりもずっと訳わかんなくなってるし、持てる映像技術を駆使した映像はそれなりにはいいんだけど、はっきり言ってひつこすぎ。100人スミスのシーンなんて途中で気分悪くなっちゃったよ。もううんざりって感じ。ラストがどうなるかなんて気にもなんないよ。もういいや。誰がなんと言おうと3作目は絶対に観にいかない。

2003年6月9日(ヴァージンシネマズ泉北)

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『ミニミニ大作戦』THE ITALIAN JOB(2002年・米)

監督:F・ゲイリー・グレイ。
出演:マーク・ウォールバーグ。シャーリーズ・セロン。エドワード・ノートン。

水の都ベニスで綿密な計画の下、50億円の金塊の強奪に成功したチャーリーと仲間たち。分け前の金の使い方を笑顔で話す彼らだったが、予想もつかなかったアクシデントで奪った金塊はすべて奪われ、チャーリーの父親のような存在であった金庫破りのジョンが命を落とすことに・・・。それから1年、奪われた金塊を取り戻し、ジョンの敵を討つためにベニスでの仲間がロサンゼルスに集結する。しかし重要な金庫破りのジョンはもういない。そこでチャーリーはジョンの娘で金庫破りのテクニックを持ち、合法的な金庫開錠の仕事をしているステラに声をかける。ステラの加入により着実に計画は進むが・・・。
なんて楽しい映画なんだ。全然嫌味がなく、昔ながらの娯楽テイストを含んだ気持ちのいいつくりになっている。リーダーチャーリー役のマーク・ウォールバーグのリーダーでありながらも「俺、俺」的要素の全くのなさがすごくこの映画を引き立てているような気がする。ロサンゼルスの街を疾走するミニクーパーがかっこいい!思わずミニクーパーが欲しくなっちゃいました。ま、私には手の出ない価格ですが・・・。とにかく楽しかった。とは言うものの、この映画ベニスの街でとんでもないことしたらしいですけど・・・(^^;)。

2003年6月29日(ヴァージンシネマズ泉北)

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『マイ・ビッグ・ファット・ウエディング』MY BIG FAT GREEK WEDDING(2003年・米)

監督:ジョエル・ズウィック。
出演:ニア・ヴァルダロス。ジョン・コーベット。

ギリシャ人であることにこだわる両親の元、幼い頃からギリシャ人らしくとたくさん食べてみんなが行くサマー・キャンプへの参加も出来ずギリシャ語教室に通い、もう何年も前から「ギリシャ人と結婚し子供を生んで・・・」と毎日のように父親に言われ続けているトゥーラは30歳。太り気味の体型にメガネ。仕事も両親が経営するギリシャ料理店のウェイトレス。もちろん彼氏なんているわけがない。そんな生活に嫌気がさしていた彼女は大学でコンピューターの講習を受けたいと母親に切り出す。案の定「女に学問はいらない」と反対する父親だが母親の説得で大学に通いだしたトゥーラの新しい人生が始まる。
なんて楽しい映画なんだ。よくあるさえない女の子のサクセスストーリーの結婚版なんだけど、ギリシャ人の家庭というのがこの映画の一番重要なポイントですね。いいよなぁこの家族。大学行きを父親が賛成するはずがないと言うトゥーラへの母親のセリフがいい。お父さんは家族の頭だけど私は首よ。頭を動かすのは首なの。だって・・・(笑)。主人公のトゥーラよりも彼女の家族がすごくいい。頑固な父親はもとより、ちょっとぼけたばあちゃんもいい。それに物語のよさよりも私はこの映画のコメディ映画としてのセンスがすごく気に入っちゃった。これぞコメディ。って感じですね。なんだかこの映画観てギリシャ人の家族とお友達になりたくなっちゃったよ。本当にみんなあんなノリなのかなぁ?

2003年8月10日(アポロシネマ プラス1)

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『ミスティック・リバー』MYSTIC RIVER(2003年・米)

監督:クリント・イーストウッド。
出演:ショーン・ペン。ティム・ロビンス。ケビン・ベーコン。

ボストンのダウンタウンに近いイーストバッキンガム地区。ジミー、ショーン、デイブの3人の少年が路上で遊んでいると警官と名乗る二人の男が現れ、デイブだけが車に乗せられ連れ去られてしまった。デイブが戻ってきたのはそれから4日後。その間に何が起こったのか、誰も語ることはなかったが、デイブの心に深い傷を残し、その日を境に3人で遊ぶことはなくなった。それから25年たったある日、ジミーの最愛の娘が無残な姿で殺されているのが発見される。今は刑事となったショーンがその事件の担当となり、その捜査線上にデイブが容疑者として浮かぶ。デイブの誘拐という悲惨な事件で離れ離れとなっていたかつての幼馴染が今度は凄惨な殺人事件をきっかけに再会することとなる。
先にこの映画を観た人から後味が悪いと聞かされていて、確かに後味が悪い・・・と言ってしまえなくもない映画ですが、単に後味が悪いというよりも、なんだかいろんな要素がつまっていて何とも濃厚な作品のような気がしました。過去のトラウマ・・・暴力が生む悲劇・・・。でも私がこの作品で一番感じたことは人間の底知れぬエゴなんですよね。私はこの映画を観終わって『イン・ザ・ベッドルーム』を思い出してしまったんですが、なんだかあの映画に通じる人間の被害者意識というか、自己中心的思想・・・とでもいうのかな・・・なんだかそんなものを感じました。デイブの事件を例にとってみてもかわいそうに・・・と同情はしているけど、本当のところは自分じゃなくてよかったって思っていて、彼が心に刻み込んでしまった恐怖とか計り知れない傷なんか誰一人として汲み取ろうとはしない。妻のセレステでさえ、それをわかろうとはしないし、反対に彼が隠す行動に今度は自分が恐怖を覚えて、自分を守ろうとした行動がさらなる悲劇を生んでしまう。ジミーの妻もまさしくその典型で「あなたは何も悪いことはしていない。セレステが悪いのよ」とまで言ってのける。刑事であるショーンでさえ、結局は事なかれ主義的に自分と妻がうまくいけばそれでいい・・・そんな感じを受ける。「あの時みんなが車に乗っていたら・・・」このショーンのセリフは、今回の事件と25年前の事件は本当は何の関係もないのに、この場を納得させるための繕いの言葉でしかないような気がする。それもこの映画ほどの大きな事件はなくても日々何かことが起こったときに私たちも使っているセリフとだぶっているんじゃないだろうか?・・・なんてこと考えてるとなんとも重い気分になってきちゃった。それほどにこの映画は濃厚だってことでしょうね。(^^;)

2004年2月2日(アポロシネマ プラス1)

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