『エリン・ブロコビッチ』

監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジュリア・ロバーツ。アルバート・フィニー。アーロン・エッカート。

2度の離婚で8歳、6歳、8ヶ月の三人の子供を一人で育てているエリン・ブロコビッチは、預金も底をつき必死に就職先を探していたが、大した教育も受けておらず特技も何もない彼女にはなかなか見つからない。しかもそんなある日衝突事故にあい、弁護士のエド・マズリーの元へ行くが、エリンの口の悪さが災いしてとれるはずの賠償金すらとることが出来なかった。切羽詰ったエリンはエドの事務所へ押しかけ強引に事務員として居坐ることに・・・。そこで彼女がみつけたひとつのファイル。大手電力・ガス会社PG&Eが、ヒンクリー在住ダナ・ジェンセンの土地の買収を図っているというもので、なぜだかそこに添付された医療記録が気になったエリンはエドの了承を得て、独自に調査をはじめる。そしてそれがやがて全米史上最高額の和解金3億3千3百万ドルを勝ち取る訴訟へと発展していく。
もう最高に気分のいい映画です。しかもこれがまた実話だというからすごいですよね。最初はおいおいなんて女なんだぁ?という気がしていたのですが、外見で人を判断しちゃいけないな。というのを身につまされて感じました。服装は派手だし、口は悪いし、ガサツだし・・・。そんなエリンなんですが、心はまっすぐで、それが物語りが進むうちにかっこよく見えてくるんですよ。634人の署名を集めてきた場面で言う彼女のセリフには思わず拍手しちゃいました。すかしてきどった弁護士たちに私は頭はトロいし法律にも詳しくないから634人をフェラしまくってもらってきたのよ。だから疲れちゃった。って・・・。好きだなこういうの。すかした奴らには一生懸命やったのよって言葉よりこっちの方がカウンターパンチとして見事に決まっちゃうんですよね。かっこよく生きようって思ってかっこよく生きれるかっていうとそうじゃなくって、ヘンなお飾りとかがないからかっこいいんですね。自らのきもに命じておかなければ・・・。

BACK

『お熱いのがお好き』(1959年・米)

監督・脚本:ビリー・ワイルダー
主演:ジャック・レモン。トニー・カーティス。マリリン・モンロー。

禁酒法時代のシカゴ。バンドマンのジョーとジェリーは偶然にもマフィアのコロンボ一家が密告者を殺害する現場に居合わせ一部始終を目撃してしまう。自分たちも殺されるところを間一髪逃げ出した二人はコロンボ一家から逃れるために、マイアミへ向かう女性ばかりのバンドに女装してもぐり込む。そこで二人はそのバンドの女性歌手シュガーに心惹かれなんとか彼女を口説こうと苦心するが、女性にかけてはジェリーよりも一枚上手のジョーはホテルに着くと早速百万長者に化けてシュガーに急接近。結局ジェリーはジョーに利用されあげくの果てに初老の紳士(こちらは本物の百万長者)にプロポーズされてしまう。そんな時なんとシカゴにいるはずのコロンボ一家がマフィアの会のために彼らが出演しているマイアミのホテルにやってくる。
明るく軽いお茶目なタッチのコメディです。実はσ(^-^)トニー・カーティス大好きだったんですよねぇ。(って気が多い?(笑))ハンサムなんだけどこの妙に軽いノリが好きなんですよ。そしてこのトニー・カーティスとジャック・レモンのコンビがもう絶妙です。マリリン・モンローもかわいいし、ドタバタ喜劇っぽいけどそこまでいかないこの軽さが最高にいい。どうやらビリー・ワイルダーの作品ってσ(^-^)好きみたい。なかでもジョーとシュガーのラブシーンとジェリーと初老の紳士のダンスシーンが交互に映されるところなんかそれだけで笑っちゃいました。巧いですよねぇ。この映画の見所の二人の女装は敢えて白黒で撮影したというだけあって、エグくもないし、それどころかチャーミングに見えましたし(笑)。また大好きな映画が増えました。

BACK

『オータム・イン・ニューヨーク』(2000年・米)

監督:ジョアン・チェン
出演:リチャード・ギア。ウィノナ・ライダー。

ニューヨークで人気のレストランを経営する48歳で独身のプレイ・ボーイのウィルは自分のレストランでバースデーパーティーをしていた22歳のシャーロットと知り合う。若くてチャーミングな彼女に惹かれた彼は翌日早速彼女に電話をかけ、パーティーに連れ出す。パーティーのあと彼女の若さに躊躇して先に進めないウィルにシャーロットは積極的に行動し、一夜を過ごす。彼女の若さから彼は彼が今までに付き合った女性のように簡単にはいかなくなると感じ、二人の関係には未来はないのだときりだす。その言葉に悲しそうに微笑みシャーロットは「私は病気なの。今まで生きているのが不思議なくらいなの」とウィルに告げる。その日から二人の限られた時間の中の愛が始まる。
ベタなよくあるパターンで使い古されたパターンの恋愛映画です。涙さえもさそわれない恋愛映画の王道ともいうべきパターンの恋愛映画ですね。こういう余命いくばくもないという儚い恋愛というパターンはもう使うなという気は全くないです。おおいに使っていいと思います。でも、2000年の恋愛映画と銘打つならもっと凝っててもよかったのではないでしょうか?もうラストがみえみえで見えきっているからかわいそうだとも悲しいとも全く思わなかった。エンドロールに余韻さえも残らなかった。だったら観るなよ。ですって・・・。そうですよね、でも何か新しいもの期待したんですよ。まさかここまでベタだとは思わなかった。いっそのこと大手術が成功彼女は命の期限から開放されてこれから二人の時を思う存分楽しもうと思っていた矢先に彼が交通事故で死んじゃうとか、命の期限がなくなったことにより視野が開け彼女は新しい恋をみつけて彼の元から去っちゃうとかっていうほうがσ(^-^)は面白いと思うんだけど・・・。え?そんなひねくれた映画誰も観たがらないって・・・。かもしれませんね。(^^;)

BACK

『オープン・ユア・アイズ』ABRE LOS OJOS(1997年・スペイン)

監督:アレハンドロ・アメナーバル。
出演:エドゥアルド・ノリエガ。ペネロペ・クルス。チェテ・レーラ。

裕福でハンサムはセサールは、同じ女性と二度一緒に過ごしたことがないというプレイボーイ。そんな彼が自分の誕生日に友人が連れてきた女性ソフィアに夢中になる。しかし彼と過ごしたことで夢中になった女性ヌエラは彼を車に乗せて無理心中を図る。ヌエラは死亡、何とか一命を取り留めたセサールだが彼の顔は醜く歪んでしまう。人生に悲観するセサールだが、そんな彼にソフィアは優しく、無理だと言われていた顔の整形手術も成功し、夢のような時が訪れるはずが・・・
『バニラ・スカイ』を観る前にとこのビデオがレンタル屋に並んでいたのだが、これ観たら『バニラ・スカイ』観る意味ないような気がするんだけど・・・(苦笑)。だってこの話ネタバレあったらつまんないと思うんだけど。ま、トム・クルーズファンと英語じゃなきゃいやって方は『バニラ・スカイ』を観て、そうじゃない方はこちらを観る。ってのでいいんじゃないかな(笑)。映画がはじまってしばらくは「なんじゃ、この男は!?」とムカムカきてた。こんな男に執着する女もどうかしてるとは思いますがね。でも事故でこの男の顔が醜くなった時には思わず拍手したいくらいだった。そんなことはさておき・・・いやぁ、この事故後の展開がなんとも面白い。観終わってなんだか騙されたような気になりましたよ。

BACK

『オール・アバウト・マイ・マザー』(1999年・スペイン)

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:セシリア・ロス。マリサ・パレデス。ペネロペ・クルス。

移植コーディネーターのマヌエラは一人息子エステバンとマドリッドで暮らしていた。エステバンの将来の夢は作家で彼は母親の物語を書こうとしていた。しかし彼は母マヌエラから父親について何ひとつ聞かされていなかった。エステバンの17歳の誕生日に女優ウマ・ロッホ主演の「欲望という名の電車」の舞台を二人で観に行き、どうしてもウマ・ロッホのサインが欲しいというエステバンは劇場を出てタクシーに乗り込んだウマ・ロッホを追いかけたが脇から出てきた車轢かれてしまう。最愛の息子を亡くし悲嘆にくれるマヌエラは息子の死を父親に伝えるためにバルセロナへ向かう。
『サイダーハウス・ルール』の父親の映画に続き今度は母親の映画だ!と勇んで観たのはいいのですが・・・。(・_・)?「ははおや・・・」の映画ですよねぇ?うん・・・確かに主人公のマヌエラは母親だ。バルセロナで知り合う修道女ロサも妊娠しているのだから母親だわな。でもってロサの母親も出てくる。だからどうなの?すみませ〜ん。全然わかりませ〜ん。映画は飽きもせずにちゃ〜んと最後まで観れたんですよ。楽しくなくもなかったし・・・。でもこれどんな映画?って聞かれちゃうとどうにも返事が出来そうにない。出てくるのがほとんど女性なんで母親の映画ではなく女性の映画なのか?と思ってみてもその視点でもどうもピンとくるものがない。どうも『欲望という名の電車』がキーワードになっているような気もしないではないのですが・・・。こう考えるとエステバンの父親は間違いなくスタンレー。ではマヌエラはステラ?ロサもステラ?じゃ女優のウマは舞台で演じているまんまブランチ?・・・でもなんか違うしなぁ。父親をスタンレーとだぶらしているのはマヌエラが自分をステラとだぶらして見ているからそう思ってるだけのような気がするしなぁ。ふぅ〜。もう考えるのはよそう。

BACK

『オーロラの彼方へ』(2000年・米)

監督:グレゴリー・ホブリット
主演:デニス・クエイド。ジム・カヴィーゼル。エリザベス・ミッチェル。

警察官のジョンは勇敢な消防士だった父フランクを30年前、彼が6歳の時倉庫火災の現場で亡くしていた。今でも父と母の三人で暮らしていた家に1人暮らすジョンの元にやってきた友人親子が階段下の倉庫で父の遺品である無線機をみつける。懐かしさに無線機のスイッチを入れる友人。そして友人親子が帰ったあともその無線機のスイッチは入ったままだった。すると無線機から呼びかける男性の声が・・・。その声に応えるジョン。話をしているうちに話す内容の年代の食い違いに気付き、やがてその声の主が30年前に死んだ父親であるとわかる。今なら父親を火災事故から救うことが出来る。そう思ったジョンは違う逃げ道を選ぶことを教える。しかし30年前の事故から父親を救ったことが二人をとんでもない事件に巻き込むことになる。
時を越えて結ばれる父と息子の絆・・・なんて感じのコピーに惑わされてはいけません。これは見事に練り上げられたサスペンスです。過去をこう変えると現在がこうかわる・・・というよくあるパターンをまさかこんな形で利用し、ここまで見事なサスペンスに仕上げているこの脚本は本当にすごい。そしてそこに織り込まれる父と子の絆・・・愛情・・・。これがまたいい。デニス・クエイド演じる父フランクはアメリカの典型的な理想の父親なんだけど、それが全く嫌味じゃない。ジム・カヴィーゼル演じるジョンも、彼女に別れを告げられ落ち込み、幼くして亡くした父への思慕を募らせる人間味溢れるキャラなんで、ストーリーに無理がない。無駄、無理、嫌味・・・この3つが無い作品ってなかなかないとσ(^-^)は思います。それに簡単にラストまで持っていかず、ひとひねりふたひねりあるところがこれまた何とも憎いですねぇ。σ(^-^)の本年度鑑賞作品ベスト10に入る作品です。

BACK

『ヴィドック』VIDOCQ(2001年・仏)

監督:ピトフ。
出演:ジェラール・ドパルデュー。ギヨーム・カネ。I・サストレ。

1830年。有名な探偵ヴィドックが何者かに殺された。ヴィドックの自伝を書くつもりだという作家エチエンヌは彼の自伝の最終章を彼を殺した犯人を暴くことで締めくくりたいとヴィドックの死に到るまでの足取りをたどる。そして彼は落雷を巧みに利用して殺害された3人の男の事件に関わっていたことがわかり、その3人を結びつける謎の男「鏡の顔を持つ男」にたどりつく。果たして「鏡の顔を持つ男」とは一体?・・・
なんとも不思議な映像とカメラワーク。はじまってすぐはちょっとクラクラしちゃいましたよ。でも面白かった。犯人は一体誰?とやたら考えさせるようなわざとらしいセリフまわしに映像。なかなか楽しませてもらいました。ただラストの鏡のシーンは目が痛かったな(苦笑)。
で、またかとおっしゃられるかもしれませんが・・・ジェラール・ドパルデューかっこいい!(笑)。『102』のあの妙なデザイナーと同一人物とは思えない。もう彼のかっこよさとしぶさでこの映画は○!Hな機械仕掛けの影絵もなかなかよかったしネ・・・(笑)

2002年1月25日(ヴァージンシネマズ泉北)

BACK

『オーシャンズ11』OCEAN'S ELEVEN(2001年・米)

監督:スティーブン・ソダーバーグ。
出演:ジョージ・クルーニー。ブラッド・ピット。マット・デイモン。ジュリア・ロバーツ。

4年の刑期を終えて仮釈放となったダニー・オーシャンは、早速ラスベガスの3大カジノの現金がすべて集まる巨大金庫から1億5000万ドルの現金を盗み出すという計画を立てる。厳重な警戒と高度なセキュリティシステムに守られた金庫から大金を盗み出すには、最高のメンバーを集めなければいけない。まずは旧友のラスティーに声をかけ、二人で全米に散らばるプロたちを呼びよせ、綿密な計画の下彼らの強奪作戦は実行される。
見事なまでの超豪華キャスト。そしてアカデミー賞受賞監督のソダーバーグ作品。観ない訳にはいかないでしょう。ってノリで大きな期待を持たずに観に行ったのだが・・・。ちょーっと物足りないかな?(笑)。超娯楽作品・・・を期待したのが間違いかな?そつがない・・・っていうのはいいんだけど、あまりにもうまくまとまりすぎてるんですよね。私って男でも端正な二枚目ってのには全く魅力を感じないんだな。理想は二枚目半。この半ってのがなかなかむずかしいんだけど、こういった娯楽作品もやはり理想は二枚目半。もうちょっと遊びがあったり、まぬけな部分があったらよかったのに。でも、やたら出てくるシーンのほとんどでなんか食ってるブラッド・ピットは妙にかわいかったな。あのシュリンプおいしそうだったし・・・。

2002年2月17日(ヴァージンシネマズ泉北)

BACK

『オー・ブラザー!』O BROTHER,WHERE ART THOU?(2001年・米)

監督:ジョエル・コーエン。
製作:イーサン・コーエン。
出演:ジョージ・クルーニー。ジョン・タトゥーロ。ティム・ブレイク・ネルソン。

時は1930年代。エヴェレット、ピート、デルマーの3人の囚人は3人一緒に繋がれた鎖の音も高らかに野外作業の隙をついて逃げ出した。彼らの目的はエヴェレットが隠してあるというお宝。早くその場所に着かないとお宝を隠してある場所がダムの底に沈んでしまうという。かくして始まった3人の珍道中。途中知り合った黒人のミュージシャンと共に小銭稼ぎのために「ズブ濡れボーイズ」と称して1曲披露するが、なんとその曲が全米のヒットに・・・。そんなこととは知らない3人はあいも変わらずすったもんだの珍道中を続け、目的に着いた彼らを待っていたのは・・・。
バカ!なんておバカな映画なんだ!好きだなぁこのバカさ加減。おまぬけ3人組のとんちんかんな掛け合いがいい。いつもは小奇麗なジョージ・クルーニーの小汚さがまたいい。あのなんとも間抜けな髭面はファンならきっと泣いてるな(笑)。でも、彼ノリノリに演じてるんですよね。そこが妙にかわいくっていいんだ。ラストのワンちゃんももう最高!あれ、スクリーンセーバーに欲しいな。おバカで面白いんだけど、甘口の面白さじゃなくって、ちょっぴり辛口なのがいい。全編通して音楽はすべて私好みだったし、私としてはこれ当たりでした。

2002年1月13日(動物園前シネフェスタ)

BACK

『アトランティスのこころ』HEARTS IN ATLANTIS(2001年・米)

監督:スコット・ヒックス。
出演:アンソニー・ホプキンス。アントン・イェルチン。デビット・モース。ホープ・デイビス。

少年時代の親友サリーの葬儀のために故郷に戻った写真家のボビーは、そこでサリーと同じく少年時代を一緒に過ごした初恋の相手キャロルの死を知る。今はもういないサリー、キャロルと過ごした遠い昔に思いを馳せながらかつての我が家を訪ねるボビー。そこで彼は曇った窓ガラスに11と書く。そうそれはここで過ごした少年時代の中でも一番特別な時・・・11歳の夏。彼の11歳の誕生日の日にやってきた不思議な老人テッドと過ごした時・・・。
映画がはじまってすぐに登場したデビット・モースにいきなり驚く。まさか彼が出てたなんて・・・(笑)。私の頭にはアンソニー・ホプキンスしかインプットされてなかったんですよねぇ。(^^;)。すこし長めの髪にお髭の彼って結構素敵・・・とっと・・・また脱線するとこだった。紳士然としたアンソニー・ホプキンスの演技が好きで、内容も心温まるような感じだったので、かなりの期待度を持って観に行ったのですが、可もなく不可もなく・・・って感じかな。基本は不思議な老人と少年の物語なんだけど、現実味を強く感じる設定が私にはなんだか難しく感じてしまったのかもしれません。でもラストのキャロルの娘と出会うシーンは好きだな。このシーンのデビット・モース素敵だったなぁ・・・あ・・・まただ(笑)。

2002年5月18日(アポロシネマ)

BACK

『I am Sam』I am Sam(2001年・米)

監督:ジェシー・ネルソン。
出演:ショーン・ペン。ミシェル・ファイファー。ダイアン・ウィースト。

知的年齢が7歳のサムはつたないながらも一人で娘のルーシーを育てていた。かわいいルーシーと優しい友達たちと共に楽しく幸せな日々を送るサムだったが、成長していくルーシーは自分が父親の能力を追い抜いてしまうことを恐れはじめ勉強をしないようになっていた。そんなルーシーを心配した担任教師は福祉児童局に連絡をする。そしてルーシーの7歳の誕生日の日、児童福祉局の職員に養育能力がないと判断されルーシーを奪われてしまう。何としてもルーシーと一緒にいたいと願うサムは敏腕弁護士を雇い、ルーシーとの生活を取り戻そうと自らの養育権を勝ち取るべく裁判に挑むが・・・
ヘタをすると薄っぺらな感動ものになりそうなあらすじなんだけど、この映画のよさは少しコメディタッチにして笑いで締めてるところですね。コメディの中に少しシリアスなシーンを入れて締めるってのはよくあるんだけど、その反対も出来るんだぁ・・・と思わず感心してしまいました。全編を通してBGMは勿論、セリフやサムの部屋のポスターなんていう小道具にまでビートルズで固めて、ルーシーの靴を買いに行ったサムと仲間たちのワンシーンにまでビートルズをかませてる徹底ぶりもいい。そして何よりショーン・ペンがいい。こういう障害を持った役ってのは演技の見せ所だけど、かえってその演技が鼻についてしまうというのがあるんですが、この映画の彼には全くそんなところがない。本当にうまいです。ミシェル・ファイファーもいい。本当にこの人こういうどなりちらす感情豊かな女性演じさせたらうまいですよねぇ(笑)。そしてこの映画を観て、またまたアメリカって不思議な国だよなぁ〜って思っちゃった。知的障害者が子供を育てる。コーヒーショップで普通にウェイターとして働いている。これ映画の中だけの話じゃなく実際にあるんだよね。日本じゃ絶対に考えられないこれらのことをごく普通にやってのけてる国アメリカって本当にすごいと思う。でもいい国なのか悪い国なのか・・・なんとも見当のつかない国だねぇ。

2002年6月25日(ヴァージンシネマズ泉北)

BACK

『イン・ザ・ベッドルーム』IN THE BEDROOM(2001年・米)

監督:トッド・フィールド。
出演:シシー・スペイセク。トム・ウィルキンソン。ニック・スタール。マリサ・トメイ。

医者である夫。コーラスの指導をする妻。大学の休みで家に戻り、アルバイトがてら海老漁に出かけて日々を過ごす一人息子。何事も問題のないような中流家庭。ただひとつ小さな影を落としていたのは、一人息子のフランクが付き合っている暴力的な夫とは別居しているものの離婚は成立していない女性の存在。彼女との関係を気に病む母ルース。しかしある日彼女の心配がとんでもない現実となってしまう。フランクが彼女の夫に殺されてしまったのだ。一人息子の突然の死。しかも殺人という許され難い事実。そのことにより少しずつずれていく夫婦。
う〜ん・・・重たい。劇場をあとにする人々が一様に無言だったのがこの映画を強く物語っているような気がする。しかしアメリカの司法制度ってのはどうもよくわかんないなぁ。人一人殺した人間がなんで保釈になんてなるの?しかも銃を持ってやってきてて、言い争って相手撃ち殺して、目撃者がいないから事故って・・・そんなバカな。しかも撃たれたのは顔だよ。いくらなんでもひどい話だよねぇ。しかも人殺して間もない奴が保釈ってことでのうのうと町をうろついている・・・これにはやっぱり誰しも耐えられないんじゃないかな。完全に事故でした。ってわかっていたとしても耐えられないと思うな。内面的に少しづつ壊れつつあるけど、静かにそれを抑えようとしているこの夫婦はある意味怖い。この夫婦がお互いの感情をぶつけ合うシーンでやっとホッとした。それまではなんかイヤーな緊張を感じていたんですよね。この映画を観終わってつくづく感じたこと・・・「あぁ、やっぱり女って身勝手だ・・・」。そして・・・「女ってホント怖いよねぇ。」(苦笑)

2002年8月4日(梅田OS劇場)

BACK

『インソムニア』INSOMNIA(2002年・米)

監督:クリストファー・ノーラン。
出演:アル・パチーノ。ロビン・ウィリアムズ。ヒラリー・スワンク。

アラスカのナイトミュートで17歳の少女の死体が発見された。髪を洗われ、爪を切られ、全裸のままゴミ袋に入れられ捨てられた死体。この異常な事件の捜査にロス警察からドーマーとハップ二人の刑事が応援にやってくる。しかし彼らがやってきたのは応援のためだけではなく、自らに向けられた内務捜査の手から逃れるためでもあった。早速死体の検分に赴く二人。内務捜査のことは忘れて事件に取り掛かろうとするドーマーにその夜ハップは、内務捜査班との取引に応じることにしたと告げる。慣れない白夜とハップの告白に眠れないドーマー。そしてそれが彼の眠れない夜のはじまりだった。
映画を観る前はとんでもない猟奇殺人のために眠れなくなるのかと思ってた。だって、チラシを見る限りそうなんだもん。まさかこんな流れになるとは・・・。でもそりゃ、そうだよね。いくらとんでもない猟奇殺人だからと言って眠れない・・・しかも何日も・・・なんてどうやって持ってくんだよね。持っていく方法としたらホラーしかないもんね(^^;)。サイコサスペンスってやつも好きな私は、そっち方面の映画と期待して行って、結局はそうじゃなかったんだけど、面白かった。こういうの私は好きだな。ズブズブとぬかるみにはまっていくの。ただ、別に猟奇殺人っぽい死体じゃなくってもよかったのでは? と身も蓋もないことを言ってしまいたくなるのですがね・・・。ロビン・ウィリアムズの善人そうに見える笑顔が怖かった・・・うまいですねぇ。この人。いい人やってるこの人よりもこっちの役の方が好きだな。そしてこの映画を支えているのはやはりアル・パチーノの鬼気迫るうまさですね。それと余談ですが・・・わぉ!アビーじゃない!アビー・ロックハート!しかもアル・パチーノが真実を語る相手の役なんて・・・っと・・・失礼。私『ER』フリークでもあるもので・・・(^^;)

2002年9月16日(ヴァージンシネマズ泉北)

BACK

『運命の女』UNFAITHFUL(2002年・米)

監督:エイドリアン・ライン。
出演:リチャード・ギア。ダイアン・レイン。オリヴィエ・マルティネス。

ニューヨーク郊外で結婚11年目の夫と9歳になる息子の3人で暮らすコニーは、風の強いある日息子の誕生日プレゼントを買いに街へ出て、タクシーをつかまえようとしていたところ強い風に翻弄され一人の青年とぶつかる。部屋で傷の手当てのために彼の部屋へ招かれるが、彼の誘惑的な態度にあわてて部屋を出るコニー。しかしその時彼から渡された本に挟まれた彼の電話番号を手にした彼女はもう一度街に出て彼に電話をかける。その日からはじまるコニーの情事。やがて妻の様子に不審を抱いた夫エドワードは・・・。
コニーと青年の情事はまるで『ナイン・ハーフ』のようだ。でも『ナイン・ハーフ』ほどエロチックではない。もうちょっとリアルっぽいかな。悪くはないけどよくもない・・・って感じの映画でした。どうもねぇ、愛とか恋とかっていう感情は横に置いといて・・・って感じがしてしまって、流れにのれなかった。やたらセックスシーンがあるもんだから、このコニーって女性が若い男に惹かれてどうこう・・・というよりこの男とのセックスにのめり込んでしまった。まるでセックス中毒にかかったような気がして仕方なかった。リチャード・ギアが優しい真面目なだんなを好演してるから中盤から後半にかけてはなかなか面白かったんですが・・・。セックス中毒にしか見えなかったらやはり、面白味は半減かなぁ・・・。

2002年12月19日(リサイタル・ホール/試写会)

BACK

『アイリス』IRIS(2001年・英)

監督:リチャード・エア。
出演:ジュディ・デンチ。ジム・ブロードベント。ケイト・ウィンスレット。

才気溢れ、奔放な女性アイリス。恋愛にも奔放な彼女に苦悩しながらも一途に彼を愛するジョン。彼の一途さと純粋さに唯一自分を理解してくれるのはジョンだと気付いたアイリスは彼と結婚する。やがて時は流れ小説家として活発に活動し輝きつづけるアイリスと彼女の才能を誰よりも認め敬愛し見守り続けるジョン。穏やかに過ぎ行くはずの月日がアイリスのアルツハイマーの発症により崩される。作家アイリス・マードックとその夫ジョン・ベイリーの実話。
う〜ん・・・可もなく不可もなく・・・って感じでしたね。言葉を仕事にしている作家がその言葉を無くしていくっていうのはすごく悲しくて切なくてそれこそ気も狂わんばかりの状態になっちゃうんじゃないかなぁって思うのですが、そのあたりが妙に淡々としちゃってって、作家じゃなくっても自分が序々にボケていくのって本当につらいと思うんですよ。勿論そのまわりの人間も。その辺りが抜けててボケた人間の世話してるって部分がいきなりきちゃってるような気がするから、な〜んか観おわって「ふ〜ん・・・」って感じしか残らなかった。きれいすぎるのかな?確かにあの家の汚さはリアルでしたが(笑)それだけじゃねぇ。しっかし・・・ジム・ブロードベントとヒュー・ボナヴィルって似てる。そりゃ、同一人物を演じるわけだから似させたんだろうけど本当に似てる。

2003年1月12日(梅田ガーデンシネマ)

BACK

『オールド・ルーキー』THE ROOKIE(2002年・米)

監督:ジョン・リー・ハンコック。
出演:デニス・クエイド。レイチェル・グリフィス。

少年時代から野球選手になることを夢見て、一度はプロ選手となったが、肩を壊しメジャーへあがることなくわずかな期間をマイナーリーグで終えたジム・モリス。35歳になった彼は高校の教師として野球部の監督として妻と三人の子供たちと平穏な日々を送っていた。しかし彼の心の中でくすぶり続けるプロ選手への夢。そんな彼に転機が訪れる。生徒たちとの約束で受けたプロテストのマウンドで彼は156キロという剛速球をくりだし、プロへの扉が開ける。そして1999年メジャーリーグのマウンドに史上最年長のルーキーとして登場したジム・モリスの実話です。
まさしくアメリカ映画って感じの映画でした。アメリカン・ドリームという名のいいアメリカのイメージの映画ですね。こういう直球勝負の映画私好きなんです。主演のデニス・クエイドは『オーロラの彼方へ』でも思ったんだけど、アメリカの良き父親の役ぴったりですよねぇ。だから余計に観に行きたくていそいそと劇場に出かけたのですが、やっぱりよかったぁ。それとこの映画出てる人みんないいんだ。野球部員たちもみんなさわやかで雰囲気いいし、町の人も。奥さん役のレイチェル・グリフィスもいいし、頑固で不器用なお父さんもいい。ジムの長男役の男の子もすごくかわいかったし。感動作!なんて大袈裟な感じの作品じゃないとは思いますが、十分に楽しめました。

2003年1月22日(ヴァージンシネマズ泉北)

BACK

『逢いたくて』AU PLUS PRES DU PARADIS(2002年・仏)

監督:トニ−・マ−シャル。
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ。ウィリアム・ハート。ベルナール・ル・コック。

パリの出版社で美術書の編集を担当するファネットは独身。25才になる娘も独立し家を出て行ったために今は一人暮らしをしていた。今まで何人もの恋人がいたが、彼女の心は遠い昔に別れた男性だけを求めていた。その思いを重ねるかのように何度も『めぐり逢い』を観るために映画館へと足を運ぶ日々を過ごすファネット。そんなある日偶然に再会した学生時代の友人ベルナールからその忘れられない人フィリップの名前を聞き、今まで以上に彼への思いを募らせることになる。その日以来映画館で、街角で、フィリップの影を探すファネットの元に1通の手紙が届く「エンパイアステートビルの上で会おう フィリップ」。その約束のために手がけている美術書に必要な写真をアメリカに撮りに行くことにしたファネットはニューヨークでマットというカメラマンと知り合う。約束の日を夢みながらも強引なマットに心惑わされるファネット。そして約束の日・・・。
まさか私の大好きな『めぐり逢い』のラストシーンを大きなスクリーンで観ることが出来るとは。なんかそれだけでも得した気分なんだけど(笑)。映画自体は期待してたよりもちょっとあっさりめというか、イマイチ訳わからんというか・・・(苦笑)それにベルナールという男がなんだか妙で気持ち悪かったという印象の方が強かったですが・・・(^^;)。ま、私はこの映画ウィリアム・ハートが観たくて行ったというのが本音でして、そのウィリアム・ハートはすごく素敵だったんでその意味ではこの映画は○かな?(笑)。忘れられない人の面影を探して映画『めぐり逢い』に自らを投影して現実ではない場所に自分を置く主人公ファネットの気持ちがわかるようでもありわからないようでもあり・・・微妙なラインですね。えてして自分を高みに置く女ほどこういう現実逃避というか、夢想癖というか・・・が強いものだと私は思うのですが、かくいう私もそういう部分は持っているので主人公の気持ちはわからなくもない。だけどどうもこのファネットって女性はその自分を置く高さが並の高さじゃないような気がするんですよね。だからなんとなくラストがあっけなく感じちゃった。

2003年4月26日(OS劇場C・A・P)

BACK

『アバウト・シュミット』ABOUT SCHMIDT(2002年・米)

監督:アレクサンダー・ペイン。
出演:ジャック・ニコルソン。キャシー・ベイツ。

ウォーレン・シュミット、66歳。一流保険会社に勤め、大きな成功まではいかないがそれなりの成果を得て、42年連れ添った妻と結婚をひかえた一人娘を持つ平凡な男。定年後の生活も安泰のはずだった。ところがいざ退職すると彼にあるのは毎日ダラダラをテレビの前で過ごす日々だけ。不満だらけの毎日を過ごす彼に突然妻との永遠の別れが訪れる。妻がいなくなり側にいて欲しい娘も結婚の準備に追われ、もうすでに自分のかわいく大好きだった娘はもういない。深い喪失感の中、突然娘の結婚式の準備を手伝うことを思いついた彼は妻と買ったキャンピングカーに乗り込み、一路娘の元を目指すが・・・
全然特別ではない物語。そんな物語をコミカルに描きながらもどこか胸にぐっとくるというすごく完成度の高い作品のような気がする。それにはジャック・ニコルソン演じるシュミットが良すぎるくらいに良すぎるというのもあるんだけど、人生の拠り所をなくして、怒りを抱え込んだ彼がつける決着がすごくいい。まさしく人生ってこうするしかないんだよ。って大きくうなずいてしまった。他者にケリをつけるんじゃなくって、自分にケリをつけなきゃダメなんですよね。そして最後に彼が手にした小さな幸せ。このラストの彼の笑顔がすごくいいんですよ。誰のために生きるか?もちろん自分のため。だけど自分よがりじゃ生きていけないから、誰かのために何かをしたいと思う。自分がここにいることを知っていて欲しいと思う。誰もが多かれ少なかれ思い煩う自分というものの存在意義。今そこにいる自分を受け止めて、シュミットのように前向きに生きていけばその存在意義もみつかるし、どんなに小さくても幸せはその手の中にある。そんなことを感じさせられました。

2003年6月1日(ヴァージンシネマズ泉北)

BACK

『愛しい人が眠るまで』TRULY MADLY DEEPLY(1991年・英)

監督:アンソニー・ミンゲラ。
出演:アラン・リックマン。ジュリエット・スティーヴンソン。マイケル・マロニー。キャロリン・チョア。

翻訳家のニーナは恋人ジェイミーの突然の死から立ち直れずに、カウンセリングを受けながら何とか日々を過ごしていた。しかしいつも思うのはジェイミーのこと。そんなある日彼女の元に死んだジェイミーが帰って来る。ジェイミーが帰ってきて大喜びするニーナだが、少しづつわがままな振る舞いをするようになるジェイミー。そして死人仲間を家に入れビデオ鑑賞までするようになる。何かが違うと思い始めるニーナの前にマークという男性が現れる。少しづつ彼に惹かれていくニーナは・・・
これも観たくて仕方のなかった作品なんですよねぇ。アラン・リックマン主演のラブ・ストーリー!っていうだけでとにかく観てみたかった(笑)。アラン・リックマンが幽霊役だなんて言ったら、人を襲うホラーか?なんて思っちゃう人もいるかもしれませんが、この映画の彼はすっごくチャーミングです。チェロ弾いて歌まで歌っちゃう。おまけにニーナとキスして唇が冷たいと言われた彼は手でハァ〜、ハァ〜自分の唇に息吹きかけてあっためるんですが、またそのシーンがキュートなんだ。なんだか彼の新しい魅力発見!って気にさせてくれる映画です。物語も私は好きですよ。ちょっと安っぽいラブストーリーって感じがしないではないですけどね(笑)。

BACK

『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』IN AMERICA(2003年・アイルランド/イギリス)

監督:ジム・シェリダン。
出演:サマンサ・モートン。パディ・コンシダイン。ジャイモン・フンスー。

アイルランドで俳優をしていた父ジョニー、教師をしていた母サラに連れられてクリスティとアリエルの姉妹はニューヨークへとやってくる。幼くして死んでしまった息子フランキーの死から立ち直れずにいた両親が選んだ新天地ニューヨークでの新しい暮らしがはじまってもフランキーの死は家族の心に重い影を落としていた。そんな家族を冷静にみつめる10歳のクリスティ。アメリカへやってきてはじめて体験するハロウィンの日、少女たちは同じアパートに住み、ずっと部屋に閉じこもりっきりだったマテオと出会う。マテオとの出会いが、クリスティ一家を・・・そしてクリスティ一家との出会いがマテオを替える。死んだ弟フランキーの言葉「願い事は3つだけ」を信じ、アメリカへ来て二つの願い事をしたクリスティの最後の願い事は・・・。
現実とおとぎ話が重なったような物語だ。フランキーの死を誰よりも悲しみながらもしっかりと受け入れ家族を支えようとするクリスティがあまりにも健気だ。彼女の歌う「デスペラード」が心にしみる。クリスティが健気でアリエルが純真な分、この両親の脆さがすごく歯がゆかった。息子の死が悲しいのはわかるが、二人のことをもっと考えてやれよ!って・・・でも、冷静に考えるとそんな簡単なものじゃないのかもしれませんね。愛するものを失くした悲しみは、本当にそれを経験したものじゃないとわからないものなんでしょうね。父親として、母親として、家族として、人間として、それぞれが再生し、成長していく物語。ラストは少し悲しいけれど優しい気持ちになれる。そんな作品でした。映画『E.T』がうまく絡んでいてよかったな。

2004年1月12日(ヴァージンシネマズ泉北)

BACK


ホームに戻ります。