『修羅雪姫』(1973年/東宝)
監督:藤田敏八。
雪の降る夜、女囚監房で一人の女の子が生まれる。その子の名は雪。明治6年、近代国家として生まれ変わった日本で初めての徴兵令が布告されたために日本中が騒然となり、農民の一揆が相次いでいた。竹村伴蔵、塚本儀四郎、北浜おこの、正景徳市の4人はその騒ぎを利用し農民から金を騙し取るために白装束の男が徴兵にやってくるというデマを流し、偶然小学校教師として赴任してきた鹿島剛とその息子を撲殺し、妻小夜を犯した。小夜を気に入った徳市は小夜を我が物としたが、復讐に燃える小夜の手で殺害され、小夜は無期刑を受ける。あとの3人への復讐を果たせない小夜は自らの子供にその復讐を託すため、監房でいろんな男たちを誘い、やっと生まれた子が雪だった。雪は小夜の監房仲間のお富に引き取られ、道海和尚のもと修羅の子として剣術の激しい修行を受ける。やがて美しく成長したお雪は母の復讐のため残る3人を探す。 |
『修羅雪姫 怨み恋歌』(1974年/東宝)
監督:藤田敏八。
父母の仇を討ち果たした鹿島雪は、殺人犯として指名手配され、警察に追われ逃げ回る日々を送っていたが遂に逮捕され、絞首刑の判決を受ける。しかし死刑執行の日、刑場へ送られる雪を数人の男たちが救出し、特警の菊井の許へと案内する。そこで雪は菊井から雪の命と引き換えにアナーキスト徳永乱水の命と一通の手紙の奪取を命じられ、乱水の家に住み込むが、乱水から菊井が革命主義者たちを大量に処刑するために事件をでっち上げたこと、そして彼が欲しがっている手紙はそのことを暴露するものであることを聞き、菊井を裏切る雪だったが・・・。 |
『非常線の女』(1933年/松竹)
監督:小津安二郎。
社長の息子に好意を持たれながら昼間は真面目なタイピストとして勤める時子は、実はヤクザな世界では姉御として顔を利かせていた。そんな彼女の情夫は元ボクサーの襄二。与太者どうしと二人はうまくいっていたが、襄二に憧れ襄二の子分になった大学生の宏の姉が弟を元に戻して欲しいと頼みに来た日から、自分とは違う世界の宏の姉が気になりだす襄二。襄二の心を取り戻そうと彼女の元は出向いた時子だが、自分にはない彼女の純真さにあっさりと引き返し、堅気の世界への夢を見るようになる時子。そして二人して出直そうと決めたとき、宏が姉の店の金を持ち出したが、それがバレて200円という金を埋めなくてはいけないと泣きついてくる。 |
『大盗賊』(1963年/東宝)
監督:谷口千吉。
泉州堺の豪商呂宋助左衛門は海賊の汚名を着せられて樽詰めにされ火刑に処せられる。ところがいつの間にかその樽から逃げ出して、海賊だと言われたのだから本物の海賊になると仲間と共に海に出る。ところが嵐で船は難破。残った数人の仲間と財宝と共に漂流しているところを黒海賊に襲われ、財宝を奪われてしまう。海に投げ出された助左はある島に流れ着き仙人に助けらる。その島の領主羅刹王が悪事の限りを働いていると聞いた助左は城に乗り込むが、それは病気の王をいいことに宰相が罪のすべてを王に着せ、国を乗っ取るつもりでいることを知る。王の評判の悪いことに心を痛めていた姫に協力して宰相の悪事を暴こうとする助左だが・・・。 |
『猫と庄造と二人のをんな』(1956年/東宝)
監督:豊田四郎。
荒物屋の庄造は甲斐性がなくなんでも母親の言いなりで、彼が唯一大切にするのは飼い猫のリリーだけだった。そんな庄造に不満を持ちながらも一人商売に精を出し家を切り盛りしていた妻の品子がある日、庄造の母おりんとの不仲から家を出て行く。ところが、品子が出て行くとすぐに新しい女房として庄造の叔父中島の娘である福子が家にやってくる。実は小金持ちの中島の娘をもらえば、金に困ることはないと考えたおりんがわざと子種がないからと品子に難癖をつけ追い出したのだった。そのことを知った品子はどんなことをしてでも庄造の元へ戻ってみせると決心し、庄造が誰よりもかわいがっているリリーを自分のものにすれば、きっと庄造がやってくると「庄造はあなたよりリリーの方を大事に思っているからリリーを手放した方がいい」と福子に言い寄り、リリーを手元に置くことに成功するが・・・。 |
『たそがれ酒場』(1955年/新東宝)
監督:内田吐夢。
いろんな客で賑わう一軒の酒場。広いホールにカウンター、そして小さな舞台。店の開店前に歌のレッスンをする専属ピアニスト江藤とその弟子で有望な素質を持つ健一。次々とやってくる従業員。その中の一人ユキは愚連隊の森本に恋人との仲を横恋慕されていた。店の開店間際に一番乗りでやってきていつものカウンターの隅に陣取る常連の梅田。みんなから先生と呼ばれている彼は今はパチンコを家業としているが、元は名の通った画家。戦時中従軍画家として戦地に赴き絵筆をとったことに心を痛め絵筆をとることをやめてしまっていた。店が開店しサラリーマン、学生、いろんな客たちがやってくる。 |
『歌麿 夢と知りせば』(1977年/日本ヘラルド映画) 監督:実相寺昭雄。
田沼政権で江戸文化華やかな中、数々の浮世絵が人々を楽しませていたが、歌麿の描く女は版元の蔦屋からは認めてもらえなかった。なんとしても女を描きたいと焦る歌麿を友人の燕十と風来山人は吉原に連れ込み、天井裏から部屋を覗かせる。数々の痴態を目にしながらもなお歌麿は、女を描くことが出来ずにいた。世間では盗賊“夢の浮橋”が江戸っ子の喝采を浴び、役者市川団鶴が大人気だったが、裏では田沼失脚のための陰謀が画策されていた。 |
『半落ち』(2004年/東映)
監督:佐々部清。
ある日、一人の男が警察に自首してきた「妻を殺しました」と。彼の名は梶聡一郎。元捜査一課の警部で今は警察学校の教師をしていた。現役の警察官の犯行に動揺する県警幹部たち。それでもアルツハイマー病に苦しむ妻から「殺して欲しい」と嘆願されたため止むに止まれず犯行に到った・・・マスコミや世間に対してこれならば警察の面子は保たれるはずだった。しかし彼が自首してきたのは事件発生から3日後。そしてその空白の2日間になにがあったのか彼は頑なに語ろうとはしなかった。事態の収拾に焦る県警幹部たちは誘導尋問で空白の2日間を捏造する。検察に送られ、彼の公判がはじまるが、梶は空白の2日間については誰にも語ろうとしない。検事、弁護士、新聞記者、そして梶を取り調べ本当のことを聞くことが出来なかった刑事。それぞれがそれぞれの立場でその空白の2日間を・・・梶の真意を探るが・・・。 2004年1月18日(ヴァージンシネマズ泉北) |
『いつかA列車に乗って』(2003年/) 監督:荒木とよひさ。
ジャズバー『A−TRAIN』。開店前のステージでピアニストの江藤に曲の指導を受ける健一。彼はサックス奏者としてプロになることを夢見てこの店で住み込みでウェイターをしていた。開店時間が近づき次々とやってくる従業員たち。そして毎夜この店に通う常連の梅田。店が開店し、ひとり、またひとりとやってくる客たち。それぞれの人生、それぞれの思いを抱いてジャズに耳を傾ける人々。ジャズバー『A−TRAIN』の中で織り成されるそれぞれの一夜の物語。 2004年3月1日(動物園前シネフェスタ) |
『イノセンス』(2004年/)
監督:押井 守。
電脳ネットワークが発達し、肉体の機械化も進み、人とサイボーグ、ロボットが共存する2032年の日本。少女型の愛玩用ロボットが暴走、所有者を惨殺する事件が発生する。捜査にあたる公安九課の刑事バトーとトグサ。以前コンビを組んでいた自分と同じサイボーグである通称”少佐”の失踪から心に囚われた何かを持ってしまったバトーは、ロボットの存在意義に思いを巡らせながら捜査を進める。 2004年3月15日(TOHOシネマズ泉北) |
『名探偵コナン 銀翼の奇術師』(2004年/東宝) 原作:青山剛昌。
小五郎のもとに舞台女優である牧樹里が、彼女の宝物であるスター・サファイアを狙うという怪盗キッドからの犯行予告解読の依頼にやってくる。翌日、舞台の最終日にキッドがやってくるという小五郎の強引な解読のため、劇場「宇宙(そら)」に集まった小五郎、コナン、蘭に園子、そして少年探偵団たち。果たして本当にキッドはやってくるのか?ところが出演者たちと挨拶を交わす彼らの前に大胆にも工藤新一に変装したキッドが現れる。それはコナンの正体が新一だと知っているキッドの挑戦状か!? 2004年4月19日(TOHOシネマズ泉北) |
『三十六人の乗客』(1957年/東宝)
監督:杉江敏男。
東京で強盗殺人事件が発生する。犯人は3人を殺害し、300万円を奪って逃走。犯人の手がかりは奪われた札の番号だけ。逃走する犯人を捕らえるために主要各駅を張り込む刑事たち。一方聞き込みに回ろうとする山上に部下の一人が渡辺君から預かったと辞表を手渡す。渡辺は山上の部下であり娘婿でもある刑事で、3年前にも同じように刑事が嫌になったと愛人と一緒になろうとしたところを山上の説得で辞職も離婚も留まったのだが、また同じ女性よりが戻ったという。あきれる山上は聞き込みの途中、渡辺の愛人の店に寄り、彼らが信州へスキーバスで出かけたことを知る。しかし偶然にも犯人もそのバスに乗った可能性があることを知った山上は浦和署に連絡し、渡辺にスキーバスを見張らせることに。刑事を辞めるつもりの旅行で刑事として重要な仕事を課せられたしまった渡辺の目は次第に刑事のものへと変わっていく。乗客は全部で三十六人。人目をやたらと気にする青年。大きなカバンを大事そうにかかえる男。時間ばかり気にする男・・・疑えばみんな怪しく見えてくる。本当にこの中に犯人がいるのか? |
『放浪記』(1962年/東宝) 監督:成瀬巳喜男。
幼い頃から両親と共に行商の旅で各地を転々と暮らしていたふみ子は今、母と2人幼い頃同様行商をしながら駄菓子屋の2階で暮らしていた。自分は一人でも大丈夫だからと九州で暮らす父のもとへ母を発たせたふみ子だが貧しい暮らしは変わらずはカフェーの女給をしながらわずかな給料から好きな本を買い、日の目をみない詩作にふける日々を送っていた。ある日彼女の詩が詩人であり劇作家である伊達の目にとまり同人雑誌の仲間に入るように薦められ、文学者たちの仲間に入るようになり伊達と暮らし始めるが彼の浮気によりその生活も長くは続かず元のカフェーの女給へと戻る。その後も小説家の福地と結婚するが貧乏との縁は切れなかった。そして福地との仲も壊れ、元のカフェーの女給へ戻ったときやっと彼女の力作『放浪記』が世間に認められる。 |
『あゝ決戦航空隊』(1974年/東映)
監督:山下耕作。
太平洋戦争後期、それまで進撃を続けていた日本軍の勢いは少しづつ衰えをみせてきていた。やがてサイパン陥落。なんとしてもフィリピンを死守し、劣勢を建て直したい日本軍は大西中将を第一航艦司令長官に任命し、捷一号作戦を展開する。捷一号作戦を前に軍部では熟練パイロットの不足、経験の少ないパイロットによる戦闘以外での事故が増えていることから戦闘機に爆弾を積みパイロットもろとも敵軍へ突っ込む特攻作戦案が浮上していたが、大西はその作戦には反対の意見を示していた。しかし捷一号作戦を成功させるために敢て特攻作戦を取り入れる。だが彼の苦渋の選択も空しく捷一号作戦は失敗に終わり、戦局は益々悪化し、特攻作戦は大本営作戦として当たり前のものとなっていった。そして昭和二十年日本の敗戦が濃厚となり軍司令部は和平論へと傾くなか、このまま何もせずに敗戦では特攻として死なせた兵士たちに申し訳がたたないとひたすら主戦論を主張する大西だが、その主張は容れられず8月15日終戦の玉音放送がラジオから流れる。特攻の生みの親とされる大西滝治郎中将の物語である。 |
『銀嶺の果て』(1947年/東宝)
監督:谷口千吉。
銀行強盗の三人組が北アルプスの山深い旅館に逃げ込んだ。その先には逃げ道がないと悠長に構える警察官たち。そして三人を追い詰める警官たちだが、雪崩の恐れがあるために発砲は出来ない。ところが三人組みの一人が発砲し、そのせいで雪崩が起こってしまう。その雪崩に巻き込まれ三人組の一人は死亡してしまうが、雪崩で警官たちを撒くことが出来た二人、野尻と江島は雪に埋もれた山小屋にたどり着く。その小屋では老人とその孫娘、そして登山家の本田が生活していた。彼らが銀行強盗などとは知らず、二人をあたたかく迎える彼ら。その小屋で過ごすうち、その孫娘と生きていれば彼女と同じくらいの年になっているであろう自分の娘とを重ねあわせ心を動かされる野尻。しかしそんな野尻をあざ笑う江島は本田を道案内に下山を強行すると言う。道案内を強要された本田を先頭に険しい雪渓を登る野尻と江島は・・・。 |
『女が階段を上る時』(1960年/東宝)
監督:成瀬巳喜男。
銀座のバーの雇われママをしている圭子は、早くに夫を亡くし、小児麻痺の息子を持ち仕事もままならぬ兄と母の面倒をみるためには、バーで働くしか仕方がなかった。一人暮らしの女にしては高価なアパートに暮らし、高価な着物を着てはいても、それはすべて仕事のためだった。毎日上るバーへの階段、つらく重い気持ちで階段を上りながらも店のドアをあけるとき彼女はすべてを押し殺す。そんな毎日を送る圭子ももう30歳。いい人をみつけて結婚をするか、自分の店を持つか・・・。岐路に立つ圭子を巡る関西の実業家の郷田、プレス工場の社長関根、圭子が密かに思いを寄せる銀行の支店長藤崎、そしてマネージャーの小松。 |
『黒線地帯』(1960年/新東宝)
監督:石井輝男。
麻薬で女を縛り、売春させているという秘密売春組織を追うトップ屋の町田は、敵の罠にはまり、眠り薬で眠らされてしまう。目覚めた町田の横には彼のネクタイで首を絞められた女の死体があった。彼女は町田が売春組織の女だと目をつけて追っていた踊り子だった。このままではどう言い訳しても自分の罪になってしまう。自分をはめたのは、間違いなく自分が追っていた売春組織だと確信する町田は、こっそり部屋を抜け出し、売春組織を追う。 |
『黄線地帯』(1960年/新東宝)
監督:石井輝男。
ある男からの依頼で東京に来ていた神戸税関長を殺害した殺し屋衆木。しかし外には、すでに警察が到着していた。報酬は警察への密告だったのだ。自分をはめた雇い主への復讐のため神戸へ向かおうとするが、東京駅はすでに警察に包囲されていた。そんなとき公衆電話で話しをしている女を見つけ、拳銃で脅しアベックを装い、警察の目を逃れ列車に乗り込む。彼女はダンサーで、踊り子募集の広告で神戸へ向かう予定だった。そして彼女が話しをしていたのは恋人である新聞記者真山。彼は彼女の電話が途中で切れたことを不審に思い、彼女が見たという広告元を訪れるが、その広告主新日本芸能社は国際売春組織と関わりがあることを知り、彼もまた神戸へ向かう。 |
『火線地帯』(1961年/新東宝)
監督:武部弘道。
梶川組のシマである競輪場でパクリ屋をやっていた伸一と健次は、梶川組の者にみつかり彼らから追いかけられることになるが、梶川組と縄張り争いを続ける重宗商事の情婦ゆみの車に逃げ込んだことから、重宗商事に雇われることになる。その夜拳銃の密売が行われ、その拳銃を競り落とすのは梶川組であると見越した重宗はその銃の横取りを画策し、梶川組の車の後をつけるが彼らが手を下す前に梶川組の車は橋の欄干に激突していた。労なく拳銃の横取りに成功した彼らだが、梶川組の車を狙っていたのは彼らだけではなかった。梶川組に拳銃を売りつけた男黒岩がその拳銃を狙っていた。翌日重宗商事の行動のすべてを見ていた黒岩は重宗を恐喝するための電話をかけてくるが、黒岩に現場を見られていたとは知らない重宗は伸一と健次を疑う。今度は重宗商事からも追われる身となる伸一だが・・・ |
『座頭市と用心棒』(1970年/大映)
監督:岡本喜八。
凶状持ちで血の匂いのしない日はない生活を送っている市が、ふと思い出した花の香り、水のせせらぎ・・・3年前に訪れ心休まる日々を送った蓮華沢の里にもう一度行ってみようと足を向けた市だが、そこは市が知っているあの平和で穏やかな里ではなくなっていた。小仏の政五郎というやくざに支配されていたのだ。しかもその政五郎は同じくこの里に君臨する生糸問屋の烏帽子屋弥助の実の息子だったが、御金改役まで出世している出来のいい弟三右衛門が役目を利用し、小判鋳造の際金を横領、そしてその金を父弥助に預けているはずだと、なんとかしてその金をみつけようとやっきになっていた。ところがそんなときに現れた座頭市に手下をやられ、面倒になる前にと用心棒に座頭市の殺害を依頼するが・・・ |