『電送人間』(1960年/東宝)
監督:福田純。
ある日遊園地のお化け屋敷でブローカーの塚本という男が殺害される。入場客の目の前で犯行が行われたのにも関わらず、犯人の姿を見たものは誰一人としていなかった。東都新聞科学担当記者の桐岡はその事件に興味を覚え、現場に足を運んだ彼はそこで大学時代の友人小林警部と再会する。同じ事件を追うことになった二人の目の前で第二の殺人が起こる。殺害されたのは軍国キャバレーの経営者の隆。彼らが共に所持していた旧陸軍の軍識票から、同じ軍に所属していた滝と大西の元を訪れた二人は彼らから、終戦時彼らは軍の科学者仁木博士とその研究書類の保護を頼まれたが、書類と偽り横領した金塊を隠そうとしてそれを仁木博士と護衛の須藤に気付かれ二人を殺害したことを打ち明けられる。しかもその仁木博士の研究とは電気で人間を他の場所に転送出来るというものであった。もしその研究が成功しているのならば、殺人現場から姿を消してしまう犯人の理由がつく。果たして二人は生存しているのか?そしてこの事件はその二人による復讐劇なのか? |
『座頭市』(2003年/松竹)
監督:北野武。
ヤクザの銀蔵一家が仕切る宿場町にやってきた三組の旅人。按摩の座頭市、浪人の服部とその妻、旅芸者のおきぬとおせい。 2003年9月13日(ヴァージンシネマズ泉北) |
『戦国野郎』(1963年/東宝)
監督:岡本喜八。
戦国時代、武田軍の忍者であった越智吉丹は、武田信玄のやり方に愛想をつかし武田の里を後にする。しかし裏切り者の彼を幾人もの追っ手が付狙う。その一人雀の三郎左を死闘の末破った彼の前に新たな追っ手銅子播磨が現れるが、なぜか彼は吉丹が気に入り吉丹と道中を共にする。そんな二人の前に現れた山猿のような田舎武士に薦められ馬借隊に身を隠すことになるが、なんとこの山猿は織田家の家臣木下藤吉郎だった。藤吉郎の依頼で最新式武器“種ケ島”の運搬を引き受けた馬借隊と共に旅立つ二人だが、この荷を武田軍が狙っていた。 |
『祇園囃子』(1953年/大映)
監督:溝口健二。
祇園の芸妓美代春の元へ、零落したメリヤス問屋沢本の二号で芸妓仲間の娘栄子が母が死に、自分が生活していくためには舞妓になるしかないとやってくる。健気な栄子の言葉に舞妓に仕込むことを決心した美代春は、自分の娘のように栄子の面倒をみる。それから一年舞妓として店出しをした栄子は、車輌会社の専務楠田の目にとまり、お茶屋「よし君」の女将から楠田を旦那にするようにという話が出されるが、今風の考え方をする栄子は楠田は好きではないから嫌だという。美代春も栄子が嫌がるのだからと、栄子の思いを尊重しようとするが・・・。 |
『武器なき斗い』(1960年/)
監督:山本薩夫。
大正12年、同志社大学の教壇に立つ生物学者の山本宣治は生物学的な立場から性教育を考える必要性を感じて自らの方法で生徒たちに講義をし、労組の依頼で産児制限の講演もおこなっていた。しかし時代は政府・資本家、一部の特権階級が農民、労働者を支配する時代。いつしか彼は労働党の運動に参加するようになり、昭和3年労働党から立候補した彼は代議士となり、ますます激しくなるプロレタリア弾圧の中、プロレタリア階級の人々のために奔走する。生物学者としての確固たる信念から支配闘争に身を投じた実在の人物「山宣」こと山本宣治の物語。 |
『斬る』(1968年/東宝)
監督:岡本喜八。
砂塵舞う上州小此木領下。すっかりさびれた宿場に二人の男がやってくる。一人は元武士で今はやくざとなった源太。もう一人は百姓から田畑を売って武士になろうとしている浪人姿の田畑半次郎。そしてその二人の目の前で血気盛んな青年武士7人が城代家老溝口を暗殺する。自らの体験と重なりその7人を放っておけなくなった源太は彼らに味方し、半次郎はかねてからの目的通り浪人を募集しているという次席家老鮎沢の元を訪ねるが、鮎沢は7人が城代家老を斬るのを黙認し、殺害させた上でその7人を自らが雇った浪人たちに私闘とみせかけ殺害させるつもりだった。奇しくも敵、味方と別れた二人だが・・・。 |
『肉弾』(1968年/ATG)
監督:岡本喜八。
昭和二十年、工兵特別甲種幹部候補生のあいつは、魚雷をくくり付けたドラム缶で海に漂流していた。候補生としての訓練はひもじさとの戦いだった。乾パンを盗み、おまえはブタだと裸で訓練をさせられた。そしてあいつは特攻隊員となり、ブタからいきなり神様に格上げされた。一日だけの外出を許されたあいつは、特攻隊員として死ぬことは恐れていなかったが、なんのために死ぬのかわからなかった。その日女郎屋で出会った一人の少女と結ばれたあいつは、彼女のために死のうと決めた。その少女だけでなくその日出会った古本屋の老夫婦、前掛けのおばさん、少年、モンペ姿のおばさんを守るために死ぬのだと決めた。しかしあいつが自分の観音さまだと信じた少女は空襲で死んでしまう。やがてあいつに出動命令が下る。魚雷をくくりつけたドラム缶に乗り込み、敵がやってきたらその魚雷をはずし敵にむかって発射するという。海に出たあいつは敵がやってくるのをじっとドラム缶の中で待つが・・・。 |
『ゲロッパ!』(2003年/シネカノン)
監督:井筒和幸。
収監を数日後に控えた羽原組組長の羽原はジェームズ・ブラウンの大ファン。ジェームズ・ブラウンの名古屋公演を目前に収監されてしまうことが残念で仕方がない。おまけにもう組を解散すると言い出す。堅気の仕事にはつけないと食い下がる子分たちだが、羽原の意思は固く、彼らの言葉を受け付けない。そんな子分たちに羽原の弟分である金山はそんなに親分を思うのならジェームズ・ブラウン誘拐を命令するが・・・。 2003年9月28日(動物園前シネフェスタ) |
『殺人狂時代』(1967年/東宝)
監督:岡本喜八。
「大日本人口調節審議会」ヒトラーに心酔する精神病院を経営する溝呂木院長が自らの患者を殺し屋にして人口調節のために無駄な人間を抹殺するという機関。そこに元ナチスのブレッケンマイヤーが契約を結びたいとやってくる。しかしその仕事が確かなものか知るためにと電話帳から無差別に選んだ3人の殺害を要求する。最初の二人は難なく成功するが最後の一人、犯罪心理学の大学講師桔梗信治の殺害には失敗する。執拗に信治の命を狙う「大日本人口調節審議会」だが、実は彼の殺害は電話帳から無差別に選ばれたことではなかった。信治は特ダネを狙う新聞記者の啓子と車泥棒のビルという仲間を得て、「大日本人口調節審議会」に真っ向勝負を挑むが・・・。 |
『赤毛』(1969年/東宝)
監督:岡本喜八。
慶応四年、抵抗する幕府勢力を鎮圧し北上する官軍の先駆けとして、相楽総三を隊長とする元は武士階級ではなかったものの集団である赤報隊が、年貢半減令の旗印を与えられ各農村地帯の民衆を鎮撫していた。その赤報隊の隊士の一人である百姓あがりの権三は、次の目的地が郷里の沢渡宿であることから隊長に頼み込み、先陣として出発する。そしてその際、どうしてもと隊長に懇願し、隊長の赤毛を借り、意気揚々と村に乗り込む権三。代官と駒虎一家に支配される村人たちを解放し、年貢米を取り返し、村人たちに敬われ,
有頂天になる権三だが、大人しく権三の言うことを聞く代官と駒虎一家ではなかった。 |
『幻の湖』(1982年/東宝)
監督:橋本忍。
雄琴のトルコ嬢の道子は愛犬シロと共に琵琶湖湖畔をジョギングするのを日課にしていた。まだ見ぬ運命の人を求めてシロと走る道子。そんなある日葛篭尾崎でシロが道子の制止を聞かずわき道に入っていく。するとそこには一人笛を吹く男がいた。この人が運命の人なのか・・・彼に会わせてくれたシロを抱きしめる道子。その後もどこかで彼の姿を探しながらシロとのジョギングを続ける道子だったが、10月の雨の日、仕事に出かけた道子にシロらしい犬が死んでいるという連絡が入る。何者かに殺されたのだった。執拗に犯人を捜す道子は遂に犯人が有名作曲家の日夏であることを突き止める。はじめはシロを殺した報いと侘びだけを求めていた道子だが、それが叶わないこととわかったとき道子は復讐を誓う。 |
『江分利満氏の優雅な生活』(1963年/東宝)
監督:岡本喜八。
広告会社に勤める江分利満は36歳。なぜだか最近おもしろくない。何をやってもおもしろくない。仕事が終わり、一人飲み行く江分利。酒が入り酔いがまわると日頃のおもしろくないという意識が増長され、愚痴が多くなりからみだす。そんな彼に声をかけてきた一組の男女。彼らは雑誌の編集者でいつもの彼の飲みっぷりとそのからみっぷりに興味を覚え江分利に原稿の依頼をしてきた。酔った勢いで約束してしまった江分利は、仕方なく原稿用紙に向かう。「でも何を書こう?」悩んだ末に江分利は、金もなく才能もない平凡なサラリーマンである自分のことを書き始めるのだった。 |
『妖怪大戦争』(1968年/大映)
監督:黒田義之。
バビロニアの遺跡に封印されていた妖怪吸血鬼ダイモンが盗掘者の手により蘇ってしまう。そしてその蘇ったダイモンの向かった先は日本の伊豆半島。そこで釣りをしていた代官磯部兵庫を襲い、兵庫に乗り移りこの地を我が物にするために次々と人を襲い血を吸うダイモン。このダイモンの正体を代官所の池に住む河童が最初に気付き、外国の妖怪に日本を乗っ取られてはたまらないと古寺に住む妖怪仲間に助けを求め、ダイモンと対決することになる。しかし彼らだけでは太刀打ち出来ず、日本中の妖怪の助っ人を求めることに・・・。 |
『浪人街』(1990年/松竹)
監督:黒木和雄。
江戸の下町。夜鷹たちがたむろする一膳めし屋「まる太」。その店のお新と以前いい仲であった荒牧源内がまた、お新の元へふらりと帰って来た。いい加減な男とわかっていながらもヨリを戻してしまうお新。そのお新に密かに思いを寄せる刀の試し切りで金を稼いでいる母衣権兵衛。「まる太」で用心棒をしながら夜鷹たちに読み書きを教える赤牛弥五右衛門。藩への帰参を夢みながら妹おぶんと暮らす土居孫左衛門。そんな彼らが行き来する「まる太」に出入りする夜鷹たちが次々と何者かに殺害される。そして遂に「まる太」の主人太兵衛まで惨殺されてしまう。彼らが太兵衛の死を悼んでいると、夜鷹斬りの張本人であり太兵衛殺害の旗本小幡の一党が乗り込んでくるが・・・。 |
『愛の陽炎』(1986年/)
監督:三村晴彦。
埼玉県飯能市。田中製材所で働くルミ子には、製材所に出入りする野村運送のトラック運転手をしている岩松という恋人がいた。まだ誰にも話してはいないが、結婚するつもりで二人して貯金をして日高の高麗の里の高台に家を建てる約束をしていた。ある日ルミ子はおばあちゃんにだけその話を打ち明ける。そんなある日おばあちゃんは病院で高校生らしき女の子に付き添う岩松を見かける。ルミ子の友達の看護婦に聞くと中絶をしにきたと言う。事故の示談に使うと金を貸したルミ子はそれが中絶費用だとわかりショックを受けるが、謝る彼をそれ以上責めることが出来ないルミ子は彼を信じることに。そして土地代の手付けが必要だと言われ200万円を渡したあと、事務所であの土地は絶対に売るわけがないという話を聞き、おばあちゃんが岩松のことを調べてくれと頼んだ住職からは彼が結婚しているという話まで聞かされ、彼への怒りは頂点に達し「ぶっ殺してやりたい!」と泣くルミ子におばあちゃんは”呪い釘”をすすめる。 |
『絞死刑』(1968年/ATG)
監督:大島渚。
二人の女性を殺害し、死刑判決を受け、死刑執行に至る儀式を経てロープにかけられる死刑囚R。踏板が落とされ刑が執行され、死亡を確認する医務官が脈拍をとるが、普段以上の時間を経過しても脈拍は正常に打ち続けていた。再度、刑を執行しようとするが、心神喪失状態にある者への刑の執行は法律で禁じられており、とにかくRの意識を戻すため医務官により手当てが施される。しかし意識を取り戻したRは自分が死刑囚であったというどころかRであるという記憶すらなくしていた。意識が戻ってもなお、心神喪失状態であり死刑の執行が出来ない所長をはじめとする死刑執行官たちは、何とかRが死刑囚であったことを思い出させるために、彼の犯した犯罪を実演し再現するのだが・・・。 |
『本日休診』(1952年/松竹)
監督:渋谷実。
東京下町にある三雲医院は開業から18年。戦争で一人息子を失った八春先生は甥の伍助を院長に迎え、戦後再出発してから一年目の記念日「本日休診」の札を掲げ、伍助と看護婦たちは温泉旅行に出かて行った。八春先生はのんびりと休日を楽しもうとしていたが、三雲医院に勤める婆やの息子勇作が発作を起こしたと婆やが飛び込んでくる。勇作は戦争で正気を失くし、今でも戦争中だと思い号令をかけ出すのだった。なんとか勇作を静め、昼寝を楽しもうとした八春先生の元に今度は警官が暴漢に襲われたという女性を連れてくる。そしてまた一人・・・とせっかくの「休診日」がすっかり多忙な一日となってしまう八春先生。三雲医院をとりまく人々のお話。 |
『昭和歌謡大全集』(2002年/シネカノン)
監督:篠原哲雄。
何の接点もない6人の少年と6人のおばさん。少年たちはそれぞれ学生だったり、フリーターだったりと生活部分の共通点はないが、漠然とした日常の憂さを晴らすための昭和の歌謡曲を歌うカラオケパーティーを儀式的に行うことで精神的に繋がっていた。おばさんたちは雑誌の特集記事で集まった同じミドリという名前の離婚経験者。ある日少年の一人スギオカに町ですれ違い様おばさんの一人ヤナギモトミドリの持つ買い物袋がぶつかったことがきっかけとなり、スギオカはヤナギモトミドリの喉をナイフで切り裂いてしまう。「おばさんだから殺された」そう感じたおばさんたちはスギオカに復讐するが、復讐が復讐を呼び、おばさんVS少年たちの戦いが始まる。 2003年11月15日(動物園前シネフェスタ) |
『金閣寺』(1976年/ATG)
監督:高林陽一。
吃音コンプレックスを持ち、心に暗いかげりを持つ青年溝口は、幼い頃より金閣寺ほど美しいものはないと教えられ、父の死後その金閣寺の修行僧となるが、彼は空襲で金閣寺が炎の中に消えてしまうことを望んでいた。しかし戦争は終わり、彼の夢は果たされることがなくなり、彼の心の闇はますます深くなる。女性と関わりを持とうとすると現れる金閣寺。自分の人生を阻み、無力化している金閣寺。心ではなく現実に消してしまわないと何も始まらないと考える彼は金閣寺に火をつける・・・。 2003年11月23日(シネ・ヌーヴォ) |
『いのち・ぼうにふろう』(1971年/東宝)
監督:小林正樹。
四方を堀に囲まれた小さな島、そこに建つ一軒の居酒屋「安楽亭」。店を構えてはいてもそこに出入りする客はなく世間からつまはじきにされた無頼漢たちが主人幾造とその娘おみつとともにここで抜荷運搬の仕事をしながら生活をしていた。ある日その「安楽亭」の住人与兵衛と定七が無銭飲食で袋叩きにあっていた質屋の奉公人富次郎を助け連れ帰ってきた。夫婦になろうと決めていた幼馴染のおきわが怠け者の父親に売られ、それを助け出そうと店の金を持ち出しおきわを探しまわっているうちにその金を使い果たしてしまったという。富次郎のために金を作ってやりたいと思う与兵衛は、灘屋が持ち込んだ仕事を引き受けると言い出すが、以前灘屋の仕事で仲間二人が殺されてしまったため、この仕事には裏があると主人幾造は乗り気ではない。ところが自分の命をかけておきわを助け出しに行こうとしている富次郎をみつけた定七が、富次郎の誰かのために命をかけるという行動に心動かされ、この命棒にふっても誰かのためになるのなら本望じゃないかと仕事を引き受けると言い出し、安楽亭の無頼漢たちは生まれて初めて誰かのために命を張る仕事に乗り出す。 |