『仇討』(1964年)
監督:今井正。
ささいな口論をきっかけに奥野家の長男、次男の二人を殺害してしまった江崎新八は、奥野家の末っ子に仇討をされることとなる。二人を殺害したのは事実だが、そのどちらも正々堂々の勝負の上。承服しかねる新八だが、やがて二人の位牌の前で切腹し果てる決意をした後は同じ死ぬのならと奥野家の末っ子の面子をたててやることを決意する。そして正々堂々と潔く討たれてやるつもりで出かけた新八を待ち受けていたのは見世物小屋と化した仇討場だった。 |
『雨あがる』(2000年/東宝)
監督:小泉堯史 腕は滅法強いが、いろんなことを思いやるがうえに仕官が叶わず妻と二人旅を続ける三沢伊兵衛とその妻たよの夫婦の物語。黒澤 明監督の覚書に「見終わって、晴々とした気持ちになる作品にすること。」と書かれていたそうで、その言葉の通り、見終わって晴々とした気持ちにしてくれる作品です。全くハデではなく、かといって妙にバタ臭いメッセージを折り込んでいるでもなく、かといって単調でもなく、余計なことなど何もなくっても見ればわかるだろ?ただ観るだけでいいんだよ。という感じがしました。主演の二人がまたこの役にぴったりでしたし、掛川城主役の三船史郎が28年ぶりの映画出演というとんでもないキャスティングなのに、わざわざ彼を選んだ理由がうんうんとうなずけるほどにこの役にぴったりでした。声がお父さんそっくりだな。って感じたのは私だけでしょうか?とにかく私の好きなタイプの作品でした。
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『生きる』(1952年)
監督:黒澤明
市役所の市民課長の渡辺勘治は30年間無欠勤で、毎日判でついたような勤務に生活。ただ日々を送っているという生活だった。そんな彼がある日胃がんで余命幾ばくもないことを知る。早くに妻を亡くし、男手ひとつで育てた息子は嫁をもらってから冷たくなり、自分の病名を告げ居たたまれない気持ちを打ち明けることもできない。自分の死期を知り絶望と孤独に苛まれる彼は仕事を休み、飲めない酒を飲み、町を彷徨う。そして生きる意味を考え、生き方を悩む中で自分に出来ること・・・市民公園の建設に尽力する。 |
『浮雲』(1955年)
監督:成瀬巳喜男
戦時中、農林省の仕事で赴任したインドシナで知り合ったゆき子と富岡。富岡は妻がある身。それを知りながらも深く愛し合う二人。やがて戦争は終り、先に日本に帰り妻と別れて君を迎えるという富岡の言葉を信じ、身ひとつで富岡を訪ねたゆき子が目にしたのは富岡の母と妻、そしてインドシナで愛し合った情熱がひとときの夢のように醒めてしまった富岡だった。富岡を諦めきれないゆき子、そんなゆき子の心を知っているからこそ男の身勝手さで彼女とケリをつけようとしない富岡。二人はズルズルと不確定な関係を続けていくが・・・ |
『大阪物語』
監督:市川 準
舞台は大阪。主人公は14歳の少女。霜月若菜。あまり売れていない漫才師「はる美&りゅう介」を20年続けている両親と弟一人の4人家族。あまり売れていない漫才師の家族というだけでも少し普通じゃないのに、父親が別の女性との間に子供を作り、離婚。ところが住んだ所が元の家の並びの4件隣。これまた普通じゃない。挙句の果てに新しい女房に愛想つかされて子供を置いたまま出て行かれ、漫才にも身が入らずに飲んだくれてしまう父親。そしてある日突然にその父親が行方不明になり少女は単身父親を探しに出る。と言っても探しまわるのはずっと大阪なんですけどね。(^^;) |
『菊次郎の夏』
脚本・監督:北野 武
遠くにいるお母さんに会うために夏休みに出かける男の子とろくでもない中年男という妙な組み合わせのロードムービーです。 |
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(2001年)
監督・脚本:原恵一。
大人たちをすっかり魅了してしまったテーマパーク「20世紀博」。そこは昔のTVや映画、暮らしの風景が再現され大人たちの過去の思い出懐かしさを刺激するものがいっぱいだった。たいくつでうんざりしているしんのすけ達子供を尻目に大人たちはおおはしゃぎ。ところがある晩「20世紀博」からのお知らせがテレビ放映されてから大人たちの様子がおかしくなる。 |
『黒い十人の女』(1961年)
監督:市川崑。
テレビ局のプロデューサーの風は妻以外に9人の女性と関係を持っていた。彼を自分一人のものにしたいが出来ない。かといって彼と別れることも出来ない。そんな彼女たちが導き出した答えは彼がいなくなればいい・・・ということ・・・。そして十人の女たちは共謀して彼の殺害計画をたてる・・・。 |
『御法度』
監督:大島 渚 司馬遼太郎の「新撰組血風録」の中の「前髪の惣三郎」を題材にした新撰組に入隊してきた美少年加納惣三郎をめぐるエロスのお話。ということなんですが・・・・(^^;) |
『千と千尋の神隠し』(2001年)
監督:宮崎 駿。 引越し先へ急ぐ1台の車。中には引越しにより転校することになってぶーたれる10歳の千尋と両親。ところが車は道を間違え山道を走り奇妙なトンネルの前へ出る。トンネルの中へ入った三人が目にしたのは不思議な町並み。町のはずれには大きな湯屋。そこは神々が湯治にくる町、人間の住まない町だった。元の世界に帰ろうにも両親は店に並んだごちそうを食べたことで豚にされてしまい、頼るべきものがいなくなった千尋は彼女を助けてくれるハクという不思議な少年に言われるままにこの世界で働くことになる。湯婆婆の支配する湯屋で千尋は名前を奪われ千という名前でなんとか両親を元の姿に戻せるようにと必死に働く。千尋を常に助けてくれる少年ハク。仕事の先輩リン。釜炊きの釜爺。いろんな人?たちに囲まれ働くことでたくましくなって行く千。不思議な世界での10歳の女の子の成長物語。 |
『卓球温泉』(1998年/松竹)
監督:山川 元。 専業主婦の園子は仕事人間の夫と高校生の息子の三人家族。夫も息子も帰宅は遅く、一家団欒の食事もなくもちろん会話さえない生活。そんなある日ラジオの相談コーナーに悩みを相談するが、主婦のくだらない相談にうんざりしていたDJのかなえは「家出して浮気でもすれば?」と言い放つ。慌てるスタッフにかなえは「どうせそんなことできっこないよ」と気に留める様子もない。ところがその言葉を真に受けた園子は翌朝本当に家出をしてしまう。家出した園子が向かった先は夫との思い出のある温泉町。思い出深い温泉町も今ではすっかりさびれてしまい、客寄せに四苦八苦していた。そんな中園子が昔楽しかった卓球の話を持ち出したことでなんと卓球で町おこしをすることになり、園子も一役買うことになる。 |
『独立愚連隊西へ』(1960年)
監督:岡本喜八。
太平洋戦争中の中国大陸。戦闘で行方不明になった軍旗を捜索するために、軍旗捜索隊が結成される。しかし軍旗が行方不明になったのは敵陣の中、第一次軍旗捜索隊はあっけなく全滅。そして第二次軍旗捜索隊として出発したのは、左文字隊。彼らは戦死広報に載った後に生還したいわば軍のやっかいもので常に危険な最前線ばかりに送られているが、未だに戦死者が出ていない噂の部隊。彼らを利用して軍旗を手に入れて出世を考えている関曹長を伴い左文字隊は軍旗捜索に出発する。 2002年2月2日(動物園前シネフェスタ) |
『どら平太』
監督:市川 崑
或る小藩の町奉行所。ここでは今までに何人もの奉行がやってきては早々に退職し、江戸からやってくるという新しい奉行の到着を待っていた。新任奉行の名前は望月小平太。素行が悪く「どら平太」という仇名の方が通り名となっているという噂だった。この藩には壕外と呼ばれ、密輸、賭博、売春、殺傷すべての悪の巣窟となっている場所があり、そこは3人の親分が牛耳り藩の要職につくものたちも藩の財政のためと長年結託し、不正を続けていた。そして「どら平太」は江戸の殿からその壕外を払拭し、全ての腐敗を正すことを命じられ、町奉行として赴任してきたのだった。 |
『ナトゥ 踊るニンジャ伝説』(2000年/日本テレビ) 監督:大森一樹
ペンキ屋で働くナトゥは妹のケディと二人暮し。人気女優のミーナに憧れ彼女と二人の映画のワンシーンを夢にみるくらい。そんなナトゥがあるお屋敷の壁の塗り替え作業に出かけたところなんとそのお屋敷にミーナちゃんが・・・。そしてそのお屋敷の主人は今回ミーナにプロポーズするつもりでいるのだが、とりあえず妻の形見であるルビーのネックレスをこの屋敷に滞在している間だけでも付けて置いて欲しいと手渡す。ところがそのネックレスは新世紀を迎える時に悪の手にあるととんでもないことになるという代物。それを狙う変な集団とそれを守ろうとする忍者村の者たち。実はナトゥとケディもその村の出身だとわかり彼らと協力してそのネックレスを守る・・・たぶんこんなあらすじ。すみませんあまりのくだらなさにリモコン片手に早送り早送りで観てたもので・・・(^^;)。 |
『ナビィの恋』
監督:中江裕司
沖縄粟国島に向かう「ひょっこりひょうたん島」のテーマと共に快走する船。その船には東京から帰郷した奈々子と風来坊の福之助、そして謎の老紳士が乗り合わせていた。島に着いた奈々子を迎えにきたのはナビィおばあと恵達おじい。おじいとおばあに囲まれて生まれ故郷でのんびりする奈々子だったが、ある日おじいが「奈々子のこと好きだって」「胸の小さいのがいいんだって」とすっとぼけたことを言いながら風来坊の福之助を連れて帰ってきた。おじいの仕事を手伝い居候する福之助が気になる奈々子。ところがその奈々子よりも様子がおかしいのがナビィおばあ。ナビィおばあの様子がおかしい原因はすぐに明らかになる。なんとあの謎の老紳士が60年前にナビィおばあが無理やりに仲を裂かれた恋人サンラーだったのだ。 |
『幕末太陽傳』(1957年/日活)
監督:川島雄三。
時は幕末。舞台は品川宿にある女郎屋「相模屋」。金もないのにドンチャン騒ぎの末、居残って働いて返すという主人公の佐平次。胸を患っている彼ははなからこの品川宿に療養を兼ねてしばらく居坐るつもりだったのだ。すべては計画どおりの佐平次は、借金のカタに働いているという意識は全くなく店の揉め事を一手に引き受けるほどの大活躍。しかも如才のない佐平次は必ず小遣いやお代を頂戴していた。そして最後には御殿山の英国公使館の焼き打ちを企む維新志士高杉晋作の手伝いまですることに・・・ |
『華の乱』(1988年)
監督:深作欣二。
明治から大正。歌人晶子は敬慕してやまぬ師・与謝野寛に同じく思いを寄せる友人登美子を出し抜き熱愛を貫き与謝野寛の妻となる。やがて月日は流れ晶子は11人の子供の母親となり、歌人としても成功するが、寛は歌人としての才能に行き詰まり、晶子の収入に頼り無為無策な日々を送っていた。寛への情熱的な愛情は過去のものとなり日々の生活に追われるだけの晶子はある日作家有島武郎と出会い、許されぬ恋とは知りつつも有島武郎への思いに突き動かされる晶子だが、運命は皮肉な展開を見せる。 |
『梟の城』
監督:篠田正浩 織田信長により、伊賀忍者を根絶やしにするために伊賀の里が女子供にいたるまで惨殺され、焼き払われてから10年。その信長も今はなく、秀吉の天下となっていた。そんなある日伊賀忍者の生き残りで、ひっそりと山奥で隠遁生活を送っていた葛篭重蔵の元に、秀吉暗殺の依頼が舞い込み、山を降りた重蔵の前に現れたのは、敵か味方か重蔵を翻弄する小萩という女。立身出世のために伊賀を裏切り秀吉暗殺を阻止しようとする風間五平。秀吉暗殺をめぐり、それぞれの思いが交錯する。 |
『武士道残酷物語』(1963年)
監督:今井正。
物語は睡眠薬自殺を図った女性が救急車で病院に搬送されるシーンからはじまる。連絡を受けて病院にかけつけた彼女の婚約者である飯倉は彼女の看病をしながら郷里でみつけた先祖の古い日誌を思い出す。それは関が原の戦いで破れた飯倉家の初代当主が信州の堀家に仕えたことからはじまり、武士として主家に忠義を尽くすためとわが身を賭した先祖たちの物語が綴られていた。 |
『ホタル』(2001年/東映)
監督:降旗康男。
昭和天皇の崩御により昭和という時代が終わった年。腎臓を患い透析を続ける妻と二人九州でカンパチの養殖を営む山岡にとっては特別な年となる。同じ特攻隊の生き残りである友人藤枝の突然の死。患っている腎臓の容態が日々悪化し、密かに身の回りを整理している妻。戦争中特攻隊員たちの世話をし、”知覧の母“と慕われ、戦後も交流のあった富屋食堂の主人山本富子の引退。そしてあなたにしか託せないと渡された金山少尉本名キム・ソンジェの遺品。戦後頑なに心の奥へと戦争中の出来事を仕舞い込みただ今をみつめて生きてきた山岡の苦く重い思い出の扉を開く時が・・・扉を開かなくてはいけない時が今やってきたのだ。 |