旅客機内の悪い冗談                                      岡森利幸   2011/12/22

                                                                  R1-2011/12/23

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2011/12/12 社会面

東京・羽田空港で出発直前だった新千歳行き北海道国際空港(エア・ドゥ)機内で、乗客の男性(33)が客室乗務員に手荷物を頭上の収納棚に入れてもらう際、「爆弾が入ってるから気をつけてね」と発言した直後に「冗談です」と訂正したが、報告を受けた機長が男性を機内から下ろす決定をした。

警視庁東京港湾署によると、搭乗を拒否されたのは北海道石狩市の会社員で、車椅子を利用していた。

軽い冗談を言ったつもりが、出発直前の旅客機から車椅子ごと下ろされ、警視庁東京港湾署にも通報され、新聞の社会面のニュースになったのだから、とんでもないことになったものだ。この男性は反省しているというが、航空会社側の対応は行き過ぎというように私には感じられる。爆弾という言葉に過剰反応したわけだ。

「(手荷物の中に)爆弾が入ってる」というフレーズは、航空機内では禁句なのだと思い知らされる。今まで、数多くの旅客機が、機内に持ち込まれた爆弾によって墜落させられ、あるいは爆発物で脅迫されてハイジャックされたことが背景にある。そう、「ハイジャック」という言葉も一般的な用語になったぐらいだ。そのため、すべての航空会社は、搭乗前に乗客の荷物や、身に着けた物までも厳重に調べているから、そもそも、爆弾入りの手荷物が機内に持ち込まれるはずはないのだ。見逃される可能性もあるが……。

 

この男性は、すぐに「冗談です」と訂正したにもかかわらず、顔色を変えた(?)客室乗務員がすぐに機長に言いつけた。乗客が冗談を言ったことを乗務員が機長に報告するのだから、かなりの重大事件扱いだ。それを聞いた機長は、ムッとして「親切に手荷物を収納棚に上げていた若い客室乗務員を『爆弾発言」でおどしたわけだな。冗談にしても、けしからん。そんな男は、すぐに機から降ろせ」と指示をしたわけだ。

男性は、自分が車椅子に座っているから、手荷物を収納棚に入れられない。それを親切にやってくれる若い女性の客室乗務員に声をかけたかったのだろう。ていねいに、ゆっくりやってほしかった。さっさとやってくれたのでは、味気ない。からかいの言葉をかけて、「ははは」と笑い合いたかった。若い女性をからかってみたい年頃だったのだろう。軽口として、ひらめいた言葉が「爆弾」だったのだろう。すると、客室乗務員の表情から微笑がさっと消えた。

 

 

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