オバマ氏に中指を突き立てたロシア女性キャスター         岡森利幸   2011/12/1

                                                                  R1-2011/12/13

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞朝刊2011/11/27 国際面

ロシアの女性ニュースキャスターが、ニュース番組でオバマ大統領を侮辱するような行為をしたとして降板させられた。ロシア民放「レンTV」のタチヤナ・リマノアさんは、14日、米ハワイでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に関するニュースでオバマ大統領に言及した際、左手の中指を突き上げるポーズをとった。その映像はインターネットで世界従ら流付され、大きな騒動に発展。会社側は11/24にリマノアさんを番組から外すことを決めた。

リマノアさんはその日、「(朗読用の)ニュース原稿をもっと上げるようスタッフに指示したもの。放映中とは思わなかった」と釈明した。

中指を立てて見せることは、アメリカでは「テメー、オレを怒らせたな!」という意味のジェスチャーになるのだ。なぜそれが侮辱する行為になるのか、私は知らなかったから、辞書でしらべたところ、けんかをふっかけるような、非常に無礼な所作になるという。

でも、そのしぐさは地域限定の「特別な意味」だろう。それが世界共通の表現にはなっていないし、ロシアでもそんな意味があるとは思えないない。そんな「手振り身振り」の意味は、言語が異なるように、国や地域で異なるものと考えるべきだろう。

彼女自身が釈明しているように、中指を上げたのは、そのスタッフに対して「表示内容を上方にスクロールしてくれ」という合図だったにちがいない。「放映中とは思わなかった」とも言っているように、その所作をカメラの前で視聴者に向かって示したものでなく、原稿を表示する担当のスタッフに示した、いわば業務連絡だったのだ。カメラ操作のミスで、たまたまそれを映してしまい、彼女の動作を広く電波に乗せてしまったというのが真相だろう。その所作の直後、あわてたように映像が切り替えられたことからも、それがわかる。

その女性キャスターの前に置かれたテーブルの上には、おそらく電子式の表示装置があって、彼女はそれに表示された文章を棒読みしていた。表示される内容は、ディレクターのような人によって遠隔で操作されていたのだろう。女性キャスター自身は、それを直接操作せず、表示されたままの文章を読んでいた状況だった。その原稿を読んでいる間、カメラはキャスターを映さず、現地で録画された映像を放送する手はずだったのだろう。その中指を上げたときの画像を見る限り、彼女は下を向いたまま、自分がカメラに移されていることさえ、気づいていなかった様子だ。

たまたま、「今日、メドベージェフ氏がAPECの議長を務めました。この役の前任者はオバマ・アメリカ大統領でした……」などと読み上げた直後に、彼女は中指を上げた。タイミング的に、オバマ大統領に中指を突き上げたように見えている。

原稿を読み上げながら、左手中指を立てたリマノアさん

(記事に掲載された「ユーチューブからの引用写真」)

ロシアの視聴者の中に、その動画が「とんでもない意味」をもつことを知っていた人がいて、おもしろおかしくインターネットに載せてしまったから、世界中の人がそれを観ることができる「ユーチューブ」にも載ったわけだろう。その数秒の動画を見た世界中の人たちが、特にアメリカ人が「ロシアの女キャスターがわが国の大統領に無礼な所作をした」ことに怒り狂い、大騒ぎしたのだ。

キャスターとして賞を受けたりして名声の高い彼女だったが、もはや、おさまりがつかなくなった放送局としては、彼女を降板させる以外になかったわけだ。彼女を降板させる前に、彼女に読ませる原稿の表示に遅れたことや、カメラワークのミスを反省すべきだろう。

 

 

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