靴の美容効果                                            岡森利幸   2012/3/21

                                                                  R0-2012/3/22

以下は、新聞記事の引用・要約。

毎日新聞夕刊2011/9/29 総合面

米連邦取引委員会(FTC)は、リーボック・インターナショナルが同社製運動靴を「履いて歩くだけで通常以上の運動効果がある」などと宣伝していることが「不当表示に当たる」と指摘し、米リーボックが19億円を支払うことで合意したと発表した。問題とした運動靴は、「イージートーン」や「ラントーン」の商品名で販売。靴底を膨らませることで不安定感を出すことで、足やお尻の筋肉が引き締まる効果があると宣伝しており、日本でも人気が高い。

FTCによると、リーボックは「通常の運動靴に比べ、ふくらはぎの筋肉に11%多く負担がかかる」などとテレビや雑誌などで宣伝。こうした内容が科学的根拠の裏づけがないまま、健康や筋肉引き締めの効果を訴えている」としている。米国内の消費者から苦情が出ていた。

毎日新聞朝刊2012/3/3 社会面

人気の美容靴の価格を小売店に拘束したとして公取委がアディダスジャパンに排除命令〔独占禁止法違反(再販売価格の拘束)〕を出した。その靴とは、靴底を膨らませ不安定な状態を作ることで足などのシェイプアップ効果が期待できるという「イージートーン」。値引きする小売店には出荷を停止したり返品させたりしたケースもあった。同社はリーボックを傘下にもつ独アディダスの日本法人。

米リーボック社は、「不当表示」の疑いを晴らすことができず、FTCに19億円を支払うことにしたわけだろう。シェイプアップ効果が期待できるというのは、うそだったことになる。ただし、「気休め」程度の効果はあるかもしれないし、足をシェイプアップしたいという乙女心をつくのは、いい着眼点だったかもしれない。

要するに、この種の靴は、靴底を細工してわざと不安定な状態にして、履く人の足の筋肉を余計に使わせるものなんだろう。不安定な状態では、転びやすいことだろう。転ばないようにしっかり踏みしめて歩かねばならず、足の筋肉が変に疲れやすくなることも、容易に想像される。長期間履けば、余計な筋肉がつくことによって足の形がますます悪くなったりして……。

転びやすく、疲れやすい靴など、私はとても履こうという気にもならない。ましてや、公取委に指摘されるほど、その価格が一般の靴より一段と高いとなれば、もう論外である。

 

米国内の消費者から苦情が出ていたという「イージートーン」は、日本ではまだよく売れているようだ。日本では、宣伝に乗せられた、太目の足を持つ消費者が、〈少々高いけど試しに買ってみよう〉という気になっているようだ。その意欲がしぼまないうちに、シェイプアップ効果がないことがばれないうちに?、アディダスジャパンは、消費者に高値で売りつけるように小売店を拘束したわけだ。米リーボックがFTCに支払った19億円の「損失」を日本で取り戻そうとしたのだろう。

 

 

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