道路に残土を捨て去るダンプカー 岡森利幸 2010/7/23
以下は、新聞記事の引用・要約。
読売新聞朝刊2010/5/1地域面(神奈川) 綾瀬工業団地内の市道に残土約19トンが不法投棄去れていた。 30日午前5時半ごろ、綾瀬市深谷上の市道で発見された。 |
綾瀬工業団地内の市道に残土が投棄されたという記事を読んで、私はその大胆さに驚いた。よりによって道路の真ん中に約19トンもの残土を置き去るとは、無神経きわまる。残土を捨てたいのなら、神奈川県にはもっと適したところがいくらでもあるのに、市道の真ん中に捨てたのは、なぜだろう。いちばん、手っ取り早いためか?
「少しは場所を選べよ」と私はその犯人に言いたい。なんと横着な人なんだ。空き地に捨てるとか、耕作放棄された田畑とか、河川敷とか、丹沢の山奥とか、捨てる場所はいくらでもありそうだ。車を運転する人なら、そのへんの目星は付けておけるところだ。いずれも不当投棄にはなるにしても、「道路の真ん中」よりはましだろう。
地域のニュースを調べてみると、今年の二月ごろから、神奈川県内で同様な路上への不当投棄が複数回起きていた。犯人像のプロフィールを考えてみよう。道の真ん中に残土を捨て去るようなことをするのは、多くはいないだろうから、同一犯だ。ダンプカーで乗り付けてきて、捨てるだけなら、単独でできる。同一人物が同じようなことを複数回、常習的にやっているのだろう。こんな人は味をしめているから逮捕されるまで続けることが多い。残土だけでなく、ゴミ出しルールを守ろうともせず、家庭ゴミをポイポイ道路上に捨てたりするのだろう。タンやツバをやたらと吐き飛ばし、人前を気にすることなく、ときどき大きなくしゃみを放ったり、鼻をブーブー鳴らしたりする……。
それはともかくとして、道の真ん中とは他人の迷惑をまるで考えない自己中心的な人物の仕業だろう。場所を選ばず不法投棄している人にちがいない。でも、時間は選んでいるようだ。その人は真夜中に動き出し、暗闇に乗じて大型ダンプでやってきて人気のない道路上で停まり、一気に荷台を持ち上げ、残土を下ろしてしまうと、すぐに走り去ってしまう――。人に見られないようにしていることがうかがわれる。〈人に見られなければ、何をしてもいい〉と思っているのだろうか。
「少しは他人の迷惑を考えろよ」と私は重ねて言いたい。市道の真ん中に残土が占有していたら、交通の邪魔である。すぐに撤去しなければならない。大型ダンプでは荷台を持ち上げる油圧機器のスイッチ一つを押すだけで残土の荷下ろしが完了するが、そのあとしまつがたいへんだ。19トンもの土をパワーシャベルなどでダンプカーに積み上げるだけでも、たいへんな作業だ。数時間かかるだろう。その間、その市道は通行止めになり、交通整理の旗振り役の誘導員も最低二人は必要になる。それらの費用も馬鹿にならない。市道上の不法投棄なら、市がすべてを負担することになるのだろう。ダンプカーを運転する人なら、この辺の作業は、私よりずっとよくわかっているはずだ。そのたいへんさを少しは想像してほしい。
そして真夜中、快調に道路を走っていた車の前に、いきなり、黒い残土(正確にいえば茶色)が、道をふさぐように、うず高く置かれていれば、車はブレーキをかける暇もなく、そこに突っ込んでしまう――事故が起きない方が不思議だ。
読売新聞朝刊2010/6/4地域面(相模) 厚木署は3日、韓国籍のトラック運転手(38)を往来妨害致傷容疑で逮捕した。容疑者は5月20日午前1時20分ごろ、清川村の県道で、ダンプカーから約10トンの残土を路上に捨てて片道1斜線をふさぎ、約1時間半後に現場を通りかかった乗用車を残土に衝突させ、助手席の女子大学生の胸や首などに軽症を負わせた疑い。現場近くの防犯カメラに、ダンプカーのナンバープレートの一部が映っていたことから、容疑者が浮上した。 容疑者「搬送先の処分場に残土を持ち込む料金を支払わなくていいよう、これまで9回ぐらいやった」と話しているという。 |
やはり、事故が起きてしまった。真夜中に清川村の県道で、残土に車が乗り上げた事故で、けが人まで出てしまった。この事故によって、やっと警察も本腰を入れて捜査を開始したようだ。その事故から約二週間で容疑者が逮捕された。「これまで9回ぐらいやった」という容疑者の供述から、彼が常習的にやっていたらしいことがわかる。
残土は、一般的に、どこから運んでどこに捨てるかは産業廃棄物法によって定められていて、そのための手続きや許可を受けて運んでいるはずで、かってにダンプの運転手自身が捨てるわけにはいかないはずだが、それも手っ取り早く省略していたのだろうか。
たしかに、その方が手間も残土の処分のための費用も安上りになるのだ。依頼した側が残土の処理手続きをまともにしていなかったのかという疑いを私はもつ。そのダンプの運転手と土木建設業者がグルになって不法投棄を行っていた可能性が高い。おそらくどこかの建設現場の主任あたりが、建設現場での残土の処理を容疑者に依頼し、「どこでもいいから捨ててきな」などと言って、暗に不法投棄をそそのかしていた様子が浮かびあがる。自治体によって指定された残土処分場に行って所定の処理料金を払ってから残土を運び入れるのが、産業廃棄物処理の正規な方法だろう。その処理料金は、ダンプの運転手が自己負担するものでなく、依頼者がすべて負担するものだろう。それも容疑者がネコばばしたのだろうか。
容疑者は韓国籍だという。ダンプの運転手が韓国籍であることを知っていて、その分、請負契約を安くして不法投棄をそそのかしていたとするなら、そうとうワルな現場主任である。
「おまえ、そんなことをしていたら、韓国人みんながそんな不法なことをやっていると日本人に思われてしまうぞ」と私は言いたくなった。本来は、犯罪行為とその国籍は関係ないことだが、マスコミが国籍を記載するだけで、〈それが国籍が関係している〉ことを読者に暗示してしまうのだ。
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